相続争いを防ぐ!|よくある相続争い7つのパターンと解決方法

相続争いを防ぐ!|よくある相続争い7つのパターンと解決方法
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 4

遺産相続をするときには、相続人同士が争いになってしまうことがとても多いので注意が必要です。

まずはよくある相続争いのパターンを知ることにより、将来の無駄なトラブルを避けましょう。

今回は、ありがちな相続争いや予防策、実際にトラブルになってしまった場合の対処方法や相談できる専門家について解説します。


1章 相続争いを未然に防ぐ三大対策方法

まずは相続争いを予防するのに効果的な対策方法を3つ、ご紹介します。

1-1 資産の整理

相続トラブルを予防したいなら、生前に「資産の整理」をしておくべきです。

多くの相続争いは、「どのような遺産があるのか」がわからないことによって発生するためです。

遺産の内容が不明なので、「兄が遺産を隠しているかもしれない」「他にも隠されている預貯金や現金があるはず」などと疑心暗鬼になってトラブルになります。

そこで生前にどのような資産を持っているか整理して、「遺産目録」という表を作成しておきましょう。遺言書に添付してもかまいません。

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1-2 遺言

次に「遺言」が非常に有効な相続争い防止策となります。遺言は、遺言者が死後の財産処分方法などを指定できる書面です。

遺言書を作成しておいたら、法定相続(法律が決めた相続方法)に優先するので、相続人たちが自分たちで話し合いをして遺産相続の方法を決める必要がなくなります。

そうすれば「兄の方が遺産を多くもらうのが悔しい」「私はもっと遺産を多くもらえるはず」「このような分け方は納得できない」などと不満をもった相続人たちが争いを繰り広げる必要がなくなります。

また、法定相続分どおりで相続してほしいとお考えの場合も、そのような意思を明示した遺言を残しておくことが、相続人の不満解消や無駄な相続争いの防止になります。

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1-3 家族信託

相続争いを防ぐ方法として、家族信託も有効です。家族信託とは、信頼できる家族に財産を託し、管理や処分をしてもらうことです。死後だけではなく生前の財産管理も委託できます。

たとえば賃貸物件を所有しているとき、死後に孫に管理を委託して妻のために管理してもらい(賃料は妻が受けとる)、妻が死亡したら孫が不動産を受けとるように設定しておけば、自分が死亡した後、妻孫の順に不動産を伝えていくことが可能となります。

他に子どもなどの相続人がいても、家族信託を利用することによって自由に財産を処分できますし、相続争いの原因も除去できます。

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相続争いを効果的に避けたい場合には、これらの3つの方法を上手に組み合わせましょう。

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2章 よく相続争いが起こる7つのパターンと防止策

次に、相続争いでよくある7つのパターンとそれぞれの防止策をご紹介していきます。

2-1 パターン1 遺産の分け方でもめる

1つは、遺産の分け方でもめるパターンです。たとえば不動産が相続財産に含まれているとき、複数の相続人が取得を希望したら合意できません。不動産を売却して分けたいと主張する相続人と守りたい相続人がいてもめるパターンもあります。

誰か1人が不動産を取得することに合意しても、代償金を支払うかどうかや金額でもめてしまうケースも多々あります。

このパターンによる相続争いを防止するためには、遺言をしておくのが一番です。遺言によって誰が不動産を取得するのか決めておけば、相続人同士が話し合いをして遺産の分け方を決める必要がなくなります。また生前贈与しておく方法もあります。

2-2 パターン2 前妻の子どもや認知した子どもがいてもめる

2つ目は、被相続人(死亡した人)の前妻や前夫との子どもや認知した子どもが現れて、遺産分割するケースです。

被相続人に前妻の子どもや認知した子どもがいても、今の家族はその事実を知らないケースもよくあります。

死亡後相続調査してみたらいきなり知らない子どもがいると判明し、しかもその子どもの相続割合は今の子どもの相続割合と同じになると知ったら、冷静ではいられなくなります。当然、「あなたは財産形成に関与していないから、遺産取り分を少なくして下さいね」と言いたくなります。

