死因贈与には相続税がかかる!不動産取得税や登録免許税もかかる?

死因贈与には相続税がかかる!不動産取得税や登録免許税もかかる?
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司法書士日野 修亮

 監修者:日野 修亮

この記事を読む およそ時間: 6

【この記事でわかること】

  • 死因贈与とは何か
  • 死因贈与には贈与税・相続税がかかるのか
  • 死因贈与をする際の注意点

死因贈与とは、贈与者が死亡したときに効力が発生する贈与契約です。
死因贈与は贈与契約の一種ではあるものの、贈与者が亡くなったときに効力が発生するため、贈与財産は相続税の課税対象として扱われます。

そのため、受贈者が贈与者の配偶者や子供、両親以外の場合には、相続税が2割加算されることなどに注意しなければなりません。

本記事では、死因贈与は贈与税ではなく相続税がかかることや、死因贈与をする際の注意点について解説します。


1章 死因贈与とは

死因贈与とは、贈与者が死亡したときに効力が発生する贈与契約です。
死因贈与では、生前のうちに贈与者と受贈者の間で、贈与者の死亡を条件とした贈与契約を結びます。

本章では、死因贈与と生前贈与、遺贈との違いを確認していきましょう。

1-1 死因贈与と生前贈与の違い

死因贈与と生前贈与の違いは、贈与者が生きているうちに効力を発生するかどうかです。
死因贈与は、贈与者の死亡により財産が移転するのに対し、生前贈与は贈与者が生きている間に財産が移転します。

死因贈与は、形式的には生前に合意されているものの、実質的には相続と同じタイミングで財産が移転することとなります。

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1-2 死因贈与と遺贈の違い

遺贈と死因贈与の違い

死因贈与と遺贈は、いずれも贈与者(遺言者)の死亡によって財産を取得するという点で共通しています。
一方、死因贈与はあくまで贈与契約の一種であり、贈与者と受贈者の合意によって成立するのに対し、遺贈は遺言によって一方的に行うことが可能です。

死因贈与と遺贈には、他にも下記の違いがあります。

死因贈与遺贈
方法の違い口頭でも可能だが、贈与契約書の作成が推奨される正しい方法で遺言書を作成しなければならない
放棄の可否不可能
放棄することはできない
可能
受贈者の判断で、一方的に放棄できる
不動産取得税・登録免許税の取り扱い
  • 法定相続人でも不動産取得税がかかる
  • 法定相続人であっても登録免許税の税率は2%である
  • 法定相続人以外の人は不動産取得税がかかる
  • 法定相続人は登録免許税の税率が0.4%となる場合がある
年齢未成年が行う場合は、法定代理人による同意が必要である15歳以上なら誰でもできる
合意の必要性必要
財産を譲る相手と合意契約が必要である
不要
財産を譲る相手に内緒にしておくこともできる
債務の承継債務の承継はしない包括遺贈の場合は債務も承継する
相手に課せられる負担の発生時期生前の負担も可能
生前に介護してもらうのと引き換えに、死因贈与契約することができる
遺言者の死亡後
生前に介護してもらうのと引き換えに、遺贈することはできない
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2章 死因贈与は贈与税ではなく相続税がかかる

死因贈与は「贈与」と名前がついているため、贈与税がかかると考える方もいるかもしれません。
しかし、死因贈与は相続税の課税対象となると理解しておきましょう。

死因贈与はあくまで贈与契約の一種ですが、効力が贈与者の死亡によって発生するため、相続により取得した財産として扱われるからです。
死因贈与をする際には、相続税が課税されることに加え、以下の点に注意しておきましょう。

  1. 受贈者が配偶者や子供・両親でない場合には2割加算される
  2. 受贈者と相続人が共同で相続税申告をする必要がある
  3. 負担付死因贈与は贈与の金額と負担の金額が相殺される
  4. 死因贈与では不動産取得税がかかる
  5. 登録免許税も贈与時の税率が適用される

