相続順位とは?相続人はどこまで?相続割合・順位をわかりやすく解説

遺産相続の優先順位と相続割合を簡単解説【見てわかるイラスト付】
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 9
 この記事でわかること

  • 相続人とはどこまでの範囲を指すのかわかる
  • 相続順位・割合がわかる
  • 特殊なケースの相続順位・割合がわかる

いざ、家族や親族が亡くなると「誰がどれくらいの割合で財産を受け継ぐのか」が気になってくる人が多いのではないでしょうか。
私たちの様な法律の専門家も相談を受けるときに、1番大事なポイントがまさに相続の優先順位や割合といった部分です。

これまで様々な相続シーンに立ち会ってきましたが、中には相続順位や相続割合について知らなかったが故に相続放棄の選択を誤ってしまい、多額の負債を相続してしまうといったケースも過去にはございました。
このように、相続では選択を誤ると取り返しのつかない大きなミスになる場合もあるので、相続順位や相続割合については正確に理解しておかなければなりません。

本記事では、遺産を相続する際の優先順位および割合について、イラストを用いてわかりやすく解説していきます。
家族や親族が亡くなったときに行う相続手続きの流れについては、下記の記事で解説しているのでご参考にしてください。

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1章 相続の優先順位とは

家族や親族が亡くなり相続が発生したとき、誰が遺産を受け継ぐかといった優先順位は法律によって下記のように決められています。

相続順位図

常に相続人になる配偶者
第一順位子供や孫
第二順位両親や祖父母
第三順位兄弟姉妹や甥・姪

優先順位の高い相続人が1人でもいる場合、優先順位の低い人物が相続人になることはありません。
例えば、亡くなった人に配偶者と子供がいるケースでは、亡くなった人の両親や兄弟姉妹が生きていても相続人は配偶者と子供のみとなります。

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2章 相続割合とは

法律では相続の優先順位だけでなく、各相続人が遺産をどれだけ受け継ぐかの割合についても決めています。
各相続人が受け継ぐ遺産の割合は、下記の通りです。

法定相続人法定相続分備考
配偶者のみ配偶者100%
配偶者+子配偶者1/2子が複数人いる場合は均等に分配
1/2
配偶者+両親などの直系尊属配偶者2/3・親が複数人いる場合は均等に分配
・被相続人に最も近い世代のみが相続人となる。親・祖父母ともに存命の場合でも、親のみが相続人となります。
両親などの直系卑属1/3
配偶者+兄弟・姉妹配偶者3/4
兄弟・姉妹1/4
子のみ子100%
両親などの直系尊属のみ両親100%親が複数人いる場合は均等に分配
兄弟・姉妹のみ兄弟・姉妹100%兄弟・姉妹が複数人いる場合は均等に分配

上記のように配偶者がいる場合は、配偶者とそれ以外の相続人が受け継ぐ遺産の割合が指定されています。
配偶者がいない場合は、同順位の相続人が均等に遺産を分配します。

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相続割合は負債等を受け継ぐ割合でもある

先ほど解説した法定相続分は、預貯金や不動産など故人のプラスの財産だけでなく、マイナスの財産を受け継ぐ割合でもあります。
そのため、借金をしていた家族や親族が亡くなり相続人となった場合、借金まで受け継いでしまうのでご注意ください。

借金を受け継がないようにするには、自分が相続人であると知ってから3ヶ月以内に相続放棄の申立てを行う必要があります。

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3章 代襲相続が発生した場合の相続順位・割合

代襲相続とは 代襲相続人

上記のイラストのように、相続人にあたる人物がすでに亡くなっている場合に、相続人の子供がかわりに財産を受け継ぐことを「代襲相続」と呼びます。

例えば、上記のイラストのケースでは被相続人(祖父)が死亡したときにすでに次男は亡くなっているため、次男の子供である孫が代襲相続人として祖父の遺産を受け継ぎます。

代襲相続は相続順位ごとに取り扱いが変わってくるため、注意しなければなりません。
それぞれの相続順位ごとの取り扱いは、下記の通りです。

相続順位代襲相続の取り扱い
第一順位(子供や孫)の場合子供が亡くなっていれば孫、孫が亡くなっていればひ孫とどこまでも下の世代がかわりに相続します
第二順位(父母・祖父母)の場合父母が両方いなければ祖父母とどこまでも上の代をさかのぼって相続します
(ただし、このケースは法律上は代襲相続とは呼びません)
第三順位(兄弟姉妹や甥・姪)の場合兄弟姉妹が亡くなっていれば甥・姪がかわりに相続します
甥・姪が亡くなっていた場合はそれ以上の代襲相続は発生しません

