相続関係説明図を作成すれば、金融機関や法務局に相続手続きの際に提出する戸籍謄本の原本を返却してもらえます。
相続手続き時の戸籍謄本の発行手数料を抑えたい場合には、相続関係説明図を作成するのがおすすめです。
相続関係説明図では亡くなった人と相続人の関係を一覧で示す必要があります。
亡くなった人が養子縁組をしていた場合には、養子も相続関係説明図に記載し亡くなった人との関係を記載しておきましょう。
本記事では、養子縁組の状況別の相続関係説明図の作成方法や記載例を紹介していきます。
相続手続きについては、下記の記事もご参考にしてください。
目次
1章 相続関係説明図とは
相続関係説明図とは、亡くなった人と相続人の関係を一覧にまとめた表です。
亡くなった人を中心に子供や配偶者、兄弟姉妹や孫などの相続手続きに関係する人物を線でつないで表します。
相続関係説明図を作成すれば、相続手続き時に戸籍謄本の原本を返却してもらえるなど以下のメリットがあります。
- 相続関係が明確になり相続手続きをスムーズに進められる
- 相続手続き時に提出した戸籍謄本等の原本を返却してもらえる
預貯金の名義変更手続きや相続登記時には金融機関や法務局に、亡くなった人と相続人の関係性を示す戸籍謄本等の提出が必要です。
各機関では戸籍謄本の原本提出を求められますが相続関係説明図を提出すれば、戸籍謄本の原本は確認後に返却してもらえます。
戸籍謄本の発行にかかる手数料を減らせるので、相続手続きの費用を抑えたい場合におすすめです。
相続関係説明図とよく似た書類に法定相続情報一覧図があります。
法定相続情報一覧図も亡くなった人と相続人の関係を一覧にした書類ですが、相続関係説明図と異なり法務局の承認を得ています。
法定相続情報一覧図があれば、相続手続き時に戸籍謄本一式の提出が不要になるので複数の相続手続きを同時並行で進めることが可能です。
2章 養子がいるときの相続関係説明図を作成する流れ
相続関係説明図は相続人調査をして相続人を確定させた後に記載をしていきます。
相続人調査および相続関係説明図の作成は、以下の流れで進めていきましょう。
- 亡くなった人の戸籍謄本を取得する
- 相続人の戸籍謄本を取得する
- 相続関係説明図に記載していく
それぞれ詳しく解説していきます。
相続人調査については、下記の記事もご参考にしてください。
STEP① 亡くなった人の戸籍謄本を取得する
まずは、亡くなった人の生まれてから死亡するまで連続した戸籍謄本を取得していきましょう。
戸籍謄本は本籍地のある市区町村役場で取得可能です。
また、戸籍謄本は結婚や離婚、本籍地の移動などにより作り変えられています。
戸籍謄本には以前の本籍地や戸籍が新たに作り変えられた理由が記載されているので、以下のように死亡時から戸籍謄本を遡って取得していきましょう。
死亡時点の本籍地がわからない場合には、住民票の除票を取得すれば本籍地を記載してもらえます。
STEP② 相続人の戸籍謄本を取得する
亡くなった人の生まれてから死亡するまで連続した戸籍謄本を取得すれば、法定相続人が判明します。
法定相続人は、下図のように優先順位が決められており順位が高い人がいる場合には、低い人は法定相続人になれません。
相続人 | 相続順位 |
配偶者 | 常に法定相続人になる |
子供 | 第一順位 |
親や祖父母などの直系尊属 | 第二順位 |
兄弟姉妹 | 第三順位 |
法定相続人が確定したら、相続関係説明図を証明するために相続人の戸籍謄本も取得していきましょう。
法定相続人の戸籍謄本も故人の戸籍謄本同様に本籍地のある市区町村役場で取得できます。
STEP③ 相続関係説明図に記載していく
亡くなった人と相続人の戸籍謄本の収集が完了したら、相続関係説明図に記載していきましょう。
相続関係説明図は以下の要件を満たしていれば、様式は特に問われません。
- 亡くなった人の名前をタイトルに記載する
