「相続登記を司法書士に依頼するといくらかかるの?」
「相続登記は司法書士に依頼したほうがいいの?」
人生のうち1度か2度しか経験しない「相続登記」について、あなたもこのような疑問をお持ちではないでしょうか?
相続登記はやろうと思えば自分で行うこともできます。
しかし、ケースによっては司法書士へ依頼した方が良い場合もあります。
司法書士に相続登記を依頼した場合の報酬相場は以下のとおりです。
- 相続登記申請を依頼した場合【報酬相場は5万円~8万円】
- 戸籍収集や遺産分割協議書の作成など含め総合的に依頼した場合【報酬相場は7万円~15万円】(司法書士の報酬は不動産の評価額や物件数、相続人の数などによって増減します。)
これまで相続登記に法的な期限はありませんでしたが、長期間放置しておくと相続人の数が増え、遺産分割協議が困難になるなど様々なリスクが発生するため、自分で行うにせよ、司法書士に依頼するにせよ、放置することなく相続登記を完了させいただきたいと思います。
しかし、令和3年(2021年)に相続登記義務化の法案が可決され、令和6年(2024年)までに施行予定となっています。このため、次の相続が発生した時には義務化されている可能性が高いでしょう。今のうちから、なるべく早く手続きをされるのがオススメです。
自分で行う場合と司法書士へ依頼した場合のメリット・デメリットを表にまとめましたので、合わせて参考にしていただければと思います。
目次
1章 相続登記は司法書士に依頼すべき?それとも自分でできる?
相続登記は自分で行うこともできます。
しかし、司法書士に依頼するか自分でするかは、司法書士へ支払う報酬との費用対効果や、ご自身でやり遂げることができる時間の確保などを含め総合的に判断することがベストだと考えています。
なぜなら煩雑な手続きが面倒になり、放置されるケースも少なくないからです。
まずは司法書士への依頼を検討した方が良いケースを事例ごとに紹介しますので、ご自身の状況に照らしてみてください。
1-1 司法書士への依頼を検討した方が良いケース
ここでは「司法書士への依頼を検討した方が良いケース」をいくつかご紹介させていただきます。
1-1-1 代償分割や換価分割など、高度な遺産分割協議を行いたいケース
例えば以下のような法務・税務の面で高度な知識が必要となる遺産分割協議を行う場合は、司法書士に依頼するのが良いでしょう。
なぜなら、登記申請や相続税申告の際に必要となる遺産の分け方を明記した「遺産分割協議書」には、遺産の分割方法に応じた正しい文章で正確に作成することが非常に重要になるからです。
【司法書士へ依頼した方が良い高度な遺産分割協議とは】
例えば長男Aさんが住宅を相続する代わりに、次男Bさんに代償金として1000万円渡すようなケースです。
遺産の分割方法について詳しく知りたい方はこちら
1-1-2 一世代以上前のご先祖様名義のまま放置されていたケース
曽祖父、祖父など、親の代以上の人間の名義になっている不動産を相続する場合も、司法書士に依頼する方がいいと言えるでしょう。理由は大きく2つあります。
(理由①)
場合によっては戦前の旧民法を紐解き、相続人を確定しなければならない可能性があるため、一般の方には難易度が高い。
(理由②)
代を遡るほど相続人の数が膨大になるため、相続人調査や遺産分割を自分たちだけで行うのが難しくなる。
例えば曽祖父名義の不動産を相続する場合、10人以上の相続人が絡んでくる可能性があるため、相続の話し合いを進めるのは非常に困難になります。
難しさ、手間、かかる時間を考え、司法書士へ依頼することも検討しましょう。
1-1-3 相続した不動産が遠方にあるケース
相続登記はその不動産を管轄している法務局で申請手続きを行う必要があります。ですので、相続した不動産が遠方の場合は、遠方の法務局で手続きを行わなければなりません。
この場合も司法書士へ依頼した方がいいケースと言えるでしょう。なぜなら何度も法務局へ行くことが出来なかったり、法務局へ行く交通費が嵩むことになるからです。書類に不備があった場合も、すぐに法務局へ行って補正手続きを行うこともできません。
なお、郵送で申請することもできますが、ただでさえ慣れない手続きなので、非常に難しく感じることでしょう。
法務局における手続内容について詳しく知りたい方はこちら
1-1-4 遺産分割協議についてアドバイスを求めたいケース
例えば以下のように遺産分割協議について、アドバイスを受けたいと考えている場合は、相続登記を司法書士へ依頼する際にアドバイスを求めるのが良いでしょう。
- 遺産の評価方法や分配方法についてアドバイスしてほしい
- 母(父)も高齢なので、誰の名義にしておくのがいいのか悩んでいる
- 二次相続もふまえて分配方法を決めたい
相続登記は一度やってしまうとやり直しが大変困難であるため、よく考えて慎重に決定することが非常に大切です。