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1 受贈者が配偶者や子供・両親でない場合には2割加算される

死因贈与の受贈者が配偶者や子供、両親でない場合には、相続税が2割加算されるのでご注意ください。
相続税は配偶者や一親等内の親族以外が遺産を受け取ると、2割加算されると決められているからです。

死因贈与は贈与税ではなく、相続税がかかるため、受贈者によっては税負担が重くなる恐れがあります。

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2-2 受贈者と相続人が共同で相続税申告をする必要がある

死因贈与を受けた場合、受贈者と相続人と共同で相続税の申告を行わなければなりません。
相続税はそれぞれ受け取った遺産に対してかかるのではなく、遺産総額を算定した上で計算する必要があるからです。

相続人の人数が多い場合や、相続人と受贈者が疎遠である場合には、相続税申告がスムーズにいかない場合もあるでしょう。
その際には、トラブルや申告ミスを避けるためにも、相続に精通した税理士に相続税申告を依頼することもご検討ください。

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2-3 負担付死因贈与は贈与の金額と負担の金額が相殺される

負担付死因贈与の契約を結んでいた場合には、贈与された金額と負担した金額を相殺した上で、相続税を計算する必要があります。
負担付死因贈与とは「自分が亡くなったときに自宅を譲る代わりに、介護をしてほしい」などのように、条件が付いた死因贈与です。

負担付死因贈与では負担の金額を贈与財産と相殺することで、相続税の負担を軽減できる可能性があります。
「住宅ローンを代わりに払ってほしい」などといった契約は負担の金額がわかりやすいものの、「介護をしてほしい」などといった契約は負担の金額を計算することが難しい場合もあるでしょう。

負担を計算するのが難しい場合や、ミスなく相続税申告をしたい場合には、相続に詳しい税理士に相談することをおすすめします。

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2-4 死因贈与では不動産取得税がかかる

死因贈与は相続税の課税対象ではありますが、不動産取得税もかかると理解しておきましょう。
不動産取得税とは、名前の通り、不動産を取得した際にかかる税金です。
法定相続人が相続により不動産を取得した場合には、不動産取得税は非課税となります。

一方で、死因贈与により不動産を贈与された場合には、受贈者が法定相続人であっても不動産取得税がかかるのでご注意ください。
住宅や住宅用地にかかる不動産取得税の税率は3%であり、不動産の価値が高額であればあるほど税負担も重くなります。

不動産の価値によっては数十万円から100万円近い不動産取得税がかかることもあるので、法定相続人に不動産を譲る場合には、死因贈与を選択すべきか慎重に判断しなければなりません。

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2-5 登録免許税も贈与時の税率が適用される

死因贈与の場合、不動産取得税がかかるだけでなく、登録免許税も贈与時の税率が適用されるのでご注意ください。
登録免許税とは、不動産の名義変更手続きの際にかかる税金であり、税率はそれぞれ下記の通りです。

名義変更の理由税率
相続
  • 法定相続人への相続:0.4%
  • 法定相続人以外への遺贈:2%
贈与2%

死因贈与では、受贈者が法定相続人であっても、登録免許税の税率は2%が適用されます。
相続で不動産を取得するときと比べて、5倍の登録免許税がかかる恐れもあるのでご注意ください。

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3章 死因贈与をする際の注意点

死因贈与は、財産を受け継ぐ方法として有効なもののひとつですが、下記の点に注意しなければなりません。

  • 死因贈与は贈与者・受贈者の合意が必要である
  • 負担付死因贈与は撤回できない場合がある
  • 死因贈与は遺留分の計算対象に含まれる

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 死因贈与は贈与者・受贈者の合意が必要である

死因贈与は、通常の贈与契約と同様に、贈与者と受贈者双方の合意が必要となります。
遺贈のように、遺言者の意思のみでは成立しないことを理解しておきましょう。

死因贈与は、贈与者と受贈者の合意があれば、口頭でも契約は成立します。
しかし、後々のトラブルを避けるためにも、贈与契約書を作成し、公正証書にしておくことをおすすめします。

