相続放棄後にしてはいけないことは?認められる行為とは?

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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 5
 この記事でわかること

  • 相続放棄後にしてはいけないことは何か
  • 遺産の処分として認められる可能性がある行為の例は何か
  • 相続放棄後に行っても大丈夫な行為は何か

相続放棄とは、故人の遺産を一切相続しなくなる手続きです。
相続放棄をすれば、故人の借金を返済しなくてすむ一方で、故人の遺産を使用、処分すると相続放棄が認められなくなるのでご注意ください。

遺産の使用、処分にあたる行為は故人の預貯金の引き出しや車、自宅の処分など多岐にわたるので注意しなければなりません。
相続放棄をするときには、相続手続きや遺品整理などの進め方も複雑になるので、相続放棄に詳しい司法書士や弁護士に相談して手続きを進めましょう。

本記事では、相続放棄後にしてはいけないことは何か、反対にしても問題ない行為は何かを解説します。
相続放棄については、下記の記事で詳しく紹介しているので、合わせてお読みください。

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1章 相続放棄後にしてはいけないことは?

相続放棄の前後では、遺産の使用・処分をしてはいけないと法律で決められています。
遺産を使用、処分してしまうと「相続する意思がある」と判断され、相続放棄が認められなくなる恐れがあるのでご注意ください。

遺産の使用、処分は故人の遺品整理や自宅の片付けなども該当する恐れがあるので注意しなければなりません。
次の章では、故人の財産の処分として認められる可能性がある行為について、詳しく見ていきましょう。

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2章 財産の処分として認められる可能性がある行為の例

故人の財産を使用、処分したと判断される行為は、遺産を使用するだけでなく賃貸契約の解除や遺品整理、形見分けなど多岐にわたるので注意しなければなりません。
具体的には、下記の行為は遺産の使用、処分にあたる可能性があります。

  • 故人の預貯金を引き出す
  • 故人の実家を解体・売却する
  • 故人が結んでいた賃貸契約を解約する
  • 遺品整理をする
  • 故人の車を処分する
  • 遺産から故人の借金を払う
  • 故人の入院費を払う
  • 故人の携帯電話を解約する

上記のように「これくらいなら大丈夫だろう」「大家さんから言われたから自宅の片付け、遺品整理をした」と軽く行った行為でも相続放棄が認められなくなる恐れがあります。
相続放棄が認められないといった最悪の事態を防ぐためにも、相続放棄をする際には司法書士や弁護士に相談し、死後の様々な手続きの進め方について専門家に相談することをおすすめします。

2-1 故人の預貯金を引き出す

故人名義の預貯金を引き出す行為、引き出したお金を使用する行為は、遺産の使用・処分に該当するのでご注意ください。

ただし、故人の預貯金を引き出し葬儀費用に充てた場合は、遺産の使用・処分にあたらず相続放棄が認められる可能性があります。
とはいえ、自己判断で故人の預貯金を引き出す、口座を解約するのは非常にリスクが高いので、絶対にやめましょう。

2-2 故人の実家を解体・売却する

故人の実家を解体、売却してしまうと、遺産の使用・処分にあたり、相続放棄が認められなくなる恐れがあります。

ただし、相続放棄時点で相続人が相続財産を実際に占有していた場合は、相続放棄後も遺産の管理義務が残り、実家の解体費用を相続人が負担しなければならない恐れがあります。
相続放棄した後の遺産の管理義務について判断がつかない場合、実家の建物が老朽化しておりトラブルになりそうな場合は、まずは司法書士や弁護士に相談してみるのが良いでしょう。

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2-3 故人が結んでいた賃貸契約を解約する

故人が生前結んでいた賃貸契約を解除する行為も、遺産の使用・処分にあたる恐れがあるのでご注意ください。
また、大家さんや管理会社から未払いの家賃を支払うよう言われたとしても、故人の遺産から支払うのは絶対にやめましょう。

大家さんや管理会社から賃貸契約の解除、未払家賃についての対応を求められた場合は「相続放棄する予定である」と伝えるだけに留めておくことをおすすめします。
相続放棄に精通した司法書士や弁護士であれば、債権者や利害関係者への対応もアドバイスできるので、お気軽にご相談ください。

