【2024年から義務化スタート】相続登記の期限はいつ?ケース別に解説

2024年まで相続登記に期限なし!ただし相続登記を放置するとデメリットも
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 7
 この記事を読んでわかること

  • 相続登記の義務化の期限はいつか
  • 相続登記をしないリスク・デメリット
  • 相続登記の手続きの流れ
  • 相続登記の添付書類の期限

相続登記とは、亡くなった人から相続人へと不動産の名義変更をする手続きです。
2024年4月から相続登記が義務化され、相続から3年以内に登記申請を行わないと10万円以下の過料が発生してしまいます。

このように、相続登記は「相続から3年以内」の期限が設けられましたが、実際には相続が発生した時期や遺産分割の完了時期によって相続登記の期限が変わってくるので注意しなければなりません。

本記事では、相続登記の期限はいつかケース別にわかりやすく解説していきます。
相続登記の義務化については、下記の記事で詳しく解説しているのであわせてお読みください。

2024年4月から相続登記が義務化される!放置するリスクとは

1章 【2024年4月から】相続登記が義務化されました

本記事の冒頭で解説したように、2024年4月から相続登記が義務化されました。
相続登記の義務化により、相続発生から3年以内に相続登記をしない場合には、10万円以下の過料が科される恐れがあります。

なお、相続登記の義務化は2024年4月以降に発生した相続だけではありません。
過去に発生した相続についても適用されるのでご注意ください。
過去に不動産を相続したものの登記申請がお済みでない人は、できるだけ早く手続きを行うのがおすすめです。

相続登記は自分でも行えますが、司法書士に依頼すれば数万円程度で完了するので、お気軽にお問い合わせください。

2024年4月から相続登記が義務化される!放置するリスクとは

2章 【ケース別】相続登記の期限

相続登記の義務化により、相続発生から3年以内に登記申請をすませないと10万円以下の過料が発生する恐れがあります。
ただし、過去に発生した相続については、猶予期間が設定されていて2027年3月31日までに登記申請をすませれば良いとされています。

2024年4月以降の相続登記の期限は、下記の通りです。

2024年4月1日までに不動産を相続した場合2027年3月31日まで
2024年4月1日以降に相続が発生した場合取得した日から3年以内
2024年4月1日以降に不動産の遺産分割が完了した場合遺産分割から3年以内

それぞれ詳しく見ていきましょう。

【司法書士解説】相続登記の義務化はいつまでに対応すればいい?

2-1 2024年4月1日までに不動産を相続した場合:2027年3月31日まで

相続登記の義務化が開始される前に不動産を相続していた場合は、2027年3月31日までに登記申請をすませましょう。
2024年4月から相続登記が義務化されましたが、過去の相続については猶予期間が設定されているからです。

2024年4月以降すぐに過去の相続について過料が発生するわけではないので、安心した人もいるでしょう。
ただし、猶予があるとはいえ、相続登記をせず不動産を放置すると所有者が死亡し、権利関係が複雑になるなどのリスクもあります。
そのため、まだ相続登記していない不動産をお持ちの人は、できるだけ早く相続登記をすませておくのが良いでしょう。

2-2 2024年4月1日以降に相続が発生した場合:取得した日から3年以内

2024年4月1日以降に相続が発生した場合、不動産を取得した日から3年以内に相続登記を行いましょう。
なお、不動産を取得した日とは、相続により不動産を取得したことを知った日であり、故人と疎遠であり相続発生を知るのが遅れた場合などは、故人の死亡日と相続登記の期限の起算点がずれる可能性もあります。

2024年4月以降に発生した相続についても3年の猶予が設定されているとはいえ、相続登記を放置するのはリスクがあるので、できるだけ早く登記申請をすませるのがおすすめです。