上記のように、兄弟姉妹の代襲相続は一代限りしか発生しない点にご注意ください。
兄弟姉妹や甥・姪の全員が死亡しているときに、甥や姪の子供が相続人になることはありません。

他にも、代襲相続の発生について判断する際には下記の点に注意しましょう。

  • 相続放棄では代襲相続が発生しない
  • 養子縁組より前に生まれた子は代襲相続が発生しない

相続放棄は最初から相続人ではなかったとして扱われる制度のため、代襲相続は発生しません。
また、養子縁組より前に生まれた子は養父母の代襲相続人にはなれないのでご注意ください。

具体例を見てみましょう。
例えば、下記のように相続発生時点で本来相続人である子供がすでに死亡している場合は、孫が代襲相続人になります。

相続優先順位と相続の割合事例/子のうちの一人が亡くなっており、孫がいる場合

孫が代襲相続人となった場合は、相続順位が第1順位なので故人の両親や兄弟姉妹より優先して遺産を相続可能です。

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4章 相続放棄がある場合の相続の優先順位と相続割合

相続放棄をした相続人がいると、相続順位や相続割合が変わる可能性があります。
相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しなくなる手続きであり、相続放棄した相続人は最初から相続人ではなかった扱いになります。

本章では、相続放棄をした相続人がいる場合の相続順位や相続割合を解説します。

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4-1 相続放棄をすると相続割合が変わる

相続放棄した相続人がいると、その人が本来相続するはずだった相続の割合が他の相続人に移ります。
相続割合の移り方は、下記の通りです。

  • 配偶者が相続放棄をした場合は、その他の相続人に均等にその割合が移る
  • 配偶者以外が相続放棄をした場合は、配偶者以外の相続人に均等にその割合が移る

具体例と共に見ていきましょう。

【条件】

  • 相続人は配偶者および子供2人
  • 子供のうち長男のみが相続放棄をした

上記のケースの場合、本来の相続割合および長男が相続放棄した後の相続割合は、下記の通りです。

本来の相続割合相続放棄後の相続割合
配偶者2分の12分の1
長男4分の1なし
次男4分の12分の1

上記のように、長男が相続放棄したため、相続割合は配偶者以外の相続人(次男)に割合が移ります。

4-2 先順位の全員が相続放棄をすると次の優先順位の人が相続人になる

亡くなった人の子供全員など、同順位の相続人が全員相続放棄すると、次の優先順位の人物に相続権が移ります。
一方で、1人で優先順位の高い人物が相続人になっている場合は、次の順位の人が相続人になることはありません。

例えば、亡くなった人の子供全員が相続放棄すると、次の相続順位である両親や祖父母が相続人となります。
両親や祖父母がすでに他界している場合や相続放棄した場合は、亡くなった人の兄弟姉妹が相続人となります。

相続人全員で相続放棄をしたらどうなる?遺産の行方と手続きの流れ

5章 遺言書がある場合の相続の優先順位と相続割合

亡くなった人が遺言書を用意しておくと、相続人以外の人物にも財産を遺せますし、誰にどの財産を遺すかや財産を受け継ぐ割合も指定可能です。
そのため、遺言書がある場合は、相続の優先順位および相続割合が変わってきます。
具体例とともに見ていきましょう。

家族円満でも知っておきたい遺言を書いたほうがいい人16選【一覧表】

5-1 遺言があると相続の優先順位と相続の割合が変わる

遺言書では、相続人に財産を遺すように指定も可能ですし、相続人以外の人に遺産を渡すこともできます。
加えて遺言書では、相続させる財産の種類や割合まで指定可能です。
そのため、遺言書に書いてある部分についてはその通りに相続の優先順位と相続の割合が決まります。

