「数年前に亡くなった父名義の土地があり、相続予定だった母も亡くなってしまった。この場合は、どうやって相続登記を進めればいいの?」
相続登記しないまま次の相続が発生すると、手続きが一気に複雑になります。
「相続登記が義務化されたし、何とかしなければ」と思ってはいるものの、具体的に何をすればいいかがわからず、この記事にたどり着いたかと思います。
相続登記をしないまま相続人が死亡した場合の相続パターンは、下記の2つです。
ただし、この相続パターンや手続き方法を知っているだけでは、複雑な相続登記を進められないケースが多いです。
実際に、下記のように想定外の費用がかかってしまったり、判断に迷ったりしているケースがあるのです。
| 相続登記しないまま相続人が死亡したときのトラブル例 |
◆トラブル例1:小さな畑の名義変更を何世代も放置し続けた結果、権利が枝分かれして最終的な相続人が約200人に達してしまった。 結果として、小さな畑の名義を変えるために、400万〜500万円もの莫大な裁判・手続き費用が必要になった。 ◆トラブル例2:祖父が多額の借金を残して亡くなり父は「祖父の相続は放棄しよう」と考えていたものの、手続き中に父自身も突然亡くなってしまった。 一人息子である長男は、預貯金や不動産などの父の財産と同時に、父がするはずだった祖父の借金をどうするかを決める権利も引き継ぐことになってしまった。 |
「何とかしなければ」と一人で抱え込み、将来的にトラブルにならないように、相続登記に知見のある専門家に相談しながら現状に応じて最適な方法で手続きを進めるようにしましょう。
この記事では、グリーングループの司法書士である私・山中が、相続登記をしないまま相続人が死亡した場合の相続パターンや手続きの進め方をまとめて解説します。
最後まで読めば、現状を踏まえて、どのように相続登記を進めればいいのか理解できます。
複雑な相続登記こそ「これでいいかな」と安易に進めると、後悔につながります。将来を見据えて最適な判断をするためにも、参考にしてみてください。
目次
1章 相続登記をしないまま相続人が死亡した場合の相続パターンは2つ
冒頭でも触れたように、相続登記をしないまま相続人が死亡した場合の相続パターンは下記の2つです。
| 相続登記をする方法 | 概要 |
| 【原則】 亡くなった順番に相続登記をする |
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| 【特定条件を満たした場合のみ】 中間省略登記をする |
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基本的には亡くなった順番に相続登記をするパターンになりますが、特定の条件を満たすと中間省略登記ができます。
それぞれ相続登記の方法が異なるので、概要を確認しておきましょう。
1-1 亡くなった順番に相続登記をする
相続登記をしないまま次の相続が発生した場合、基本的には亡くなった順番どおりに、相続ごとの権利移転が反映された相続登記をします。
例えば、祖父が亡くなり、不動産を相続するとしましょう。このとき下記の図の一次相続にあたる子と配偶者が相続人になります。
相続登記をしないまま放置して、子である父が亡くなりました。
このときに「おじいちゃんが亡くなり、お父さんも亡くなったから孫である自分に相続登記しよう」と考えるかもしれません。
しかし、原則として、放置していた途中の相続を飛ばして次の相続登記をすることができません。
祖父の相続登記と父の相続登記は別のものとして考えるので、下記のように亡くなった順に手続きを進める必要があります。
【祖父の相続登記を放置したまま父が亡くなった例】
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このように、登記を放置した時点に遡って手続きをしなければならないため、放置した期間が長ければ長いほど、関係者が雪だるま式に増えて負担や費用が大きくなります。
手続きが複雑になる分、そこにかかる費用も増えてしまうのです。
とくに、少しでも税負担を減らせるように特例などを使おうとすると「誰が相続するか」「将来そこに住み続けるのか、売却するのか」など複雑な要件が厳密に定められています。
家族の状況に合わせて「あえてこの人に相続させる」といった工夫が必要になるケースなども出てきます。
「相続登記の方法が分からないし面倒だな」と放置すると、子供や孫が放置されてきた相続登記と向き合うことになるのです。
大変な手続きを次の世代に残さないためにも、相続が発生した時点で手続きを済ませることが大切です。
1-2 中間省略登記をする
