特別養子縁組とは?普通養子縁組との違いや相続の取扱いについて

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特別養子縁組とは、養子と養親が実の親子と同じ関係を結ぶ制度です。
特別養子縁組によって養子になった子供と生みの親である実親は、縁組によって法的な親子関係が解消されます。

特別養子縁組制度を利用すれば、何らかの理由で子供がいない夫婦も子供を持つことが可能です。
その一方で、特別養子縁組は養子になる子供への影響が大きい制度なので、縁組の要件が細かく定められています。
「単に相続対策をしたい」「家系を残すために養子縁組を考えている場合」には、当事者間の合意と契約で縁組ができる普通養子縁組をご検討ください。

普通養子縁組に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。

養子縁組で相続対策する人が知っておくべき知識と節税効果を徹底解説

本記事では、特別養子縁組制度の概要や制度を活用する流れ、養子になった子の相続の取り扱いを解説していきます。


1章 特別養子縁組とは?

特別養子縁組とは、養子になる子供と生みの親である実親との法的な親子関係を解消し、養子と養親が親子関係を結ぶ制度です。
特別養子縁組で養親となれるのは、結婚している夫婦のみなどと条件が決められています。
また、特別養子縁組と似た制度に「普通養子縁組」と「里親制度」があります。
それぞれ詳しく確認していきましょう。

1-1 普通養子縁組との違い

普通養子縁組は特別養子縁組と異なり、養子になる子供と生みの親である実親との親子関係を解消せず、養親と養子も親子関係を生じさせる制度です。
何らかの理由で子供ができないものの自分の子供を持ちたい夫婦が特別養子縁組を活用するのに対し、普通養子縁組は相続対策や事業承継など様々な目的で活用されます。
特別養子縁組と普通養子縁組の違いは、主に以下の通りです。

特別養子縁組普通養子縁組
目的子供の福祉や利益のため家の存続や相続対策等のため
要件
  • 養親:結婚している夫婦
  • 養子:原則として申立て時に15歳未満
  • 実親の同意:必要
  • 縁組の必要性:実親による養育が困難などの事情
  • 養親:単独もしくは独身者でも可能
  • 養子:年齢制限なし
  • 実親の同意:未成年者の場合、親権者の同意が必要
  • 縁組の必要性:なし
手続き
  • 家庭裁判所への申立て
  • 6か月間の試験養育期間
  • 家庭裁判所による審判
市区長村役場への届出
(当事者間の合意、契約で成立する)
離縁
  • 原則としてできない
  • 養親による虐待などの場合は、養子や実親もしくは検察官からの申立てが可能
当事者間の合意でいつでも解消できる
縁組後の実親との親子関係終了する存続する
戸籍への記載方法実子と同じ
(例:長男、長女)
養子、養女

相続対策や家の存続などを目的として養子縁組を検討している際には、普通養子縁組制度のみが利用可能です。
普通養子縁組に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。

養子縁組で相続対策する人が知っておくべき知識と節税効果を徹底解説

1-2 養子縁組と里親制度の違い

里親制度とは、何らかの事情で生みの親である実親が育てられない子供を一時的に預かり、家庭環境で養育する制度です。
あくまでも子供を預かって養育することもが目的なので、里親制度では子供と育ての親との間に法律的な親子関係は発生しません。
特別養子縁組制度と里親制度の違いは、主に以下の通りです。

特別養子縁組里親制度
子供の要件原則として申立て時に15歳未満18歳未満
手続き
  • 家庭裁判所への申立て
  • 6か月間の試験養育期間
  • 家庭裁判所による審判
児童相談所から委託を受ける
縁組後の実親との親子関係終了する存続する
戸籍への記載方法実子と同じ
(例:長男、長女)
育ての親の戸籍には、何も記載されない
養育費の受給なし国と地方自治体から所定の養育費、里親手当が支給される

2章 特別養子縁組の養親になる条件

1章で解説したように、特別養子縁組は養子と実親の法的な親子関係を解消し、養子と養親が実の親子同様に親子関係を結ぶ制度です。
子供への影響が大きい制度なので、養親になれる方の条件も定められています。
特別養子縁組の養親になるための条件は、以下の通りです。

  • 結婚している夫婦(夫婦共同で特別養子縁組を行う)
  • 25歳以上(夫婦のうち片方が25歳以上であれば、もう片方は20歳以上であれば良い)

特別養子縁組で養親になれるのは、法律上結婚している夫婦のみです。
そのため、独身の方や事実婚の方は特別養子縁組の養親にはなれません。

また、特別養子縁組で養親になるには、養子になる子供と6ヶ月以上暮らす必要があります。
最終的には、家庭裁判所が養子と養親で暮らしてみた様子を考慮したうえで、特別養子縁組の成立を決定します。
特別養子縁組を申し込む流れは、次の章で詳しく解説していきます。