2-4 遺品整理をする

遺品整理も遺産の使用、処分にあたる可能性があるのでご注意ください。
というのも、遺品の中に資産価値が高いものがあり形見分けで引き取った場合、遺産の処分に該当してしまうからです。

とはいえ、大家さんや管理会社から「故人が使用していた部屋を片付けてほしい」と言われる場合もあるでしょう。
相続放棄前後の遺品整理については、ケースバイケースの部分も大きいので、まずは相続放棄に詳しい司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。

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2-5 故人の車を処分する

相続放棄後は、故人の車を使用することや処分することもしてはいけません。
故人が所有していた車も相続財産に含まれるからです。

相続放棄後に故人の車を処分したい場合は、他の相続人に処分を任せましょう。
相続人全員が相続放棄している場合は、車の資産価値や所有者、自動車ローン・自動車税の支払い方法に応じて適切な方法で処分しなければなりません。

自己判断で処分していまい相続放棄が認められなくならないように、ご注意ください。

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2-6 遺産から故人の借金を払う

遺産から故人名義の借金を払うことも絶対にやめましょう。
債権者が「遺産から少しでも良いので払ってください」と言ったとしても、絶対に応じてはいけません。

なお、相続放棄の前後に債権者から故人の借金を返済するように言われても「相続放棄を予定している」と回答するだけで良く、返済する必要はありません。
遺産ではなく自分の資産から借金を返済する行為は認められていますが、相続放棄後も返済分を取り戻すことはできないのでご注意ください。

2-7 故人の入院費を払う

相続放棄をする場合は、故人の入院費を払うのもやめましょう。
遺産から入院費用を払ってしまうと、遺産の使用・処分に該当してしまうからです。

そして、相続放棄をすれば借金だけでなく、故人の入院費も払う義務がなくなります。

ただし、故人の配偶者は「日常家事債務の連帯責任」と呼ばれる制度があるため、相続放棄をしても入院費用を払わなければならない恐れがあります。
また、故人が入院する際に保証人になっていた場合は、相続放棄をしても入院費を払わなければならないことも理解しておきましょう。

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2-8 故人の携帯電話を解約する

相続放棄の前後では、故人の携帯電話を使用する、勝手に解約することもやめておきましょう。
最新型のスマホなどは資産価値が高く、使用・解約すると遺産の使用・処分に該当する恐れがあるからです。

故人が契約している携帯電話会社から端末の分割払いや電話料金の未払いについて請求された場合は他の未払費用や借金同様に「相続放棄をするので払わない」と説明するだけで問題ありません。

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3章 相続放棄後に行っても大丈夫な行為

相続放棄をする際には、遺産の使用・処分にあたる行為を行ってはいけない一方で、葬儀費用の支払いやお墓・仏壇の購入は認められています。
相続放棄後に行っても良い行為は、主に下記の通りです。

  • 葬儀費用の支払い
  • お墓や仏壇の購入
  • 遺産の保存行為
  • 資産価値のない遺産の形見分け

ただし、これらの行為についても葬儀費用の金額や遺品の内容によっては、問題となる可能性があります。
ケースバイケースで判断される部分も多いので、自己判断で行動せず、相続放棄に精通した司法書士や弁護士に相談しながら進めていくのが安心です。

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 葬儀費用の支払い

相続放棄をした相続人が、故人の葬儀費用を支払うことは何の問題もありません。
加えて、常識的な範囲内の葬儀であれば、遺産から葬儀費用を支払うことも認められています。

ただし、あまりにも華美な葬儀を行い費用を遺産から支払うと、遺産の使用・処分と判断される可能性もあります。
ケースバイケースとなってくるので、不安な場合は一度、司法書士や弁護士に相談してみるのが良いでしょう。

3-2 お墓や仏壇の購入

葬儀費用だけでなく、お墓や仏壇の購入費用も遺産から支払って問題ないとされています。
ただしこちらについても、身分不相応なお墓や仏壇を購入してしまうと、遺産の使用・処分にあたるのでご注意ください。

例えば、純金製の仏壇などを購入してしまうと、相続放棄が認められなくなる可能性が高いです。
また、お墓や仏壇の購入費用を遺産から支払う場合は、必ず領収書などを保管しておきましょう。

