死因贈与は遺留分の計算対象に含まれる!侵害額請求時の注意点とは

死因贈与は遺留分の計算対象に含まれる!侵害額請求時の注意点とは
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 2

死因贈与とは、贈与者の死亡を条件として特定の財産を贈与する契約行為です。
贈与者が亡くなった点で財産が受け継がれるため遺贈と似ていますが、死因贈与は遺贈と異なり贈与者と受贈者双方の合意が必要です。

死因贈与は遺贈や生前贈与と同様に遺留分の計算対象に含まれます。
遺留分とは、亡くなった人の配偶者や子供、両親が遺産を最低限度受け取れる権利です。

そのため、特定の人物にのみ死因贈与が集中していた場合は遺された配偶者や子供が遺留分侵害額請求を検討しても良いでしょう。
本記事では、死因贈与は遺留分の請求対象に含まれることや請求時の注意点を具体例とともに解説します。

遺留分については、下記の記事でも詳しく紹介しているのでご参考にしてください。

相続遺留分とは?請求できる人や割合・請求方法を徹底解説

1章 遺留分とは

遺留分とは

遺留分とは、亡くなった人の配偶者や子供、両親に認められる遺産を最低限度受け取れる権利です。
遺留分は遺言書より優先されるので、例えば亡くなった人が「内縁の妻に全財産を遺す」と指定していた場合も配偶者や亡くなった人の子供が遺留分を主張すれば、内縁の妻に対して遺留分侵害額相当分の金銭を請求できます。

遺留分侵害額請求とは?基礎知識や計算方法、請求の手順まで簡単解説
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2章 死因贈与とは

死因贈与とは「贈与者が亡くなったとき」を条件として受贈者に特定の財産を贈与する契約です。
財産の所有者の死亡とともに所有権が移るため遺贈と似ていますが、遺贈は受遺者の合意がなくても行える一方で死因贈与は贈与者と受贈者双方の合意が必要になります。

そのため、死因贈与は贈与者と受贈者の合意があれば口頭でも成立しますが、実際には贈与者が亡くなったときに契約が成立していたことの証明が難しいので贈与契約書を作成しておくのが一般的です。

「遺贈」と「死因贈与」の違いとベストな選択パターン【比較表付】

3章 死因贈与も遺留分の計算対象に含まれる

死因贈与は、遺贈や生前贈与と同様に遺留分の計算対象に含まれます。
そのため「遺産のすべてを死因贈与で長男に渡す」などと遺留分を侵害する死因贈与が行われた場合は、亡くなった人の配偶者や子供は遺留分侵害額請求を行えます。

遺留分侵害額請求の方法に決まりはなく、遺産を多く受け取った人との話し合いで解決できる可能性もあります。
ただし、相続人や受贈者同士で話し合うとトラブルが泥沼化して解決に時間がかかるケースも多いです。

そのため、偏った内容の死因贈与が行われた場合や遺留分が侵害された死因贈与が行われていた場合は相続に詳しい司法書士や弁護士に相談するのが良いでしょう。


4章 死因贈与によって遺留分が侵害されているケース

実際に偏った内容の死因贈与が行われていて、相続人の遺留分が侵害されているケースを具体例とともに見ていきましょう。

  • 相続財産は預貯金6,000万円、自宅2,000万円
  • 相続人は配偶者および子供2人
  • 故人と内縁の妻は「預貯金6,000万円を死因贈与する」といった内容の贈与契約書を作成していた
  • 自宅は配偶者がすべて相続した

上記のケースでは、相続人である配偶者および子供2人は遺留分が認められます。
それぞれの相続人に認められる遺留分は「法定相続分×2分の1」であり、下記の通りです。

  • 配偶者:法定相続分4,000万円×2分の1=2,000万円(すでに自宅2,000万円を相続しているので遺留分の請求は不可)
  • 子供:法定相続分2,000万円×2分の1=1,000万円

本記事で紹介したケースで子供たちは「実際の相続分(0円)<遺留分(1,000万円)」となるため、死因贈与を受け取った内縁の妻に対してそれぞれ1,000万円分の金銭を請求可能です。
一方で、配偶者は自宅2,000万円を相続しているため、遺留分の請求は行えません。


5章 死因贈与に対して遺留分侵害額請求を行うときの注意点

特定の人物にのみ偏った死因贈与が行われた場合、遺された配偶者や子供は遺留分侵害額請求を行える可能性があります。
ただし、遺留分侵害額請求は時効や請求順位など注意すべき点がいくつかあります。

遺留分侵害額請求時の注意点を詳しく見ていきましょう。

5-1 遺留分侵害額請求には時効がある

遺留分侵害額請求には時効が設定されており、下記のいずれかを過ぎると遺留分を請求できなくなります。

  • 相続発生および遺留分が侵害されていることを知ってから1年
  • 相続発生から10年
  • 遺留分侵害額請求をしてから5年

遺留分侵害額請求の時効を迎えそうな場合は、内容証明郵便を相手方に送るなどの対策が必要です。
例えば、遺留分が侵害されていることを知ってから1年が経過する前に内容証明郵便で遺留分侵害額請求を行えば時効をストップさせられます。

ただし、時効がストップしたとしてもその後は死因贈与を受け取った人物と遺留分の支払いについて交渉しなければならないため、トラブルを避け早期解決を図るため専門家への相談がおすすめです。

5-2 遺留分侵害額請求には順位が決まっている

遺留分の計算対象となるのは死因贈与だけでなく、遺贈も含まれます。
そして、亡くなった人が死因贈与と遺贈を両方行っていて遺留分を侵害していた場合、原則として下記の順番で遺留分侵害額相当分の金銭を支払う必要があるとされています。

  • 遺贈の受遺者
  • 死因贈与の受遺者

遺贈は受遺者の合意がなくても遺言者が一方的に行えるのに対し、死因贈与は贈与者および受贈者双方の契約により成立するため権利義務関係が確定していると考えられるからです。
そのため、遺贈と死因贈与の両方が行われていた場合は遺贈に対して遺留分侵害額請求を行い、それでも足りない分は死因贈与に対して遺留分侵害額請求が行われます。

ただし、遺留分侵害額請求における遺贈と死因贈与の優先順位は最高裁による判例はまだなく、専門家の間でも判断が揺れています。
そのため、遺留分侵害額請求の順位で揉める可能性も十分に考えられるので、遺贈および死因贈与に対して遺留分侵害額請求を行いたい場合は専門家への相談を強くおすすめします。

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まとめ

死因贈与とは、贈与者が亡くなったときを条件として受贈者に特定の財産を譲り渡す契約行為です。
遺贈と違い贈与者と受贈者双方の合意が必要な契約ではありますが、死因贈与も遺留分の計算対象に含まれます。

そのため、財産のほとんどを特定の相続人や第三者に死因贈与で遺していた場合、亡くなった人の配偶者や子供は遺留分侵害額請求を行える可能性があります。
遺留分侵害額請求には時効が設定されているので、相手方に内容証明郵便を送るなどの方法で早めに請求を始めるのが良いでしょう。

当事者間で解決が難しい場合は、遺留分トラブルに詳しい司法書士や弁護士に相談するのもおすすめです。

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初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですのでまずはお気軽にお問い合わせください。

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