- 「長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」とは何か
- 「長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」に記載されている内容
- 「長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」が届いたときの対処法
相続登記が完了していない不動産を所有している場合、法務局から「長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」が届く場合があります。
長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)が届いた場合は、速やかに相続登記の手続きを進めましょう。
2024年4月からは相続登記が義務化されたため、相続開始から3年以内に登記申請を済ませないと10万円以下の過料が発生する恐れがあります。
相続登記の手続きは法務局もサポートしてくれるものの限界がありますし、遺産分割協議についてはアドバイスをしてもらえません。
そのため、遺産分割協議や相続登記の手続きをワンストップで依頼したいなら最初から司法書士に依頼することも検討しましょう。
本記事では、「長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」とは何か、届いたときの対処法を解説します。
相続登記の義務化については、下記の記事で詳しく解説しているので、合わせてお読みください。
目次
1章 「長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」とは
「長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」とは、名前の通り、10年以上にわたり相続登記が完了していない不動産を所有している人に届く書類です。
なお、長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)はすべての人に届くわけではありません。
不動産を受け継いだ相続人が複数人いる場合は、そのうちの1人に届く仕組みとなっています。
2章 「長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」に記載されている内容
上記は、長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)のサンプルです。
長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)には、下記の内容が記載されています。
- 不動産番号および不動産所在事項
- 現在の登記名義人
- 法定相続人情報の作成番号
法定相続人情報の作成番号とは、法務局が作成した法定相続情報一覧図の番号です。
法定相続情報一覧図とは、亡くなった人と相続人の関係を一覧にした図表です。
法務局は、長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)を送付するにあたり不動産情報だけでなく法定相続人に関する情報も整理し法定相続情報一覧図を作成しています。
3章 「長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」が届いたときの対処法
長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)が届いた場合は、相続登記の手続きを進めていきましょう。
2024年4月から相続登記が義務化し、相続開始から3年以内に登記申請を済ませないと10万円以下の過料が発生する恐れがあるからです。
長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)を受け取ってから相続登記を完了させるまでの流れは、下記の通りです。
- 法務局にて法定相続人情報を取得する
- 相続人全員で遺産分割協議を行う
- 相続登記を行う
それぞれ詳しく解説していきます。
STEP① 法務局にて法定相続人情報を取得する
まずは、不動産の住所地を管轄する法務局で法定相続人情報を取得しましょう。
法定相続人情報とは、法務局が相続登記が行われていない不動産を受け継いだ相続人に関する情報をまとめたものです。
長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)が届いた場合は「法定相続人情報を出力した書面の提供依頼書」を提出すれば、無料で法定相続人情報を取得できます。
法定相続人情報を取得できれば、自分たちで相続人調査を行う必要がなく遺産分割協議に移れるため、登記申請にかかる負担を軽減可能です。
STEP② 相続人全員で遺産分割協議を行う
続いて、亡くなった人が遺言書を用意していなかった場合は相続人全員で遺産分割協議を行いましょう。
遺産分割協議とは、誰がどの遺産をどれくらいの割合で相続するかを決定する話し合いです。
遺産分割協議を行い相続人全員が同意すれば、相続した不動産を法定相続分以外の割合で登記申請できます。
例えば、相続した不動産を共有持分ではなく、単独で登記申請したい場合は遺産分割協議を行わなければなりません。
なお、長年にわたり相続登記が行われていない不動産をお持ちの場合、相続人の1人がすでに死亡しており次の相続が発生しているケースや相続人の1人が認知症になり判断能力を失っているケースも考えられます。
そのようなケースでは、相続不動産の権利関係者が増え手続きが複雑になる、認知症になった相続人に成年後見人を選任しなければならない場合もあるので、自分たちで遺産分割協議や相続登記を行うのは現実的ではありません。