ただし、亡くなった人が遺言書を作成しても記載されていない遺産がある場合は、本記事の3章で解説した通りの優先順位や割合で相続します。

5-2 遺言書でもらえる遺産が少ないと取り返せる

遺留分の計算事例

遺言書では相続させる人や割合を自由に決められる一方で、遺留分に注意しなければなりません。
遺留分とは、亡くなった人の配偶者や子供、両親などに設定されている遺産を最低限度受け取れる権利です。

遺留分は遺言書の内容より優先されるため、遺言書の内容が偏っている場合は亡くなった人の配偶者や子供、両親などに遺留分侵害額請求をされる可能性があります。
相続に詳しい司法書士や弁護士であれば、遺留分を侵害しない遺言書の作成も可能ですので、相続トラブルを避けるために専門家を頼ることも検討しましょう。

遺留分侵害額請求とは?基礎知識や計算方法、請求の手順まで簡単解説
遺言よりも遺留分が優先される!【効果的な5つの遺留分対策とは】

6章 相続欠格が発生したときの相続の優先順位と相続割合

遺言者に詐欺や脅迫をして無理やり書かせるなどの不正を行うと、その相続については相続権を永久に失ってしまいます。
これを「相続欠格」と呼び、具体的には下記のケースは相続欠格にあたります。

  • 故人や相続人を殺害したもしくは殺害しようとした
  • 故人が殺害されたことを知りながら告発・告訴をしなかった
  • 故人に詐欺や脅迫を行い遺言の作成や変更・取消を妨害した
  • 被相続人に詐欺や脅迫を行い遺言の作成や変更、取消をさせた
  • 遺言書を偽装・変造・破棄・隠蔽した

相続欠格になった人物は相続権を失い、その人物に子供がいた場合は子供が代襲相続人となります。
例えば、下記のケースを考えてみましょう。

  • 父が亡くなり相続が発生した
  • 相続人は配偶者と長男、長女、次男
  • 長男は父が生きているときに遺言書を無理やり書かせようとし相続欠格になった
  • 長男には子供がいない

上記のケースでは、長男は相続欠格にあたり相続権を失います。
したがって、相続人は配偶者と長女、次男であり、それぞれ下記の割合で遺産を受け継ぎます。

  • 配偶者:2分の1
  • 長女・次男:2分の1
  • 長男:なし(相続欠格のため)
相続欠格とは?|相続できなくなる5つの要件と相続人廃除との違い

7章 結婚していないカップルの間に生まれた子(嫡出でない子)がいる場合の相続の割合

結婚していないカップルの間に生まれた子(非嫡出子)と結婚している夫婦の間に生まれた子(嫡出子)の相続割合は、平成25年9月5日以降に発生した相続については全く同じ割合です
それ以前の相続については、遺産分割協議が終了して権利関係が確定している様なケースはそのままの権利関係で確定します。

ただし、非嫡出子が父親の遺産を相続する場合は、父親が認知をしておかなければなりません。
認知は父親が生前のうちにしておく他に、裁判によって認知させる方法や遺言によって認知させる方法などがあります。


8章 行方不明の相続人がいる場合の相続の優先順位と相続割合

場合によっては亡くなった人や家族、親族と長年疎遠であり、行方がわからない相続人がいるケースもあるでしょう。
家族や親族の誰もが連絡先を知らず現在の行方がわからない相続人がいたとしても、その相続人を抜きにして遺産分割することはできません。

亡くなった人が遺言書を用意していなかった場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産をどれくらいの割合で受け継ぐか決める必要があるからです。
行方不明の相続人がいる場合には、下記のように対応する必要があります。

行方不明の相続人がいる場合や相続人がわからない場合は、相続人の状況によって対策が異なります。

住所や連絡先がわからない相続人がいる場合は、下記の方法で調査しましょう。

  • 住所がわからない場合:行方がわからない相続人の本籍地にある市区町村役場で戸籍の附票を発行してもらう
  • 連絡先がわからない場合:手紙を出す、探偵に調査を依頼する

行方不明になった相続人と他の相続人の折り合いが悪く相続トラブルが発生しそうなケースや相続手続きに協力してくれなさそうなケースでは、相続に詳しい司法書士や弁護士などの専門家に手続きを依頼するのも良いでしょう。
専門家であれば相続人の調査から公平な遺産分割方法の提案まで行えます。

