相続放棄の手続き費用の内訳と相場|費用が高くなるケースとは

相続放棄の手続き費用の内訳と相場|費用が高くなるケースとは
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 5
 この記事を読んでわかること

  • 相続放棄の手続き費用の内訳と相場
  • 相続放棄の費用が高額になるケース

相続放棄とは、亡くなった人のプラスの財産もマイナスの財産も一切相続しなくなる手続きです。
亡くなった人が多額の借金を遺していた場合などは、相続放棄を検討した方が良いこともあるでしょう。

相続放棄をする際には、家庭裁判所で手続きをする必要があり、手数料や書類の収集費用、司法書士・弁護士に依頼した際の報酬などがかかります。

相続放棄の手続きにかかる費用相場は、数千円から数万円程度です。
ただし、上記はあくまで目安であり、相続放棄の期限を過ぎてから申立てを行う場合や相続財産清算人の選任が必要な場合は、さらに費用がかかる場合もあります。

本記事では、相続放棄の手続きにかかる費用の内訳と相場、費用が高額になってしまうケースを解説します。
相続放棄については、下記の記事で詳しく解説しているので、合わせてお読みください。

相続放棄って難しい?手続きの流れとポイントを徹底解説!【初心者向け】

1章 相続放棄の手続き費用の内訳と相場

相続放棄の手続き時にかかる費用の内訳と相場は、下記の通りです。

費用の内訳相場
手数料(印紙代)800円分
連絡用の郵便切手代数百円から数千円程度
書類収集費用数千円程度
司法書士・弁護士に支払う費用数万~数十万円程度

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1-1 手数料(印紙代)

相続放棄の手続きをする際には、手数料として収入印紙800円分を用意しなければなりません。
なお、手数料は亡くなった人1人に対して800円分用意すれば良いわけではなく、相続放棄をする人1人に対して800円必要です。

複数の相続人が相続放棄する場合、人数分の手数料がかかるのでご注意ください。

1-2 連絡用の郵便切手代

手続き時には手数料の他に、家庭裁判所から郵便物を送るための郵便切手代を用意する必要があります。
管轄する家庭裁判所によって郵便切手代は異なるので、事前に確認しておきましょう。

例えば、大阪家庭裁判所の場合は、80円切手5枚と10円切手5枚(合計470円分)の郵便切手を用意する必要があります。

1-3 書類収集費用

相続放棄の手続きをする際には、亡くなった人と申立人の関係を証明する戸籍謄本類を用意しなければなりません。
相続人別の必要書類は、それぞれ下記の通りです。

相続放棄の必要書類チェックリスト

戸籍謄本類は本籍地のある市区町村役場で取得する必要があり、種類ごとに下記の費用がかかります。

  • 戸籍謄本:1通につき450円程度
  • 原戸籍謄本:1通につき750円程度

※窓口請求の場合。郵送請求の場合、別途返送費用がかかります

亡くなった人と相続人の血縁関係が遠い場合、必要書類の種類が増え、書類収集費用も数千円程度かかる場合があるのでご注意ください。

相続放棄の手続きに必要な書類と準備方法をチェックリストで解説

1-4 司法書士・弁護士に支払う費用

司法書士や弁護士に相続放棄を依頼した場合、報酬もかかります。
依頼先の事務所や法人によっても異なりますが、相続放棄の手続き代行費用は数万円程度のことが多いですが、3ヶ月の放棄期限が超えているようなケースや債権者対応も含めて依頼したい場合は数十万円になることもあります。

自分で手続きをした方が費用は抑えられるものの、遺産の取り扱いや書類収集時に専門的な知識が必要になってくることも多いので、相続放棄に詳しい専門家に相談することをおすすめします。
相続放棄は、数百万円、数千万円の借金を免れるために行う手続きなので、安心確実に認めてもらえるよう専門家へ依頼する方が多いです。