中間省略登記とは、一定の条件を満たした場合に、中間の相続人への名義変更を省略し、最終的な取得者へ直接相続登記できる方法のことです。
登記手続きの回数を減らせるため、費用の負担などを抑えられる可能性があります。
相続登記をしないまま相続人が死亡したときに、中間の相続人が以下のケースのように一人しかいない場合は、中間省略登記が認められています。
【中間の相続人が一人しかいないケース】
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例えば、下記の図では、夫の相続人は妻(長女)だけです。この場合は、夫が亡くなったときに妻に相続登記をしていなくても、直接長男に相続登記ができます。
しかし、夫の相続人に複数の子供がいる場合や、妻の相続人が複数いる場合などは、中間省略登記が認められません。
基本的には順次相続登記が必要ですが、中間省略登記ができるレアなケースにおいては中間の相続登記を省略して手続きを進められます。
このように、相続登記をしないまま次の相続が発生した場合は、選択できるパターンにより手順や負担感が大きく変わります。
「今回の場合はどちらのパターンが使えるんだろう?」と悩んだ場合は、相続登記に強いグリーングループにお気軽にお声がけください。
累計55,193件(2025年10月末現在)の相続の相談実績があり、今までの知見や専門的な視点を踏まえて最適な方法をご提案します。
とくに、相続登記をしないまま相続人が死亡した場合は関係者が多くなり複雑化しているので、ご家族だけではなかなか現状が整理できないケースも多いです。
無理に進めて「想定外の相続税が発生した」「相続人の間でトラブルになった」など後悔しないためにも、まずは今の状態を私たちにお聞かせください。
2章 相続登記しないまま相続人が死亡した場合の登記申請の流れ
相続登記をしないまま相続人が死亡した場合の相続登記の流れは、パターンにより異なります。ここでは先ほど触れた2つのパターンそれぞれの相続登記の流れをご紹介します。
- 亡くなった順番に相続登記をする手順
- 中間省略登記をする手順
具体的にどのように進めるのかイメージするためにも、事前にチェックしておきましょう。
2-1 亡くなった順番に相続登記をする手順
亡くなった順番に相続登記をする場合は、まずは下記のようにそれぞれの相続に対して相続人調査や相続財産調査を行います。
その後に事実関係に沿って一つずつ登記を重ねていく必要があるので、一次相続の遺産分割協議と二次相続の遺産分割協議を分けて実施します。
| 亡くなった順番に相続登記をする手順 | 概要 |
| 1.一次相続・二次相続それぞれの相続人調査を行う | 一次相続・二次相続で亡くなった人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(戸籍に記載されている全員の身分を証明するもの)を取り寄せて、それぞれ相続人が誰なのかを確定させる |
| 2.一次相続・二次相続それぞれの相続財産調査を行う | 一次相続・二次相続でそれぞれ亡くなった人がどのような財産を持っているのか調査して明確にする |
| 3.それぞれの相続について相続放棄を検討する | 一次相続・二次相続それぞれで相続人が相続をするのか判断する ・相続放棄:相続をしない意思を示す |
| 4.一次相続の遺産分割協議を行う | 一次相続の全相続人で話し合い誰が何をどのくらい相続するかを決める |
| 5.二次相続の遺産分割協議を行う | 二次相続の全相続人で話し合い誰が何をどのくらい相続するかを決める |
| 6.一次相続・二次相続の相続登記を順番に申請する | 一次相続の相続登記をした後に二次相続の相続登記をする |
相続を放置すると、亡くなった方の出生から死亡まですべての戸籍を集める作業が非常に大変になります。
それだけでなく関係者が増えてしまうので、関係する相続人全員の戸籍謄本を集め「法律上の相続人が誰なのか」を確定させる作業も複雑化するでしょう。
シンプルな相続であれば家族で手続きすることもできますが、複数化している相続登記は専門家と一緒に進めたほうがトラブルを回避しながら実施できます。
▼相続手続きで行う細かなタスクは下記の記事にまとめています。具体的に何をするのか参考にしてみてください。
2-2 中間省略登記をする手順
中間省略登記を活用できる場合は、下記の手順で手続きを進めます。
相続財産調査(亡くなった人がどのような財産を持っているのか調査する)をするところは同じですが、その後に一次相続での相続人を確定させて中間省略登記ができるかどうかの判断をします。
| 中間省略登記をする手順 | 概要 |