相続人の中にすでに亡くなっている人や認知症になっている人がいる場合は、相続登記について司法書士に相談することを強くおすすめします。
STEP③ 相続登記を行う
遺産分割協議が完了したら、相続登記の申請準備を進めましょう。
相続登記をする際には登記申請書を作成し、添付書類を収集する必要があります。
遺産分割協議が完了後に相続登記の流れは、下記の通りです。
- 登録免許税を計算する
- 登記申請書を作成する
- 完了書類の受取方法を選択する
- 収入印紙を購入・貼り付けする
- 原本還付を用意する
- 管轄法務局への申請する
相続登記の方法は、下記の3つから選択可能です。
- 法務局へ直接書類を持参する
- 必要書類を郵送する
- オンラインで申請する
上記のうち、オンライン申請は専用ソフトのダウンロードが必要など手間がかかるため、あまりおすすめできません。
相続不動産が遠方にある場合は、郵送で書類を提出すると良いでしょう。
また、司法書士であれば数万円程度で相続登記を代行してくれます。
4章 「長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」が届いたときの注意点
2024年4月からは相続登記が義務化されたため、長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)が届いたときには速やかに対処することが大切です。
万が一、遺産分割協議が整わず登記申請できない場合は相続人申告登記だけでも行っておきましょう。
長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)が届いたときの注意点は、下記の通りです。
- 2024年4月以降は相続登記が義務化された
- 遺産分割協議がまとまらない場合は相続人申告登記を行う
- 不動産の共有相続はリスクがある
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1 2024年4月以降は相続登記が義務化された
2024年4月からは相続登記が義務化され、相続から3年以内に登記申請が完了しないと、10万円以下の過料が発生する恐れがあります。
相続登記の義務化は、過去に発生した相続についても適用されるので、長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)が届いた場合は速やかに手続きを行いましょう。
4-2 遺産分割協議がまとまらない場合は相続人申告登記を行う
亡くなった人が遺言書を用意していなかった場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が不動産をどれくらいの割合で受け継ぐか決めなければなりません。
しかし、不動産や相続人の状況によっては、遺産分割方法で揉めてしまい協議が整わない場合もあるでしょう。
万が一、遺産分割協議がまとまらず相続登記できない場合は、相続人申告登記の手続きだけでも行っておきましょう。
相続人申告登記とは、①不動産の所有者が亡くなったことと②自分が相続人であることを証明する手続きです。
相続人申告登記を行っておけば、義務化違反による過料の対象から外れます。
そのため、認知症になって判断能力を失った相続人がいて登記申請を行えない場合は、相続人申告登記だけでも行っておきましょう。
相続人申告登記は先ほど解説した法定相続による登記申請と異なり、手続き時に費用もかかりません。
ただし、相続人申告登記を行う際には、下記の点に注意しましょう。
- 手続き後に遺産分割が完了したら相続登記をしなければならない
- 正式な登記申請ではないので手続き後も相続不動産の活用や売却はできない
- 相続人ごとに手続きが必要(代表者がまとめて手続きすることはできる)
相続人申告登記の手続き方法および必要書類は、下記の通りです。
手続きできる人 |
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手続き先 | 相続不動産の住所地を管轄する法務局 |
手続き方法 |
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費用 | 無料 (戸籍謄本類の収集費用は別途かかる) |
必要書類 |
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4-3 不動産の共有相続はリスクがある
不動産は単独で相続するのではなく、共有持分で相続することも可能です。
ただし、共有相続には下記のリスクがあるのでおすすめできません。
- 相続不動産の活用や売却がしにくくなる
- 将来的に権利関係者が増える恐れがある
- 将来、遺産分割による登記申請を行う場合、登記申請の手間や登録免許税が再びかかり二度手間となる
遺産分割協議が整わず法定相続による登記申請を検討しているのであれば、相続人申告登記を行うことを検討しましょう。
相続人申告登記は法定相続による登記申請と異なり無料で手続きできますし、必要書類の数も少なくて済むからです。
まとめ
長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)は、10年以上にわたり相続登記が行われていない不動産をお持ちの場合に届く書類です。
2024年4月からは相続登記が義務化されたため、通知が届いた場合は速やかに登記申請を行いましょう。
なお、相続登記を長年にわたり放置していた場合、相続人が亡くなり次の相続が発生している、相続人の1人が認知症になり判断能力を失っている恐れがあります。
その場合、相続登記の手続きが複雑になってしまうので、相続に強い司法書士に手続きを依頼しましょう。
グリーン司法書士法人では、相続登記についての相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。