不動産相続手続き完全ブック|専門家が2万字で徹底解説

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「亡くなった父から不動産を相続した。相続登記が義務化されたし進めないといけないけれど、どうやって手続きすればいいの?」

突然発生した不動産の相続手続き。時間も限られているし、とりあえず自分でスムーズに終えてしまいたいと考えているかと思います。

不動産の相続手続きは下記のステップで進めることができます。

不動産の相続手続きをするステップ

しかし、相続手続きはこのステップを見ても分かるように、非常に大変です。必要な書類を集めて、相続人全員と話し合いをしなければなりません。

限られた期限内にこれだけのことをスムーズに進めるには、知識やノウハウが必要となるので、下記のように取り返しのつかない事態に陥っているケースもあるのです。

【自分で不動産の相続手続きを進めたトラブル例】

・費用を節約しようと自力で戸籍を集め「相続人はこれで全員だ」と思い込んで遺産分割協議書を作成。後になって、離婚や再婚歴などによる「隠れた相続人」がいたことが発覚しました。

これにより、遺産分割協議はやり直しとなり、手間と労力が膨大にかかることになってしまったのです。

・「価値もなさそうだしとりあえず兄弟で半分ずつ共有名義にしておこう」と山林の相続を進めました。しかし、相続後に台風で倒木が隣家の屋根を壊すと、損害賠償責任が発生。

「自分は管理に関わっていないから払いたくない」と兄弟間で揉め、決定的な亀裂が入ってしまいました。

とりあえず手続きを進めるのではなく、専門家と一緒にトラブルを未然に防ぎ、ご家族の不動産の状況や考え方に合った相続手続きをすることが非常に大切です。

そこで本記事では、約2万文字というボリュームで、不動産の相続手続きの方法や注意点を、相続の専門家が本一冊分ほどの情報量でまとめて解説します。

不動産の相続手続きは一度完了してしまうと「知らなかった」では済まされず、簡単にやり直しができません。
相続手続きを始めるタイミングで最適な判断ができるよう、ぜひ参考にしてみてください。

また、以下の動画では「相続登記はどこまで自分で進められる?」「費用や期限で見落としやすい点は?」といった、実務の秘伝ノウハウを、グリーンの代表・山田が動画でわかりやすく解説しています。

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目次

1章 不動産の相続手続き全体の流れと主にやること

不動産の相続手続きは、下記の6つのステップに沿って進めます。

相続手続き全体の流れ主にやること
ステップ1:遺言の有無を調べる
  • 遺言があるかどうかを確認する
  • 遺言が見つかった場合は勝手に開封しない
ステップ2:不動産の情報を集める
  • 亡くなった人がどのような不動産を所有していたのか確認する
  • 不動産によっては管理状態、ローンの有無も確認する
ステップ3:戸籍謄本を収集して全相続人を明確にする
  • 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集め、誰が法的な相続人なのかを確認する
ステップ4:相続人全員で遺産分割協議を行う
  • 相続人全員で遺産分割協議を行い「誰が不動産を相続するのか」を確定する
ステップ5:相続手続きに必要な書類をまとめる
  • 不動産を相続登記するために必要な書類を集める
ステップ6:法務局で登記申請する
  • 法務局で登記申請をして、不動産の名義を相続人に変更する

相続登記の期限は3年以内です。しかし、相続税が発生する場合は、相続税の申告・納税期限である10ヶ月以内を目安に手続きを進めなければなりません。

例えば、不動産の売却を検討している場合、10ヶ月という期間は長いように思えますが、四十九日などの法要を終え、戸籍を集め、財産を調査し、親族で話し合い、不動産を相続する人を決めて、売却をするとなると、あっという間に過ぎていきます。

だからこそ「空いた時間で相続手続きをしよう」と考えていると間に合わなくなってしまうので、全体像を把握してスムーズに進められるようにしましょう。


2章 不動産の相続手続きの進め方6ステップ

ここからは、不動産の相続手続きを進めるステップを1つずつ解説していきます。

相続手続きは「書類を集めて申請するだけ」と思っているかもしれませんが、体感、引っ越し手続きの10倍以上大変なイメージです。

「本当に一人でできるのか」「トラブルなく進められるのか」見極めるためにも、1つずつ内容を確認しておきましょう。

2-1 ステップ1:遺言の有無を調べる

遺言による相続登記

まずは、亡くなった人が遺言を残していないか調べます。遺言とは、亡くなった後に自分の財産を誰にどのように引き継ぐかなどの意思を、法律で定められた方法で生前に残すものです。

遺言がある場合は、原則として内容に従って相続手続きをしなければなりません(一部例外があります)。亡くなった人が遺言を残しているかどうかは、下記の方法で確認できます。

遺言書の種類概要
公正証書遺言全国の公証役場のデータベース(遺言検索システム)に登録されているので、最寄りの公証役場で確認できる
※1989年以降に作成の場合に限る
自筆証書遺言
(法務局保管)
全国の遺言書保管所(法務局)で「遺言書保管事実証明書」の交付を請求することで、遺言書が保管されているかどうか確認できる
自筆証書遺言
(個人保管)
亡くなった人の金庫や仏壇の引き出し、銀行の貸金庫などを探す。生前付き合いのあった弁護士や司法書士、税理士などの専門家が預かっているケースもある

参考:法務局「自筆証書遺言書保管制度」

遺言書が発見された場合に注意しなければならないのは、勝手に開封することです(既に封が開いているものや、そもそも封がされていないものなどを除く)。

例えば、亡くなった人の金庫から遺言書が出てきて「中を見てみよう」と勝手に開封すると、法律違反となり5万円以下の過料が科せられる可能性があります。

個人保管の自筆証書遺言は、家庭裁判所での遺言書の状態や内容を確認する検認が必要です。これを終えてからでないと、遺言書の内容に沿って相続できないので注意しましょう。

