自分で相続登記の申請を法務局に行うときの注意点とよくあるQ&A

自分で相続登記の申請を法務局に行うときの注意点とよくあるQ&A
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 10
 この記事でわかること

  • 相続登記を自分で行うか、司法書士に依頼するかの基準
  • 自分で相続登記の申請をする際の注意点
  • 相続登記の流れ

あなたは今、法務局で申請しなければならない相続登記の手続きについて、お悩みではないですか。
相続登記をするには、登記申請書と添付書類を用意し、これをセットにして管轄の法務局に提出必要があります。

このようにシンプルに言えば、ものすごく簡単そうに見える相続登記ですが、職業でしている私たちならともかく、自分でしようと思えば、相当骨の折れる作業です。
仕事抜きでも、頼んだ方がいいですよと言いたいのですが、それぞれの事情もおありかと思います。

まずは、この記事では自分で相続登記申請をする際の注意点をお伝えしますので、自分で相続登記ができるのかどうかの判断基準になさって下さいませ。

なお、相続登記は2024年4月から義務化され、相続から3年以内に登記申請を行わないと10万円以下の過料が発生するのでご注意ください。
相続登記の義務化については、下記の記事で詳しく解説しています。

2024年4月から相続登記が義務化される!放置するリスクとは

1章 相続登記は自分で行う方が良い?司法書士に依頼する?

相続登記は自分で行うこともできますが、司法書士に依頼することも可能です。
なお、本記事の冒頭でも解説しましたが、時間に余裕のない人が相続登記を自分で行うことはあまりおすすめできません。
相続登記の際に行う登記申請書の作成や添付書類の収集は、非常に手間がかかる作業だからです。

相続登記を自分で行えば専門家に支払う報酬を節約できますが、司法書士であれば数万円程度で相続登記を依頼できます。
相続登記を自分で行うメリットおよび専門家に依頼するメリットは、それぞれ下記の通りです。

相続登記 自分 司法書士 メリット デメリット

また、相続登記は相続人や不動産の状況によって、必要書類の数や申請の難易度も変わってきます。
下記を確認して、まずは自分で相続登記が可能かどうかを考えてみるのがおすすめです。
すべての項目で★1つであれば、相続登記の手続きにチャレンジしてみるのも良いでしょう。

相続登記 難易度 チェック

1-1 相続登記を自分で行っても良いケース

仕事を引退していて平日日中に役所や法務局に行くことが苦ではないケースや書類の作成、収集が苦手でない人は相続登記を自分で行っても良いでしょう。
相続登記を自分で行えば、司法書士への依頼費用を節約できるからです。

ただ、人生の中で相続が発生する機会はそれほど多くなく、相続登記を初めてする人も珍しくありません。
人生で何度もする機会がない相続登記について勉強し、自分の大切な時間を使って書類の収集や作成を行った方が良いのか数万円で司法書士に依頼してしまうかは、一度考えてみた方が良いでしょう。

1-2 相続登記を司法書士に依頼した方が良いケース

平日日中は仕事や家事、育児で忙しく法務局や役所に足を運ぶのが難しいケースは、費用を払ってでも司法書士に相続登記を依頼してしまうのが手っ取り早いです。
他にも、下記に該当するケースでは相続登記の手続きが複雑になる、相続登記だけでなく相続手続き全体のアドバイスをもらうために司法書士に依頼をするのが良いでしょう。

  • 代償分割や換価分割など、高度な遺産分割協議を行いたいケース
  • 一世代以上前のご先祖様名義のまま放置されていたケース
  • 相続した不動産が遠方にあるケース
  • 遺産分割協議についてアドバイスを求めたいケース
  • 相続人同士が不仲(疎遠)なため、手続きに向けて連携しづらいケース
  • 急いで相続登記しないといけないケース
  • 相続人となるのが配偶者、子供以外のケース

多くの司法書士事務所では初回無料相談を行っていますので、自分で相続登記するか司法書士に依頼するか悩んでいる人は一度相談をしてみるのも良いでしょう。
相談をした上で「自分でやってみよう」と思われた人向けに次の章では、相続登記を自分で行う際の注意点について詳しく解説していきます。

相続登記の司法書士【報酬相場】と【依頼を検討した方が良いケース】

2章 【法務局に行く前にチェック】自分で相続登記申請するときの注意点

自分で相続登記を行う場合は、費用が安く抑えられる分、自分ひとりで頑張らなければなりません。
自分でやってみて「諦めた!」「失敗した!」という依頼者の方の体験をもとに、ここが重要という注意点をまとめました。

