共有名義を変更する方法|変更が必要なケースと手続き時の注意点

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「婚姻時に夫婦共有名義で不動産を購入したけど離婚することになった」
「相続時、とりあえず兄弟全員で共有名義にしたけど、単独名義にしたい」
「親子共有名義の不動産を、子供の単独名義にしておきたい」

など、共有名義の不動産の名義変更が必要になるケースは様々あります。

共有名義の名義変更は手続きが複雑でかつ高額な税金もかかるケースがあります。

すでに不動産を共有名義にしている方は、その点を留意した上で名義変更の手続きをしなければいけません。

また、これから不動産を共有名義にしようと考えている方は、独名義にする手続きがどのようなもので、どのくらい費用・税金がかかるのかを理解した上で検討する必要があるでしょう。

この記事では、共有名義の名義変更が必要となる主なケースとして「離婚」と「相続」に焦点をあてて解説します。


1章 共有名義の変更が必要なケース

共有名義の変更が必要なケースは主に以下の3つです。

  • 夫婦の共有名義で不動産を購入したが離婚をした
  • 不動産を共有名義で相続したが単独名義にしたい
  • 親子で共有名義の不動産を子供単独名義に変更したい

それぞれ詳しく解説します。

1−1 夫婦の共有名義で不動産を購入したが離婚をした

マイホームをローンの審査を通りやすくするためなどの理由で、夫婦の共有名義で購入するという方も多くいらっしゃいます。

しかし、離婚をする場合、夫婦は赤の他人となりますので、不動産を共有名義のままにしておくわけにはいきません。一方がローンの支払を怠って家が差押えられてしまったり、固定資産税などの税金の支払いをどちらにするかで揉めたりと、あらゆるトラブルを生む原因になるためです。

離婚をきっかけにどちらかの単独名義にする場合、「財産分与」の範囲内ですので、贈与税や譲渡所得税を負担することなく手続きをすることが可能です。

すでにローンを完済している場合には、財産分与による名義変更であることを離婚協議書などに明記した上で、離婚後に手続きをすれば問題ありません。

一方、ローンが残っている場合、同時にローンの名義も変更する必要があり、そのためには不動産を手放す側がローンの一括返済を行うか、ローンの債務者変更や借り換えを検討しなければいけません。

1−2 不動産を共有名義で相続したが単独名義にしたい

  • 相続人全員で相続分に応じた割合で共有名義にしたが、管理している人の単独名義に変更したい
  • 被相続人が共有名義で不動産を所有しており、遠い親戚と共有名義になってしまったので、単独名義に変更したい

など、相続の場面では共有名義になってしまうケースが多くあります。

相続時に法定相続割合で共有名義にしたあと、遺産分割協議により単独名義に変更するときは、贈与税や譲渡所得税などの税金はかかりません。

しかし、一度でも遺産分割協議で決定した内容で共有名義で登記をしてしまった場合、その後に共有名義を解消する場合には贈与や売却などの手段を取らなければならず、贈与税や不動産取得税の課税対象となってしまうので注意が必要です。

なお、「遺産分割協議が長引きそうだから、一旦法定相続分通りに登記して、遺産分割協議後に相続する人の単独名義にする」というケースでの名義変更は贈与税の対象とはならないのでご安心ください。

1−3 親子で共有名義の不動産を子供単独名義に変更したい

二世帯住宅などを、親子の共有名義で購入する方も多いでしょう。

この場合、親子間であっても贈与や売却の手段を取る必要があり、贈与税や不動産取得税の課税対象となります。

また、住宅ローンが残っている場合には、ローンの名義変更も必要ですので、受け取る側が残債を一括返済するか、ローンの借り換えなどを検討しなければいけません。

親子共有名義の不動産の場合、相続まで共有名義にしておき、相続時に子供が引き継ぐ形が最も費用も手間も負担が小さいため、具体的な必要性がない限り生前に共有名義を解消することはあまりおすすめできません。 しかしながら、相続トラブル防止のため遺言書などで準備しておく必要はあります。