また、遺言書がある場合は、誰が不動産を相続するのかが明確なので「ステップ4:相続人全員で遺産分割協議を行う」が不要です。

この部分を飛ばして、相続手続きを進めましょう。遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があるのでステップに沿って進めてください。

ただし、遺言書に書かれていない財産が見つかった場合などは、その財産について別途協議が必要になることがあります。

遺言書の種類に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。

遺言書の種類は3つ!特徴比較やおすすめの人を紹介

参考:裁判所「遺言書の検認」

2-2 ステップ2:不動産の情報を集める

続いて、相続する不動産の情報を集めます。不動産の場合は、可視化できていない情報が隠れている可能性があるからです。

下記の2つのステップに分けて、この段階で不動産の状態を明確にしておきましょう。

【不動産の情報を調査するステップ】

  • 不動産情報を収集する
  • 不動産の価値や確定申告の状況を確認する

2-2-1 不動産情報を収集する

まずは、不動産の状況や知りたい情報に応じて、下記のような情報を集めます。

必要な書類概要
固定資産評価証明書
  • 登録免許税の計算や、建物の相続税評価額の確認などに使用する
登記事項証明書
(不動産登記簿)
  • 所有者は誰か、抵当権(借入の担保)はついているか、差し押さえなどの制限はないかを確認する
    (相続登記の書類作成時にも必要になる)
公図、地積測量図
  • 隣地との境界が明確かなどを確認する
所有不動産記録証明書
  • 被相続人が所有していた不動産を一覧で確認する

参考:法務局「所有不動産記録証明制度について」

固定資産評価証明書は、不動産の固定資産税評価額を確認できる書類です。相続登記にかかる登録免許税の計算などに使用します。固定資産評価証明書は、不動産がある市区町村の窓口で取得しましょう。

その他の書類は、必要に応じて活用します。例えば、突然相続することになり、亡くなった人がどのような不動産を所有しているのか分からない場合は、所有不動産記録証明書を取得して不動産の一覧を確認します。

また、公図や地積測量図を確認することで、土地の位置や形状、境界に関する情報を把握できます。ただし、これらの資料だけで境界が確定するわけではありません。

古い土地や山林では境界が不明確なケースも多く、必要に応じて現地調査や測量が必要になることがあります。

2-2-2 不動産の価値や確定申告の状況を確認する

不動産の相続ではこの段階で下記のような点も明確にしておくと、トラブルを防ぎやすくなります。

不動産の状況概要
確定申告の状況賃貸物件の場合は家賃収入に対して行っていた確定申告の状況を調査しておくと、税務上の必要な手続きを見落としにくくなる
ローンの有無ローンが残っている場合は、ローンの残債と連帯保証人を確認しておく
管理状態賃貸物件や田んぼ、森林の管理状態を確認しておく
資産価値の査定他の相続人に代償金(現金)を支払って調整するための基準となる資産価値を正しく算出しておく

例えば、アパートやマンションを相続するときに、ローンが残っていると誰が負債を引き受けるのかも考えなければなりません。

団信(保険金で残りのローンを返済する保険)に加入していたとしても、ローンの確認をしておらず団信への連絡が遅れてしまうと団信が利用できなくなるリスクがあるのです。

また、山林・田んぼ(農地)の場合は安易に相続するのではなく、管理状況や現状の価値を把握しておくことも大切です。

「相続してから売却すればいい」と考えていてもそこまでの価値がなく、手放したくても手放せない状態になる可能性があります。

このように、相続する不動産に応じて、現状をしっかりと確認してから次のステップに進みましょう。

不動産ごとの注意したいポイントは「3章 不動産の種類別の相続手続きにおける注意点」で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

2-3 ステップ3:戸籍謄本を収集して全相続人を明確にする

死亡時の戸籍から順に出生時までさかのぼって戸籍謄本を取得するイメージ

続いて、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を途切れることなく集め、誰が法的な相続人なのかを確定させます。

「役所で戸籍謄本をもらうだけだろう」と考えがちですが、下記のようなケースでは、なかなか前に進まない可能性があります。

【全相続人の戸籍謄本を集めることが難しいケース】

  • 相続登記が2代、3代前に遡る場合:集めるべき戸籍が数十通〜百通以上に膨れ上がってしまう
  • 面識のない人が含まれる場合:連絡先が分からず、戸籍の調査に時間がかかってしまう

例えば、親や子供、孫などの戸籍は比較的スムーズに取得できますが、亡くなった人の兄弟姉妹や甥姪など、面識のない人の戸籍を取得するのは非常に困難です。

役所の窓口へ行っても「正当な理由の証明として、まずはご自身と亡くなった方との関係性を証明するご両親の戸籍を先に取ってきてください」などと言われ、何度も役所を往復させられる可能性があります。

また、離婚した元配偶者は相続人にはなりませんが、前妻や前夫との間に生まれた子供は法定相続人となります。

親族がその存在を把握しておらずそのまま手続きを進めると、遺産分割がすべて無効になり最初からやり直しになることがあります。

このように、今の状況によっては、全相続人の戸籍謄本を収集すること自体が困難なケースがあります。自力では解決策を見出すことが難しいので、専門家の知見を借りながら進めることが大切です。

