亡くなった人の入院費は誰が払う?払うと相続放棄できない?

亡くなった人の入院費は誰が払う?払うと相続放棄できない?
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 4

亡くなる前後に病院で入院するケースは多く、相続発生前後に入院費などの医療費がかかることも多いです。
亡くなった人にかかった入院費は支払った人物によって税金の取り扱いが変わります。

例えば、亡くなった人が生前支払った入院費に関しては、故人の準確定申告で医療費控除を行えます。
一方で、相続人が亡くなった人の入院費を支払った場合は、相続税の計算時に入院費を債務控除可能です。

また、終末期医療や緩和ケアにかかる費用に関しては、自己負担額の上限額が設定されています。
したがって、あらかじめ決まった額を超えて亡くなった人の医療費を請求される可能性は低いでしょう。

本記事では、亡くなった人の入院費の取り扱いや相続放棄時の入院費の支払いについて解説します。

家族が亡くなったときは入院費の支払いのほかに様々な手続きが必要です。
下記の記事で相続手続きの流れを解説しているのでご参考にしてください。

【保存版】相続手続きでやるべきことまとめ!必要書類や期限も紹介

1章 亡くなった人の入院費・医療費はいくらになる?

自宅ではなく病院や施設などで亡くなる人の割合は増え続けており、平成14年には医療機関で死亡する人の割合が8割を超えています。
そのため、家族や親族が亡くなったときに入院費や医療費の支払いをするのは珍しいことではありません。

ただし、亡くなった人の入院費や医療費が莫大になるケースは少ないのでご安心ください。

医療費に関しては70歳以上の人は、自己負担額の上限額が57,600円です。
また、75歳以上の後期高齢者医療制度を利用している人は世帯所得に応じて自己負担が1~3割に設定されています。

なお、緩和ケア病棟の入院費に関しても、下記のように一律で費用が設定されています。

入院日数入院費用
30日以内1日あたり48,260円から50,510円
31日以上60日以内1日あたり43,700円から45,140円
61日以上1日あたり33,000円から33,500円

なお、上記に対して健康保険や高額療養費制度を利用できるため、自己負担額はさらに軽減されます。
そのため、亡くなった人の入院費や医療費が100万円以上になってしまうケースは、基本的に考えなくて良いでしょう。

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2章 亡くなった人の入院費の取扱い

亡くなった人にかかった入院費は実際に支払った人物が誰かどうかで税金の取り扱いが変わって来ます。
亡くなった人が入院費を支払った場合と相続人が入院費を支払った場合の取り扱いを見ていきましょう。

2-1 亡くなった人が入院費を負担した場合

亡くなった人が入院費を生前のうちに支払った場合、支払った入院費は準確定申告で医療費控除の対象となります。

準確定申告とは、亡くなった人の確定申告を相続人がかわりに行うことです。
準確定申告で医療費控除を行えば、亡くなった人が払い過ぎた所得税を還付金として受け取れます。

ただし、準確定申告の期限は相続発生から4ヶ月以内なのでご注意ください。

準確定申告と確定申告の違いは?手続き期限と申告書の書き方を解説!

2-2 相続人が入院費を負担した場合

亡くなった人と生計を一にしていた相続人が故人の入院費を支払った場合、相続人が確定申告で亡くなった人の入院費を医療費控除できます。
医療費控除は支払った本人の医療費だけでなく、生計を一にしていた人のために支払った医療費も対象となるからです。

相続人と亡くなった人が同居をしていなく生計を一にしていなかった場合は医療費控除は行えませんので、ご注意ください。

また、亡くなった人の入院費を相続人が支払った場合、相続税の計算時に入院費を債務控除できます。
債務控除で相続税の負担を減らすために支払った際の領収書や請求書は大切に保管しておきましょう。

亡くなった人の医療費控除は誰がする?医療費を払った時期別に解説

2-3 相続放棄をした場合は亡くなった人の入院費用を支払う必要はない

亡くなった人の入院費も債務に含まれ、相続放棄をした場合は亡くなった人の入院費用を払う必要はありません。
相続放棄をするのであれば、病院から入院費用の支払いを請求されても「相続放棄する意思がある」と伝えるだけで問題ありません。

ただし、入院時に保証人になった人や亡くなった人の配偶者は、相続放棄したとしても亡くなった人の入院費を支払わなければならない場合があるのでご注意ください。


3章 亡くなった人の入院費を相続人が払うと相続放棄できない恐れがある

亡くなった人の入院費は相続発生後に相続人が払うことが多いですが、支払い方法によっては相続放棄が認められなくなるのでご注意ください。

亡くなった人の入院費と相続放棄の取り扱いを紹介します。

3-1 遺産から支払うと相続放棄できなくなる

亡くなった人にかかった入院費であっても、相続発生後に遺産から入院費を支払うと相続放棄できなくなってしまいます。
遺産から入院費を支払うことは、相続財産の処分にあたるからです。

相続人が遺産を勝手に受け取る、処分すると「相続する意思がある」と判断され、相続放棄が認められなくなってしまいます。

また相続放棄した場合、借金などのマイナスの財産を相続しなくてすむので亡くなった人の入院費の支払義務もなくなります。
亡くなった人が多額の借金を遺していて相続放棄を検討しているのであれば、入院費の支払いに安易に応じないようにしましょう。