以下の記事で自分なりの選択基準を見つけてください。

生前贈与か相続で迷っている人が知っておくべき違いとベストな選択基準

2章 財産分与による共有名義不動産の名義変更

離婚によって共有名義の不動産を単独名義に変更する際には、財産分与による登記手続きですので、贈与税や譲渡所得税はかかりません。

財産分与によって共有名義を単独名義にする場合には、遺産分割協議書や離婚調停証書、審判書、和解調書など、財産分与の内容について明記した書類を持参して行います。

なお、夫婦共有名義の不動産は、住宅ローンが残っているケースも多いかと思いますが、その場合には注意が必要です。

ここでは、財産分与による名義変更の手順や、住宅ローンが残っている場合の注意点について解説します。

2−1 財産分与による名義変更手続き

離婚方法によって手続き方法や必要書類が異なりますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

2−1−1 協議離婚の場合

夫婦で話し合って離婚をする「協議離婚」の場合、離婚後に2人揃って所有者移転登記の手続きをします

離婚後に協力して手続きをしなければいけませんので、相手と連絡が取れなくなったり、相手が非協力的になったりしないよう、離婚前から準備をしておきましょう。

なお、司法書士に依頼すれば、離婚前に両者から委任状を渡すことで、離婚後に手続きを任せることが可能であり「相手によって手続きができない」というリスクを回避することができるため安心です。

協議離婚の場合の必要書類は以下のとおりです。以下の書類をまとめて法務局に申請しに行きましょう。

なお、協議離婚の場合は夫婦双方の書類を集める必要がありますので注意してください。(離婚後に取得する書類については、委任状なしに相手の書類を取得することができません)

財産分与を受ける方(登録権利者)
書類備考
住民票発行後3ヶ月以内のもの 市区町村役場で取得可能 発行手数料は300円程度
印鑑認印可
財産分与をする方(登録義務者)
書類備考
不動産の登記済権利証または、登記識別情報通知不動産を取得した際に法務局から発行されたもの
印鑑証明書発行後3ヶ月以内のもの 市区町村役場で取得可能 
発行手数料は500円程度
実印印鑑登録をしている印鑑
固定資産評価証明書市区料村役場で取得可能 発行手数料は400円程度
離婚の記載のある登記謄本離婚が成立してから取得する 
市区町村役場で取得可能 発行手数料は450円
司法書士に用意してもらうもの
書類備考
司法書士への委任状司法書士に手続きを依頼する場合に必要です 双方の署名・押印をしたものを用意する
登記原因証明情報登記に至った原因や法律行為を記載する書面 自身で作成するのは難しいため、司法書士に作成してもらうことが一般的です
所有者移転登記申請書登記をする際に必要な申請書です。 自身で作成することも一応可能ですが、通常は専門家である司法書士が作成します。

2−1−2 裁判上の離婚の場合

離婚調停や訴訟など、裁判上の離婚をした場合、裁判上で決定した内容に沿い、不動産を取得する人が単独で所有者移転登記をすることが可能です。

ただし、あくまで裁判上で決定した内容であることが前提ですので、調停証書や審判書など裁判所が作成した書類に「申立人は、相手方に対し、離婚に伴う財産分与として、別紙物件目録記載の不動産を譲渡することとし、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする」と記載されている必要があります。

もし、このような取り決めをしていない場合には、協議離婚と同じ手続きをします。

裁判上の離婚で必要な書類は以下のとおりです。不動産を取得する側の書類だけで問題ありません。

財産分与を受ける方(登録権利者)
書類備考
住民票発行後3ヶ月以内のもの 市区町村役場で取得可能 発行手数料は500円程度
印鑑認印
固定資産評価証明書登記する年度のもの
登記原因証明情報調停証書、審判書、和解調書など