▼行方不明の相続人がいる場合にどうなるのかは、下記の記事で詳しく解説しているのでぜひご覧ください。

【相続登記の義務化】行方不明の相続人がいる時の相続登記を解説

2-4 ステップ4:相続人全員で遺産分割協議を行う

相続人が明確になったら、相続人全員で遺産分割協議を行います。

【遺産分割協議とは】

相続人全員で遺産の分け方を話し合う協議のことです。「誰が、どの財産を、どれくらい相続するか」について具体的に話し合います。

遺産分割協議の実施方法は、相続人全員で行うこと以外は定められていません。全員が1箇所に集合しなくてもメールや電話、LINEなどで進めることも可能です。

遺産分割協議では、安易に共有名義にすることは避けて特定の一人に集約させることが大切です。

ここで「兄弟で共有名義にしよう」などと決めてしまうと、将来下記のようなトラブルに発展するリスクがあるのです。

【共有名義でトラブルになった事例】

地方にある実家の裏山を相続したAさん・Bさん兄弟。当時は「価値もなさそうだし、とりあえず平等に2分の1ずつで名義を変えておこう」と、深く考えずに共有名義で相続登記を進めました。

ある年の大型台風で山林の木が数本倒れ、麓の民家の屋根を直撃。所有者には管理責任があるため、被害者から損害賠償を請求される事態に…。

遠方に住むBさんは「自分は管理に関わっていないから払いたくない」と主張し、誰がいくら負担するかで兄弟間に決定的な亀裂が入ってしまいました。

だからこそ、遺産分割協議では「誰に一本化するのか」を話し合い、他の相続人にも不平等感の出ないように代償分割(特定の相続人が不動産を取得する代わりに、他の相続人へ代償金を支払って公平を図る方法)などを検討する必要があるでしょう。

また、誰が相続するのかと併せて、将来の不動産の利活用や節税対策の視点も踏まえることが大切です。

例えば、今回の相続で配偶者に全て相続してしまうと、次の相続が発生したときに相続税の負担が大きくなる可能性があります。

このように、多角的な視点で、将来を見据えてどのように相続すればいいのかを考えることが非常に重要になるのです。

遺産分割協議で話がまとまったら、決定内容をもとに遺産分割協議書を作成して、相続人全員が署名と実印の押印をします。

遺産分割協議書の作成方法は下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

遺産分割協議の流れ・やり方の大原則となるルールや注意点を徹底解説
【雛形付】遺産分割協議書の書き方を記入例付きで解説

▼共有名義人が死亡したときの手続きの流れは、下記の記事でまとめています。トラブルを避けるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

不動産の共有名義人の片方が死亡!ケース別相続手続き・相続税・リスク

【法定相続分どおりに相続する場合は遺産分割協議が不要】

法定相続分(遺言書がない場合などに民法で定められている相続人ごとの相続割合に沿って相続すること)どおりの割合で相続するのであれば、相続人全員での遺産分割協議を経なくても手続きを進めることは可能です。

ただし、安易に法定相続分どおりの相続登記(共有名義での登記)をしてしまうことは、取り返しのつかない大損やトラブルを招きます。

手間を省くために安易に法定相続分どおりを選択するのではなく、ご家族にとって最適な経路を見つけることが大切です。

2-5 ステップ5:相続手続きに必要な書類をまとめる

「誰が相続をするのか」が明確になったら、相続手続きに必要な書類をまとめましょう。主に必要な書類は、下記のとおりです。

相続手続きのパターン書類
遺言がある場合集める書類
  • 遺言
  • 被相続人の戸籍謄本(戸籍事項証明書)
  • 被相続人の除籍謄本(必要な場合は改製原戸籍)
  • 被相続人の住民票の除票か戸籍の附票
  • 相続する人の戸籍謄本(抄本)(戸籍事項証明書)
  • 相続対象不動産の固定資産課税明細書または固定資産評価証明書
  • 相続する人の住民票
作成する書類
  • 登記申請書
  • 手続きを司法書士などに依頼する場合は委任状
  • 相続関係説明図
遺産分割協議をした場合集める書類
  • 被相続人の戸籍謄本(戸籍事項証明書)
  • 被相続人の除籍謄本
  • 被相続人の改製原戸籍
  • 被相続人の住民票の除票か戸籍の附票
  • 法定相続人の戸籍謄本(抄本)(戸籍事項証明書)
  • 法定相続人の印鑑証明書
  • 相続対象不動産の固定資産課税明細書または固定資産評価証明書
  • 相続する人の住民票
作成する書類
  • 登記申請書
  • 手続きを司法書士などに依頼する場合は委任状
  • 遺産分割協議書
  • 相続関係説明図

※ご家族の状況によって上記以外にも必要な書類が出てくる場合があります
参考:法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」

相続手続きでの書類作成は「ただ話し合った結果を形式に沿って書面にすればいい」という単純なものではありません。

書類の書き方や内容によって、法務面(名義変更ができるかどうか)や税務面(相続税や贈与税がどれだけかかるか)に直結します。

例えば、法務局では手続きする書面の内容の確認はしてくれますが「使用していない節税対策がある」「こうしたほうが節税になる」などのアドバイスを受けることができません。

そのため、とりあえず必要な書類を集め、書類の空欄を埋めるという方法で手続きをしてしまうと、本来使えるはずだった節税対策が使えず、損をしてしまう可能性があります。

【小規模宅地等の特例が使えなかった例】

父が亡くなり、実家(評価額5,000万円)を相続することになりました。相続人は母(配偶者)と、賃貸暮らしでお家を持たない子供です。

とりあえず今回の相続税はゼロになるとのことで、母名義で実家を相続することになりました。

しかし、賃貸暮らしの子供が単独で実家を相続していれば「小規模宅地等の特例」が適用され、5,000万円の評価額を1,000万円まで(80%)圧縮することができたはずです。

数年後、母が亡くなったため、実家を売却して現金化しようと考えました。子供は小規模宅地等の特例の恩恵を受けられないため、実家は高い評価額のまま税金が課税されてしまいました。