  1. 共有分割はできるだけ避けよう
  2. 平日に時間を確保しなければならない
  3. 相続登記は不動産の所在地を管轄する法務局で行わなければならない
  4. 登記申請を取り下げる方法を理解しておく
  5. 申請前には必ず提出書類を見直す
  6. 提出時には原本還付請求を行う
  7. 受付番号を控えておく
  8. 相続登記が完了したら事後確認をする
  9. 状況が変わったら司法書士に依頼することも考えておく

それぞれ詳しく紹介していきます。

2-1 共有分割はできるだけ避けよう

相続登記をする際には単に必要書類を準備するだけでなく「誰が不動産をどれくらいの割合で受け継ぐか」を決定しなければなりません。
遺産分割方法や相続割合を適当に決めて相続登記をしてしまうと、後で大変な思いをするのでご注意ください。

相続登記をする上で最低限押さえていただきたい重要なポイントは「共有を避ける」ということです。
不動産を共有で相続してしまうと、いずれは共有者が亡くなり次の相続が発生します。

相続人増え方/3世代進んだときの相続人の数

上記のイラストのように、複数回の相続が発生すると何世代か後には、不動産の共有者が雪だるま式に増えてしまう可能性もあるでしょう。
将来的に不動産を活用したい、売却したいと思ったとき、権利関係者が多く全員の合意を得られずいつまでたっても話がまとまらない恐れもあります。

このような事態を避けるためにも、不動産を共有で相続することは可能な限り避けることを強くおすすめします。
相続に精通した司法書士であれば不動産や相続人の状況に適した遺産分割方法も提案できるので、お気軽にお問い合わせください。

不動産の共有持分は売却できる?売却する方法と注意点を徹底解説!
共同相続人とは?法定相続人との違いや共有財産の相続手続きを解説

2-2 平日に時間を確保しなければならない

法務局に相続登記を申請するためには、何日か平日に時間を確保しなければなりません。
相続の仕方によっていろいろな書類を集めなければなりませんが、書類を発行してくれる役所は平日の日中しか開いていないためです。

書類収集以外にも、法務局への相談、法務局への申請、申請した書類の補正処理などを考えると、最低でも4~5日程度は平日に時間を確保する必要があるでしょう。
また、法務局からの訂正の連絡電話は平日に入ります。
電話に出られないと登記が却下されるなど大事に至る可能性がありますので、相続登記申請が完了するまでは、法務局からの電話には出られるようにしておきましょう。

2-3 相続登記は不動産の所在地を管轄する法務局で行わなければならない

相続登記はどこに申請してもいいわけではなく、不動産の所在地を管轄する法務局に申請する必要があります。
​管轄外の法務局に申請しても、受付してもらえないのでご注意ください。​

相続登記についての「相談」は別管轄でも受けてもらえることもありますが、法務局ごとに手続き方法が違う場合もあるので、可能な限り、管轄法務局に相談するのが良いでしょう。

亡くなった人が遠方に住んでいた場合、ほとんどの場合は相続不動産の所在も遠方にあるため、管轄法務局も遠方になってしまいます。
こうした場合は、郵送での相続登記申請も可能です。

法務局の管轄一覧はこちら

2-4 登記申請を取り下げる方法を理解しておく

相続登記申請を自分で法務局に申請する場合、書類が足りなかったり、申請書に大きな間違いがあったりして、法務局の審査に通らないことがあります。
万が一のときに備え、申請を取り下げる方法も覚えておかなければなりません。

というのも、審査に通らない相続登記申請は、何もしなければ「却下」されてしまうからです。
却下されてしまうとせっかく作った申請書は返ってこないため、再度作成する必要があるからです。
一方で、相続登記申請を取り下げれば、法務局から提出した申請書を返してもらえます。

また、取り下げとともに収入印紙の再使用証明の申請をすることで、一度使った収入印紙を再利用できます。
したがって、万が一に備え、相続登記申請を取り下げる方法も覚えておくことが重要です。

取り下げ書 (サンプル)

再使用証明申出書 (サンプル)

2-5 申請前には必ず提出書類を見直す

当たり前のことですが、相続登記を法務局に申請する前には、間違いがないようにしっかりチェックしなければなりません。
なぜ、当たり前のことを書いているかというと、法務局は役所の中で一、二を争う厳格な役所だからです。
提出した登記申請書に1文字でも間違いがあれば、訂正しない限り申請を通してはくれません。

司法書士事務所であっても、複数の者が申請書に誤りがないか何度もチェックしてから申請するのが通常です。
相続登記の管轄法務局が近くにあればいいのですが、遠方の場合、訂正するだけでも一苦労です。
申請書の訂正は、郵送での手続きは認められず管轄法務局に行かないといけないからです。
「申請書訂正のために里帰り」というのは、案外よくあることなのでご注意ください。