2−2 住宅ローンが残っている場合の注意点|ローンの一括返済が必要です

住宅ローンが残っている場合、不動産の名義を勝手に単独名義にすることを、銀行は認めてくれません。

万が一勝手に名義変更してしまうと、残債の一括払いを求められる可能性があります。

単独名義にする場合には、不動産を手放す側がローンの残債を一括で完済しなければいけません。

完済できるだけの資金があれば良いですが、ない場合には実家などからお金を貸してもらったり、ローンの借り換えをしたりする必要があります。

2−2−1 お互いの連帯保証人になっている場合には注意が必要

住宅ローンを共有名義で組む場合、お互いが連帯保証人になっているケースがあります。

自身の分の住宅ローンを完済して相手の単独名義にしたとしても、連帯保証人から外れることはありません。

そのため、ローンを払い続けている側がローンの支払を怠った場合、連帯保証人にローンの一括払いが命じられる可能性があります。

連帯保証人になっている場合には、その点にも配慮して離婚協議を勧めるようにしましょう。

財産分与による登記手続き|手続き方法や注意点を司法書士が解説

3章 財産分与以外での共有名義不動産の名義変更

  • 共有名義で相続した不動産を、単独名義に変更したい
  • 親子名義の不動産を子供名義にしたい など

財産分与以外で、共有名義の不動産を名義変更したいようなケースは、共通して以下のような方法を取ります。

  • 贈与
  • 売却
  • 共有持分の放棄
  • 土地の分筆

それぞれ詳しく解説します。

3−1 贈与

贈与では、不動産を共有している人に、自身の持ち分を無償で譲ります。

例えば、Aさん・Bさん・Cさんで共有している不動産を、Aさんの単独名義にする場合はBさん・CさんがAさんに不動産を贈与することとなります。

贈与の場合、不動産を譲り受けた側に贈与税が課税されます。贈与税は贈与を受けた不動産の評価額の10%〜55%と非常に高額ですので注意してください。

3−1−1 共有持分を贈与する手続き

では、共有持分を贈与する際の手続きについて見ていきましょう。なお、Aさん・Bさん・Cさんで共有する不動産をAさんの単独名義にする場合には、Bさん・Cさん各々がAさんと贈与契約を結ぶ必要があります。

ここでは便宜上【Aさん・Bさん・Cさんで共有する不動産をAさんの単独名義にする】というケースを想定して解説します。

【STEP①】贈与について話し合う

まず、贈与の内容について贈与をする人・贈与を受ける人で話し合います。Bさん・Cさん各々がAさんと話し合いましょう。

無償で譲り渡すとは言え、贈与でも双方の合意がなければいけません。

【STEP②】贈与契約書の作成

次に、話し合ったぞうの内容に沿って贈与契約書を作成します。Bさん・Cさん各々で贈与契約書を作成しましょう。

なお、贈与契約書がなくても、口頭で約束した時点で贈与は成立します。

しかし、それでは「言った・言わない」でトラブルになる可能性がありますし、口約束での贈与は当事者が契約を解除することが可能です。

また、契約書があることで、税務調査が入った時や、将来の相続のときに贈与した証拠となります。

そのため、書面としてしっかりと残しておくことが非常に重要です。

生前贈与するときは契約書を作ろう!ケース別の書式を無料ダウンロード

【STEP③】登記手続き

贈与契約書を手続きしたら、持分移転の登記手続きを行います。登記をすることで、贈与を受けた側が、不動産の権利を法的に主張できるようになります。

登記手続きは、AさんがBさん・Cさんから贈与された持ち分それぞれ別々に行いましょう。

手続きの方法や必要書類は、通常の所有者移転登記と同じです。

具体的な手続き方法や必要書類は、以下の記事を御覧ください。

【所有権移転登記とは?】手続きの流れから必要物・費用まで簡単解説

3−2 売却

売却では、不動産を共有している人に、自身の持ち分を時価相当の額で売却します。

例えば、Aさん・Bさん・Cさんで共有している不動産を、Aさんの単独名義にする場合はBさん・CさんがAさんに不動産を売却することとなります。

売却の場合には、売却により利益を得た人に譲渡所得税がかかります。譲渡所得税は、所有期間が5年以内の場合約40%、5年以上の場合は約20%となっており、所有期間が短いと高額になります。