| 1.一次相続・二次相続それぞれの相続人調査を行う | 一次相続・二次相続で亡くなった人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(戸籍に記載されている全員の身分を証明するもの)を取り寄せて、それぞれ相続人が誰なのかを確定させる |
| 2.一次相続・二次相続それぞれの相続財産調査を行う | 一次相続・二次相続でそれぞれ亡くなった人がどのような財産を持っているのか調査して明確にする |
| 3.一次相続の相続人を確定させる | 一次相続の相続人が誰なのかを確定させる |
| 4.二次相続の相続人全員で遺産分割協議を行う | 二次相続の全相続人で話し合い誰が何をどのくらい相続するかを決める |
| 5.相続登記の申請をする | 遺産分割協議の結果を踏まえて相続登記を完了させる |
中間省略登記ができる場合は、一次相続の遺産分割協議が不要です。
※協議は不要ですが、確認書という形での同意は必要となるため、一次相続で誰が相続したのかを確認する書類を作成します。
次に、二次相続の遺産分割協議を行い、誰が相続人になるのかを決めて相続登記を行います。
また、登記原因証明情報(不動産の名義変更をするときに「なぜ名義を変えるのか」を証明する書類)に一次登記を飛ばせる理由を記載するなど、亡くなった順番に相続登記をする場合と書類に記載する内容が異なる箇所があるので注意が必要です。
少しでも表現や手順を間違えると法務局の審査が通りませんので、慎重に進めましょう。
3章 相続登記しないまま相続人が死亡した場合の相続は非常に複雑!家族での解決が難しい
ここまで、相続登記をしないまま相続人が死亡した場合の相続パターンや相続登記の流れをご紹介しました。
実は相続登記をしないまま相続人が死亡した場合は通常の相続登記とは異なり、非常に複雑で家族だけで解決していくことが難しいです。
「亡くなった順番に相続登記をする」という基本的な方法も、細かく見ると下記のパターンに分かれており、それぞれ異なる難しさを抱えやすいです。
| 相続の種類 | 概要/よくある課題 |
| 数次相続 |
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| 再転相続 |
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ここでは、実際の事例を踏まえながら、なぜ家族だけの解決が難しいのかを解説します。
相続登記は完了すると、簡単に変更できません。何となく進めて後から後悔しないためにも、事前にチェックしておきましょう。
3-1 数次相続の場合:関係者がどんどん増えて複雑化する
数次相続は「1-1 亡くなった順番に相続登記をする」で触れたように、相続登記を放置すればするほど関係者が増えて家族での解決が難しくなります。
数次相続では、事実関係に沿って一つずつ登記を重ねていくことが原則です。下記のように相続に関わる関係者が枝分かれして増えても、全員で話し合いをして意見をまとめなければなりません。
人数が増えれば増えるほど、話し合いをまとめるのは非常に難しくなります。実際に何世代にもわたって長期間放置してしまったことで相続人が増え、相続登記が難航した事例もあるのです。
【約206人が絡み相続登記が複雑化した事例】 小さな畑の名義変更を何世代も放置し続けた結果、権利が枝分かれして最終的な相続人が約206人に達してしまいました。 206人全員の合意を取ることは難しく、中には認知症の方や未成年者、行方不明の方も必然的に含まれてきます。 最終的に名義を一つにまとめるためには、206人全員の戸籍を調べ、彼らを相手取った裁判を起こすしか解決策がありませんでした。 結果として、小さな畑の名義を変えるために、400万〜500万円もの莫大な裁判・手続き費用がかかってしまった事例です。 |
このように「今、相続登記をしなくてもいいかな」と放置をするとどんどん複雑化し、費用と時間をかけて解決しなければならなくなります。
将来大きな負担を残さないためにも、重い腰を上げて専門家と1つずつ整理していくことが大切です。
3-2 再転相続の場合:承認・放棄の判断が複雑化する
再転相続とは、相続人が相続の承認や放棄をする前に立て続けに亡くなってしまい、次の相続人が承認や放棄の権利ごと引き継ぐことを指します。
数次相続のなかでの特殊なケースだと捉えるとイメージしやすいです。
例えば、下記の図のように祖父が亡くなり、父が祖父の相続について承認・放棄をしないまま死亡した場合が該当します。
相続の承認・放棄を判断する期間(熟慮期間)は、自分が相続人になったことを知った時から3か月と定められています。
再転相続では、前の相続を承認するか、放棄するかという判断から委ねられるので、複雑化して難しくなります。
