不動産取得税を払わなくてよい6つのケース|軽減措置も紹介

不動産取得税を払わなくてよい6つのケース|軽減措置も紹介
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 6

不動産を取得した際には、不動産取得税がかかります。
ただし、相続により不動産を取得したケースや私道など多くの人が利用する道路を取得したケースでは、不動産取得税がかかりません。

不動産取得税は自治体が計算してくれるので税金の申告は必要ありませんが、取得から約3~6ヶ月後に納税通知書がくるので納税資金を用意しておきましょう。

本記事では、不動産取得税を払わなくてよいケースや軽減措置について解説します。
不動産を相続したときの流れは、下記の記事でも詳しく解説しているのでご参考にしてください。

親の土地を相続する全手順を徹底解説!損しない為の5つのポイント!

1章 不動産取得税とは

不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得した際にかかる税金です。
不動産取得税の概要や税率は、下記の通りです。

名称不動産取得税
概要土地や建物を取得したときにかかる税金
税額固定資産税評価額×4%
(1,000万円なら40万円)
(軽減税率が適用されると3%になる)
納税期限自治体や税事務所から届く納税通知書に記載されている
(不動産の名義変更後から3ヶ月から半年が目安)
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2章 不動産取得税を払わなくてよい6つのケース

不動産取得税はすべてのケースでかかるわけではなく、相続によって不動産を取得した場合などはかかりません。
不動産取得税を払わなくてよいケースは、下記の6つです。

  1. 相続によって不動産を取得したケース
  2. 公共の用に供する道路を取得したケース
  3. 土地区画整理事業などで換地を取得したケース
  4. 法人の合併もしくは法人の分割により不動産を取得したケース
  5. 宗教法人や学校法人が事業用の不動産を取得したケース
  6. 軽減措置の利用などにより不動産取得税が0円になるケース

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 相続によって不動産を取得したケース

相続により亡くなった人から相続人が不動産を受け継いだ場合は、不動産取得税がかかりません。
ただし、遺言書などで相続人以外の人物が故人から不動産を受け継いだ場合は、不動産取得税がかかるのでご注意ください。

相続したら不動産取得税はかかる?取得税以外にかかる税金も紹介

2-2 公共の用に供する道路を取得したケース

不特定多数の人が利用する私道などは公衆用道路と呼ばれ、取得時に不動産取得税がかかりません。
なお、公衆用道路は不動産取得税がかからないだけでなく、固定資産税もかかりません。

固定資産税がかからない土地を相続する流れとは?注意点も解説

2-3 土地区画整理事業などで換地を取得したケース

区画整理によって別の土地を取得することを換地と呼びますが、換地により土地を取得した場合も不動産取得税はかかりません。

2-4 法人の合併もしくは法人の分割により不動産を取得したケース

会社合併や分割により不動産を取得した場合は、不動産取得税がかからないケースが多いです。
会社合併や分割による取得は、実質的に不動産の名義変更に近いとされるからです。

ただし、不動産取得税がかからないようにするには要件を満たす必要があります。

2-5 宗教法人や学校法人が事業用の不動産を取得したケース

宗教法人や学校法人が事業に利用する不動産を取得した場合、不動産取得税はかかりません。
宗教法人や学校法人以外にも、社会福祉法人が事業用に取得した不動産にも、不動産取得税はかかりません。

2-6 軽減措置の利用などにより不動産取得税が0円になるケース

住宅を購入、取得した場合、不動産取得税の軽減措置を受けられます。
軽減措置により不動産取得税の税額が0円になる場合も、不動産取得税を払う必要はありません。
不動産取得税の軽減措置については、本記事の2章で詳しく解説していきます。

他には、不動産取得税には免税点があり、取得した不動産の固定資産税評価額が免税点以下の場合も不動産取得税がかかりません。
不動産の種類ごとの免税点は、下記の通りです。

不動産の種類免税点
土地10万円
建物(新築・増築・改築)23万円
建物(上記以外)12万円

3章 不動産取得税の主な軽減措置

本記事の1章で解説したように、不動産取得税には軽減措置が用意されています。
軽減措置が適用されれば、不動産取得税の負担を軽減可能です。
軽減措置には、主に下記の種類があります。

  1. 中古住宅の課税標準の軽減
  2. 宅地の課税標準の特例
  3. 宅地の税額控除

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1 中古住宅の課税標準の軽減

中古住宅を購入した場合、条件を満たすと軽減措置が適用されます。
中古住宅の課税標準の軽減を適用するための条件は、下記の通りです。

  • 住宅の床面積が50㎡以上240㎡以下
  • 1982年1月1日以後の新築であることもしくは耐震基準を満たしていると証明されたもの
  • 個人が自己の居住用に取得した

上記の条件を満たす場合、取得した住宅の新築日によって下記の控除額が適用されます。

新築された日控除額
平成9年(1997年)4月1日以降1,200万円
平成元年(1989年)4月1日から平成9年(1997年)3月31日1,000万円
昭和60年(1985年)7月1日から平成元年(1989年)3月31日450万円
昭和56年(1981年)7月1日から昭和60年(1985年)6月30日420万円
昭和51年(1976年)1月1日から昭和56年(1981年)6月30日350万円
昭和48年(1973年)1月1日から昭和50年(1975年)12月31日230万円
昭和39年(1964年)1月1日から昭和47年(1972年)12月31日150万円
昭和29年(1954年)7月1日から昭和38年(1963年)12月31日100万円

