
- 飼い主が孤独死したらペットはどうなるのか
- 孤独死があった部屋の特殊清掃にかかる費用相場
- ペットを飼っている一人暮らしの高齢者がしておくべき7つのこと
近年、ペットと暮らす一人暮らしの高齢者が増える一方で、飼い主が孤独死してしまい残されてしまうペットも増えてきています。
飼い主の死後、残されたペットが適切に保護されるには、周囲の支援だけでなく、生前からの具体的な備えが不可欠です。
飼い主が孤独死したものの、ペットがまだ生きている場合には、家族・親族や友人などが引き取ってくれる可能性もあるでしょう。
本記事では、飼い主が孤独死した際にペットはどうなるのか、ペットと安心して老後を暮らすためにすべきことについて詳しく解説します。
1章 飼い主が孤独死したらペットはどうなる?
近年、高齢者の単身世帯の増加により、ペットと高齢者のみで生活する形も増えつつあります。
それに伴って「飼い主が孤独死してしまった場合、残されたペットはどうなるのか」という問題も起きています。
残念ながら、孤独死の発見が遅れてしまうと、ペットたちも残念な結果になってしまうことも珍しくありません。
本章では、飼い主が孤独死したらペットはどうなるのか解説していきます。
1-1 ペットが生きている場合
飼い主の孤独死が発見された時点でペットが生存している場合、その動物の命を守るため、以下のような対応が取られることが一般的です。
- 家族・親族や友人が引き取る
- 里親を探す
- 専用の施設に預ける
それぞれ詳しく解説していきます。
1-1-1 家族・親族や友人が引き取る
最も一般的なのは、飼い主の家族や親族、あるいは親しい友人がペットを引き取るケースです。
特に、故人と近い関係であれば、ペットの性格や生活スタイルも把握していることが多く、引き取り後の環境にもなじみやすい傾向があります。
ただし、親族が高齢者しかいない場合や、遺族や知人がペット可の住居に住んでいない場合などでは、引き取りを断念することも少なくありません。
飼い主が亡くなった後、ペットの引き取り先に困らないためにも、生前のうちに「誰に託すか」を決めておくと良いでしょう。
1-1-2 里親を探す
家族や親族などによる引き取りが難しい場合には、動物病院や保護団体、地域のボランティアなどに協力を仰ぎ、里親を探すという手段があります。
ただし、年老いた動物や持病を抱えているペットは引き取り手が見つかりにくく、長期的に預かりが必要となるケースもゼロではありません。
このような場合には、引き取り先が見つかるまで一時的にペットが保護施設に入ることも考えられます。
1-1-3 専用の施設に預ける
老犬ホームや老猫ホームなどといった高齢のペットのための施設に預ける場合もあります。
これらの施設では、飼い主がいないペットに対し、生活の質を保ちながら余生を過ごせるよう工夫されています。
ただし、これらの施設の利用には費用が発生するのでご注意ください。
飼い主が生前にペット信託を利用していた場合や、負担付死因贈与契約などを準備していた場合には、費用をスムーズに捻出できる可能性もあるでしょう。
1-2 ペットも亡くなっている場合
飼い主が孤独死し、残念ながらペットもすでに亡くなっていた場合、遺体を適切に処理する必要があります。
飼い主やペットの遺体の発見が遅れた場合には、部屋の状態がひどく特殊清掃が必要となることがほとんどです。
特殊清掃では、ペットの遺体も含めて適切な処理を行い、遺族や管理者が住居を再利用できるようにします。
遺体の腐敗による臭気や害虫、感染症のリスクなどにも対応しなければならないため、特殊清掃の費用は通常の遺品整理や片付けより高額になりやすいのでご注意ください。
2章 孤独死があった部屋の特殊清掃にかかる費用相場
孤独死が起きた住宅では、特殊清掃が必要になることが一般的です。
特殊清掃にかかる費用は、遺体の発見までの時間や季節、汚染の程度によって大きく変動します。
ペットの遺体も発見されたから特殊清掃の費用が上がるというわけではなく、ケースバイケースで特殊清掃の費用が決まると理解しておきましょう。
費用相場がわからず不安な場合には、複数の特殊清掃会社に見積もり依頼を出して、比較検討してみることをおすすめします。