2-3 2024年4月1日以降に不動産の遺産分割が完了した場合:遺産分割から3年以内

2024年4月以降に不動産の遺産分割が完了した場合、遺産分割完了日から3年以内に相続登記の申請を行わなければなりません。
先ほどの「相続により不動産を取得した日」と「遺産分割が完了した日」の違いに悩む人がいるかもしれないので、違いをより詳しく見ていきましょう。

相続により不動産を取得した日
  • 相続が発生した日
  • 故人の死亡を知った日
遺産分割が完了した日遺産分割協議が完了し、誰が不動産を相続するかが決定した日

亡くなった人が不動産を所有していた場合、相続発生時点で不動産は相続人全員の共有財産として扱われます。

亡くなった人が遺言書を作成していない場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、不動産を受け継ぐ人物を決定しなければなりません。
遺産分割協議が完了したら、決定した内容をもとに遺産分割協議書を作成し、登記申請を行います。

万が一、相続人同士で不動産の遺産分割について揉めてしまい、3年以内に遺産分割協議が完了しない場合は、下記の2回に分けて登記申請しなければならないのでご注意ください。

  • 一旦は相続人申告登記もしくは法定相続による相続人登記を行う(相続発生から3年以内)
  • 遺産分割協議が完了した後に、遺産分割による登記申請を行う(遺産分割協議完了から3年以内)

上記のように、相続から3年経過しても遺産分割協議が完了しない場合、相続登記の期限が2回発生してしまい、手続きに手間がかかってしまいます。

加えて、相続トラブルが発生し遺産分割協議が完了しない場合は、相続人のみで解決するのが難しい場合もあるでしょう。
相続に詳しい司法書士であれば、遺産分割の提案から相続登記の申請までワンストップでサポートできるので、お気軽にお問い合わせください。

遺産分割協議とは?やり方や注意点・相談できる専門家まとめ

3章 相続登記を放置するリスク

本記事で解説してきたように、相続登記は原則として「相続開始から3年以内」の期限が設定されています。
ただし、期限に間に合うからといって登記申請を放置していると、新たな相続が発生するなどのリスクもあるのでご注意ください。

相続登記を放置してしまうリスクは、主に下記の通りです。

  1. 新たな相続が発生し相続人が増えてしまう
  2. 相続人の一部が認知症などになり登記申請できなくなる
  3. 相続登記の必要書類の収集が難しくなる
  4. 相続不動産の活用や売却を行えない
  5. 相続持分を売却されてしまい不動産の権利を主張できなくなる恐れがある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1 新たな相続が発生し相続人が増えてしまう

相続登記をせずに放置すると、新たな相続が発生し、権利関係者が増えてしまう可能性があります。
権利関係者が増えてしまうと、遺産分割協議をまとめるのが難しくなりますし、登記申請に必要な書類もその分多くなってしまいます。

特に、数世代にわたり相続登記を放置していた場合、自分たちで相続登記の手続きを進めることは現実的ではありません。
自分たちで手続きを行うのが難しい場合やそもそも不動産の権利を所有している人が誰かわからない場合は、相続に詳しい司法書士に依頼するのがおすすめです。

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3-2 相続人の一部が認知症などになり登記申請できなくなる

相続発生時には元気だった人も、数年後には認知症や大きな病気を患ってしまう可能性があります。
例えば、父が亡くなったときは、元気だった母も次第に弱ってしまうようなケースです。

認知症などによって判断能力が低下した人は、遺産分割協議に参加することができないため、成年後見人の選任を申し立てる必要があります。
しかし、成年後見人の選任には数ヶ月かかるため、いざ相続登記をしようとしてもすぐにできない恐れもあるでしょう。

加えて、成年後見人を選任すると、裁判所の管理監督下に置かれるため、裁判所への書類提出などが大変です。
さらに、遺産分割協議を前提にして成年後見人を選任するケースでは、司法書士や弁護士などの専門家が選任される確率が高くなります。
専門家が成年後見人として選任された場合、毎月2~4万円程度の費用が本人が亡くなるまでかかり続けます。