軽減措置適用の結果、課税標準額が免税点以下になれば不動産取得税はかかりません。

3-2 宅地の課税標準の特例

宅地の課税標準の特例とは、住宅用の土地の課税標準額が「固定資産税評価額×2分の1」に軽減される制度です。
宅地の課税標準の特例を用いた結果、課税標準額が免税点以下になれば、不動産取得税はかかりません。

3-3 宅地の税額控除

宅地の税額控除とは、本来の不動産取得税から下記のいずれか多い金額を税額控除できる制度です。

  •  45,000円
  •  (土地1㎡当たりの固定資産税評価額×2分の1) × (住宅の床面積×2(200㎡まで))×3%

後者に関しては計算が複雑なので具体例とともに見ていきましょう。

【条件】

  • 床面積80㎡・固定資産税評価額800万円の中古マンション(1990年築)を購入
  • 共有持分となる土地は60㎡(固定資産税評価額は1,200万円)

3-3-1 建物部分・土地部分の不動産取得税を計算する

建物部分の不動産取得税は800万円×4%=32万円です。
この金額に中古住宅の課税標準の軽減を適用してみると、「(800万円-1,000万円)×3%=-6万円」となり、不動産取得税がかからないことになります。

続いて、土地部分の不動産取得税を計算してみましょう。
軽減措置適用前の土地の不動産取得税は「1,200万円×4%=48万円」です。
この金額に宅地の課税標準の特例と宅地の税額控除を適用してみましょう。

3-3-2 宅地の税額控除を適用する

はじめに宅地の税額控除を計算します。
税額控除は「45,000円」か「(20×2分の1)×(80㎡×2)×3%=48万円」となり、多い方の48万円が適用されます。

3-3-3 宅地の課税標準の特例を適用する

先ほどの結果に宅地の課税標準の特例を適用すると「1,200万円×2分の1×3%-48万円=-30万円」となり土地に関しても不動産取得税はかかりません。

なお不動産取得税の軽減措置の計算は非常に複雑ですが、実際には自治体が計算し納税通知書を送付してくれるので自分で正確に計算する必要はありません。
軽減措置が適用されることと取得した土地や建物の不動産取得税が大体いくらくらいになりそうかを把握しておくだけで十分でしょう。


4章 不動産を取得したときの注意点

購入、贈与などにより不動産を取得した場合は、名義変更から約3ヶ月から半年後に不動産取得税の納税通知書が届きます。
また相続によって不動産を取得した場合、不動産取得税はかからないものの名義変更手続きをしなければなりません。

不動産を取得したときの注意点を詳しく解説していきます。

4-1 不動産取得税は名義変更して約3~6ヶ月後にくる

贈与や購入により不動産を取得すると、名義変更から約3~6ヶ月後に不動産取得税の納税通知書が届きます。
不動産の取得と不動産取得税の納税時期にはタイムラグがあるため、不動産取得税の納税通知書が届いたときに慌てないためにも納税資金を事前に用意しておきましょう。

なお、不動産取得税の納期限は納税通知書に記載されており、東京都の場合は下記のように決められています。

納税通知書の発送毎月7日前後
不動産取得税の納期限発送月の月末

4-2 相続した土地は名義変更手続きが必要である

相続によって取得した土地は、不動産取得税はかからないものの亡くなった人から相続人へ名義変更手続きが必要です。
なお、名義変更の際には「固定資産税評価額×0.4%」の登録免許税を納める必要がありますし、遺産総額が相続税の基礎控除を上回る場合は相続税の申告が必要になります。

亡くなった人から相続人への名義変更手続きは、法務局にて相続登記の申請を行います。
相続登記の申請時には、登記申請書の作成や故人の戸籍謄本類の収集などが必要です。

2024年から相続登記が義務化されます

これまで相続登記は義務化されておらず、相続人の意思によって行うとされていました。
しかし、2024年4月からは相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に相続登記をしない場合には10万円以下の過料が科される恐れがあります。

なお、相続登記の義務化は過去に発生した相続においても適用されます。
そのため、まだ相続登記がおすみでない土地をお持ちの人は早めに手続きをすませましょう。

相続登記は自分でも行えますが、司法書士に依頼すれば数万円程度で代行可能です。
グリーン司法書士法人でも相続登記に関する相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。

相続登記の義務化は2024年4月!法改正で変更される4つのポイント
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まとめ

土地や住宅等の不動産を取得したときには、不動産取得税がかかります。
ただし、相続によって不動産を取得した場合は不動産取得税がかかりません。

相続以外にも不動産取得税がかからないケースもあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
また、不動産取得税の納税通知書は、名義変更手続き後から約6ヶ月後に来るので、納税資金をあらかじめ用意しておくことも大切です。

そして相続で不動産取得した場合、不動産取得税はかかりませんが、亡くなった人から相続人へ名義変更手続きをしなければなりません。
不動産の名義変更手続きは自分で行うこともできますが、相続に詳しい司法書士に依頼も可能です。

グリーン司法書士法人では、相続登記を始めとする相続に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料ですし、オンライン相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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