相続放棄を検討中の方必見!事例を交えて単純承認を詳しく解説します

3-2 相続人の財産から支払う分には問題ない

亡くなった人が長期入院していてお世話になっていたなどの理由で、相続放棄するが入院費を払いたいのであれば、遺産からではなく相続人の財産で入院費を払いましょう。

しかし、亡くなった人の借金のひとつである入院費を肩代わりして支払う行為は相続放棄が認められない原因にならないか、と心配する人もいるのではないでしょうか。
過去の判例では相続人固有の財産から支払った場合、法定単純承認に該当せず相続放棄は認められるとされています。

ただ、どうしても入院費を払いたいのであれば、自己判断するのではなく相続放棄に詳しい司法書士や弁護士に相談してから支払うのがおすすめです。
また相続放棄した場合、法的には相続人が亡くなった人の入院費を支払う義務がないことも理解しておきましょう。


4章 亡くなった人の入院費の支払いに関する注意点

相続放棄すれば亡くなった人の入院費を支払わずにすみますが、入院の保証人になった人や配偶者は相続放棄後も支払い義務が残ります。
亡くなった人の入院費を支払う際には、下記の3点に注意しましょう。

  1. 相続放棄しても入院費を払わなければならないケースもある
  2. 高額療養費制度の還付金を受け取った場合はそのままにしておく
  3. 病院側から入院費の支払いを求められたら専門家に相談する

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 相続放棄しても入院費を払わなければならないケースもある

相続放棄をすれば、亡くなった人の入院費の支払い義務がなくなりますが、下記に該当する人は入院費を支払わなければなりません。

  • 入院時に保証人になった人
  • 亡くなった人の配偶者

上記の人物は相続放棄をしても、本人に入院費の支払い義務が残るからです。

身元保証人は患者本人(故人)が入院費を支払えない場合、入院費を支払う義務を負います。
そのため、相続放棄をしても保証人として入院費を支払う義務が残ります。

配偶者が亡くなったときには、日常家事債務の連帯責任があるため入院費など日常生活でかかる費用を連帯で負担しなければなりません。
ただし、高額な個室費用など日常家事債務を超えると判断される部分に関しては、支払い義務を負わない可能性があります。

配偶者が亡くなったときの入院費の支払いが難しい場合は、相続や借金問題に詳しい司法書士や弁護士に相談してみましょう。

4-2 高額療養費制度の還付金を受け取った場合はそのままにしておく

亡くなった人が支払った医療費が一定額を超えていて、高額療養費制度の還付金を受け取ったときは勝手に使用しないようにしましょう。
高額療養費の還付金は医療費がかかった本人ではなく、下記の人物に支払われます。

加入している健康保険支払われる人
国民健康保険・後期高齢者医療制度世帯主
勤務先の健康保険被保険者

亡くなった人が上記の人物に該当する場合、受け取った高額療養費の還付金は相続財産に含まれます。
相続人が受け取り勝手に使用してしまうと「相続する意思がある」と判断され、相続放棄が認められなくなるのでご注意ください。

一方で、亡くなった人と相続人が同一世帯であり相続人が世帯主だった場合は、高額療養費の還付金は相続人に支払われ受け取っても相続放棄に影響は出ません。

4-3 病院側から入院費の支払いを求められたら専門家に相談する

相続放棄を検討しているときに、病院側から亡くなった人の医療費の支払いを求められた場合、自己判断せずに相続放棄に詳しい司法書士や弁護士に相談しましょう。
専門家に相談するメリットは、下記の通りです。

  • 法定単純承認にあたらないように、入院費の支払いについてアドバイスをもらえる
  • 相続財産調査や相続放棄の申立てを行なってもらえる

専門家に依頼すれば、裁判所に相続放棄を認めてもらうための対処法を教えてもらえます。
また、相続財産の調査を行ってもらえば、プラスの相続財産とマイナスの相続財産のどちらが大きいかも判明し相続放棄すべきかの決断もしやすくなります。

司法書士に相続放棄を依頼するメリット|弁護士との違いとは?

まとめ

亡くなった人にかかった入院費は準確定申告や確定申告で医療費控除を行えます。
準確定申告で医療費控除をする場合は、相続発生前に亡くなった人が入院費を支払っていなければなりません。
また、相続人が確定申告で医療費控除をするのであれば、亡くなった人と相続人が生計を一にしている必要があります。

また、亡くなった人の入院費を遺産から支払ってしまうと、相続放棄が認められなくなってしまうのでご注意ください。
相続放棄を検討しているときに病院側から亡くなった人の入院費の支払いを求められた場合、相続放棄に詳しい司法書士や弁護士に相談するのがおすすめです。

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よくあるご質問

相続放棄をしたいときにしてはいけないことは何?

亡くなった人の遺産を処分すると相続放棄できなくなる恐れがあります。
したがって、相続放棄をする場合は遺産から故人の入院費や医療費を支払うことはやめましょう。

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