相続手続きは書類を申請するだけでなく、どのように手続きをすればご家族にとって最適なのかを検討しながら進める必要があります。

だからこそ、知見のある専門家とともに、将来後悔しない方法で手続きを進めましょう。

2-6 ステップ6:法務局で登記申請する

不動産の相続登記に必要な書類が揃ったら、法務局で登記申請をします。登記申請は下記の3つの方法から選択できます。

【登記申請をする方法】

  • 窓口提出:法務局へ直接持参する方法
  • 郵送提出:申請書類を法務局へ郵送する方法(書留など追跡できる方法が推奨)
  • オンライン申請:インターネットで申請する方法(相続登記では戸籍謄本などの原本は後日郵送または持参する必要があるケースが多い)

参考:法務局「不動産登記の申請書様式について」

法務局は平日しか開いていないため、仕事を休み足を運ばなければならないケースもあります。また、少しでもミスがあると修正が必要になり、持ち帰り再度提出に出向く必要があるのです。

例えば、遺産分割協議書の修正では、再度相続人全員の実印(捨印・訂正印)をもらい直す場合があります。

ミスが発覚すると、もう一度相続人全員に実印をもらい、法務局に持っていかなければなりません。

このように、不動産の相続手続きはただ書類を作成して申請するだけでなく

  • どのような不動産なのか
  • 誰が相続するのか
  • どのように手続きをすれば節税できるのか

など、さまざまな判断が必要です。だからこそ、無理にご自身で進めようとしないで、専門家に相談しながら進めたほうが、早く納得できる相続手続きができます。

そこで、まずは相続に関する相談件数が累計55,193件(2025年10月末現在)と多いグリーングループに今のお気持ちをお聞かせください。

相続手続き・税務・不動産の各領域が連携しており、各専門家の知見を使いながら「どのように相続手続きをすればいいのか」を判断する体制が整っています。

「本当に相続人になっていいのか」「もう少し節税できるのではないか」など、相続手続きを進めるうえでの不安に寄り添い、1つ1つ解決できます。

相続手続きはご家族によって最適な経路が異なるため、一人で悩んでいてもなかなか解決できません。まずは、今のお悩みをお電話やメール、LINEなど、問い合わせしやすい方法でお聞かせください。

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※平日9時〜20時 / 土日祝9時〜18時まで営業。年末年始以外は営業しております。


3章 不動産の種類別の相続手続きにおける注意点

ここまで不動産の相続手続き方法を詳しく解説してきましたが、実は不動産の相続ではアパートや山林、田んぼなどの種類ごとに注意したいポイントがあります。

不動産の種類概要
アパート(収益物件)家賃収益などのプラスの財産だけでなく負債を引き継ぐことに注意する
農地農業委員会への届出や筆数の調査など特有の作業が発生する
山林相続後の管理責任や出口戦略を理解した対策が必要になる
マンション権利関係や団信の手続きなどを漏れなく行う必要がある

「不動産の相続はどれも同じ」だと考えるのではなく、種類によって「どこが難しいのか」を理解して最適な経路を設計する必要があります。

今回相続手続きをする不動産では、どのような点に注意したほうがいいのか確認しておきましょう。

3-1 アパート(収益物件):収益だけでなく負債も引き継ぐことになる

アパート(収益物件)を相続する場合、毎月の家賃収入に目が行きがちですが、下記のような負債(マイナスの財産)もセットで引き継ぐことになります。

負債の例概要
不動産ローン建築したときの不動産ローンが完済されていない場合は負債も引き継ぐことになる
将来の修繕費設備や建物が劣化したときに大規模な修繕や建て替えが必要になる
抵当権での借金アパートやマンションを担保にして借入れを行い、抵当権が設定されている
空室リスク空室が続くと維持管理費や固定資産税のほうが高くなり収益を生めない可能性がある

例えば、アパートを購入したときの住宅ローンがまだ完済されていない場合は、団信(団体信用生命保険)でローンが消滅しない限りは多額の負債を誰が背負うのか複雑な権利関係の整理が必要です。

また「家賃収入が得られるから」と安易に共有名義にすると、空室が続いたときや修繕が発生したときにトラブルに発展する可能性があるでしょう。

それだけでなく、将来「アパートの修繕をしたい」となったときには、共有名義全員の合意が必要になります。「費用は出せない」「売却したくない」など意見が割れると、前に進めなくなるのです。

実際に下記のように、兄弟でアパートを相続したものの、修繕費、売却で揉めてしまい手出しができなくなった例もあります。

【アパートを共有名義で相続すると発生するトラブル例】

毎月入ってくる家賃収入を兄弟で平等に分けたいと考え、アパートを兄弟の共有名義にして相続登記を済ませました。

数年〜十数年後、アパートが老朽化し、大規模な修繕や建て替え、あるいは売却が必要になりました。

共有者の1人が「修繕費を出したくない」「売りたくない」と反対すると、アパートに一切手出しができなくなる状態に陥ってしまいました。

このように、アパートの相続登記では「家賃収入が得られる」というプラスの資産だけを見て相続登記をすると後悔につながります。

「負債となり得る資産はないか」「将来どのようなリスクがあるのか」までを整理して、トラブルを防ぐ設計を意識する必要があるでしょう。

3-2 農地(田んぼ・畑):農業委員会への届出や筆数の調査など特有の作業が発生する

農地の相続は法務局への登記だけでなく、農業委員会への届出や膨大な筆数の調査など他の不動産とは異なる業務が発生します。

特有の作業の例概要
農業委員会への届出農地は相続登記だけでなく、農地の所在地の農業委員会に農地の権利を取得した届出をする義務がある
筆数(土地の数)の確認筆数を正しく把握したうえで相続人の確認、手続きを進める必要がある
農地の管理相続した農地を適切に管理する必要がある
(雑草を放置しない・勝手に宅地、駐車場にしないなど)