3章 ペットを飼っている一人暮らしの高齢者がしておくべき7つのこと
ペットを飼っている一人暮らしの高齢者は、孤独死だけでなく急病や認知症などに備えて、以下のような対策をしておきましょう。
- ペットに関する情報を整理しておく
- 高齢になり世話が難しくなったらペットの引き取り手を探す
- ペット連れで入れる老人ホームを探す
- 負担付贈与契約や家族信託の利用を検討する
- ペット信託を利用する
- 死後事務委任契約を利用する
- 孤独死を防ぐように対策しておく
それぞれ詳しく解説していきます。
3-1 ペットに関する情報を整理しておく
まずは、ペットに関する情報を紙やデジタルでまとめておきましょう。
- 名前
- 年齢
- 病歴
- かかりつけの動物病院
- 好き嫌い
これらの情報をまとめておくと、自分に何かありペットを引き取ってもらう際に、相手の負担を減らしやすくなります。
3-2 高齢になり世話が難しくなったらペットの引き取り手を探す
体力や判断力の衰えにより、ペットの世話が難しくなったと感じたら、早めに信頼できる家族や友人などに相談し、引き取れないか確認してみましょう。
3-3 ペット連れで入れる老人ホームを探す
ペットと一緒に余生を過ごしたいと考える方は、ペット連れで入所できる老人ホームを早い段階から探しておきましょう。
施設によっては、入所できるペットの種類や数に制限があるため、希望する施設の規約やサポート体制を事前に確認することが大切です。
3-4 負担付贈与契約や家族信託の利用を検討する
ペットを引き取ってくれる相手の負担を減らしたい場合には、負担付贈与契約や家族信託の利用を検討しましょう。
負担付贈与契約とは、ペットの世話をしてくれたら現金100万円を贈与するといった形で契約を結ぶものです。
家族信託とは、自分が信頼する家族に財産の管理や運用、処分を任せる制度です。
家族信託を利用すれば、ペットの飼育費用を管理してもらえますし、ペットの飼育方法についても信託契約で取り決めることができます。
3-5 ペット信託を利用する
贈与契約を結ぶ相手や家族信託の受託者となってくれる人物がいない場合には、ペット信託を利用しましょう。
ペット信託とは、金融機関や士業などの専門業者が関与し、信託財産からペットの世話に必要な費用を給付する仕組みです。
ペット信託を利用すれば、飼い主の死後も信託財産管理人が監督し、実際にペットが適切に世話されているか確認してもらえます。
ただし、金融機関や専門家を介する分、費用はかかります。
3-6 死後事務委任契約を利用する
自分が亡くなった後に、ペットの世話や火葬、引き取り手への引き渡しなどを確実に行ってもらうには、「死後事務委任契約」が有効です。
死後事務委任契約では、生前のうちに信頼できる人と契約を結び、ペットに関する一連の対応を委任することができます。
死後事務委任契約では、個人だけでなく法人とも契約を結べますし、司法書士や弁護士などといった専門家と契約を交わすこともできます。
3-7 孤独死を防ぐように対策しておく
孤独死をしないように対策しておくことも重要です。
具体的には、以下のような方法で社会とのつながりを持っておくことをおすすめします。
- 見守りサービスの導入
- 自治体の安否確認サービスへの登録
- 隣人や地域の人と交流する
また、急な病気やケガに備えて、緊急連絡先やペットの存在を示すカードを常に携帯しておくのも良いでしょう。
まとめ
ペットは飼い主にとって大切な家族の一員ですが、特に一人暮らしの高齢者の場合、万が一の際にペットの命や生活が脅かされることがあります。
孤独死の現場にペットが残されていた場合、ペットがまだ生きていれば何とかして引き取り先を探す必要が生じます。
また、残念ながらペットがすでに死亡していた場合には、特殊清掃の際に遺体を適切に処理しなければなりません。
ペットが取り残されてしまうことを防ぐためにも、普段から社会とつながりを持ち、孤独死を防ぐことも大切です。
また、自分が亡くなった後のペットの生活が不安であれば、負担付贈与契約や家族信託の利用も検討しましょう。
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