また、相続に精通した司法書士に相談すれば、認知症リスクや相続トラブルの発生リスクなど相続に関する様々なアドバイスをしてくれるでしょう。
1-1-5 相続人同士が不仲(疎遠)なため、手続きに向けて連携しづらいケース
相続登記において重要な「戸籍収集」や、遺産の分け方の話し合い「遺産分割協議」をスムーズかつ正しく行うには相続人同士の連携が必要になります。
不仲・疎遠だとそもそも連絡先すらわからないこともあります。
例えば以下の様なシチュエーションです。
—相続人同士が不仲・疎遠で司法書士に依頼がある例—
父が亡くなり、相続人は子供2人。
兄が相続手続きを進めているが、弟とは交流がなく住所や電話番号すらわからない。
また、連絡が取れても感情的になってしまい冷静に話ができないかもしれない。
今後、どのように遺産分割協議や相続手続きを進めていったらいいかわからず困っている。
この様な場合、自分でなんとかするのは非常に困難です。
住所や連絡先がわらない場合や、できれば連絡を取りたくない場合などは、第三者である司法書士を介して相続手続きを進めるのも一つの方法です。
1-1-6 急いで相続登記しないといけないケース
相続した不動産を売却することが決まっている場合は、取引の予定日までに必ず相続登記を完了させておく必要があります。
万が一、取引の予定日までに間に合わなかった場合は買主に大変な迷惑がかかったり、違約金を請求される可能性もあるため、プロである司法書士へ依頼するべきでしょう。
1-1-7 相続人となるのが配偶者、子供以外のケース
兄弟姉妹や甥姪が相続人になるような場合は、集めるべき戸籍の量が複雑かつ大量になるため、戸籍収集の難易度が高まります。手間・かかる時間を考え司法書士に依頼することも検討しましょう。
相続人が多数になるケースについては、それぞれの記事をご覧ください
1-2 自分で相続登記するために必要な3つの条件
ここまで司法書士に依頼した方が良いケースを紹介してきましたが、
「とはいえ、費用もかかるし何とか自分で済ませられないものかなぁ・・・」
とお考えの人も多いのではないでしょうか?
ここでは自分で相続登記するときに必要な3つの条件を説明いたします。
すべてに当てはまる人は自分で行うことを検討してもいいと思いますが、1つでも当てはまらないことがある人は、手続きの途中で面倒くささや煩雑さに「やっぱり依頼しておけばよかった」と後悔する可能性があるため、次に説明する3つの条件を自分でできるかの判断材料にしていただければと思います。
【自分で相続登記するために必要な3つの条件】
1)平日の日中に行動できる時間がある。
市区町村役場も法務局も平日の日中のみの対応が原則です。そのため平日の日中に役所をまわって必要な書類を集めたり、法務局へ相談に行ったりする必要があります。
2)根気がある。
精神論になってしまい申し訳ないですが、はじめて相続登記の手続きを行うには戸籍謄本を読み解いたり、税金の計算をしたり、何度も役所に足を運んだり、手間暇・労力・精神的ストレスがかかるため根気が必要です。
3)正確な書類を作成できる。
相続登記の手続きをするには「遺産分割協議書」や「登記申請書」など、法律要件や申請様式を満たした書類を正確に作成しなければなりません。ネットや本、法務局に相談して得た情報をもとに自力で作成することになります。
ご自分で相続登記をやりたいという方は、こちらの記事も是非参考にしてみてください。
最後に司法書士へ依頼した場合の費用対効果を判断するため、司法書士の報酬相場と相続登記にかかる費用を見ていきましょう。
2章 司法書士の報酬相場と相続登記にかかる費用
ここでは司法書士の報酬相場を中心に、相続登記にかかる費用について説明していきます。
また、ご自身で手続しようと考えている人も、費用対効果という目線で再考してみてもいいでしょう。
2-1 司法書士報酬相場【相場5万円~8万円(一般的な自宅の場合)】
司法書士の報酬は、不動産の数や不動産の評価額によって、大きく増減しますが一般的な自宅(評価額1000万円~3000万円)であれば、5万円から8万円が相場と言えるでしょう。
しかし、ここでいう報酬は「相続登記申請」の報酬なので、「戸籍収集代行」や「遺産分割協議書作成」など、相続登記に必要な手続きを総合的に依頼すれば、7万円~15万円程度になるでしょう。
また、複数の不動産がある、相続人の人数が10名以上いる場合など、ケースによって司法書士報酬が数十万円となる場合もあります。
2-2 司法書士費用を抑えるコツ
相続登記完了させるには、主に5つの手続きをしなければなりません。
主な手続きを司法書士へ依頼した場合の報酬相場と分で行う場合の難易度は次のとおりです。
(自宅以外の不動産をお持ちの場合などは、上記の報酬相場に該当しませんのでご注意ください。)