参考:農林水産省「農地相続ポータル」

田んぼや畑などの農地は1つの大きな土地に見えても、登記簿上は細かく何十筆にも分かれているケースがよくあります。

亡くなった方が所有していた農地を一つひとつ漏れなく特定し、それぞれに対して相続登記の手続きが必要です。実際に、下記のように、把握していなかった筆数の田んぼの相続登記の手続きに苦戦するケースがあります。

【納税通知書に載っていない田んぼを見落としていた事例】

親の相続が発生して、預貯金6,000万円と実家近くの田んぼを相続することになりました。

同居していた長男は、毎年届く「固定資産税の納税通知書」に記載されている田んぼの数だけを見て、遺産分割や登記の手続きを進めようとしました。

しかし、固定資産税の納税通知書に記載されず、書類が届かない田んぼを多数所持しており、子供たちはそのことを知らなかったのです。

後になって「実は他にも何十筆も田んぼがあった」ことが分かり、遺産分割協議をやり直すことになってしまいました。

また、農地は相続登記だけでなく、農地の所在地の農業委員会に農地の権利を取得した届出をする義務があります。

このような農地特有の事情を把握していないと相続登記が進まず、時間と労力ばかりかかる悪循環に陥るのです。

農地の場合は、農業委員会への対応や農地の相続税評価、筆数の確認など複数の専門的な知識が必要になるので、農地の相続登記に詳しい専門家と進めるようにしましょう。

グリーングループは、農地の相続登記受任262件(2022年7月〜2026年2月時点)という業界トップクラスの実績があります。

共有名義をはじめ、相続後に問題が起こりやすいポイントが多い財産だからこそ、相続登記の時点から将来のトラブルを防ぐ提案ができます。

グリーングループの強みは下記の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。

農地の相続登記に強い事務所をお探しならグリーン司法書士法人にお任せください

【農地だけ手放すことはできない!売却したい場合は戦略的に相続をする必要がある】

相続をするときに「農業をやらないし、田んぼなんていらない」と農地だけを切り離して、相続放棄することはできません。

相続放棄をする場合は、プラスの財産も含めて一切受け取れなくなってしまいます。

農地を相続したくないと考える場合は誰が名義を引き受けるか、どのタイミングで売却するかなど、相続登記のタイミングで戦略を考える必要があります。

3-3 山林:相続後の管理責任や出口戦略を理解した対策が必要になる

山林は農地と同様に、筆数の調査や相続後の管理責任、相続後に手放しにくいなど他の不動産にはない注意点があります。

注意したいポイント概要
森林の土地の所有者届出制度森林は相続登記だけでなく、取得した土地のある市町村長に届け出をしなければならない
筆数(土地の数)の確認筆数を正しく把握したうえで相続人の確認、手続きを進める必要がある
管理責任相続した山林の管理責任を負うことになる
(倒木して人、民家に被害が出た場合は責任を負うなど)
計画的な出口戦略一度相続してしまうと手放しにくく、買い手を見つけることが難しい
(農地と同様に相続時に山林だけ手放すことはできない)

参考:林野庁「森林の土地の所有者届出制度」

とくに、注意したいのは、山林の管理責任です。「売却しても価値がないからとりあえず名義だけ変えておこう」と安易に相続登記をすると、相続人には山林の管理責任が生まれます。

山林を放置している間に大型台風などで木が倒れて民家の屋根を直撃した場合、所有者が数百万〜数千万円単位の損害賠償責任を問われる可能性があるのです。

それだけでなく、山林の管理のために木を1本切るだけでも数万〜数十万円の費用がかかり、維持管理をしていくだけでも大きな負担になります。

このように、山林の相続登記ではただ名義を変えるのではなく重い管理責任が付きまとうので「誰がその責任を背負うのか」を慎重に判断しなければなりません。

また、山林は買い手がつきにくく「とりあえず相続をしてから売却しよう」と考えると、なかなか売却できずに固定資産税や管理責任が付きまといます。

グリーングループは山林をはじめとした相続登記を直近1年間で1,979件受任(2025年3月18日~2026年3月17日)してきた実績があります。

山林ならではの難しさを理解したうえで、ご家族が納得できる相続登記を提案できます。グリーングループの強みは、下記で詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください。

山林の相続登記に強い事務所をお探しならグリーン司法書士法人にお任せください

3-4 マンション:権利関係や団信の手続きなどを漏れなく行う必要がある

マンションの相続は「名義変更をするだけ」と思われがちですが、下記のような特有の注意点があります。

注意したいポイント概要
古いマンションの土地の権利関係古い物件では土地が細かな持ち分で分かれているケースがあり、膨大な名簿の中から亡くなった方の権利(持ち分)を漏れなく探し出す必要がある
団信の手続き漏れ亡くなった人の団信加入状況を確認しないで放置すると、必要な手続きができず返済の延滞扱いになるリスクがある
資産価値の正しい評価マンションの評価額は物件によってはタワマン補正などが採用されるので、専門家でないと正しく価値を判断できないケースがある

一般的なマンションは、建物と土地の権利が一体化されています。しかし、古い物件では土地が細かな持ち分で分かれたままになっているケースが少なくありません。

例えば、200世帯規模のマンションで持ち分が分かれたままになっていると、登記簿謄本には全所有者の名前が記載されています。

膨大な名簿の中から、亡くなった方の持ち分を漏れなく、かつ正確に探し出す必要があるのです。

見落としたまま登記を済ませ、将来売却しようとすると「実は権利が不足していた」など、致命的なミスが発覚するトラブルも多発しているのです。

また、亡くなった人の住宅ローンが残っている場合、「団信に入っているから自動的にローンは完済されるはずだ」と手続きを放置すると、返済の延滞扱いとなるリスクもあります。