しかし法律的には前妻の子どもや認知した子どもも同じだけ相続する権利があるので、相手も納得せず、争いが発生します。

このパターンによる相続争いを防止するためにも、やはり遺言が効果的です。遺言によって、今の家族が遺産相続できるようにしておきましょう。生前贈与も同じく有効です。

またいずれかのタイミングで、前妻の子どもや認知した子どもがいることを、今の家族に告げておくことが望ましいです。

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2-3 パターン3 貢献度を考慮して欲しい相続人がいてもめる

相続人の中に献身的に被相続人の介護を行った人がいる場合など、自分の貢献度(法律的に寄与分と言います)を考慮してほしい人がいる場合にも相続争いが起こりやすいです。

貢献した相続人は「私の取得分を増やしてほしい」と言うけれど、他の相続人は「そんなのは認めない」と主張するからです。

このように特定の相続人が貢献した場合には、その相続人に先に生前贈与によって貢献に見合った財産を渡しておきましょう。

また、遺言によってその相続人に多めに遺産を受け継がせるのも効果的です。

2-4 パターン4 生前贈与を受けた相続人がいてもめる

生前贈与によって相続争いが発生してしまうこともあるので注意が必要です。法定相続人が生前贈与を受けた場合、それが「特別受益」となってしまう可能性があるからです。

特別受益とは、特定の相続人が遺産を多めに譲り受けたり遺贈されたりすることです。特別受益があると、相続人間で公平に遺産分割できなくなるので、特別受益を受けた相続人の取得分を減らすことによって、調整します。これを「特別受益の持ち戻し計算」と言います。

ところが生前贈与があっても、特別受益者は「そんな贈与は受けていない」「特別受益に当たらない」「そんなに高額な贈与でない」などと主張するので、他の相続人と争いになってしまいます。

生前贈与による相続争いを防止するには、やはり遺言が役立ちます。遺言により特別受益の持ち戻し計算を免除することができるからです。子どもに不動産やまとまったお金を贈与したりして生前贈与が問題になりそうな場合、遺言書を作成して特別受益の持ち戻し免除することを明らかにしておきましょう。

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2-5 パターン5 事業承継でもめる

会社を経営している方は、事業承継について考えておく必要があります。事業承継でも、相続関係のトラブルが非常に多いからです。

たとえば遺言によって後継者となる相続人に遺産を集中させようとしたら、他の相続人から遺留分(いりゅうぶん:一定範囲の相続人に認められる最低限の相続分)を請求されるケースがあります。また何の対策もしていなかったために、会社の株式が法定相続人に相続分通りに分散されてしまい、会社を効率的に運営できなくなってしまうケースもみられます。

事業承継にまつわるトラブルを防止するためには、いろいろな方法を組み合わせる必要があります。たとえば生前に家族信託を利用して株を後継者候補に渡し、自分の権利を残しながら後継者に会社の経営権を移譲していくことも可能ですし、遺言書によって会社の財産を後継者に集中させることも可能です。

生前に他の相続人らと協議して遺留分を請求しないよう約束してもらう方法もあります。

スムーズな事業承継のためには専門家の関与が必須なので、迷われたらご相談下さい。

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2-6 パターン6 不平等な遺言書があってもめる

遺言書が原因で相続トラブルが発生してしまうケースもあります。

良くあるのが相続人間で不平等な内容の遺言書です。たとえば子供達人が相続人となっているときに、「長男にすべての遺産を分与する」と書いてあると、他の兄弟が納得せず遺留分の請求(遺留分損害額請求:いりゅうぶんそんがいがくせいきゅう、といいます)を行う可能性が高くなります。

ひとつめは、そのようなトラブルを防止するためには、遺言書を作成するときに遺留分を侵害しないように配慮することです。

ふたつめは、「遺留分侵害額請求の方法」を指定することです。たとえば「遺留分侵害額請求するときには、まずはAの預貯金、次にBの預貯金から返還する」などと具体的に書いてあれば、請求が起こってもさほど大きなトラブルにはなりません。