- タイトル付近のわかりやすい箇所に最後の本籍地や住所地を記載する
- 相続関係説明の中心に亡くなった人の情報(氏名や生年月日、死亡日)を記載する
- 亡くなった人との関係がわかるように相続人の情報を記載する
亡くなった人と相続人の関係を表すときには、下記のルールを守る必要があります。
- 亡くなった人と配偶者は並べて記載する
- 子供は亡くなった人と配偶者の間に生まれたとわかるように記載する
基本的には、相続関係説明図は本章で解説した手順で作成可能です。
しかし、亡くなった人に養子がいた場合、養子について相続関係説明図にどのように記載すれば良いか迷ってしまう人も多いでしょう。
次の章では、具体例とともに養子がいるときの相続関係説明図の作成方法や書き方を紹介します。
3章 養子がいるときの相続関係説明図の作成方法・書き方
亡くなった人に養子がいる場合には相続人になるので、相続関係説明図にも記載しなければなりません。
養子縁組を相続関係説明図で表す際には、以下のように記載をします。
- 亡くなった人と養子の法律上の親子関係を示すためにそれぞれを線で結ぶ
- 養子には現住所や出生日、養子縁組をした日を記載しておく
- 名前の横には「養子」と続柄を記載する
養子といっても配偶者の連れ子と養子縁組をする場合や夫婦が共同で特別養子縁組を結ぶ場合など様々なケースがあるはずです。
具体例と共に相続関係説明図の書き方を紹介していきます。
3-1 配偶者の連れ子と養子縁組を結んだ際の記載例
配偶者の連れ子と養子縁組をした場合の相続関係説明図の記載例は上図の通りです。
養子と亡くなった人の関係がわかるように記載しましょう。
子供のいる配偶者と結婚しただけでは、連れ子と自分の間に法律上の親子関係は生まれません。
実子同様に、配偶者の連れ子にも財産を遺したいと考える場合には養子縁組をしておきましょう、
3-2 夫婦が共同で養子縁組した際の記載例
子供がいない夫婦などが共同で特別養子縁組をした場合の相続関係説明図の記載例は、上記の通りです。
亡くなった人と配偶者双方に養子縁組がわかるように記載しなければなりません。
3-3 夫婦の片方が養子縁組をした際の記載例
相続対策などで亡くなった人のみが養子縁組をした場合には、上図のように故人と養子を直接線で結んで親子関係を記しましょう。
- 亡くなった人と養子に親子関係が生じている
- 配偶者と養子には親子関係がない
上記がわかるように記載します。
3-4 孫と養子縁組をした際の記載例
相続対策のために孫を養子縁組した場合には、上図のように相続関係説明図を記載します。
- 亡くなった人と養子(孫)に親子関係が生じていること
- 養子が孫であること
上記を示すために、養子は孫としての関係性と養子の関係性を記載しておきましょう。
なお、相続関係説明図の作成は自分で行うだけでなく、司法書士などの専門家にも依頼可能です。
司法書士や弁護士などであれば、相続関係説明図の作成だけでなく相続登記など相続手続きもすべて代行してもらえます。
まとめ
相続関係説明図とは、亡くなった人と相続人の関係を一覧にした図です。
家系図のように、親子や兄弟関係を記せば良いですが亡くなった人が養子縁組をしている場合には養子縁組をしたことと亡くなった人と養子に法律上の親子関係が生じていることを記載しましょう。
本記事で紹介した記載例をもとに養子縁組のケースに合わせて、相続関係説明図を作成してみてください。
また、相続関係説明図を作成しても戸籍謄本の提出は必要ですし、相続人調査や相続手続きには時間と手間がかかります。
相続手続きの手間を減らしたい、相続人間のトラブルを避けミスなく手続きを完了させたい場合には、司法書士などの専門家への相談もご検討ください。
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