上記のうちできることを自分で行えば、その分司法書士費用を安く抑えることができます。
2-3 司法書士報酬以外に相続登記にかかる費用
相続登記を行うには司法書士報酬以外にも様々な費用がかかります。
これらの費用は実費ですので、ご自身で手続きされた場合でもかかる費用になります。
相続登記を行う際にかかる実費は以下のとおりです。
2-4 司法書士へ依頼した場合の見積書を見てみよう
ここでは司法書士へ依頼した場合の相続登記の見積書(サンプル)を見てみましょう。
上記見積書の「報酬額」の部分が司法書士報酬で「登録免許税又は印紙税」の部分がご自身で行った場合にもかかる実費費用になります。
3章 よい司法書士の探し方
次に司法書士へ依頼しようと判断された方は司法書士事務所を探す必要があります。
司法書士は国家資格ですので、どの司法書士へ依頼しても「相続登記を完了させる」という結果は同じかも知れません。
しかしながら、司法書士も依頼者主あってのサービス業であることから、以下の点については事務所によって差が生まれます。
- 完了までのスピード
- 明瞭な料金体系
- 丁寧でわかりやすい説明
また、司法書士といえども、全員が相続全般を得意業務としている訳ではないので、次のような場合は、相続案件を数多く扱っている司法書士事務所を探して依頼することをオススメします。
なぜなら、相続案件を数多く取り扱っている司法書士事務所には、多種多様な相続案件が集まるためノウハウや経験値が蓄積されており、幅広く相続に関する相談に対応してくれるからです。
【相続に精通した司法書士へ依頼した方がいい場合】
- 不動産以外の相続手続きや名義変更についても相談したい。
- 不動産の名義を誰にするのか、専門家の意見を聞いてから決めたい。
- 二次相続対策や生前対策についても相談したい。
- 連絡の取れない相続人や不仲な相続人がいる。
- とにかくスピーディーに手続きを進めてほしい。
上記のケースに1つでも該当した人はインターネットで「大阪 相続」(居住している都道府県+相続)と、検索して、相続に強い司法書士事務所を調べてみましょう。
ホームページから調べる相続に強い司法書士事務所のチェックポイントは次のとおりです。
- 相続専門のHPがある。
- HPに相続案件の取り扱い件数が表示されている。
- 家族信託や遺産整理など、相続に関する幅広い情報が記載されている。
- 司法書士が複数在籍している。
- 相続に関するセミナーを頻繁に開催している。
なお、当メディアを運営していますグリーン司法書士法人は、判断基準となるチェックポイントを全て満たしております。
目安となるHPを参考にしたい人はこちら
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まとめ
相続登記は自分でやろうと思えばできますが、ケースによっては司法書士へ依頼した方がいい場合があります。
また、それなりに煩雑な事務や手続きをしなければならないので、依頼する費用対効果を検討して総合的に判断することがベストです。
相続登記を司法書士へ依頼する場合は、以下の費用がかかります。(不動産はご自宅のみの相続登記の場合)
【相続登記申請のみ依頼:報酬相場:5万円~8万円程度】
【協議書作成などを含む総合的な依頼:報酬相場7万円~15万円】
なお、司法書士へ依頼する場合は相続に精通した司法書士事務所へ相談することをオススメします。
相続登記を放置しておくと様々なリスクがあるので、ご自身で行う場合でも当メディアの記事などを活用し、放置することなく最後まで手続きしていただきと思っています。
よくあるご質問
相続登記を司法書士に頼んだらいくらかかるの?
司法書士に相続登記を依頼した場合の報酬相場は5万円~8万円です。
戸籍収集や遺産分割協議書の作成なども含めた総合的な対応を依頼した場合の報酬相場は7万円~15万円です。
これはあくまで相場で、司法書士の報酬は、不動産の評価額や物件数、相続人の数などによって増減します。
詳しくは下記リンク先をご参考にしてください。
▶司法書士の報酬相場と相続登記にかかる費用司法書士に依頼できるのはどのようなこと?
司法書士は弁護士よりも身近なことを相談できる専門家です。
不動産の名義変更に関わる手続き(登記手続き)、法律に関する書類を作成することなどを行っております。
<司法書士の対応業務>
・不動産登記に関する業務
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・家族信託に関する業務
・会社、法人の登記に関する業務
・債務整理(任意整理、自己破産、個人再生)
・簡易裁判所での訴訟行為(過払い請求や建物明渡訴訟)
詳しくは下記リンク先をご参考にしてください。
▶司法書士に相談できること・できないこと【一目でわかる一覧表】