みっつめは、遺留分の放棄をしてもらうことです。生前にも放棄可能ですので、遺留分権利者とよく話し合って手続きをとりましょう。

また、どうしても遺留分を侵害する内容の遺言になるときは、附言事項として遺留分を侵害する内容になった経緯や、そのような遺言を書いた自分の気持ちを合わせて記しておくようにしましょう。

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2-7 パターン7 内縁の配偶者と実子がもめる

以前に婚姻していて子どもがあり、現在は内縁の夫や妻がいる方の場合、内縁の配偶者と以前の子どもがもめてしまう可能性が高いので注意が必要です。

内縁の配偶者には遺産相続権がなく、すべての遺産を以前の子どもが相続することになるためです。

現在の資産のほとんどが内縁の配偶者と一緒に築いたものだとしても、同じです。家が被相続人の名義の場合、以前の子どもが内縁の配偶者を家から追い出してしまう可能性もありますし、預貯金が被相続人名義なら全部以前の子どもが受けとって内縁の配偶者が困窮してしまう可能性もあります。

そこで内縁の配偶者に対しては、必要な資産を生前贈与するか、遺言書によってできるだけ多くの遺産を残しておきましょう。

もしも誰か託せる親族などがいたら(内縁の配偶者側の親族でもかまいません)、内縁の配偶者のために財産を管理してもらうよう、家族信託契約を締結するのも1つの方法です。

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3章 相続争いが起こったときの対処方法

実際に相続争いが起こってしまった場合には、以下のような手順で解決します。

3-1 遺産分割調停、審判

相続人間で相続財産の分け方についての意見が整わない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停を利用しましょう。調停では裁判所を介して相続人同士が話し合い、遺産の分け方を話し合うことができます。

調停でも解決できない場合には、「遺産分割審判」という手続になり、裁判官が遺産相続の方法を決定してくれます。

3-2 遺言無効確認調停、訴訟

誰かが「遺言書が無効」と主張している場合、まずは遺言書が本物かどうかを明らかにしなければなりません。その場合には、家庭裁判所で「遺言無効確認調停」という調停を行います。話し合いによっては解決できず、調停が不成立になった場合には「遺言無効確認訴訟」という裁判を起こし、裁判官に遺言書が有効か無効かを決めてもらう必要があります。

遺言書が無効になったら、遺言書がない前提で、相続人があらためて話し合って遺産相続の方法を決定します。

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4章 遺産相続問題を相談出来る専門家

遺産相続問題を相談できる専門家は、行政書士、司法書士、弁護士、税理士です。

こちらの記事も是非参考にしてください。

相続の相談をする専門家の正しい選び方と資格別の特徴【比較表付き】

4-1 行政書士

行政書士には、遺産分割協議書の作成方法や戸籍謄本の取得による相続調査、遺産相続に伴う預貯金口座の名義書換などを依頼できます。

行政書士に手続を依頼した場合の費用は、相続人調査や相続財産調査が3~5万円程度、遺産分割協議書の作成が5~7万円程度です。

4-2 司法書士

司法書士には、遺産分割協議書の作成や不動産登記の名義変更、相続人調査や相続財産調査、家族信託による相続争い防止対策などを依頼できます。

費用の相場は、不動産の登記を依頼した場合に5~8万円程度、遺産分割協議書の作成を依頼すると5~7万円程度かかります。

相続手続きを司法書士に依頼するべき4つの理由と依頼すべきケース

4-3 弁護士

弁護士には、相続人調査や相続財産調査などだけではなく、相手との代理交渉や遺産分割調停・審判の代理などを依頼することも可能です。

遺産分割調停などを依頼すると、当初に着手金が30万円程度、解決したときに得られた利益の10~16%程度が報酬金となるケースが多いです。

4-4 税理士

税理士には、相続税についての相談が可能です。相続税の申告を依頼すると、遺産の額により変動しますが1億円位の遺産額なら50万円程度の費用がかかることが多いです。

遺産相続が起こったとき、相続争いが発生すると関係者全員の負担が重くなります。効果的にトラブルを予防するためには、生前から専門家に相談しておくのが良いでしょう。

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