なお、「家族だから」という理由などで、共有者に時価よりも著しく低い価格で売却してしまうと、贈与としてみなされてしまうので注意してください。

 3−2−1 共有持分を売却する手続き

では、共有持分を売却する際の手続きについて見ていきましょう。なお、Aさん・Bさん・Cさんで共有する不動産をAさんの単独名義にする場合には、Bさん・Cさん各々がAさんと売買契約を結ぶ必要があります。

ここでは便宜上【Aさん・Bさん・Cさんで共有する不動産をAさんの単独名義にする】というケースを想定して解説します。

【STEP①】不動産の相場を調査する

まずは、不動産の相場を調査しましょう。時価とかけ離れた金額で売買すると税務調査で指摘される可能性があるので、適正な価格を知っておく必要があります。

相場の調査は、類似物件の取引価格を調べたり、政府が公表している「公示地価」や「路線価」などを参考したりします。

自身での調査が難しい場合には、不動産業者に査定をお願いするのも良いでしょう。

【STEP②】売買契約を締結する

不動産の相場が明確になり、共有持分の価格を決定したら、その内容に沿って売買契約を締結しましょう。Bさん・Cさんそれぞれが、Aさんと契約を結びます。

契約の締結は、売買契約書を作成し、それぞれが署名捺印します。。

通常の不動産の場合、不動産業者に依頼しますが、仲介手数料がかかりますし、身内間の売買であればあえて依頼する必要はないでしょう。

ただし、売買契約書の作成や、最後に行う登記手続きは、当事者たちだけで行うとトラブルになる可能性があるので、司法書士などの専門家に依頼することを強くおすすめします。

【STEP③】代金の支払い・【STEP④】登記手続き

売買契約書に双方が署名・捺印をしたら、代金の支払いに移ります。通常、トラブルを避けるため代金の支払いと登記手続きは司法書士が同時に行います。

登記手続きの手順や必要書類は、通常の所有者移転登記と同様です。

具体的な手続き方法や必要書類は、以下の記事を御覧ください。

【所有権移転登記とは?】手続きの流れから必要物・費用まで簡単解説

3−3 共有持分の放棄

不動産を単独名義にする人以外が、共有持分を放棄する方法です。贈与や売却と異なり、共有者が自由に行うことができます。

放棄する場合、法律上は贈与になりませんが、税務上は「みなし贈与」となり、贈与税が課税されます。

例えば、Aさん・Bさん・Cさんで共有している不動産を、Aさんの単独名義にする場合はBさん・Cさんが共有持分の放棄をすることとなります。

3−3−1 共有持分を放棄する手続き

共有持分の放棄は自由に行うことができますが、それに伴う所有者移転登記は共有していた人と共同で手続きする必要があります。

手続きや必要書類は、通常の所有者移転登記と同様です。

【所有権移転登記とは?】手続きの流れから必要物・費用まで簡単解説

4章 【ケース別】共有名義を変更する際にかかる費用と税金

共有名義を変更する手続きは、どれも所有者移転登記であり、かかる費用・税金はそれぞれ異なります。

登記の原因登録免許税譲渡所得税贈与税印紙税司法書士への依頼費
離婚による財産分与固定資産税評価額の2
なしなしなし登記手続き一式:7〜15万円
財産分与等契約書の作成:2〜3万円
売却固定資産税評価額の20%
※土地に関しては、令和5年3月31までの間に登記する場合、15%(延期される可能性があります)
【不動産の所有期間が5年以内の場合】
(売却代金-取得費-譲渡費)×39.63%
【不動産の所有期間が5年を超える場合】
(売却代金-取得費-譲渡費)×20.315%
なし200円〜60万円
※契約書に記載する金額による
登記手続き一式:7〜15万円
売買契約書作成:2〜5万円
贈与固定資産税評価額の2%なし贈与を受けた不動産の評価額×贈与税率
※税率は評価額によって異なる
なし登記手続き一式:7〜15万円
贈与契約書作成:2〜5万円
放棄固定資産税評価額の2%なし贈与を受けた不動産の評価額×贈与税率
※税率は評価額によって異なる
なし登記手続き一式:7〜15万円