2-6 提出時には原本還付請求を行う

相続登記において、戸籍・住民票・遺産分割協議書・印鑑証明書・評価証明書などは原本還付してもらった方がいいでしょう。
原本還付をしてもらわなければ、他の相続手続きの際に取り直しをする必要があるためです。

戸籍謄本は1通取得するのに数百円程度の手数料がかかることもありますし、遺産分割協議書は遺産分割に関する契約書であり再び作成するのは非常に手間がかかります。

2-7 受付番号を控えておく

相続登記をすると法務局から「受付年月日」とセットとなった「受付番号」が発行されますので、メモなどに控えておきましょう。
法務局は毎日多くの登記申請を扱っているため、自分の登記申請の件で問い合わせる際には、「年月日・受付番号」にて特定してもらう必要があるからです。

また、残念ながら取り下げないといけないときには、自分がした登記申請を「年月日・受付番号」で特定して取り下げ申請する必要があります。
提出した後に受付番号を教えてくださいと伝えて、受付番号を教えてもらってください。

2-8 相続登記が完了したら事後確認をする

相続登記が終わったら、正確に登記がなされているか確認するために、登記簿謄本(登記事項証明書)を取得して確認しましょう。
法務局は「ほぼ」100%間違いなく登記をしてくれますが、ごくまれに間違って登記されることがあるからです。

例えば、相続不動産をすぐに売却するような事情がある場合、売買の直前で登記が間違っていることが分かると、売買が遅れてしまい違約金が発生する恐れもあります。
きちんと登記されているか確認するまでが、相続登記となります。

2-9 状況が変わったら司法書士に依頼することも考えておく

専門家でない方が自分で法務局に相続登記申請をする場合、何事もなく申請が通るのはごく一部のケースです。
「あれが足りない」「これが間違っている」と何度も呼び出されるのが通常ですので、もし法務局に何度も足を運ばないといけないからといって、くじけて諦めてはいけません。

しかし、相続の内容が複雑であったり、急ぐ事情があったりする場合は、すぐにあきらめて専門家にバトンタッチをした方が得策でしょう。


3章 相続登記の全体の流れ

法務局への相続登記の申請方法は、大きく6ステップに分かれます。

  1. 不動産の情報を取得しよう
  2. 戸籍住民票を取得しよう
  3. 固定資産税評価証明を計算しよう
  4. 相続登記の必要書類を作成しよう
  5. 申請書を組み上げよう
  6. 法務局へ申請しよう

章末に詳しい申請方法の記事へのリンクを用意していますので、流れを把握した後はそちらを参考になさってください。

STEP① 不動産の情報を取得しよう

まずは、相続不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)で、所有者は誰かを確認しましょう。
​もしかすると、実は所有者でなかったというような事情が判明するかもしれません。​

登記簿謄本(登記事項証明書)は法務局にて発行してもらえます。
登記簿謄本(登記事項証明書)の取得方法は、下記の通りです。

取得できる人誰でもできる
取得先法務局
(不動産の所在地以外の法務局でも取得可能)
取得方法
  • 窓口発行
  • 郵送請求
  • インターネットによる閲覧
比喩1通あたり480円
土地の所有者を調べる方法とは?所有者と名義人が異なるときの対処法

STEP② 住民票・戸籍を取得しよう

相続登記の際には、亡くなった人が所有者であることの証明や次に所有者となる相続人の正確な住所を証明するために住民票が必要です。
また、誰が相続人となるのかを法務局に証明するために戸籍謄本類が必要となります。

具体的には、下記の書類を収集しましょう。

  • 亡くなった人の住民票
  • 所有者になる相続人の住民票
  • 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本類
  • 相続人全員の現在戸籍謄本

これらの書類は、市役所の市民課で発行してもらえます。

相続人調査(戸籍収集)とは?詳しい手順から方法まで専門家が簡単解説

STEP③ 固定資産税評価証明を取得しよう

法務局への手数料を計算するために、不動産の固定資産税評価証明が必要です。
すでに取得している不動産の登記情報と同じ「地番」「家屋番号」で特定して「市役所」「市税事務所」などで取得します。