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3-1-1 贈与者が認知症だと贈与契約が無効になる恐れがある

死因贈与は、贈与者と受贈者それぞれの合意が必要であるため、贈与者が認知症により判断能力を失っていると、契約が無効になる恐れがあります。
贈与契約が無効とされれば、贈与者が亡くなったときに受贈者は契約していた財産を受け継ぐことはできなくなるのでご注意ください。

死因贈与では、贈与者が亡くなったときに財産の移転が行われるため、契約当時に贈与者に判断能力があったかどうかについて、相続人と受贈者の間でトラブルが起きることもあります。
このようなトラブルを回避するためにも、死因贈与の契約を結ぶ際に、贈与契約書の作成はもちろんですが、医師による診断書を取得しておいたり、贈与の手続きを司法書士や弁護士に依頼したりすることをご検討ください。

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3-2 負担付死因贈与は撤回できない場合がある

死因贈与は、贈与者の生前であれば、原則として自由に撤回できますが、負担付死因贈与は撤回できない場合もあるのでご注意ください。
負担付死因贈与では、受贈者がすでにその義務の一部を履行していると、贈与者から一方的に契約を撤回することはできません。

例えば「同居して介護してくれる代わりに、自分が亡くなったら自宅を譲る」といった死因贈与契約を父親と長男で結んでいたケースを考えてみましょう。
この場合、すでに長男が同居や介護を始めていた場合には、父親が「やっぱり次男に資産を譲りたい」と考えても、贈与契約を撤回できない可能性があります。

このように、負担付死因贈与は、後から契約内容を取り消せない恐れがあります。
そのため、契約を結ぶ段階で負担の内容や範囲、贈与財産について慎重に検討しておかなければなりません。

贈与や相続対策に精通した司法書士や弁護士であれば、負担付死因贈与の契約内容や、そもそも負担付死因贈与をすべきかについてアドバイス可能です。

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3-3 死因贈与は遺留分の計算対象に含まれる

死因贈与により贈与された財産は、遺留分の計算対象に含まれると理解しておきましょう。
遺留分とは、故人の配偶者や子供、両親に認められる最低限度の遺産を受け取れる権利です。

例えば「遺産のすべてを死因贈与によって、内縁の妻に譲る」などといった死因贈与契約が結ばれていた場合には、故人の配偶者や子供などの遺留分を侵害する可能性があります。
この場合、故人の配偶者や子供などは遺留分侵害額請求をすれば、死因贈与で遺産を多く受け取った人物から遺留分侵害額相当分の金銭を受け取り可能です。

遺留分侵害額請求の手続きには、決まった形式があるわけではなく、まずは遺産を多く受け取った相手との話し合いで解決を図ることも多くあります。
しかし、当事者同士で交渉を進めた結果、感情的な対立が激しくなり、かえって解決が長引いてしまうケースも少なくありません。

そのため、偏りのある死因贈与や遺留分を侵害している可能性がある場合は、遺留分トラブルに精通した司法書士や弁護士に早めに相談することをおすすめします。

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まとめ

死因贈与は贈与者が生きているうちに贈与契約を交わし、贈与者が亡くなったときに効力が生じる贈与契約です。

死因贈与は「贈与」と名前がついているものの、贈与財産は贈与税ではなく、相続税の課税対象となるため注意しなければなりません。
一方、不動産取得税や登録免許税については、相続ではなく贈与として扱われることも理解しておきましょう。

また、死因贈与では贈与者と受贈者の合意が必要であることや、遺留分の計算対象になることも注意しておく必要があります。
このように、死因贈与は税金の取り扱いや、契約内容について専門的な知識が必要となるため、契約を検討している段階で相続や贈与に精通した司法書士や弁護士、税理士に相談すると良いでしょう。

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