
土地を売却すると、税金がかかるのをご存知ですか?
土地を売却して利益が出た場合、その利益に対して「譲渡所得税」がかかります。
しかし、せっかく土地を売るのに、多額の税金を取られてしまうのは嫌ですよね。
ケースによっては、譲渡所得税を節税することも可能です。
この記事では、土地を譲渡所得税の計算方法や、節税する方法について解説します。
ぜひ参考にしてください。
目次
1章 譲渡所得とは?
所有している不動産や株式、貴金属などを売却して得た利益のことを譲渡所得と言います。
この「譲渡所得」は、ただ売れた価格を示すわけではありません。売れた価格から、取得費や譲渡費を差し引いたものが「譲渡所得」となります。
「取得費」と「譲渡費」とは、具体的に以下の通りです。
取得費
- 土地、建物の購入代金や建築代金
- 購入時の税金(不動産取得税、登録免許税、印紙税など)
- 仲介手数料
- 測量費、整地費、建物解体費など
譲渡費
- 仲介手数料
- 建物解体費
- 立退料など
この譲渡所得に対して「所得税」と「住民税」がかかり、この税金を総称して「譲渡所得税」と呼びます。上記のうち、「建物の購入代金や建築代金」については、年月とともに価値が下がるため、経過年数に応じて算出した減価償却費を総額から差し引いて計算します。
税金については2章で詳しく解説します。
2章 土地を売却した際にかかる税金
土地を売却すると、以下のような税金がかかります。
- 所得税
- 住民税
- 印紙税
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1 所得税と住民税(譲渡所得税)
土地を売却した際にかかる「住民税」と「所得税」を総称して「譲渡所得税」と呼びます。
譲渡所得税の税率は「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」で異なります。
- 短期譲渡所得:所有期間5年以下
- 長期譲渡所得:所有期間5年超
※譲渡のあった年の1月1日時点から換算
※相続した土地の場合、被相続人が所有していた期間を含む
それぞれの税率は以下の通りです。
短期譲渡所得 |
譲渡所得(売却して得た利益)×(30%【所得税】+9%【住民税】+0.63%【復興特別所得税】)=譲渡所得税額 |
長期譲渡所得 |
譲渡所得(売却して得た利益)×(15%【所得税】+5%【住民税】+0.315%【復興特別所得税】)=譲渡所得税額 |
※復興特別所得税とは、東日本大震災の復興に用いられるために2011年に創設された税金で、所得税の2.1%と定められています。
2-2 印紙税
契約書の作成にかかる税金で、売買するものの価格に応じて税額は変わります。
収益の有無に関わらず支払う必要がありますが、支払う人は決められていません。売り主が支払うこともありますし、仲介業者が負担してくれる場合もあります。
印紙税は収入印紙を購入し、契約書に貼って消印するだけで問題ありません。
なお、不動産売買の場合は、軽減措置が適用されています。(令和4年3月31日までに作成)
不動産売買契約書に記載されている金額 | 印紙税(軽減あり) |
500万円超のもの | 5,000円 |
1,000万円超のもの | 10,000円 |
5,000万円超のもの | 30,000円 |
1億円超のもの | 60,000円 |
5億円超のもの | 160,000円 |
3章 譲渡所得税を節税できる特例
ここでは、譲渡所得税を節税する特例について解説します。
3-1 居住用財産の特別控除
居住用財産の特別控除とは、居住していた住宅を売却する場合、譲渡所得から3000万円を控除されるというものです。
この控除はあくまで、その住宅に居住していた場合のみに適用されるため、空き地を売却する場合は利用できないので注意しましょう。
ただし、家屋(建物)を取り壊して更地にした場合でも、住まなくなった日から3年以内に売却すれば適用されます。
具体的な適用条件は以下のとおりです。(参照:国税庁HP)
- 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること
- 以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること。
- 住んでいた家屋を取り壊した場合は、家屋を取り壊した日から1年以内に譲渡契約を締結し、かつ住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること
- 住んでいた家屋を取り壊した場合は、譲渡契約を締結した日までその敷地を貸駐車場など他の用途で利用していないこと・売却した年の前年
- 前々年にこの特例またはマイホームのマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと・売った年、その前年及び前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。
- 売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
- 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。
※特別な関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます
このとおり条件が非常に複雑なため、適用可能かどうかわからない場合は税務署へ相談することをおすすめします。
3-2 10年超所有の場合の軽減税率の特例
「10年超所有の場合の軽減税率の特例」とは、所有年数が10年を超える住宅を売却する際に、所得税と住民税の税率が軽減される特例です。
土地を売却する際にも適用されますが、一定の条件があるので注意が必要です。
適用条件は以下のとおりです。
(土地に関わる部分は赤字で表記しています)
- 10年以上保有していること
- 住んでいた家屋を取り壊した場合は取り壊した年から10年以上が経過していること
- 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること
- 以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること。
- 住んでいた家屋を取り壊した場合は、家屋を取り壊した日から1年以内に譲渡契約を締結し、かつ住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること
- 住んでいた家屋を取り壊した場合は、譲渡契約を締結した日までその敷地を貸駐車場など他の用途で利用していないこと
- 売却した年の前年・前々年にこの特例またはマイホームのマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと
- 売った年、その前年及び前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。
- 売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
- 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。
※特別な関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます
3-3 【相続した土地を売却する場合】取得費加算の特例
「取得費加算の特例」とは、相続によって取得した不動産を3年10ヶ月以内に売却した場合、相続した際に支払った相続税のうち一定額を譲渡所得資産取得費に加算できる特例です。
相続した土地の場合、取得費がないため、売上から差し引くことはできませんが、この特例を利用すれば相続時にしはらった相続税を取得費に充てることができます。
この特例が適用される条件は以下のとおりです。
- 相続または遺贈によって取得した財産であること
- 相続時に相続税が課されていて納税していること
- 相続開始日の翌日から3年10ヶ月以内に売却していること
まとめ
土地を売却し、譲渡所得が発生した場合は譲渡所得税が課税されます。
譲渡所得税を節税できる特例はいくつかありますが、条件が複雑なものがほとんどです。
適用できるかどうか不明な場合は、税理士などの専門家へ相談してみましょう。