3章 特別養子縁組を申し込む流れ

特別養子縁組は、児童相談所と民間あっせん機関に相談可能です。
ただし、児童相談所は人手不足が深刻であり、自治体によっては特別養子縁組のあっせんにまで手が回っていない場合もあります。
民間あっせん機関を利用して特別養子縁組を申し込み、縁組が完了するまでの流れは、以下の通りです。

  1. 民間あっせん機関に相談する
  2. 民間あっせん機関が実施する研修を受ける
  3. 特別養子縁組の審査を申し込む
  4. 審査や面談を受ける
  5. 育児研修を行う
  6. 特別養子縁組の待機登録を行う
  7. 養子の養育を委託される
  8. 6か月以上の養育を行う
  9. 家庭裁判所へ審判の申立てを行う
  10. 審判完了後、特別養子縁組届を役所に提出する

特別養子縁組を利用して養親になる際には、上記のように様々な手続きや研修を受ける必要があります。
また、待機登録が完了した後はいつどのタイミングで養子受け入れを打診されても良いように、仕事や家庭環境の調整が必要です。

さらに、特別養子縁組の審判が完了し養子と養親の親子関係が認められた後は、児童相談所や民間あっせん機関への定期報告を行う場合が多いです。


4章 特別養子縁組の相続の取扱い

特別養子縁組は養子と養親が法律的な親子関係を結ぶ制度です。
そのため、養親が亡くなり相続が発生したときには、養子も相続人になれます。
また、相続税には基礎控除が用意されており、相続人の人数が増えればそれだけ控除額が増える場合もあります。

特別養子縁組を利用した方の相続の取り扱いについて、詳しく確認していきましょう。

4-1 養子も実子同様に相続人になれる

特別養子縁組によって養子になった子は、実子同様に法定相続人になれます。
実子も養子も相続での取り扱いに違いはなく、法定相続分も同じです。
例えば、夫婦と実子1人、養子1人という家庭で父親が亡くなった場合の法定相続人と相続分はそれぞれ以下の通りです。

法定相続人法定相続分
配偶者2分の1
実子4分の1
養子4分の1

なお、特別養子縁組で養子になった子は実親との法的な親子関係を解消しています。
そのため、実親がなくなったとき養子は相続人にはなりません。

4-2 特別養子がいれば相続税の基礎控除額が増える

相続税を計算するときには「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除額が用意されています。
例えば、配偶者と実子1人、養子1人が法定相続人となった場合の基礎控除額は4,800万円です。
相続財産の合計が基礎控除額に収まる場合には、相続税の申告や納税は必要ありません。

養子がいれば、法定相続人を増やせるので、相続税の基礎控除額も増やせます。
ただし、相続税の基礎控除額を増やすことを目的にした養子縁組を防ぐために、養子縁組制度ごとに以下のルールが定められています。

養子縁組の種類制限
普通養子縁組養子2人まで法定相続人の数に含められる
(実子がいる場合には1人まで)
特別養子縁組法定相続人に含められる人数に制限はない

特別養子縁組は子供の福祉を目的とした制度であり、縁組後も実子同様の扱いを受けるので、法定相続人に含められる人数に制限はありません。
一方で普通養子縁組は当事者間の合意で成り立つ契約なので、法定相続人に含められる人数が制限されています。

相続人が誰もいないと財産は国のものになってしまう

子供のいない夫婦が亡くなった場合、配偶者だけでなく親や祖父母などの直系尊属もしくは兄弟姉妹が法定相続人になります。
さらに、相続人が誰もいない場合には、自分が所有していた財産は全て国に帰属されてしまいます。

  • お世話になった人や団体に遺産を寄付したい
  • 可愛がっている親戚に財産を遺したい
  • 兄弟姉妹に遺産を渡さず配偶者に全ての財産を遺したい

上記を希望する場合には、自分が元気なうちに遺言書の作成などの相続対策を行っておくのがおすすめです。

遺言書の作成は自分で行うこともできますが、ミスなくスムーズに行いたいのであれば、相続に詳しい司法書士や弁護士への相談もご検討ください。

相続人がいない場合の遺産の分け方・対処方法を相続のプロが徹底解説

子供がいない夫婦の相続こそ遺言書が必要|ケース別の文例とポイント


まとめ

特別養子縁組とは、養子と生みの親である実親の親子関係を解消し、養子と養親が新たな親子関係を結ぶ制度です。
特別養子縁組はあくまでも子供の福祉を目的とした制度であり、相続対策や家の存続などを目的に行うことはできません。
相続対策等を目的として養子縁組を利用したい場合には、当事者間の合意でできる普通養子縁組を活用しましょう。

特別養子縁組は養子になる子供に大きな影響を与える制度なので、養親となるための条件も定められています。

なお、子供がいない夫婦で相続が発生すると、配偶者だけでなく親や祖父母などの直系尊属や兄弟姉妹が法定相続人になる可能性がありますし、相続人がいない場合には遺産は国庫に帰属されてしまいます。
自分の希望通りの相続を行いたい場合には、特別養子縁組だけでなく遺言書の作成など相続対策についても考えておくのが良いでしょう。

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