故人が多額の借金を遺して亡くなった場合、遺された家族は相続放棄を検討することも多いでしょう。
相続放棄すれば、プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しなくなるので、故人の借金を返済しなくてすみます。
ただし、相続放棄する際には携帯電話を含む故人の財産を一切処分してはいけません。
携帯電話などの遺産を処分すると「相続する意思がある」と判断され、相続放棄が認められなくなる恐れがあるからです。
故人の携帯電話の解約や未払料金の支払いは自己判断で行わず、相続放棄に詳しい司法書士や弁護士に相談してから行うと安心です。
本記事では、相続放棄をする人向けに故人の携帯電話の取り扱いについて解説します。
相続放棄については、下記の記事で詳しく解説しているのでご参考にしてください。
目次
1章 相続放棄するなら故人の携帯電話の名義変更をしてはいけない
相続放棄を検討している場合、故人が使用していた携帯電話の名義を相続人に変更しない方が安心です。
故人が利用していた携帯電話の名義変更手続きを行うと「相続する意思がある」とみなされ、相続放棄が認められなくなる可能性があるからです。
特に、故人が使用していた携帯電話がほぼ新品のものだった場合や端末代が高額だった場合は、名義変更手続きをするのは避けましょう。
1-1 故人の携帯電話の解約をしても相続放棄できる可能性が高い
故人から相続人への名義変更手続きではなく故人の携帯電話を解約した場合は、単純承認(相続する意思がある)とみなされず、相続放棄が認められる可能性が高いです。
携帯電話に関しては回線契約そのものに資産価値はなく解約しても、相続財産を勝手に処分したとは判断されないからです。
また、携帯電話の解約は相続財産の出費を抑える行為であり、相続財産を処分しているわけではないと考えられます。
ただし、携帯電話の解約後も相続放棄が必ず認められると保証されているわけではありません。
そのため、相続放棄できなくなるリスクを抑えるためにも、相続放棄を検討する人は下記の対処のみをするのがおすすめです。
- 故人が利用していた携帯電話会社に契約者死亡の連絡をする
- 家族は相続放棄すると伝えて放置する
最もリスクが少ない方法は、上記のように解約も名義変更手続きもせず、故人の携帯電話の契約を放置することです。
2章 相続放棄するなら故人の遺産から携帯電話の料金を払ってはいけない
相続放棄を考えている場合、故人が利用していた携帯電話の未払料金に関しても注意が必要です。
故人が利用していた携帯電話会社から請求や料金のお知らせが届いても、故人の遺産から携帯電話料金を払ってはいけません。
遺産から携帯電話の料金を支払うと、遺産を勝手に処分したと判断され、相続放棄が認められなくなってしまいます。
- 携帯電話の契約者は死亡したこと
- 相続人は相続放棄する予定だから支払う必要がない
上記のみを伝えれば、問題ありません。
2-1 相続人の財産から携帯電話料金を支払うのは問題ない
どうしても故人が使用していた携帯電話の未払料金を支払いたいのであれば、遺産ではなく相続人の財産から料金を支払えば問題なく相続放棄を行えます。
しかし、相続放棄するのであれば故人が遺した携帯電話の未払料金含むすべての借金の返済義務がなくなります。
相続人の財産から未払料金を支払うこと自体はできますが、相続放棄するならそもそも相続人は支払い義務がなくなることも考慮しておきましょう。
3章 相続放棄をするときの注意点
相続放棄をする際には、財産の処分方法に細心の注意を払わなければなりません。
また、相続放棄には申立て期限があり、期限を過ぎると相続放棄できなくなってしまうのでご注意ください。
- 相続放棄には「自分が相続人であると知ってから3ヶ月以内」という期限がある
- 故人の携帯電話本体も相続財産として扱われる
- 相続放棄しても死後手続きから解放されるわけではない
相続放棄時には、上記3点に特に注意が必要です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1 相続放棄には「自分が相続人であると知ってから3ヶ月以内」という期限がある
相続放棄には「自分が相続人であると知ってから3ヶ月以内」という期限が設定されています。
期限までに家庭裁判所に申立て手続きを行わないと、相続放棄できなくなるのでご注意ください。
相続財産の調査が間に合わない場合などは、期限の伸長(延長)手続きも認められています。
手続き方法および必要書類は、下記の通りです。
手続きする人 |
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手続き先 | 故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
費用 |
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必要書類 |
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3-2 故人の携帯電話本体も相続財産として扱われる
本記事の1章でも解説しましたが、故人の携帯電話本体も相続財産のひとつであるので、勝手に処分してはいけません。
携帯電話を勝手に処分すると、相続する意思があると判断され相続放棄が認められなくなる恐れがあるからです。
- 携帯電話の解約、名義変更
- 携帯電話やスマホ端末の売却や廃棄
相続放棄するのであれば、上記の行為はリスクがあるので出来るだけ行わない方が良いでしょう。
3-3 相続放棄しても死後手続きから解放されるわけではない
相続放棄をすれば故人の借金を返済する必要はなくなりますが、それ以外の死後の手続きすべてから解放されるわけではありません。
- 相続放棄した家の片付け
- 相続放棄した車の処分
- 故人が加入していた自動車保険の解約手続き
例えば、上記の手続きなどは行わないと大家さんに迷惑がかかる、駐車場代や保険料がかかり続けるなどのデメリットがあります。
しかし、これらの手続きを自己判断で行うと携帯電話の解約同様に「相続する意思がある」とみなされ、相続放棄が認められなくなってしまう場合もあります。
相続放棄をする際には、故人の財産の取り扱いに注意し自己判断で行動するのはやめましょう。
まとめ
故人が借金を遺して亡くなった場合、借金を返さなくてすむように相続放棄も検討しましょう。
相続放棄する際には、故人が使用していた携帯電話を始めすべての相続財産の処分や取り扱いに注意しなければなりません。
相続人が勝手に遺産を処分したと判断されると、相続放棄が認められなくなってしまいます。
このように、相続放棄は申立て手続き以外にも注意すべき点が数多くあるので、自己判断で手続きするのではなく相続放棄に詳しい司法書士や弁護士に相談するのが確実です。
グリーン司法書士法人では、相続放棄に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
相続放棄したら故人の携帯電話料金を払わなくてよい?
相続放棄するのであれば故人が遺した携帯電話の未払料金含むすべての借金の返済義務がなくなります。
▶相続放棄後の携帯電話料金について詳しくはコチラ相続放棄をするときに携帯電話の名義変更をしても良い?
相続放棄を検討している場合、故人が使用していた携帯電話の名義を相続人に変更しない方が安心です。
故人が利用していた携帯電話の名義変更手続きを行うと「相続する意思がある」とみなされ、相続放棄が認められなくなる可能性があるからです。
▶相続放棄後の携帯電話の名義変更・解約について詳しくはコチラ亡くなった親のスマホはどうすればいい?
亡くなった親のスマホは解約手続きをしなければなりません。
ただし、解約してしまうとスマホのデータが見られなくなる恐れがあるので、相続手続きや遺品整理が完了してから解約する方が良いでしょう。