認知していない隠し子に相続権はない!認知方法や遺産を譲らない方法

認知していない隠し子に相続権はない!認知方法や遺産を譲らない方法
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司法書士日野 修亮

 監修者:日野 修亮

この記事を読む およそ時間: 5
この記事でわかること

  • 認知していない隠し子に相続権はあるのか
  • 隠し子が認知された場合の取り扱い
  • 隠し子を認知する方法
  • 隠し子に遺産を譲らないようにする方法

相続の場面でしばしば問題となるのが「隠し子」の存在です。
隠し子は、婚姻関係にない男女の間に生まれた子供であり、認知をしていない限り父親の子供として認められません。

隠し子が認知された場合、法律上の配偶者や子供と同様に相続権を持つため、相続トラブルが起きる場合があります。
本記事では、相続における隠し子の取り扱いや隠し子を認知する方法について解説します。


1章 認知していない隠し子に相続権はない

相続においては血縁関係よりも、法律上の関係が重要とされます。
子供は相続順位1位となるものの、これは法律上の親子関係が認められる場合のみです。

そのため、父親が認知していない隠し子は、法律上の親子関係がないとされ、相続人になることはできません。
DNA鑑定などにより、父親と子供に血縁関係があるとわかったとしても、認知手続きをしていない限り相続権は発生しないと理解しておきましょう。

相続権とは?|法定相続人の範囲と相続割合をわかりやすく解説
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2章 隠し子が認知されると嫡出子同様の相続権を持つ

父親が隠し子を認知した場合、その子供は父親の相続人になることができます。
認知により、法律上の親子関係が生じるからです。

相続権や遺留分についての権利も、法律上の夫婦の間に生まれた嫡出子と同様の権利を得られます。


3章 隠し子を認知する方法

隠し子に相続権を持たせるためには、認知手続きをしなければなりません。

認知手続きはいくつかあり、主に下記の方法に分けられます。

  • 任意認知
  • 遺言認知
  • 強制認知

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 任意認知

任意認知とは、父親が自らの意思で子供を認知する手続きであり、市区町村役場に「認知届」を提出することで行います。
ただし、未成年の子を認知する場合には、母親の同意も必要であり、すでに成人している子供の場合は、子供本人の承諾が必要です。

認知が成立すれば、子供は法律上の子となり、相続権や扶養義務などの権利義務が発生します。
手続き方法や必要書類は、以下の通りです。

手続きする人父親
手続き先以下のいずれかの市区町村窓口

  • 父親の本籍地
  • 認知される子の本籍地
  • 届出人の所在地
必要書類
  • 認知届
  • 本人確認書類

3-2 遺言認知

父親が生前に任意認知をしなかった場合でも、「遺言」によって子供を認知することが可能であり、これを「遺言認知」と呼びます。
遺言認知が記載された遺言が有効であれば、父親の死後にその効力が発生し、子供は法的に認知されたものと扱われます。

遺言認知の場合、父親の死亡と同時に子供が相続人としての地位を得るため、遺産分割協議にも参加することとなります。
父親に配偶者や嫡出子がいる場合、相続トラブルが起きることが予想されるため、認知について記載するだけでなく遺産分割方法についても指定しておくと良いでしょう。

3-3 強制認知

父親が任意に認知しない場合には、家庭裁判所に認知調停を申し立て、解決を目指せます。
調停において父親が認知に同意すれば、調停成立となり、法律上の親子関係が認められます。

残念ながら、認知調停が不成立となった場合には、認知請求訴訟へと手続きが移り、家庭裁判所が法律上の親子関係の有無を判断します。
認知請求訴訟を起こす方法は、以下の通りです。

請求できる人
  • 子供本人(成人している場合)
  • 母親(子供が胎児もしくは未成年者の場合)
必要書類
  • 子供と父親の戸籍謄本類
  • 証拠資料(DNA鑑定書や写真、手紙など)

また、父親がすでに死亡している場合には、子供が認知請求を行えます。
死後の強制認知を認めてもらうには、子供の住所地を管轄する裁判所か、父親の最後の住所地を管轄する裁判所にて訴えを起こす必要があります。

死後の強制認知を行う場合にも、父親と子供の親子関係を証明する資料の提出が必要です。

また、死後の強制認知の訴えについては、調停前置主義の例外であるため、いきなり訴訟を起こすことが認められています。


4章 隠し子に遺産を譲らないようにする方法

隠し子を認知しているものの、遺産は配偶者や嫡出子に譲りたいと考える方も珍しくありません。
遺された家族のために財産を残したいと考える方もいますし、先祖代々受け継いできた財産を法律婚の夫婦の間に生まれた嫡出子に継いでほしいと考える方もいるからです。