古い権利証に取得した当時の評価証明書が合綴されていることがありますが、相続登記には最新のものが必要となるので注意しましょう。

STEP④ 相続登記の必要書類を作成しよう

必要書類の収集が完了したら、登記申請書など提出書類を作成していきましょう。
相続登記の際に作成が必要な書類は、下記の通りです。

手書きでも問題ありませんが、誤字などを防ぐためパソコンで作る方が良いでしょう。

  • 相続関係説明図
  • 遺産分割協議書
  • 登記申請書
相続登記の申請書作成で大事なポイントを紹介【法務局審査一発OKへの道】

STEP⑤ 申請書を組み上げよう

続いて、作成した登記申請書類を次の順にホッチキスで合綴していきます。

  1. 申請書
  2. 登録免許税分の印紙を貼った紙
  3. 原本還付書類のコピー
  4. 相続関係説明図

続けて添付書類をクリアファイルにひとまとめにしておきます。

STEP⑥ 法務局へ申請しよう

登記申請書が組み上がったら、法務局へ申請します。
窓口に持参でも良いですし、遠方であれば郵送による申請も可能です。
なお、相続登記はオンライン申請も可能ですが戸籍謄本類はオンライン提出できない、事前に準備が必要などの理由によりあまりおすすめできません。

遠方に郵送で申請する場合は、訂正が困難なので、しっかりチェックして申請しましょう。
書類返却用の書留封筒(レターパックで代用可)もお忘れないようにしてください。

【完全版】相続登記が自分でできる!司法書士直伝の簡単申請マニュアル

4章 相続登記の事例紹介

続いて、弊事務所が相続登記を担当した事例をいくつか紹介いたします。

①曾祖父名義の土地の相続|名義変更を怠った場合の注意事項

亡くなった父親の相続手続きを行いたいが、曾祖父名義の土地も相続財産として残ってしまっているケースです。

まずは相続人の調査を行い、遺産分割協議を進めることをご提案いたしました。
詳しくは、下記リンクの事例紹介ページをご参照ください。

【相続登記】曾祖父名義の土地の相続|名義変更を怠った場合の注意事項

②父名義の不動産の相続|複数の不動産を所有していたケース

続いて紹介するのは、亡くなった父親が複数の不動産を所有していたケースです。
相談に訪れた息子さんは父親と長年疎遠であり、亡くなったお父様がどこにどんな不動産を所有していたかもはっきりしない状態でした。

相続財産調査を丁寧に行い、相続登記の際に漏れがでないように手続きを進めました。
詳しくは、下記リンクの事例紹介ページをご参照ください。

相続登記の経験談・解決事例

まとめ

相続登記は自分で手続きもできますが、書類の収集や作成も非常に手間がかかります。
加えて、法務局に提出した書類に不備があると、その度に相続不動産の管轄法務局に行き修正をしなければなりません。

相続登記の手続き自体は自分でも行えますが、とにかく時間の確保や途中で諦めないことが重要となります。
途中で諦めてしまえば、時間の無駄となってしまうので、しっかり法務局と打合せをして、相続登記申請を成功させてください。

相続登記を自分でしようとしたが難しいと感じた場合は、司法書士に依頼してしまった方が良いケースもあるでしょう。

グリーン司法書士法人では、相続登記についての相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

相続登記手続きの必要書類は?

・亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
・亡くなった方の住民票の除票
・相続人全員の戸籍謄本
などがありますが、相続シチュエーションによって必要な書類が変わってくるので、まずは状況を確認しましょう。
主なパターンは「遺産分割協議による相続登記」「法定相続による相続登記」「遺言書による相続登記」の3パターンです。
詳しくは下記リンク先をご参考にしてください。
▶相続登記の必要書類を簡単チェック

相続登記はいくらかかる?

・相続した不動産の調査費用:2,000~3,000円
・必要書類の収集費用:1~3万円
・登録免許税:固定資産評価額に0.4%をかけた金額
・司法書士に支払う報酬:6~13万円(自分で行う場合はかからない)
詳しくは下記リンク先をご参考にしてください。
▶相続登記にかかる費用・司法書士の報酬を徹底解説!

相続不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)はどこで取得できる?

どこの法務局でも取得できます。
また、登記簿謄本(登記事項証明書)は、いつでも誰でも取得することが可能です。
ただし、土地なら地番、建物なら家屋番号という住所とは異なる番号が必要となるので、事前に確認が必要です。

相続する不動産がどこにあるかわかりませんが法務局に行けば全部調べられる?

どれを相続するのかは法務局では分かりません。
亡くなった人の不動産がある可能性が高い市町村役場にて亡くなった人の不動産の名寄せ帳を請求してください。
名寄せ帳は、固定資産税の課税台帳から亡くなった人の情報を抜粋したもので、該当する市町村が管轄する亡くなった人の所有不動産が網羅できる便利な書類です。
ただし、市町村単位となるので、別の市町村にある不動産は、各別の市町村に請求しなければなりません。
▶名寄帳について詳しくはコチラ

登記簿謄本を見ると亡くなった父が債務者となっている抵当権が残っていました。どうしたらいい?