相続放棄の手続きを司法書士や弁護士に相談するメリットは、本記事の3章で詳しく解説します。

相続放棄を検討中の方へ。実績がある、経験がある。だから確実でスピーディー。

2章 相続放棄の費用が高額になるケース

先ほどの章で解説したように、相続放棄の手続きは収入印紙代や書類収集費用、司法書士・弁護士に支払う報酬などがかかり、合計数千円から数十万円程度かかります。
加えて、相続放棄の申立て期限が過ぎている場合や相続財産調査から専門家に依頼する場合、費用が高額になってしまう場合があります。

相続放棄の費用が高額になるケースは、主に下記の通りです。

  • 相続放棄の期限が過ぎている場合
  • 相続財産調査も依頼する場合
  • 相続財産清算人の申立てが必要な場合
  • 債権者対応を依頼する場合

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1 相続放棄の期限が過ぎている場合

相続放棄の手続きは、自分が相続人であると知ってから3ヶ月以内に行うと期限が設定されています。

相続放棄の期限のスタート地点

期限を過ぎてから相続放棄をしようとした場合、司法書士や弁護士などに「上申書」や「事情説明書」を作成してもらう必要があるため、相続放棄の依頼費用が高額ににりやすいです。

【相続放棄の期限は3ヶ月】延長方法と期限を過ぎたときの対処法

2-2 相続財産調査も依頼する場合

相続放棄の手続きの際に、亡くなった人がどんな財産をどれだけ所有していたか調査する「相続財産調査」を依頼した場合も、費用が高額になりやすいです。
ただし、相続財産調査を正確に行わないと、亡くなった人が借金をしていたかや本当に相続放棄すへきかを判断するのが難しくなります。

そのため、相続放棄すべきか迷っている場合や亡くなった人が借金をしていたかわからない場合は、相続に詳しい司法書士や弁護士に相続財産調査を依頼するのが良いでしょう。

相続財産調査とは?詳しい調査方法や依頼先について簡単解説

2-3 相続財産清算人の申立てが必要な場合

相続財産清算人の申立てが必要な場合も、追加の業務が発生するため、司法書士や弁護士への依頼費用が高額になります。
相続財産清算人とは、亡くなった人の家族や親族などの代わりに相続財産を管理する人物です。

相続放棄をしても相続人に遺産の管理義務が残ってしまう場合は、相続財産清算人を選任して遺品の管理業務を受け継いでもらわなければなりません。
例えば、相続発生時に亡くなった人と同居していた相続人がいる場合、相続放棄時に相続財産清算人の選任が必要な場合もあるので確認しておきましょう。

なお、相続財産清算人を選任するときには、司法書士や弁護士に支払い報酬や申立費用の他に予納金も必要です。
遺産の状況によっては、数十万円から100万円近い予納金が必要な場合もあるのでご注意ください。

相続財産管理人を徹底解説!相続財産管理人の権限を分類してご紹介
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2-4 債権者対応を依頼する場合

すでに取り立てを受けており、債権者に相続放棄したことを伝える必要があるケースでは、司法書士や弁護士に払う報酬が高額になる場合があります。
司法書士や弁護士に依頼すれば、相続放棄が完了した後に賃貸オーナーや消費者金融などへ相続放棄したことの通知を出してもらえます。

相続放棄が完了しても家庭裁判所が債権者に通知を送付することはないので、債権者の請求が続く場合や裁判を起こされそうな場合は、司法書士や弁護士に通知を送付してもらうと良いでしょう。


3章 相続放棄を司法書士・弁護士に依頼するメリット

相続放棄は自分で手続きするだけでなく、司法書士や弁護士に手続きを依頼することも可能です。
専門家に手続きを依頼すれば、戸籍の収集も行ってもらえますし、裁判所から届く照会書・回答書への回答方法も教えてもらえます。

司法書士や弁護士に手続きを依頼するメリットは、主に下記の通りです。

  1. 面倒な戸籍の収集や裁判所提出書類の作成を代行してもらえる
  2. 裁判所からの照会書・回答書への回答方法をアドバイスしてもらえる
  3. 相続放棄の期限(3ヶ月)が過ぎた場合にも対応してもらえる
  4. 相続放棄を含めたあらゆる解決方法を検討してもらえる
  5. 相続放棄時の行動にについてアドバイスをもらえる