団信が利用できなくなると、本来であればゼロになるはずだった何千万円もの住宅ローン債務がそのまま残ってしまう可能性があるのです。

グリーングループでは相続手続き・税務・不動産の各領域が連携して、トラブルが起こらないように全方位的なご提案ができます。

グリーングループの強みは、下記で詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください。

マンションの相続登記に強い事務所をお探しならグリーン司法書士法人にお任せください

4章 不動産の相続手続きでよくあるQ&A

ここでは、不動産の相続手続きでよくある質問をまとめました。「ここはどうすればいいのか」と悩んだときにご活用ください。

不動産の相続手続きでよくあるQ&A
Q1.相続の申請人は母親になるのですが、息子だけが行っても問題ないでしょうか?
Q2.不動産相続手続きをしなかった場合はどうなりますか?放置しても問題ないでしょうか?
Q3.固定資産評価証明書が更新されてから、手続きをしたほうがいいでしょうか?
Q4.相続手続きにはどれくらい費用がかかりますか?
Q5.不動産を相続放棄したい場合はどうすればいいですか?
Q6.相続手続きが終われば不動産の権利証(登記識別情報)はもらえますか?

4-1 Q1.相続の申請人は母親になるのですが、息子だけが行っても問題ないでしょうか?

Q.父親の財産を母親が相続することになりましたが、母親が高齢なこともあり、息子である私が進めています。相続の申請人は母親になるのですが、息子だけが行っても問題ないでしょうか?

A.はい、問題ありません。

相続手続きの申請人が母であっても、息子が法務局や金融機関に行って手続きをすることは可能です(ただし、「無報酬」かつ「反復継続しない」形という法律上のルールがあります)。その場合は、原則として母親が作成した委任状が必要になります。

また、相続登記は、申請人本人が必ず窓口に行く必要はありません。郵送やオンラインでの申請もできる他、相続人として、司法書士などの専門家に手続きの代理を依頼することも可能です。

ただし、相続登記の手続きを行うなかで、本人確認書類や委任状が必要となる場面もあるので、事前に確認しておきましょう。

参考:法務局「新不動産登記法Q&A」

4-2 Q2.不動産相続手続きをしなかった場合はどうなりますか?放置しても問題ないでしょうか?

Q.親族が亡くなり、所有していた不動産の相続が発生しました。どのように手続きをするのかよく分かりません。このまま手続きをしなかった場合はどうなりますか?放置しても問題ないでしょうか?

A.不動産の相続手続きを放置することはできません。2024年4月1日より、相続(遺言を含む)により不動産を取得した場合、相続人は定められた下記の期限内に相続登記をすることが義務化されたからです。

相続・遺産分割のタイミング相続登記の期限
2024年4月1日より前に不動産を相続した場合2027年3月31日まで
2024年4月1日以降相続が発生した場合取得を知った日から3年以内
遺産分割が成立した場合遺産分割が成立した日から3年以内

参考:法務省「相続登記の申請義務化について」
参考:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」

正当な理由がなくこの期限を過ぎても放置をすると、10万円以下の過料を科せられる可能性があります。この過料は1度払って終わりではなく相続登記が完了するまで繰り返し科せられることも考えられます。

また、相続手続きを後回しにすると法定相続人が増えて、相続登記がどんどん複雑化します。相続登記にかかる負担を最小限に抑えるためにも、期限内に完了させるようにしましょう。

▼相続登記の義務化の内容や過料については、下記の記事で詳しく解説しています。

【令和最新】相続登記の義務化とは?期限やペナルティを解説

4-3 Q3.固定資産評価証明書が更新されてから、手続きをしたほうがいいでしょうか?

Q.相続登記の手続きをする場合、固定資産評価証明書が更新されてから、手続きをしたほうがいいでしょうか?固定資産評価証明書はいつ更新されますか?

A.固定資産評価証明書を更新するかどうかは、相続する不動産の状況によって変わります。固定資産評価証明書は、毎年新年度の価格に更新されます。

相続登記の際にかかる登録免許税は登記申請をする年度の評価額を基準に計算されるので、過去の固定資産評価証明書を使用することはできません。

もし、4月の更新で不動産の評価額が下がる見込みであれば、更新を待ってから手続きをすると登録免許税を安く抑えられる可能性があります。

相続手続きの期限が設定されているなかで、どのタイミングで進めればいいのかは判断が難しいところなので、専門家に相談しながら進めることがおすすめです。

4-4 Q4.相続手続きにはどれくらい費用がかかりますか?

Q.初めて相続手続きをするのですが、相続登記全体を通してどれくらい費用がかかりますか?

A.相続手続きの費用は、登録免許税や相続登記の複雑さによって変わるので一概には言えませんが、相続登記にかかる費用の相場は、下記のとおりです。

費用の概要費用の相場
相続する不動産の調査費用約2,000~3,000円
相続登記の必要書類を集める費用約1~3万円
登録免許税課税標準額×0.4%
司法書士の報酬10数万円〜

法定相続人が多い場合や不動産の調査に手間がかかる場合は、費用が高くなる傾向があります。

少しでも相続手続きの費用を抑えたい場合は、相続登記を放置しないで権利関係や相続人が把握できるうちに進めるようにしましょう。

相続登記にかかる費用は、下記の記事で詳しく解説しています。参考にしてみてください。

相続登記の費用相場|司法書士報酬・登録免許税・実費を解説

4-5 Q5.不動産を相続放棄したい場合はどうすればいいですか?

Q.父が亡くなり、所有していた不動産の相続の話が出ています。相続手続きが面倒だし、持ち家もあるので相続放棄できないかなと思っています。相続放棄したい場合は、どうすればいいですか?