実際に再転相続の判断が難しく、どうすればいいのか悩んだ事例もあります。
【再転相続で祖父の多額の借金の判断が難しかった事例】 祖父が亡くなり、多額の借金があることが発覚しました。父は「祖父の相続は放棄しよう」と考えていましたが、手続きが終わらないうちに、父自身も突然亡くなってしまいました。 一人息子である長男は、預貯金や不動産などの父の財産を相続することになりましたが、同時に父がするはずだった祖父の借金をどうするかを決める権利も引き継ぐことになります。 父のプラスの財産は相続したいものの、祖父の多額の借金は相続放棄したい場合、どのように進めればいいのか分かりません。 このように、再転相続は、承認・放棄の判断が複雑で知識がないと前に進めないケースがあります。 |
再転相続はどの相続を先に承認・放棄するかの順番や組み合わせに対して、極めて複雑で厳格な法律のルールが存在します。
上記の例では手順を間違えたり、祖父の借金を相続したと思われる行動をとってしまったりすると、本来放棄できたはずの多額の借金を全額背負わなければならない可能性が出てくるのです。
このように再転相続では、誰の財産と借金を誰が引き継ぐのかを自己流で安易に決めるとトラブルにつながります。家族だけで解決することは、非常に困難であることが分かるでしょう。
▼再転相続の概要については下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください
4章 グリーングループでは家族に寄り添い納得できるかたちでの解決を目指します
ここまで読み、相続登記をしないまま相続人が亡くなった場合、家族だけで納得できる解決策を見つけることが難しいと感じたかと思います。
「とは言え、現状を何とかしなければならない」と一人で抱え込まずに、まずは相続に関する相談件数が累計55,193件(2025年10月末現在)のグリーングループにお気持ちをお聞かせください。
グリーングループは相続手続き・不動産・税務の各領域が連携しており、各専門家の知見を使って最適な経路を選択できます。
例えば、再転相続の場合は、相続する不動産の価値を見極めて、相続するのか、放棄するのかの判断をお手伝いすることも可能です。
また、ただ相続登記の手続きを進めるのではなく、ご家族の思いや現状を整理したうえで、将来を見据えた相続登記のご提案もしています。
グリーングループで相続登記を完了されたご依頼者様からは「安心して進めることができた」などの声をいただいています。
相続登記をしないまま相続人が亡くなった場合はシンプルな相続登記ではないからこそ「とりあえず相続登記をしておこう」と安易な気持ちで進めると、後からトラブルにつながる可能性があります。
そうなる前に「どの相続登記パターンが使えるの?」「どうすれば相続税を抑えられるの?」など、今の不安や疑問を率直にお聞かせください。
一緒に納得できる方法を探して、今抱えている不安を解消していきましょう。
まとめ
本記事では、相続登記をしないまま相続人が死亡した場合の相続登記の進め方を解説しました。最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。
〇相続登記をしないまま相続人が死亡した場合の相続パターンは2つ
- 【原則】亡くなった順番に相続登記をする:祖父、父、母など亡くなった順に遡って相続登記をする
- 【特定条件を満たした場合のみ】中間省略登記をする:特定の条件を満たした場合に限り中間の相続人を省略して相続登記をする
〇相続登記しないまま相続人が死亡した場合の登記申請の流れは下記のとおり
【亡くなった順番に相続登記をする手順】
- 一次相続・二次相続それぞれの相続人調査を行う
- 一次相続・二次相続それぞれの相続財産調査を行う
- それぞれの相続について相続放棄を検討する
- 一次相続の遺産分割協議を行う
- 二次相続の遺産分割協議を行う
- 一次相続・二次相続の相続登記を順次申請する
【中間省略登記をする手順】
- 一次相続・二次相続それぞれの相続人調査を行う
- 一次相続・二次相続それぞれの相続財産調査を行う
- 一次相続の相続人を確定させる
- 二次相続の相続人全員で遺産分割協議を行う
- 相続登記の書類を作成して申請をする
〇相続登記しないまま相続人が死亡した場合の相続は非常に複雑で家族での解決が難しい理由は下記のとおり
- 数次相続の場合:関係者がどんどん増えて複雑化する
- 再転相続の場合:承認・放棄の判断が複雑化する
相続登記をしないまま相続人が死亡した場合は、相続登記が複雑になりやすいです。一人で何とかしようと抱え込まず、今の不安をグリーングループにお聞かせください。




















