みなし相続財産とは?当てはまるもの一覧と注意点・節税方法を解説!

みなし相続財産とは?当てはまるもの一覧と注意点・節税方法を解説!
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 2

親や配偶者が亡くなったとき、残された遺族に生命保険金や死亡退職金などが残されることがあります。

これらは「みなし相続財産」と呼ばれ、本来的な相続財産としては扱われず、遺産分割の対象にもなりません。そのため、遺産分割しなくとも、指定された受取人が「すべて受け取ることが可能」です。

この「みなし相続財産」があったときに注意すべきは相続税です。

通常、遺産相続をしたら、その額に応じて相続税を支払わなければいけません。

一方で生命保険金や死亡退職金は相続財産ではないので、相続税の対象外かと思う方も多いですが、「生命保険金や死亡退職金(みなし相続財産)」にも相続税はかかります。

この記事では、複雑な取り扱いになっている「みなし相続財産」とは具体的にどんなものか、みなし相続財産における注意点などを解説します。


1章 みなし相続財産とは

そもそも相続財産とは、被相続人が死亡時点で所有していたすべての財産を指します。つまり、被相続人が死亡してから発生する財産については被相続人の死亡時にはなかったものですので「相続財産」ではないと言えます。一方で、死亡後(もしくは死亡と同時)に発生した財産で、相続財産と変わりない財産を「みなし相続財産」と呼びます。「生命保険金」と「死亡退職金」が代表的です。

「みなし相続財産」の特徴は以下の通りです。

  • 遺産分割の対象とならない
  • 相続放棄をしても受け取ることができる
  • 相続税の課税対象となる

生命保険金や死亡退職金のような「みなし相続財産」は、受取人に支払われるものであり、被相続人から相続されるものではないため遺産分割の対象とはなりません。同じ理由で、被相続人の他の相続財産を相続放棄したとしても、受け取ることは可能です。

しかし、相続財産ではないとはいえ、受取人は財産を得ることとなるため、相続財産と同じように相続税がかかります

つまり、簡単に言えば遺産分割の対象外ではあるものの、相続税の課税対象となる財産を「みなし相続財産」と呼ぶのです。

次章にて、生命保険・死亡保険以外のみなし相続財産について解説します。

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2章 みなし相続財産に該当するもの一覧

みなし相続財産は以下のものが該当します。

  • 生命保険金
  • 死亡退職金
  • 3年以内の贈与
  • 弔慰金
  • 定期金
  • 特別縁故者へ遺贈した財産
  • 低額譲受によって得た利益
  • 公益法人から受ける利益

上記のうち、重要なものについて解説します。

2-1 生命保険金

生命保険金は、生命保険を契約していた被相続人が死亡したときに、保険会社から指定された受取人に支払われるものです。そのため、被相続人から受け取った財産とはされません

しかし、被相続人が生前保険料を負担していることから、被相続人の財産が生命保険という形で受取人に承継されたと考え、相続税の課税対象となっています。生命保険の利用により、相続税を節税することを防ぐために規定されています。

 2-2 死亡退職金

死亡退職金は、被相続人が在職中に亡くなった際に会社から支給されるものです。(会社によっては死亡退職金がないこともあります)多くの場合、会社の規定によって優先順位が決められており、相続人間で受取人を決めることはできません

死亡退職金も生命保険と同様に、課税対象となります。こちらは、被相続人が個人事業主だった場合の不正な節税をするのを防ぐために規定されたものです。

2-3 3年以内の贈与

被相続人が亡くなる3年以内に贈与された財産はみなし相続財産として課税対象となります。

これは、死期が迫っている人が相続税を発生させないように、相続人となる人に財産を生前贈与し節税することを防ぐために規定されたものです。


3章 みなし相続財産の非課税限度枠

みなし相続財産には相続税がかかりますが、一定額まで非課税になります。生命保険金と死亡退職金の非課税になる限度額は以下のとおりです。

500万円×法定相続人の数

例えば、夫が亡くなり、死亡退職金は1,000万円、生命保険金は3,000万円、受取人は妻だった場合。

子どもが3人いると法定相続人は妻と子ども3人の計4人となり、生命保険金の非課税限度額は【500万円×4人=2,000万円】となります。生命保険金から2,000万円の非課税分を控除すると残り1,000万円となるので、相続税の課税対象は1,000万円となります。

死亡退職金は【1,000万円-2,000万円=-1,000万円】となるので死亡退職金への相続税の課税はありません。

なお、法定相続人以外が受取人となる場合、この非課税額は適用されないため注意が必要です。


4章 非課税枠を利用して相続税を軽減する方法

みなし相続財産も相続税の対象となりますが、前章で解説したとおり非課税枠が設けられているため、一定額であれば課税されずに受け取ることができます。そのため、生前に財産の一部を使って生命保険に加入することで、受取人は非課税枠を利用して節税することが可能なのです。