隠し子に遺産を譲りたくない場合には、以下のような方法で相続対策すると良いでしょう。

  • 遺言書の作成
  • 生前贈与
  • 家族信託

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 遺言書の作成

遺された配偶者や嫡出子に遺産を譲りたいのであれば、元気なうちに遺言書を作成しておきましょう。
遺言書を用意しておけば、自分が希望する人物に希望の財産を受け継いでもらえます。

遺言書にはいくつか種類がありますが、中でも信頼性が高く原本の改ざんや紛失リスクがない公正証書遺言を作成すると良いでしょう。
加えて、相続発生後のトラブルをできるだけ回避したいのであれば、司法書士や弁護士などの専門家を遺言執行者として選任しておくことをおすすめします。

公正証書遺言作成に必要な費用と専門家の報酬をまとめて紹介

4-2 生前贈与

配偶者や嫡出子に特定の財産を渡したい場合には、生前贈与を活用するのも選択肢のひとつです。
生前贈与であれば、贈与者と受贈者の合意によって、希望するタイミングで財産を移転できます。

例えば、自宅不動産は法律上の配偶者や嫡出子に残したいと考える場合には、自分が元気なうちに贈与しておくことも検討しましょう。
ただし、生前贈与を行う際には、以下のような点に注意しなければなりません。

  • 年間110万円を超える贈与には贈与税が課される可能性がある
  • 相続開始前3〜7年以内の贈与は、相続税の対象に含まれる場合がある
  • 贈与を受けていない相続人が反発する恐れがある

相続トラブルを回避するために生前贈与を検討する場合は、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談しながら進めるのが安心です。

生前贈与とは?メリット・デメリットや贈与税の計算方法について

4-3 家族信託

家族信託の基本的な仕組み

家族信託を利用すれば、信頼する家族に財産の管理や運用、処分を任せられます。
家族信託は、遺言書とは異なり「自分が亡くなったときだけ」でなく、その次の相続についても承継先を指定できる点が大きな特徴です。

例えば、自分が亡くなった際に不動産を嫡出子に承継させ、その子が亡くなった後には嫡出子の子供へ引き継がせる、といった二段階の指定も可能です。
先祖代々守ってきた資産を次世代以降に確実に残したい場合や、婚外子の親族に財産が渡るのを避けたいと考える場合には、家族信託を選択肢に入れるとよいでしょう。

ただし、家族信託を適切に設計するには、相続・税務・法律に関する高度な知識が欠かせません。
自己判断で進めるのではなく、司法書士や弁護士など専門家に依頼して設計・手続きを行うことをおすすめします。

家族信託とは|メリット・デメリットや活用事例をわかりやすく解説

まとめ

隠し子であっても、認知されれば嫡出子と同じ相続権を持ち、遺言などを用意しても完全に相続権を排除することはできません。
配偶者や嫡出子に遺産を多く遺したい場合や相続トラブルが起きることを避けたい場合には、遺言書の作成や生前贈与、家族信託などで相続対策をしておくと良いでしょう。

相続対策には、複数の方法があり、資産や家族の状況によって行うべき相続対策が変わってきます。
自分に合った方法を選択したいのであれば、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談するのが良いでしょう。

グリーン司法書士法人では、相続対策についての相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

隠し子がいる場合に起きやすいトラブルは何ですか?

隠し子がいる場合には、相続発生時にトラブルが起きやすくなります。
隠し子が認知されていた場合や、父親の死後に隠し子が認知された場合には、隠し子は他の子供と同じ相続権を持ちます。
関係性の悪い人物や疎遠だった人物同士が相続人となることで、遺産分割協議がまとまらず相続手続きが進まなくなる恐れもあるでしょう。

子供を認知しないでいるとどんなデメリット・リスクがありますか?

認知をしなければ、子供は法的に父親の子として扱われず、相続権や扶養請求権を行使できません。
そのため、子供の生活が安定せず、経済的に困窮する恐れがあります。
また、父親が亡くなった後に子供が死後認知の請求をして、相続トラブルが起きる恐れもゼロではありません。

子供の認知を取り消すことはできますか?

一度成立した認知は、基本的に取り消すことはできません。
ただし、強迫や詐欺、錯誤によって認知が行われた場合には、認知無効の訴えを提起し、認知を取り消せる可能性があります。
子供と血縁関係がないことがわかった場合には、親子関係不存在確認の訴えを起こし、親子関係を解消できる場合もあります。

認知の訴えはいつまですることができますか?

子供本人からの認知請求は、原則として期限は設定されておらず、成人後であっても父親に対して認知を求める調停や訴訟を起こせます。
ただし、死後認知の場合は「子供が父親の死亡を知ってから3年」と期限が設定されているのでご注意ください。

認知していない隠し子に相続権はありますか?

認知されていない隠し子には、法律上の「子」として扱われないため相続権はありません。
ただし、父親の死亡後に家庭裁判所で死後認知が認められれば、嫡出子と同様に相続権を得られます。

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