成年後見制度とは?利用方法からメリットデメリットまで簡単理解!
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3-3 相続登記の必要書類の収集が難しくなる

公的書は保管期限が決まっているため、過ぎてしまうと相続登記に必要な書類を取得できなくなる恐れがあります。
公的書類の保管期限は、それぞれ以下の通りです。

  • 戸籍(除籍):150年
  • 住民票の除票:5年
  • 除籍の附票:5年
  • 改製原戸籍の附票:5年

期限を過ぎても破棄しない役所もありますが、確実とはいえません。
したがって、時間が経てば経つほど取得できないリスクが高まり、いざというときに相続登記ができない事態に陥る可能性があります。

相続登記で必要な書類を把握!【相続パターン別のわかりやすい一覧表】

3-4 相続不動産の活用や売却を行えない

亡くなった人が所有していた不動産を活用、売却する際には、事前に相続登記をすませておく必要があります。
そのため、相続登記をすませないと相続不動産を有効活用することはできず、固定資産税や維持費などの管理コストだけがかかり続けてしまいます。

相続不動産の活用や売却を考えているのであれば、できるだけ早く相続登記をすませておくのが良いでしょう。

3-5 相続持分を売却されてしまい不動産の権利を主張できなくなる恐れがある

相続登記をせずに放置していると、他の相続人によって相続持分を売却され、権利を主張できなくなる恐れがあります。
遺産分割協議をしていなくても、自分の法定相続分であれば、単独で相続登記をすることが可能だからです。

つまり、遺産分割協議や遺言書において、あなたが不動産を単独所有することになっていたとしても、相続登記をすませないと、他の相続人に共有持分を売却されてしまう恐れがあります。
万が一、他の相続人が怪しい不動産業者等に相続持分を売却し登記されると、権利を主張できなくなるリスクがあります。

なお、2024年4月から始まった相続登記の義務化に伴い、遺産分割協議による登記申請も不動産を受け継ぐ相続人が単独で申請できるようになりました。
そのため、遺産分割協議さえ成立していれば他の相続人の協力がなくても登記申請できるので、できるだけ早く手続きをすませましょう。

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4章 相続登記の手続きの流れ

相続登記の手続きの流れ

相続登記を行うには、登記申請書や必要書類を準備し、法務局に提出する必要があります。
相続登記の流れは、下記の通りです。

  1. 相続不動産を把握し登記記録謄本を取得する
  2. 相続人調査を行い、戸籍・戸籍附表を収集する
  3. 登記記録上の住所と亡くなった人の死亡時の住所が一致しているか確認する
  4. 遺産分割協議を行う(必要な場合のみ)
  5. 管轄法務局を特定する
  6. 登録免許税を計算する
  7. 登記申請書を作成する
  8. 完了書類の受取方法を選択する
  9. 収入印紙の購入・貼り付けを行う
  10. 原本還付の申請をする
  11. 管轄法務局へ書類を提出する

相続登記の際には、戸籍謄本類や遺産分割協議書など様々な書類を提出しなければなりません。
人生において、不動産の相続登記をする機会はそれほど多くないため、初めて相続登記をする人も珍しくないでしょう。

何から準備を始めて良いかわからない場合や平日日中は仕事や家事、育児で忙しく相続登記を進めるのが難しい人は、司法書士に登記申請を依頼することもご検討ください。

【完全版】相続登記が自分でできる!司法書士直伝の簡単申請マニュアル

5章 相続登記にかかる費用・税金

本記事の3章でも簡単に解説しましたが、相続登記の際には「登録免許税」と呼ばれる税金を納める必要があります。
登録免許税の他にも戸籍謄本類などの書類収集費用や司法書士に依頼した場合は報酬がかかります。

相続登記にかかる費用と税金の内訳および相場は、下記の通りです。

費用・税金計算方法・相場
登録免許税不動産の固定資産税評価額×0.4%
(例:不動産が2,000万円の場合、8万円)
添付書類の収集費用数千円~3万円程度
司法書士へ支払う報酬3万円~10万円程度

