土地の共有持分はトラブルのもと!共有持分でできることと処分方法

土地の共有持分はトラブルのもと!共有持分でできることと処分方法
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 6

共有地(きょうゆうち)とは、複数の人物によって所有される土地のことです。
家族や知人、はたまた他人同士でも土地・建物を共有することは可能です。

複数人で土地・建物を共有している場合、その1人ひとりが所有する持ち分を「共有持分」と呼びます。

相続の際に、誰が不動産を相続するか決めきれず、全員の名義にするケースもあるでしょう。

全員平等に相続できるため、平和的解決のように思えますが、不動産を共有することはトラブルのもとになるため、あまりおすすめできません。

この記事では、なぜ、土地の共有持分がトラブルのもとになるのか、共有持分の土地ではどのようなことができるかなどについて解説します。


1章 土地の共有持分はトラブルのもとになる!

土地の共有持分は、以下のような理由から、トラブルの原因となります。

トラブルとなりやすい4つの理由

 

  • 将来所有者がどんどん増えていってしまう
  • 共有持分のみを買い取ってもらえるケースは少ない
  • 土地のすべてを売却するには所有者全員の同意が必要
  • 土地を自由に活用しにくい

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1−1 将来所有者がどんどん増えていってしまう

例えば、土地をAさん・Bさん・Cさんの3人で共有していたとします。

将来、その3人が亡くなった場合、それぞれの共有持分の相続権は、それぞれの相続人へ承継されることになります。

つまり、Aさんの相続人が2人、Bさんの相続人が2人、Cさんの相続人が3人いるような場合、その土地1つに対して7名の相続人が関与するということです。

その相続人たち全員が相続した場合には、所有者が最大で7名となります。さらにその後も相続が発生したら・・・と考えると、どんどん関係者となる相続人が増えていくのは想像つくでしょう。

所有者が多くなればなるほど、土地活用や処分の自由が効かなくなります。

1−2 共有持分のみを買い取ってもらえるケースは少ない

「共有で所有している土地なんていらないから処分したい」と思っても、共有持分だけを買い取ってくれる不動産会社はほとんどいません。

なぜなら不動産会社としても、土地の共有持分(たとえば1/3)だけ買い取っても、共有者全員の合意がないと有効活用できないからです。

対個人であっても同様です。好き好んで赤の他人と土地を共有したがる人はいないでしょう。

そのため、どれだけ土地が不要になったとしても、第三者への売却は難しく、簡単には手放せないのが現実です。

売却するのであれば、他の共有者と交渉するのが現実的です。

1−3 土地のすべてを売却するには所有者全員の同意が必要

「共有持分だけ」買ってくれる人が現れれば、独断で売却することは可能です。

一方で、土地のすべてを売却するとなると、所有者全員から同意を得なければいけません。

全員の意見が一致するのであれば問題ありませんが、1人でも賛成しない人がいる限り、土地全体を売却することはできません。

1−4 土地を自由に活用しにくい

詳しくは次章で解説しますが

  • 共有している土地を賃貸物件として貸し出すこと
  • 賃貸契約を解除したりすること
  • 土地に建物を建てること
  • 建築してある不動産をリフォームすること
  • 共有している土地を担保に入れて銀行からお金を借りること

などをする際には「共有者の過半数」もしくは全員の同意」が必要です。

このように、持て余しているいらない土地があったとしても、逐一共有者の同意を得なければいけないため、活用しにくいというデメリットがあります。

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2章 共有持分の土地でできること

共有持分の土地は、単独所有している土地のように自由になんでもできるわけではありません。

行う行為によっては、以下のように共有者全員もしくは過半数の同意が必要です。

行為詳細共同者の同意
土地の保存・使用【保存】
・修繕
・不法占拠者を追い出すこと
【使用】
・不動産に住むこと
単独で可能
土地の利用・改良【利用】
・第三者に短期的に貸し出すこと
・賃貸契約の解除
【改良】
・建物のリフォーム、リノベーション
過半数の同意が必要
土地の処分【処分】
・売却
・抵当権の設定
・借地借家法に基づいた賃貸借契約
全員の同意が必要