3−1 税金・費用の概要

はじめに、税金や費用の概要について解説します。これを踏まえて読み進めてください。

①登録免許税

登記手続きにかかる税金です。法務局での名義変更の際に収めます。
税率は、登記の原因によって異なります。

登記の原因登録免許税
財産分与・贈与・放棄固定資産税評価額の2%
売買固定資産税評価額の2%
※土地に関しては、令和5年3月31までの間に登記する場合、15%(延期される可能性があります)
(参照)No.7191 登録免許税の税額表|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm

②譲渡所得税

不動産などを売却したことによって利益を得た場合にかかる税金で、「所得税」「住民税」「復興特別所得税」を合算したものです。

税率は、所有期間が5年以下(短期譲渡所得)の場合と、5年を超える(長期譲渡所得)で異なります。

短期譲渡所得
譲渡所得(売却して得た利益)×(30%【所得税】+9%【住民税】+0.63%【復興特別所得税】)=譲渡所得税額
長期譲渡所得
譲渡所得(売却して得た利益)×(15%【所得税】+5%【住民税】+0.315%【復興特別所得税】)=譲渡所得税額
土地を売却した際にかかる譲渡所得税とは?計算方法と節税方法を解説

③贈与税

贈与を受けた場合、該当する財産する財産の評価額に対してかかる税金です。税率は、評価額によって異なります。

不動産の贈与税はいくら?計算方法や贈与税を安く抑える3つの方法

④印紙税

売買契約など、契約金額が関わる契約書に対してかかる税金です。主に売買契約に課税されます。契約金額によって異なります。以下は、売買契約書にかかる印紙税の一覧です

契約金額印紙税
1万円未満非課税
10万円以下200円
10万円を超え50万円以下200
50万円を超え100万円以下1,000円
100万円を超え500万円以下2,000円
500万円を超え1千万円以下10,000円
1千万円を超え5千万円以下20,000円
5千万円を超え1億円以下60,000円
1億円を超え5億円以下100,000円
5億円を超え10億円以下200,000円
10億円を超え50億円以下400,000円
50億円を超えるもの600,000円
契約金額の記載のないもの200円
(参照)No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm

⑤司法書士への依頼費用

登記手続きなどを司法書士に依頼した場合にかかる費用です。登記手続き以外にも、契約書の作成なども依頼することが可能です。

3−1 離婚による財産分与の場合

離婚による財産分与にかかる場合、財産分与によって不動産を取得する側に「登録免許税」と「司法書士への依頼費用」です。(登録免許税については、どちらが支払うかは話し合いによって決めてもOK)

財産分与を原因とした登記の登録免許税は、不動産の固定資産税評価額の2%です。不動産の固定資産税評価額が1,000万円の場合には、20万円となります。

登記手続きを司法書士に依頼する場合の費用は、7万〜12万円程度です。登記手続き以外にも財産分与契約書の作成を依頼する場合には、2〜3万円程度が相場です。

3−2 売却の場合

売却の場合、売却する側には「譲渡所得税」、買い取る側には「登録免許税」「印紙税」がかかります。(登録免許税・印紙税については、どちらが支払うかは話し合いによって決めてもOK)

登記手続きを司法書士に依頼する場合の費用は、7万〜12万円程度です。登記手続き以外にも売買契約書の作成を依頼する場合には、2〜5万円程度が相場です。

売買による不動産登記にかかる登録免許税は、建物が固定資産税評価額の20%土地が固定資産税評価額の15%(令和5年3月31日まで)です。建物1,000万、土地1,000万の不動産の場合、合計で350万円となります。

「譲渡所得税」「印紙税」の具体的な金額については、3−1を御覧ください

3−3 贈与の場合

贈与の場合、贈与を受ける側に「贈与税」「登録免許税」がかかります。(登録免許税については、どちらが支払うかは話し合いによって決めてもOK)