3-3 遺産の保存行為

相続放棄をする場合でも、遺産の保存行為は認められています。
保存行為とは、遺産の価値を保存・維持するための行為であり、自宅の補修工事などが該当します。

ただし、令和5年の民法改正により相続放棄後の遺産の管理義務については、相続放棄時点で相続財産を実際に占有していた相続人のみが義務を負うと明記されるようになりました。
したがって、相続放棄後に遺産の管理義務を負わない場合は、そもそも保存行為を行う必要もありません。

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3-4 資産価値のない遺産の形見分け

相続放棄前後に、故人が写っている写真や生前の手紙など資産価値のない遺産を形見分けでもらうことは認められています。
一方、貴金属や自動車、骨董品など資産価値が高いものを形見分けでもらってしまうと、遺産を受け取ったとして相続放棄が認められなくなる可能性が高いです。

遺品整理や形見分けをする際には、どの品物なら受け取っても良いか、司法書士や弁護士に相談しておくと安心です。


4章 相続放棄を司法書士・弁護士に依頼するメリット

相続放棄を司法書士や弁護士に依頼すれば、手続きを代行してもらえるだけでなく、相続放棄の前後で発生する様々な手続きや行為の進め方を相談できます。
結果として、相続放棄が認められないリスクを減らせるので、相続放棄を検討している段階で一度専門家に相談することをおすすめします。

相続放棄を司法書士・弁護士に相談、依頼するメリットは、下記の通りです。

  • 相続放棄前後の様々な手続き・行為の進め方を相談できる
  • 相続放棄の手続きを代行してもらえる
  • 相続放棄を含めたあらゆる解決方法を検討してもらえる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

4-1 相続放棄前後の様々な手続き・行為の進め方を相談できる

相続放棄をするにあたり、してはいけない行為・慎重に判断しなければならない行為がたくさんあると本記事でも解説してきました。
相続放棄を司法書士や弁護士に相談すれば、手続きそのものについての相談だけでなく、こういった様々な手続きや行為についても相談可能です。

  • 自宅の片付けはどのように進めればいいか
  • 故人の思い出の品を形見分けとしてもらってよいのか
  • 葬儀費用は誰が払えばいいのか
  • 葬儀費用を遺産から払う場合、どれくらいの規模の葬儀なら認められるか
  • 債権者や大家さん、管理会社から来る連絡にはどのように対応すべきか

こういった些細な疑問もすべて相談できるので、安心して故人が亡くなった後の手続きや相続放棄の手続きを進められるはずです。

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4-2 相続放棄の手続きを代行してもらえる

司法書士や弁護士に相続放棄を相談、依頼すれば、申立て手続きや必要書類の収集を代行してもらえます。
場合によっては、故人の相続財産調査まで行ってもらえます。

相続放棄の申立ては家庭裁判所で行う必要があり、平日日中に手続きをしなければなりません。
仕事や家事、育児が忙しい人は相続放棄を司法書士・弁護士に依頼しても良いでしょう。

4-3 相続放棄を含めたあらゆる解決方法を検討してもらえる

相続放棄に精通した司法書士や弁護士であれば、故人の借金や相続についてあらゆる解決方法を提案してもらえます。
故人が借金を遺している場合、相続放棄だけでなく限定承認も可能ですし、単純に遺産を相続したくないだけであれば相続分の放棄でも対処できるからです。

また、相続人が故人の借金の保証人・連帯保証人になっていた場合、相続放棄をしても解決できないので債務整理も検討する必要があります。
借金問題や相続について熟知した司法書士、弁護士であれば、個々の状況に合った解決方法を提案可能です。

相続放棄を検討中の方へ。実績がある、経験がある。だから確実でスピーディー。

まとめ

相続放棄の前だけでなく手続きが完了した後も、遺産の使用・処分をすることは認められていません。
故人の預貯金を引き出す行為や実家の解体、売却は遺産の使用・処分にあたるのでご注意ください。

一方、相続放棄をしても遺産から葬儀費用やお墓、仏壇の購入費用を払うことは問題ありません。
他にも、資産価値のない遺産の形見分けであれば相続放棄後も認められる可能性があります。

ただし、相続放棄前後の行為はケースバイケースで判断されるため、自己判断せず、相続放棄に精通した司法書士や弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。

グリーン司法書士法人では、相続放棄についての相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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