すべての財産を現金で相続した場合と一部を生命保険金として受け取った場合でどの程度差があるのか、具体的なケースで見てみましょう。

【例】法定相続人は子供2人であるとして、下記のそれぞれの場合について相続税の総額を計算します。下記以外の遺産はなく、相続税の課税対象から差し引く債務や葬儀費用もなかったものとします。

現金で1億円を均等に相続した場合

この場合、各相続人は現金を5,000万円ずつ受け取ったことになります。そうすると・・・

基礎控除額:3,000万円+600万円×2人=4,200万円

課税遺産総額:現金1億円-基礎控除額4,200万円=5,800万円

各人の課税遺産総額:5.800万円÷2人=2,900万円

1人あたりの税額:2,900万円×15%-50万円=385万円

相続税の総額:385万円×2人=770万円

現金5,000万円を均等に相続し、保険金5,000万円を均等に受け取った場合

この場合、各相続人は現金を2,500万円、保険金を2,500万円ずつ受け取ります。そうすると・・・

保険金非課税枠:500万円×2人=1,000万円

保険金の課税価格:保険金5,000万円-非課税枠1,000万円=4,000万円

基礎控除額:3,000万円+600万円×2人=4,200万円

課税遺産総額:現金5,000万円+保険金4,000万円-基礎控除額4,200万円=4,800万円

各人の課税遺産総額:4,800万円÷2人=2,400万円

1人あたりの税額:2,400万円×15%-50万円=310万円

相続税の総額:310万円×2人=620万円

財産の一部を生命保険に組み替えることで、相続税を合計150万円(770万円-620万円)節税することができます。

なお、ここで出てきた相続税の基礎控除について、詳しくはこちらの記事で解説しています。

相続税の基礎控除を詳細に解説!【事例付きで簡単理解】

5章 みなし相続財産における注意点

ここではみなし相続財産の注意点について解説します。みなし相続財産がある方や、想定される方は以下のことを留意しておきましょう。

5-1 相続放棄をしてもみなし相続財産は課税される

家庭裁判所で相続放棄したとしても、みなし相続財産を受け取ることは可能です。しかし、みなし相続財産も相続税の課税対象にはなるので、相続財産を相続放棄したからといって課税されないということはありません

みなし相続財産を受け取ったら、相続税の課税対象となるので注意しましょう。

5-2 生命保険金は保険料負担者によって税金の種類が異なる

生命保険は、相続税の対象となると解説しましたが、厳密にいうと、保険料の負担者と非保険人、受取人の関係で相続税ではなく違う税金として課税されるケースがあります。種類によっては非課税枠が使用できないことがあるので注意しましょう。

税金の種類は以下のようになります。

【父親が亡くなり、妻と子が相続人のケース】

保険料負担者被保険者保険金の受取人税金の種類
父(被相続人)父(被相続人)妻または子(相続人)相続税
※非課税枠が適用
妻(相続人)父(被相続人)子(相続人)贈与税
妻(相続人)父(被相続人)妻(相続人)所得税

5-3 遺産分割に支障が出ることがある

みなし相続財産は遺産分割の対象にはならないと解説しましたが、それが原因でトラブルになってしまうこともあります。

例えば、長男には家などの固定資産を残し、次男には生命保険金として、それ相応の現金を残して平等に財産を分配しようと考えたとします。しかし、いざ父が亡くなり、遺産分割協議をしたときに、次男は生命保険金を受け取ったとしても、本来的な相続財産を一円も受け取っていないこととなるため、家を含む他の財産について「次男も相続したいと主張することができてしまう」のです。

このように、被相続人の生前の思いが空回りしてしまう可能性もあるので、事前に対策しておく必要があるでしょう。


6章 節税をしたい人・相続トラブルを防止したい人は専門家へ相談しよう

4章でも紹介したとおり、生命保険金とみなし相続財産の非課税枠を利用して相続税を節税することも可能です。しかし、知識が乏しいと結果として逆に税金が増えてしまったり、違法な行為をしてしまったりとリスクが伴います。また、そのような行為が原因で、相続発生後に相続人同士でトラブルとなるケースも少なくありません。

このような残念な結果にならないよう、節税については税理士、相続トラブルの防止策については司法書士や弁護士へ相談しましょう。あなたにとって最善の方法を提案してくれるはずです。

なお、ひとえに専門家といっても得意、不得意があるので、専門家(税理士、司法書士、弁護士)を探すときは必ず「相続関係が得意で相続の経験豊富な専門家」を選ぶようにしましょう。

相続を得意にしている専門家の多くは、相続専門のHPや相続に関するブログや書籍を書いているので、インターネットで検索することも可能です。

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まとめ

生命保険金や死亡保険金などのみなし相続財産は、遺産分割の対象とはなりませんが、相続税の対象となります。また、相続放棄をしても受け取ることができるという特徴もあります。

生命保険金や死亡保険金には一定額の非課税枠があり、その性質を利用して節税対策をすることも可能です。しかし、知識に乏しいと逆効果になってしまったり、相続トラブルに発展してしまうリスクがあるので、ぜひ専門家への相談を検討してください

良い専門家であれば、きっとあなたにとっての最善策を提案してくれるでしょう。

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