A.不動産を相続放棄したい場合に知っておかなければならないのは、いらない不動産だけを切り離して相続放棄できないというルールです。

相続放棄を選択した場合はその不動産だけでなく、預貯金や他の資産などのプラスの財産も含めて、一切受け取れなくなってしまいます。

「預貯金は相続したいけど、不動産だけを手放したい」と考えている場合は、相続した後に売却するなどの出口戦略を考えることも可能です。

4-6 Q6.相続手続きが終われば不動産の権利証(登記識別情報)はもらえますか?

Q.不動産の相続登記の手続きを自分でしています。相続登記の手続きが終われば不動産の権利証(登記識別情報)はもらえますか?

A.はい、相続手続きが完了すると、新しく名義人になった人に対して従来の権利証にあたる「登記識別情報」が発行されます。

ただし、自分で手続きを進めている場合、申請方法によっては権利証が正しく発行されない可能性があります。

「話し合いが面倒だから」などの理由で遺産分割協議を行わず、とりあえず法定相続分で登記をすると、権利証が相続人全員分発行されません。

実際に将来不動産を売却しようとしたときに権利証がなく、証明資料の作成や本人確認のために余計な費用が追加でかかるトラブルが発生しています。

相続手続きを進めるときに全員分の権利証が正しく発行されるか不安に感じる場合は、手続きを完了してしまう前に専門家に相談するようにしましょう。


5章 不動産の相続は手続きをするだけではなく将来の活用まで踏まえた設計が必要になる

不動産の相続は手続きをするだけではなく、将来の税金や数十年後に訪れる二次相続までを見据えたトータルな設計が不可欠です。

「とりあえず名義を変えておこう」「面倒だから兄弟で平等に分けて手続きを終わらせよう」などの安易な選択は、後から取り返しのつかないトラブルに発展する可能性があります。

ここでは、自分で相続手続きをするときに起こりがちなトラブルをご紹介します。一度相続登記が完了すると、簡単に修正することはできません。

だからこそ、何となくで進めるとどのようなリスクがあるのか知っておきましょう。

自分で相続手続きをするときに起こりがちなトラブル
  • 想定していなかった相続人が出てきて再度遺産分割が必要になる
  • 安易に共有名義にすると将来不動産が凍結する可能性がある
  • 二次相続の税負担が重くのしかかる可能性がある

5-1 想定していなかった相続人が出てきて再度遺産分割が必要になる

「自分たちで戸籍を集めて話し合いをまとめたのに、後から想定していなかった相続人が発覚し、すべてが白紙になってしまう」という事態は、よく発生するトラブルです。

とくに「相続登記を長年放置している」「亡くなった人に離婚歴がある」などの状態は、相続手続きをする人が全相続人を把握できていないケースがあります。

そのなかで「他に相続人はいないと思う」と相続手続きを進めてしまい後から発覚すると、下記の事例のように遺産分割協議をやり直すことになるのです。

【想定していなかった相続人が出てきた例】

「相続人は自分たちだけだ」と思い込んで遺産分割協議書を作り、親族全員から実印をもらいました。

しかし、名義変更のために法務局に出向いた段階で「戸籍を読み解くと、〇〇さんという相続人が漏れていますよ」と指摘されました。

法律上、相続人が1人でも欠けた状態で行われた遺産分割協議は無効です。せっかく苦労してまとめた話し合いはすべて白紙になってしまいます。

結果的に、見ず知らずの想定外の相続人を探し出して一から事情を説明し、他の親族には「もう一度最初から話し合いをする」とお願いして回ることになりました。

このように、相続手続きを進める人が戸籍集めと相続人の確定の段階で自己判断すると、後から想定外の相続人が判明して後悔することになります。

専門家に依頼すれば職務上請求書(一定の資格者が職務上必要な場合に戸籍謄本や住民票などを取得するために使用する請求書)を使い、一般の人では取得が難しい戸籍も含めて確認し、相続人が漏れることが防げるようになります。

5-2 安易に共有名義にすると将来不動産が凍結する可能性がある

2つ目は、安易に共有名義にすると、将来不動産が凍結する可能性があることです。

「誰が相続するか話し合うのが面倒だから」「平等に分けたいから」と、とりあえず兄弟や親子で平等に「共有名義」にして登記を済ませると、将来共有名義の誰かが認知症や行方不明になると不動産が凍結する原因になります。

なぜなら共有名義の不動産は、売却や貸し出し、大規模な修繕時に共有者全員の合意が絶対に必要になるからです。実際に下記のように、不動産を共有名義にしたことで、凍結してしまった例もあります。

【親と子の共有名義にしてその後母が認知症になった例】

実家を父と母の共有名義で所有していました。父が亡くなり「とりあえず父の持ち分は長男に相続しよう」と決定し、母と長男の共有名義にしました。

しかしその後、母が高齢になり認知症を発症し、判断能力を失ってしまいました。共有名義の不動産を売却するには、共有者全員の合意が必要です。

結果として、長男が「誰も住まなくなった実家を売却して、母の介護施設の費用に充てたい」と考えても、不動産を売ることも貸すこともできない状態に陥ってしまいました。

このように、目先の相続手続きで「何となく共有名義にしておこう」と安易に判断してしまうと、将来大切な資産である不動産をどうすることもできなくなります。

だからこそ、相続手続きを進める段階で将来を見据えて

  • 不動産の売却を見越して名義を一本化する
  • 高齢になる将来に備えて家族信託を結び、財産の管理や処分の権限を託しておく

など、ご家族の思いや考えに沿った対策が必要です。

5-3 二次相続の税負担が重くのしかかる可能性がある

目の前の不動産の相続手続きだけに注視して節税対策をすると、二次相続のときに税負担が重くのしかかる可能性があります。

よくあるトラブルは、配偶者に相続を寄せるパターンです。配偶者が遺産を相続すると「配偶者の税額軽減」という特例により、「1億6,000万円」か「配偶者の法定相続分相当額」のどちらか多い金額まで、配偶者の相続税が無税になるからです。