共有持分の土地には何かと制限がありますので、「何ができて、何ができないか」について理解しておきましょう。

2−1 【単独で可能】土地の保存・使用

土地の保存・使用とは、以下のような行為です。

  • 【保存】
  • 不動産を維持するための修繕
  • 不法占拠者を追い出す行為
  • 【使用】
  • 不動産で暮らすこと

上記の行為は、共有者の同意なしに行うことが可能です。

「共有持分の土地だから、勝手に暮らすことは許されないのでは?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。所有者であれば、自由に住むことができます。

なお、自由に住むことができるのは、共有者全員に言えることです。他の共有者が「私も住みたい」と言った場合、拒否することはできませんし、今住んでいる人を追い出すこともできません。

また、不動産を維持するために必要な範囲での修繕であれば、単独で行うことが可能です。

2−2 【過半数の同意が必要】土地の利用・改良

土地の利用・改良とは、以下のような行為です。

  • 【利用】
  • 第三者に短期的に貸し出すこと
  • 現在締結している賃貸契約を解除すること
  • 【改良】
  • 建物のリフォーム、リノベーション

上記の行為は、共有している人の過半数の同意が必要です。

間違いやすいのが「第三者に短期的(数日から3年程度)に貸し出すこと」は過半数の同意で良いですが、「借地借家法に基づいた賃貸借契約」の場合は全員の同意が必要という点です。

借地借家法とは、居住目的で建物を賃貸するときや、工場や倉庫など事業目的で土地を賃貸するときに適用される法律です。

「1年間だけ駐車場として貸す」と言ったような貸し出し方法であれば、過半数の同意で問題ありません。

2−3 【全員の同意が必要】土地の処分

土地の処分とは、以下のような行為です。

  • 土地を売却する
  • 借地借家法に基づいた賃貸借契約
  • 抵当権の設定

上記の行為は、共有者全員の同意が必要です。

前節では、「第三者に短期的に貸し出すこと」は過半数の同意でよいと解説しましたが、借地借家法に基づいて賃貸借契約(居住目的の借家など)を結ぶ場合には全員の同意が必要です。

また、土地を担保に入れて銀行などからお金を借りる行為、つまり抵当権の設定も、全員の合意が必要です。抵当権の設定は、万が一お金を借りた人が返せなくなった場合や破産した場合に担保に入れた土地が没収(競売)されるものだからです。


3章 共有持分の処分方法

1章では、共有持分の土地は売却しにくいとお話しました。

では、「共有持分はもういらない」「手放したい」となった場合、どうしたらいいのでしょうか。

主に5つの方法があります。

共有持分の5つの処分方法

  1. 他の共有者へ持分を売却する
  2. 他の共有者へ持分を贈与する
  3. 共有持分を放棄する
  4. 土地を分筆・交換して単独で売却する
  5. 共有者全員で売却する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3−1 他の共有者へ持分を売却する

共有持分を第三者へ売却するのは、買取側にメリットがないため難しいですが、同じ土地を共有している人であれば買い取ってくれる可能性があります。

共有者に売却すれば、自身の持ち分が増えるなどのメリットがあるからです。

例えば「土地を兄と2人で相続したが、実際にその土地を使っているのは兄だけ」というケースでは、弟が兄に自分の持分を売却すれば、兄はその土地のすべての所有権を得ることができます。

兄としては、弟に気を使わず、自由にその土地を処分したり、賃貸にしたりすることができるというメリットがあります。

ただし、売却額には注意が必要です。売却する場合「家族だから、格安で売ろう」と思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし、相場よりもかなり安い価格で売却した場合、「贈与」とみなされ、買い取った側に贈与税が課税される可能性があります。