なお、司法書士へ支払う報酬はあくまで目安であり、相続不動産の価値や相続人の状況によって、金額が異なる場合もあります。
多くの司法書士事務所では無料相談を行っていますので、まずは相談に行き見積もりを出してもらうことをおすすめします。

相続登記にかかる登録免許税の計算方法や納付方法を司法書士が解説

6章 相続登記の期限に間に合わないときは相続人申告登記を行おう

本記事の2章で解説したように、相続発生から3年以内に遺産分割協議が完了しない場合も、一度は登記申請を行う必要があります。
しかし、2024年4月から始まる相続登記の義務化にともない、相続人申告登記が新設されました。

相続人申告登記とは、相続人が不動産の所有者が亡くなり相続が発生したことと②自分が相続人であることを申し出る制度です。
相続人申告登記を行えば、相続登記の期限までに登記申請が間に合わなくても過料の対象にはなりません。

加えて、相続人申告登記は相続人が単独で行えるため、遺産分割協議が完了しなくても行えます。
必要書類も申出人が相続人であることを証明する書類のみのため、法定相続による登記申請を行うよりも手軽に手続き可能です。

相続人申告登記の手続き方法および必要書類は、下記の通りです。

手続きする人相続人(単独で申請可能)
手続き先不動産の所在地を管轄する法務局
費用不要
必要書類
  • 申出書
  • 亡くなった人の戸籍謄本もしくは除籍謄本(亡くなった人の最後の住所が登記記録上の住所と異なる場合)
  • 申請する相続人と故人の関係を証明する戸籍謄本類
  • 申請する相続人の住民票

なお、相続人申告登記を行った後に遺産分割協議が完了したら、完了から3年以内に相続登記の申請を行わなければならないのでご注意ください。

【相続登記義務化】相続人申告登記とは?手続き方法やメリット

まとめ

2024年4月からは相続登記が義務化され、相続から3年以内に登記申請を行わないと10万円以下の過料が発生する恐れがあります。
相続登記の義務化は過去に発生した相続についても適用されるので、まだ相続登記が完了していない不動産をお持ちの人は早めに手続きしておきましょう。

相続登記は自分で手続きできますが、必要書類を集めるのは非常に大変ですし、登記申請書に不備があれば何度も法務局へ行かなければいけなくなります。
司法書士に依頼すれば、必要書類の収集から申請まで一括で行ってくれます。

手続きにかかる期間を短縮し手間を大幅に軽減することができますので、手続きに不安がある方や、時間が司法書士への依頼をご検討ください。

グリーン司法書士法人では、初回のご相談を無料で行っており、ご相談時に依頼費用の見積りも可能です。
オンラインでのご相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

相続登記の際に提出する戸籍謄本の有効期限は?

相続登記の際に提出する戸籍謄本類に有効期限は設定されていません。
そのため、取得時期にかかわらず添付書類として使用可能です。
ただし、亡くなった人の死亡の事実が記載されている戸籍謄本類については「死亡前に発行したもの」「死亡届の内容が反映される前に発行したもの」は無効となります。

相続登記の際に提出する住民票の有効期限は?

相続登記の際に提出する「相続人の住民票」に有効期限はありません。
取得時期にかかわらず、住民票に記載されている住所が現住所と一致しているものであれば添付書類として使用できます。

相続登記の際に提出する印鑑証明書の有効期限は?

相続登記の際に提出する印鑑証明書に有効期限はないため、相続発生前に取得したものでも問題なく使用可能です。
ただし、印鑑証明書は相続登記以外の手続き以外でもたびたび必要になる書類のひとつです。
そして、金融機関での名義変更手続きなどでは「相続開始から6ヶ月以内」などと期限が設定されていることが多い点には注意しておきましょう。

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