贈与の場合の登録免許税は、固定資産税評価額の2%です。固定資産税評価額1,000万円の不動産を贈与によって取得した場合、登録免許税は20万円となります。

贈与税の具体的な金額については、以下の記事を御覧ください。

不動産の贈与税はいくら?計算方法や贈与税を安く抑える3つの方法

3−4 放棄の場合

共有放棄の場合、放棄されたことで持分を取得した人に「登録免許税」「贈与税(みなし贈与税)」がかかります。(登録免許税・印紙税については、どちらが支払うかは話し合いによって決めてもOK)

放棄によって取得した場合、法律上は贈与となりませんが、税務上は贈与として扱われるため、贈与税がかかることとなっています。

放棄の場合の登録免許税は、固定資産税評価額の2%です。固定資産税評価額1,000万円の不動産を贈与によって取得した場合、登録免許税は20万円となります。

贈与税の具体的な金額については、以下の記事を御覧ください。

不動産の贈与税はいくら?計算方法や贈与税を安く抑える3つの方法
知っておきたい!贈与・放棄で取得した持分を売却するときの譲渡所得税の差

3章でも少しお話しましたが、贈与・放棄の違いの一つに、取得した不動産を売却した際の譲渡所得税の課税対象額があります。

結論から申し上げますと、放棄によって取得した場合のほうが、売却したときの譲渡所得税が少なくなる可能性が高くなります。

具体的にお話いたします。

【事例】AさんとBさんが500万円ずつで取得し、贈与・放棄時の評価額が1,000万円ずつの土地を贈与・放棄によって取得し、その後売却する場合の違い

【放棄の場合】Aさんが放棄し、Bさんの単独所有となった場合、放棄時に1,000万円に対して贈与税が。売却時には【2,000万円(売却代金)-1,000万円(放棄時の評価額)-500万円(Bの土地購入費)-譲渡費】に対して譲渡所得税がかかります。

【贈与の場合】AさんがBさんに共有持分を贈与した場合、贈与時に1,000万円対して贈与税が。売却時には【2,000万円(売却代金)-1,000万円(Aさん・Bさんの取得費用の合計)-譲渡費】に対して譲渡所得税がかかります。

このケースでは、譲渡所得税の対象額に、500万円の差が生まれますので、その分税額も差が生じます。


5章 贈与・売却・放棄で迷ったときのポイント

共有名義を変更する方法には「贈与」「売却」「放棄」があるとお話しました。

それぞれにメリット・デメリットがあり、自分のケースではどれが適しているか迷われる方も多いのではないでしょうか。

ここでは、贈与・売却・放棄どれにするか迷った際に知っておくべきポイントについて解説します。

ぜひ参考にしてください。

5−1 贈与税と譲渡所得税で課税対象額が異なる

贈与税は、不動産の評価額に贈与税率をかけて算出します。評価額の算出方法はさまざまありますが、建物であれば固定資産税評価額、土地であれば路線価方式または倍率方式を用いて算出するのが一般的です。

一方で、売買額を決定する際には「時価」を参考にします。時価とは、その時点での市場価格です。
贈与税を計算する上での評価額は、売買に用いられる「時価」よりも7割〜8割程度低く設定されています。

そのため、不動産の時価が3,000万円だとしても、贈与税を計算する際に用いる評価額は1,000万程度ということも大いにありえます。

譲渡所得税を計算する際には、実際に売却して得た利益から取得費と譲渡費用を差し引いた額(譲渡所得費)に税率をかけます。

3,000万円で売却して諸々の費用を差し引いたとしても譲渡所得費が2,000万円程度だとしたら、譲渡所得税の課税対象額は贈与税の課税対象額よりも高額になるということです。

つまり、贈与税の税率がいくら高くても、そもそもの課税対象額が譲渡所得税のほうが高額な場合、実際に支払う税金は譲渡所得税のほうが高額になるようなこともあります。

贈与税と譲渡所得税で支払う人はことなりますが、「家族単位」で国に払う税金を考えるのであれば、どちらもしっかりと算出しておくべきでしょう。

5−2 贈与と売却、どちらが良いのか?