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 面倒な戸籍の収集や裁判所提出書類の作成を代行してもらえる

相続放棄に詳しい司法書士や弁護士に手続きを依頼すれば、戸籍収集や提出書類の作成を代行してもらえます。
戸籍謄本を取得するには、本籍地のある市区町村役場にて申請する必要があります。

平日日中に仕事をしている人や亡くなった人と疎遠だった場合は、相続放棄の準備を自分でするのが難しいこともあるでしょう。
そのようなケースでは、司法書士や弁護士に依頼して代わりに行ってもらうこともご検討ください。

相続人調査(戸籍収集)とは?詳しい手順から方法まで専門家が簡単解説

3-2 裁判所からの照会書・回答書への回答方法をアドバイスしてもらえる

相続放棄の手続きを司法書士や弁護士に依頼すれば、手続き後に家庭裁判所から照会書・回答書が届いたときにもアドバイスをもらえます。
相続放棄の照会書・回答書とは、相続放棄の手続き後に家庭裁判所が個別に事情を確認するために送付する書類です。

裁判所から到達する照会書

回答内容によっては、相続放棄が認められなくなる恐れもあるので慎重に回答しなければなりません。

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3-3 相続放棄の期限(3ヶ月)が過ぎた場合にも対応してもらえる

相続放棄に強い司法書士や弁護士であれば、万が一、相続放棄の手続き期限を過ぎてしまっていても対応してもらえる可能性があります。
本来期限切れである相続放棄を申し立てるには、上申書や事情説明書を提出しなければなりません。

上申書や事情説明書には、なぜ期限までに相続放棄できなかったのかを理論立てて記載する必要があり、相続放棄について専門的な知識が求められます。
相続人が自分で書くことは現実的ではないため、期限を過ぎてから相続放棄をしたい場合は、司法書士や弁護士に相談することを強くおすすめします。

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3-4 相続放棄を含めたあらゆる解決方法を検討してもらえる

司法書士や弁護士に相談すれば、相続放棄すべきかの判断や相続放棄以外の解決方法も提案してもらえます。
例えば、相続放棄以外にも自己破産や債務整理などで亡くなった人の借金の返済義務を軽くできる場合もあります。

司法書士や弁護士に相談・依頼して相続放棄を含めたあらゆる解決方法を検討してもらえば、自分の希望や状況に合うベストな方法を選択できるはずです。

3-5 相続放棄時の行動にについてアドバイスをもらえる

相続放棄を司法書士や弁護士に依頼すれば、相続放棄を認めてもらうための行動や遺産の取り扱いについてアドバイスをもらえめす。
というのも、遺産を勝手に使用、処分してしまうと相続放棄が認められなくなるため、相続放棄をする際には、遺産の取り扱いについて注意しなければなりません。

相続放棄をするにあたり、下記のように悩まれる遺族は非常に多いです。

  • 葬儀は通常通りの規模で行っていいのか
  • 葬儀費用はどのように支払えば良いのか
  • 亡くなった人の衣服や家財道具はどのように処分すればいいのか
  • 借家の契約について大家さんとどのように話を進めるべきか
  • 借金の請求がしつこく来るが、どのように対応すれば良いのか

司法書士や弁護士に手続きを依頼すれば、こういった細かな悩みについてもアドバイスをもらえます。
遺産の処分や使用にあたる行為をしてしまうことを避けられますし、債権者へも適切に対応できるようになります。

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まとめ

相続放棄の手続きをする際には、数千円から数万円程度の費用がかかります。
費用を抑えるために、相続放棄を自分で行おうと考える人がいるかもしれませんが、あまりおすすめできません。

というのも、相続放棄をする際には、亡くなった人の葬儀や遺品整理、処分について適切に行わなければならないからです。
遺品の処分方法を間違えてしまうと、最悪の場合、相続放棄が認められなくなってしまう恐れもあります。

そのため、相続放棄を検討している段階から相続放棄に精通した司法書士や弁護士に相談して、手続きや死後の事務手続きを進めていくのが良いでしょう。

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