3‐2 他の共有者へ持分を贈与する

他の共有者が、共有分を買い取ってくれない場合には、贈与も検討しましょう。

贈与する場合には、当然共有分を無償で渡すこととなりますので「タダであれば・・・」と贈与を受け入れてくれる可能性があります。

ただし、贈与の場合には、譲り受けた側に贈与税がかかります。

贈与税は高額ですので、「税金として国にお金を払うのか」「売却にして家族にお金を払うのか」についてはよく話し合ったほうが良いでしょう。

また、贈与税のほかにも、不動産取得税や登録免許税もかかります。

不動産の贈与税はいくら?計算方法や贈与税を安く抑える3つの方法

3‐3 共有持分を放棄する

通常、所有者が一人の場合、不動産の所有権を放棄することはできません。

しかし、自分以外に共有者がいる場合には放棄が可能です。

共有持分を放棄した場合、他の共有者に持ち分の権利が移ります。例えば、3人で共有していて、1人が放棄したら残りの2人で1つの不動産を共有することになります。

【贈与との違いに注意】

贈与と似ていますが、持ち分を放棄した後の状況が異なります。

贈与した場合には、贈与を受けた人が、贈与した人の分まで持ち分を持つこととなります。(1/3の持ち分を贈与したら贈与を受けた人が2/3を所有する権利を持つ)

一方で、放棄をすると他の共有者が平等に持ち分を分かち合うことになります。(1/3の持ち分を放棄したら残りの2人が1/2ずつ所有する権利を持つ)

【共有持分を放棄をしても贈与税は課税されるので注意】

共有持分を放棄し、放棄された分を残りの人が取得しても、民法上は贈与にはなりません。

しかし、税務上は残りの人が「贈与を受けた」と扱われるため、贈与税は課税されるので注意が必要です。

3−4 土地を分筆・交換して単独所有する

土地の分筆とは、1つの土地を複数に分けて登記をすることをいいます。

土地を複数所有しているのであれば、土地を各自の持ち分に応じて分筆し、持ち分を交換する移転登記をすれば、各自が1つの土地を単独所有する形にすることが可能です。

土地を共有持分で相続するとトラブルのもとになります。土地を単独所有する方法について解説

それぞれ単独所有になれば、売却や賃貸物件にすることも単独で決定できます。

しかし、同じ土地でも道路に接するかどうかで価値が大きく変動しますし、土地の形によっては均等に分筆するのが難しいケースもあります。

また、土地に建物が建っている場合、土地を分筆したところで、建物が残るので建物の所有についても整理が必要です。

土地の分筆・交換をして単独所有にするには、以下のような土地が向いています。

  • 建物が建っていない(もしくは分筆できる範囲内に建物が建っている)
  • 平等に分筆できる土地である(間口・広さ・地形など)

ただし、この判断は難しいので、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

土地の分筆について詳しくはこちらをご覧ください。

分筆とは?【簡単解説】メリット・デメリットから費用や手続き方法まで

3−5 共有者全員で売却する

共有持分は、全員の合意がなければ売却できないとお話しました。

つまり、全員の合意さえあれば、土地を売却することができるということです。

全員で売却するのが、一番平和的で手間も少ない方法です。

売却にかかる費用は、持分割合に応じて全員で負担し、売却にかかる税金も全員で納税します。

売却後は、持分割合に応じて、売却益を分配すれば問題ありません。

今後相続が発生すると、共有者が増えて全員の合意を得るのが難しくなります。共有者が把握できているうちに、売却するのが良いでしょう。

土地を売却した際にかかる譲渡所得税とは?計算方法と節税方法を解説

4章 共有持分の相続や売却はグリーン司法書士法人におまかせください!

共有持分のご相談は、グリーン司法書士法人にお任せください!

ご事情を伺った上で、適した管理方法・処分方法をご提案させていただきます。

提携先に土地家屋調査士もいるので、分筆から交換など複雑な案件でもサポート可能です。

初回相談は無料です。オンライン相談も可能ですので、お気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

共有持分とは?

「共有持分」とは複数人で土地・建物を共有している場合のその1人ひとりが所有する持ち分です。
▶共有持分について詳しくはコチラ

共有持分の売却方法とは?

共有持分の売却方法は、主に下記の通りです。
・他の共有者へ持分を売却する
・共有者全員で売却する
▶共有持分の売却について詳しくはコチラ

共有持分の土地で起きやすいトラブルとは?

共有持分の土地で起きやすいトラブルは、主に下記の通りです。

・将来所有者がどんどん増えていってしまう
・共有持分のみを買い取ってもらえるケースは少ない
・土地のすべてを売却するには所有者全員の同意が必要
・土地を自由に活用しにくい

共有地の所有者は誰?

共有地の所有者は持分を所有している人物です。
例えば、父と長男で2分の1ずつ土地の持分を所有している場合は、父親と長男が所有者となります。

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