また、住所や連絡先だけでなくそもそも相続人が生きているかわからない場合は、生死不明の期間によって下記のように対応が変わります。

  • 生死不明が7年以内の場合:捜索願を出す、不在者財産管理人を選任する
  • 生死不明が7年を超える場合:失踪宣告の申立てを行う

不在者財産管理人とは、行方不明の相続人の代わりに財産の管理をしてくれる人物です。
不在者財産管理人を選任する際には、行方不明者の最終住所地を管轄する家庭裁判所で申立てをします。

失踪宣告とは7年以上行方不明の人や飛行機事故や難破などに巻き込まれ1年を超えて行方不明になった人を死亡した扱いにする手続きです。
行方不明者の相続人がいるときの対処法は、下記の記事で解説しているのでご参考にしてください。

相続人が行方不明の場合の対応方法と困らないためにしておく対策方法

9章 相続人が誰もいない場合はどうなる?

亡くなった人に身寄りがいなく相続人が誰もいないケースや相続人全員が相続放棄したケースなどでは、下記の優先順位で遺産が受け継がれます。

  1. 債権者や受遺者
  2. 特別縁故者

まず遺産を受け継ぐのは、故人にお金を貸していた人や賃貸マンションの大家などの債権者です。
他にも亡くなった人が遺言書を作成していた場合は、遺言書によって指定された人物が遺産を受け取ります。

債権者が受遺者がいない場合やこれらの人に支払っても遺産が余る場合は、特別縁故者が相続可能です。
特別縁故者とは、亡くなった人と特別に親しい関係にあった人物であり、主に下記の人物が該当します。

  • 養子縁組していないけれど同居していた子どもや親(息子の嫁など)
  • 内縁の配偶者
  • 介護でお世話になった人
  • 従姉妹やその子どもなど遠い親戚で、生前親しくつきあっていた人

特別縁故者として遺産を受け取るには家庭裁判所への申立てが必要です。
そして、債権者や受遺者、特別縁故者がいない場合やそれらの人物が受け取りきれず余った遺産に関しては最終的に国庫に帰属されます。

相続人がいない場合の遺産の分け方・対処方法を相続のプロが徹底解説
特別縁故者とは?基本知識から手続きの流れまで徹底解説

まとめ

相続の優先順位は、下記のように法律で決められています。

常に相続人になる配偶者
第一順位子供や孫
第二順位両親や祖父母
第三順位兄弟姉妹や甥姪

相続割合に関しては、上記のうち誰が相続人になるのかによって変わってきます。
また、一部の相続人が相続放棄していた場合や故人が遺言書を用意していた場合、相続人にあたる人物がすでに死亡している場合などでは相続人が誰か、各相続人が受け継ぐ割合の判断が難しくなってしまいます。

誰が相続人かわからない、相続割合について理解した上で公平な遺産分割方法を知りたいなどといった場合は、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談するのが良いでしょう。

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よくあるご質問

遺産相続人の順位は?

人が亡くなり相続が発生した場合、配偶者(夫または妻)は必ず相続人になります。
それ以外の相続人については優先順位が法律で決まっているのでご紹介します。
第1順位 → 亡くなった方の子供や孫(直系卑属)
第2順位 → 亡くなった方の親や祖父母(直系尊属)
第3順位 → 亡くなった方の兄弟・姉妹・甥・姪
▶相続人の優先順位を図解で説明

夫の遺産、妻と子供でどう分ける?

相続人には、それぞれ法定相続分という決められた遺産分割の割合があります。
妻と子供1人の場合は、それぞれ1/2ずつの割合で遺産を分割します。
他にも配偶者がいない場合や、子供が複数人いる場合など、状況によって遺産分割の割合が変わりますので、ご注意ください。
▶相続分についてはコチラ

親が死んだら相続人は誰になりますか?

親が死んだときに父親もしくは母親のどちらかが生きている場合は、配偶者と子供たちで遺産を分割します。
▶相続の優先順位について詳しくはコチラ

相続人はどこまで?

相続人となれる人物は法律によって決められており、亡くなった人の兄弟姉妹や甥・姪までが相続人となります。
一方で、いとこなどはどんなに故人と生前親しくしていても、法律上は相続人になることはできません。

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