しかし、相続する不動産によっては他の特例を活用したほうが、将来のしかかる税負担を抑えられる可能性があります。

【二次相続の負担が大きくなった事例】

父が亡くなったときに配偶者の税額軽減を使えば1億6,000万円まで無税になり、申告も楽だからと、とりあえず母にすべての財産を相続しました。

目先の税金はゼロになりますが、数年後に母が亡くなったときに、相続人が1人減るため相続税の基礎控除額が下がります。

その結果、控除枠からはみ出た金額に対して相続税が課せられ、残された子供たちが自腹で税金を支払う羽目になってしまいました。

例えば、7,000万円の物件を一次相続で配偶者がすべて相続した場合、二次相続では課税遺産総額が約3,400万円となります。

一次相続で子供にも相続していた場合と比べて、相続税が約320万円高くなる試算になります。

相続のパターン配偶者に寄せた場合配偶者に寄せなかった場合
一次相続
  • 配偶者:7,000万円全部相続
  • 子供(1人):0円

→税額は約0万円

  • 配偶者:3,500万円
  • 子供(1人):3,500万円

→税額は約160万円

二次相続
  • 課税遺産総額:約3,400万円

→税額は約480万円

  • 課税遺産総額:0万円

→税額は0円

※特例などを除きあくまでも一例として試算

このような事態を避けるには今行っている相続手続きだけを考えるのではなく、二次相続を踏まえたシミュレーションが必要です。

「次の相続ではどれくらい相続税がかかりそうか」「今の相続ではどのような対策ができるのか」などを踏まえて、考えるようにしましょう。


6章 グリーングループは相続手続き・税務・不動産の3つの視点でご家族が納得できる相続手続きを実現します

ここまで、不動産の相続手続きをするステップや注意点をまとめて解説しました。

相続登記は一度完了してしまうと簡単にやり直せないからこそ、相続登記を進めるタイミングで私たちグリーングループにご相談ください。

グリーングループは相続に特化した専門家集団です。相続に関する相談件数が累計55,193件(2025年10月末現在)にのぼり、多くの実績、ノウハウがあります。

それだけでなく、行政書士と司法書士、税理士の3士業が連携している点も特徴です。グループ内に不動産会社も内包しており、グループ内で相続登記のあらゆる問題を解決できる体制が整っています。

実際に下記のように、複雑な相続手続きを期日までに終わらせた事例もあります。

税理士と連携し10ヶ月で相続税申告を完了させた事例

ご依頼主様は当初自分で相続手続きを進めようと考えていました。相続財産には不動産のほか、複数の金融機関の預貯金や証券が含まれており、手続きの煩雑さが予想される状況でした。

また、亡くなった母が生前に生前贈与や相続時精算課税制度を利用していたことが判明。

過去の贈与が相続税申告にどのように影響するのかなど判断が非常に難しく、グリーングループにご相談いただきました。

<グリーングループだからこそできたこと>

  • 相続専門の税理士と連携して、相続と相続税申告の両面から手続きの全体像を設計した
  • 過去の複雑な贈与歴を正確に整理し、約10ヶ月で相続手続きの全てを完了させた
  • 不慣れな手続きに関する不安を解消し、ご家族にご納得いただける形で相続ができた

「なぜこの手続きが必要なのか」をしっかりと説明しながら1つずつ進めたことで、複雑な相続登記を納得できる形で完了できました。

▼この事例は下記で詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください

複雑な生前贈与歴や証券手続きも…。税理士と連携し10ヶ月で相続税申告を完了させた事例

「このまま相続手続きを進めてもいいのかな」「本当に自分の判断で大丈夫なのかな」など、不安をそのままにしないで、まずはそのお気持ちをお聞かせください。


まとめ

本記事では、不動産の相続手続きのステップや注意点をまとめて解説しました。最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。

〇不動産の相続手続きをするステップは下記のとおり

相続手続き全体の流れ主にやること
ステップ1:遺言の有無を調べる
  • 遺言があるかどうかを確認する
  • 遺言が見つかった場合は勝手に開封しない
ステップ2:不動産の情報を集める
  • 亡くなった人がどのような不動産を所有していたのか確認する
  • 不動産によっては管理状態、ローンの有無も確認する
ステップ3:戸籍謄本を収集して全相続人を明確にする
  • 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集め、誰が法的な相続人なのかを確認する
ステップ4:相続人全員で遺産分割協議を行う
  • 相続人全員で遺産分割協議を行い「誰が不動産を相続するのか」を確定する
ステップ5:相続手続きに必要な書類をまとめる
  • 不動産を相続登記するために必要な書類を集める
ステップ6:法務局で登記申請する
  • 法務局で登記申請をして、不動産の名義を相続人に変更する

〇不動産の種類別の相続手続きの注意点は下記のとおり

不動産の種類概要
アパート(収益物件)家賃収入などのプラスの財産だけでなく負債を引き継ぐことに注意する
農地農業委員会への届出や筆数の調査など特有の作業が発生する
山林相続後の管理責任や出口戦略を理解した対策が必要になる
マンション権利関係や団信の手続きなどを漏れなく行う必要がある

〇自分で相続手続きをするときに起こりがちなトラブルは下記のとおり

  • 想定していなかった相続人が出てきて再度遺産分割が必要になる
  • 安易に共有名義にすると将来不動産が凍結する可能性がある
  • 二次相続の税負担が重くのしかかる可能性がある

不動産の相続登記は限られた時間のなかで、必要な手続きをミスなく進めなければなりません。

「相続税が大きな負担になった」「相続後にトラブルが起きた」など、将来困らないためにも、相続手続きを始める段階から専門家と二人三脚で進めるようにしましょう。

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