贈与の場合、不動産の共有持分を無償で譲り受けられる一方、高額な贈与税がかかります。

売却の場合は、共有持分を取得する側に購入費にかかった上で、売却した側にも譲渡所得税がかかります

そのため、売却する場合には、不動産を取得する側に購入するだけの資金があることが大前提です。

その問題をクリアしているのであれば、贈与税と譲渡所得税を算出した上で「国に多くお金を払うか」「身内に多くお金を払うか」どちらが良いかを踏まえて検討しましょう。

贈与税よりも譲渡所得税のほうが高額な場合には、却のほうが国に払う税金が高くなりますので懸念点になるかもしれません。

一方で、贈与は現金としての利益がないため、自己資金から贈与税を捻出しなければいけないのがネックとなります。

贈与と売却どちらが良いという、明確な答えはありません。

共有者同士で、どのように税金やお金を払うのかをしっかりと話し合って決めるのが良いでしょう。

5−3 贈与と放棄の違い

一見、贈与と放棄では意味合いは異なるものの、結果は同じになるのでは? と感じた方も多いのではないでしょうか。

実際は、贈与と放棄では、結果的にも異なる点があります。

具体的には以下のとおりです。

5−3−1 ①残された所有者への分配方法

Aさん・Bさん・Cさんのうち、Cさんだけが共有持分を放棄した場合、自動的にCさんの分はAさん・Bさんに平等に放棄されます。一方、贈与の場合は特定の人に行うことができるため、Aさん・Bさんそれぞれに贈与するか、Aさん(またはBさん)だけに贈与するかを決めることが可能です。

5−3−2 ②移転する相手

放棄の場合、放棄した持ち分の移転先は他の共有者に限られます。一方、贈与は相手を自由に選択することができます。もちろん、共有者以外の第三者でも構いません。

5−3−3 ③売却時に課税される税金

放棄によって取得した分を売却した場合、取得時期・取得費が引き継がれませんので、実際に土地を取得した費用(購入費用など)と贈与税課税時の時価を取得費として判断し、売却代金から差し引かれて課税されます。

一方、贈与の場合、取得時期・取得費が引き継がれるため、贈与を受けた人と贈与をした人の取得費の合計を売却代金から差し引いて課税されます。つまり、実際の取得費売却時の時価課税と二重課税されることとなります。

少しわかりにくいので、次項にて具体的な例を挙げて解説します。興味のある方はぜひ読み進めて見てください。

5−3−4 ④手続きができる人の違い

贈与は、相手の合意がなければ成立しません。一方、放棄は単独で自由に行うことが可能です。

5−4 贈与・放棄で取得した持分を売却するときの譲渡所得税の差

3章でも少しお話しましたが、贈与・放棄の違いの一つに、取得した不動産を売却した際の譲渡所得税の課税対象額があります。
結論から申し上げますと、放棄によって取得した場合のほうが、売却したときの譲渡所得税が少なくなる可能性が高くなります。

具体的にお話いたします。

事例

AさんとBさんが500万円ずつで取得し、贈与・放棄時の評価額が1,000万円ずつの土地を贈与・放棄によって取得し、その後売却する場合の違い

【放棄の場合】
Aさんが放棄し、Bさんの単独所有となった場合、放棄時に1,000万円に対して贈与税が。売却時には【2,000万円(売却代金)-1,000万円(放棄時の評価額)-500万円(Bの土地購入費)-譲渡費】に対して譲渡所得税がかかります。

【贈与の場合】
AさんがBさんに共有持分を贈与した場合、贈与時に1,000万円対して贈与税が。売却時には【2,000万円(売却代金)-1,000万円(Aさん・Bさんの取得費用の合計)-譲渡費】に対して譲渡所得税がかかります。このケースでは、譲渡所得税の対象額に、500万円の差が生まれますので、その分税額も差が生じます。


4章 まとめ

共有名義の不動産を名義変更する手続きや費用は、名義変更の原因によって異なります。

場合によっては贈与税や譲渡所得税など高額な税金がかかることもありますので注意してください。

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