相続欠格とは?|相続できなくなる5つの要件と相続人廃除との違い

遺産を相続できる人は、「法定相続人」として法律で決められています。

配偶者がいる場合、配偶者に加えて、以下のうち最も順位の高い人が法定相続人となります。また、配偶者がいない場合は、以下の順位のうち最も順位の高い人のみが相続人となります。

  • 常に相続人:配偶者
  • 第一順位:子供などの直系卑属
  • 第二順位:親などの直系尊属
  • 第三順位:兄弟・姉妹

法定相続人の順位。相続欠格に該当した場合は、法定相続人であっても相続権を失うことになります。

法定相続人は、遺言書で他の人を指定されていた場合を除き、相続する権利を法律で認められています。

しかし、「相続欠格」に該当した場合、法定相続人であっても相続権を失うこととなります。

では、この「相続欠格」とは、どのような人があてはまるのでしょうか?

この記事では、

  • 相続欠格とはなにか
  • 相続欠格になるケース
  • 相続欠格になると相続はどうなるのか

などについて解説します。


1章 相続欠格とは

相続欠格とは、相続に支障をきたす犯罪行為や不法行為を行った人の相続権を強制的に剥奪することをいいます。

これは、法定相続人に限ったことではなく、亡くなった人と全く血縁関係のない他人が遺言などによって遺産の取得を指定されている場合でも、その人が相続欠格となっていたら遺産を取得することはできません。

相続欠格には以下の3つのポイントがあります。

①相続欠格は亡くなった人の意思に関係ない

亡くなった人が、相続欠格に該当する人にどうにかして相続させたいと思い遺言書を書くなどをしても、それはできません。

相続欠格は「法的に相続権を剥奪する」ものであり、それを覆すことは、誰にもできないのです。

②相続欠格で一度相続権を失うと、永遠に取り戻すことはできない

前項と重なりますが、相続欠格で失った相続権を、もう一度戻すことは不可能です。

相続権を取り戻す方法は一切ありません。

また、時効のような期限もなく、永遠に相続権を失ったままとなります。

③相続欠格はあくまで特定の被相続人との間のみ

相続欠格は、特定の人の相続にのみ適用されます。

例えば、父の相続に支障をきたす犯罪行為を行い相続欠格となったとしても、母の相続にはなんの支障もきたしていないのであれば、母の相続における相続権は保たれます。

「犯罪行為を犯したから、相続権をすべて失う」というものではありません。


2章 相続欠格になる5つのケース

相続欠格になるケースは主に以下の5つです。

  1. 被相続人や相続人を殺害した、もしくは殺害しようとした
  2. 被相続人が殺害されたことを知りながら告発・告訴をしなかった
  3. 被相続人に詐欺や脅迫を行い遺言の作成や変更、取消を妨害した
  4. 被相続人に詐欺や脅迫を行い遺言の作成や変更、取消をさせた
  5. 遺言書の偽装・変造・破棄・隠蔽した

ここでは、相続欠格になる5つのケースについて解説します。詳しく見ていきましょう。

(※「被相続人」とは、亡くなった人を指します。)

2-1 被相続人や相続人を殺害した、もしくは殺害しようとした

被相続人や相続人を殺害した、もしくは殺害しようとした人は相続欠格となります。

なお、「殺害した・殺害させようとした」と聞くと、殺人罪や殺人未遂罪を犯した場合のみのように思われるかもしれませんが、介護が必要な人に対して食事を与えない、放置したなどの遺棄罪もこれに当てはまります。

2-2 被相続人が殺害されたことを知りながら告発・告訴をしなかった

被相続人が、誰かに殺害されたことを知りながらも、殺害した人をかばうために告発・告訴しなかった場合、相続欠格となります。

なお、告訴・告発ができない子供や、殺害した人の配偶者・近しい親族(子供や両親、孫、祖父母など)の場合は例外です。

2-3 被相続人に詐欺や脅迫を行い遺言の作成や変更、取消を妨害した

遺言を作成・変更・取り消しをしようとしている被相続人に対して、詐欺や脅迫をはたらき、それらを妨害した場合には相続欠格となります。

例えば、被相続人が「長男に遺産のすべてを譲る」という旨の遺言書を作成していることを知り、「自分にも遺産が渡るような遺言書にしろ。さもなくば、殴るぞ」といったことを言い、妨害した場合などがこれにあたります。

2-4 被相続人に詐欺や脅迫を行い遺言の作成や変更、取消をさせた

すでに遺言を作成している被相続人に対して、詐欺や脅迫をはたらき、それを妨害した場合には相続欠格になります。

例えば「長男に遺産のすべてを譲る」という遺言を作成した人に対して、刃物をつきつけながら「私が遺産をもらえるよう、遺言書を書き直せ」と脅迫した場合などがこれにあたります。

2-5 遺言書を偽装・変造・破棄・隠蔽した

遺言書を発見し、その遺言書を偽装・変造・破棄・隠蔽した場合には相続欠格となります。

例えば、「長男に遺産のすべてを譲る」という内容の遺言書を自分の都合の良いように書き換えたり、その遺言が無効になるように燃やしたりした場合にこれに該当します。


3章 相続欠格になるとどうなる?