相続不動産が担保になっている、または、なっていたということですね。
すでに債務を返し終えていたら抵当権を抹消する手続きを追加で行うだけです。
一方で、債務が残っているようなら、相続放棄なども考慮しなければなりません。
なお、相続登記をしてしまうと相続する意思があるとみなされ、相続放棄ができなくなるので注意してください。
なお、住宅ローンであれば団体信用生命保険の保険金で完済できる可能性がありますので住宅ローン会社に相談しましょう。
▶抵当権抹消について詳しくはコチラ
▶相続放棄について詳しくはコチラ

登記申請書は法務局においてある?

登記申請書は法務局においてありません。
登記申請書は、千差万別で、住民票を取得するときのような申請書では対応できないからです。
したがって、登記申請書は自分で作成しなければなりません。
法務省のホームページではひな形をダウンロードすることが可能ですので、ご利用くださいませ。

法務局への相談は管轄違いでも大丈夫?

申請は管轄の法務局にすることが必要ですが、相談だけなら管轄違いでも受けてもらえる法務局は多いです。
まずは、最寄りの法務局でご確認ください。
法務局の相談はほとんどが予約制なので、事前に電話等で予約をすることを忘れないようにしましょう。
なお、法務局では相続登記の申請方法は教えてくれますが、どのように相続した方がいいかなどの法律相談でや相続税についての相談は受けてくれません。
法律相談や税務相談は各専門士業の仕事となるからです。
また、原則として法務局では申請書の内容(申請が通るかどうかなど)の事前チェックはしてもらえません。
法務局は登記申請があった後しか審査(チェック)してはいけないことになっているからです。

父母が立て続けに亡くなりました。法務局で登記情報を見たら、父母の共有でした。相続登記を一回で済ませられないでしょうか。また、県外にも相続不動産があるのですが、一回で相続登記を申請することはできませんか。

共有の不動産は法務局の管轄が同じなので一回で済ませられますが、県外の不動産は管轄が異なるのでできません。
父母の相続はそれぞれ別の相続なので、一個の申請ではできませんが、複数の申請書を同時に提出可能です。
不動産の管轄法務局が同じであれば、父の相続に関する登記の申請書と母の相続に関する登記の申請書を作って同時に提出することで(連件)、実質一回の提出で済ませられます。
しかし、法務局の管轄が異なる不動産については、それぞれの管轄法務局で相続登記申請をしなければなりません。
必要書類の原本還付を受けなければ必要書類が2セット必要となるので、相続登記申請のときには原本還付請求も合わせて申請するのがよいでしょう。

登記申請書は手書きでも大丈夫?

大丈夫ですが、楷書で丁寧に書く必要があります。
登記申請書は「申請書の通りに登記をしてください」という意味合いの書類ですので、略字や異なる字体などは使わないようご注意ください。
手書きでも大丈夫ではありますが、書き誤りなどが無いようにパソコンでの作成をおすすめします。

去年相続登記を申請しましたが、新しい物件が判明しました。法務局に去年の相続登記の添付書類を原本還付してもらえる?

できません。
原本還付は申請の際に請求しておかなければならないからです。
こういった事態が起きないように、登記申請の際には原本還付しておきましょう。

認知症の父と歩けない兄がいます。母が亡くなったので、二人の相続登記申請を代理したいのですが、司法書士以外が代理してもいいのですか。

可能な場合もあります。
お金をもらって登記申請の代理をすることや、継続性がある相続登記申請代理は司法書士と弁護士しかできません。
一方で、一回限り無報酬で代理申請をする分には問題ありません。
ただし、お父様は認知症とのことですので、度合いによっては家庭裁判所へ成年後見の申立てをして、成年後見人から申請しなければならない恐れがあります。

相続登記が終わったら法務局から連絡がくる?

相続登記が完了しても連絡は来ません。
各法務局では登記の完了予定日をホームページで公開しているので、予定日以降に受付番号を伝えて完了しているか確認し、完了書類を受け取りにいく必要があります。
完了書類の受け取り時は、登記申請書に押した印鑑が必要になるので忘れないようにしましょう。
自分宛の書留用返信封筒やレターパックを申請時に提出しておけば、完了時に郵送にて完了書類を送ってもらえます。
返ってきた書類の中にある「登記識別情報通知書」というシールの貼ってある書類が、いわゆる「権利証」のようなものですので、紛失されないように注意してください。

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