では、相続欠格になると、具体的にどのようなことが起こるのでしょうか?

詳しく見ていきましょう。

3-1 相続権を失う

1章でも解説した通り、相続欠格になると、相続する権利を失います。

権利を取り戻す方法は一切なく、未来永劫で相続権はなくなります。

3-2 子供が代襲相続人になる

相続欠格になった人が法定相続人で、かつ子供がいる場合、代襲相続が発生します。

代襲相続とは、本来相続人となるはずだった人が、相続発生時に相続できない状況(亡くなっている、もしくは相続欠格になっている)にある場合に、その人の次の代の人が「代襲相続人」として代わりに相続する制度です。

例えば、被相続人の子Aが相続欠格で相続権を失っていた場合、Aの子(被相続人の孫)が代襲相続人となります。

なお、代襲相続が認められるのは以下の人のみです。

  • 被相続人の子の子(孫)、さらにその子(ひ孫以下)
  • 被相続人の兄弟姉妹の子

被相続人の兄弟姉妹は代襲相続人にはなれないので、注意しましょう。


4章 相続欠格と相続人廃除の違い

相続欠格と相続人廃除の違い
相続欠格相続人廃除
条件相続欠格の要件に該当したら、自動的になる被相続人が希望し、裁判所に認められるとなる
取り消し不可被相続人が認めれば可能

相続欠格と似たものに、「相続人廃除」というものがあります。

「相続権を失う」という点では同じですが、相続人廃除は被相続人の意思に基づいたものです。

「相続人廃除」は、被相続人が生前に不利益を受けたり、著しく不快にさせる行為を行った人が対象となり、被相続人が裁判所へ申し立てるもしくは、遺言に記すことで行います。

例えば、以下のような場合に相続人排除が認められます。

    • 被相続人を虐待した
    • 被相続人に対して重大な屈辱を与えた
    • 被相続人の財産を不当に処分した
    • ギャンブルなどの浪費による多額借金を被相続人に返済をさせた
    • 度重なる非行や反社会勢力へ加入
    • 犯罪行為を行い有罪判決を受けている
    • 愛人と同棲するなど不貞行為を働く配偶者
    • 財産を目的とした婚姻
    • 財産目当ての養子縁組

なお、相続人廃除の場合、あくまで被相続人の意思に基づくものですので、被相続人が取り下げれば、一度廃除となった人も相続権を取り戻すことができます。

ただし、脅迫するなどして取り下げさせた場合には、今後は相続欠格にあたる可能性があるので、決してそのようなことはしてはいけません。


5章 まとめ

相続欠格になってしまうと、相続権を完全に失ってしまいます。

そもそも、相続欠格に該当する行為は違法な行為であるため、決してしてはいけません。

「遺言の内容に納得がいかない」「自分も遺産を取得できるような内容にしてほしい」というときは、しっかりと家族で話し合うようにしましょう。

遺産相続に関するガイドブックを無料ダウンロード!

  •  遺産相続の流れ
  •  相続人調査
  •  相続関係説明図の作成
  •  要注意の相続のケース
  •  遺産分割協議書の作成
  •  名義変更手続の方法
  •  相続税の申告
  •  遺言書の作成
  •  後見について
  •  贈与について

 相続について話し合うきっかけに!

遺産相続ガイドブックダウンロード実物

生前にする相続対策、亡くなってからの相続手続について、わかりやすく解説させていただいております。遺産相続ガイドブックが相続を自分の問題と捉えて、対策を始めるきっかけになったり、相続手続の手助けとなれば幸いです。

無料ダウンロードはこちら

不安なことは、グリーン司法書士法人にご相談ください。一緒に、最適な相続対策を考えていきましょう。

グリーン司法書士法人の強み

  • 1,過去5年間の相続相談実績は約5000件!日本有数の実績で安心して任せられる。
  • 2,サポート内容の広さと相談窓口の一元化を実現!独自のネットワークでどこよりも早い迅速対応!
  • 3, 蓄積されたノウハウを元に相談者一人一人にあった提案が可能!

お電話または下記よりお問い合わせいただければ、無料で直接ご相談をいただけます。 相続に関して少しでも不安や疑問があればお気軽にお問い合わせください。

30名を超える相続のプロが徹底サポート

  • 相続手続きといっても何から始めればいいのかわからない
  • しっかりとした遺言書を作成したい
  • 認知症生前対策をしておきたいけどよくわからない

グリーン司法書士では相続に関する悩みや疑問をしっかりとお聞きし、理想の相続実現をサポートします。

相続に関して少しでも不安や疑問があればお気軽にお問い合わせください。

受付時間 9:00-20:00(土日祝10:00〜17:00)
[休業日] 年末年始

※「記事をみた」とお伝えください。