名義が先祖代々変更していない土地は放置してOK?デメリットを解説

名義が先祖代々変更していない土地は放置してOK?デメリットを解説
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 6

土地の名義が先祖代々にわたり変更されていない場合には、相続登記の手続きが複雑になってしまいます。
2023年時点では相続登記は義務化されていませんが、2024年4月からは相続登記が義務化されてしまうのでご注意ください。
義務化後に相続登記されていない土地は、10万円以下の過料が科される恐れがあります。
何代にもわたり放置している土地がある場合には所有者をはっきりさせ、速やかに相続登記をすませましょう。

過去の相続分の登記手続きも合わせて行う場合には、相続人の調査や必要書類収集の手間が増えるので、相続人自らが登記手続きを行うのは現実的ではありません。
先祖代々にわたり名義変更されていない土地をお持ちの人は、相続に詳しい司法書士へ相談するのがおすすめです。

本記事では、土地の名義が先祖代々変更されていない場合のリスクやデメリットを解説します。
相続登記については、下記の記事でも解説していますのでご参考にしてください。

不動産の相続登記とは?手続きの流れから書類作成方法まで一挙大公開

1章 土地の名義が先祖代々変更されていないリスク・デメリット

土地の名義変更に期限はなく、しないまま放置をしていてもペナルティなどはありません。

しかし、相続した土地の名義が祖父母や曾祖父母などの代から変更されていない場合には、相続登記の手続きが複雑化してしまいます。
先祖代々名義変更されていない土地をそのまま放置してしまうリスクやデメリットは、主に下記の4つです。

  1. 2024年4月より相続登記が義務化される
  2. 相続登記の手続きが複雑化して費用がかかる
  3. 相続関係が複雑になり遺産分割協議に手間がかかる
  4. 相続した土地の活用・売却ができない

それぞれ詳しく解説していきます。

1-1 2024年4月より相続登記が義務化される

これまで相続登記は義務化されておらず、期限も決まっていなく相続登記をしないでいても罰則を受けることはありませんでした。
しかし、2024年4月から相続登記が以義務化され、相続発生から3年以内に相続登記をしない場合には10万円以下の過料が科される恐れがあります。

相続登記の義務化に関しては、2024年4月以降に発生する相続だけでなく、それ以前に発生した相続に関しても適用されます。
そのため、先祖代々にわたり名義変更されていない土地をそのままにしてしまうと、罰則を受ける恐れがあるのでご注意ください。

1-2 相続登記の手続きが複雑化して費用がかかる

相続によって受け継いだ土地は登記手続きを行い、土地の名義を元々の所有者から次の所有者に変更しなければなりません。
先祖代々にわたり相続登記されていない土地は、過去の相続をさかのぼり所有権が変わったタイミングごとに相続登記をする必要があります。

  1. 曾祖父(登記上の所有者)
  2. 祖父(曾祖父の死後に土地を相続)
  3. 父(祖父の死後に土地を相続)
  4. 自分(父の死後に土地を相続し、現在の所有者)

例えば、上記のケースでも曾祖父から自分に1回で相続登記をすませることは認められていません。
上記のケースでは、①曾祖父から祖父、②祖父から父、③父から自分の3回分の相続登記を行う必要があり、必要書類の数が膨大になってしまいます。
司法書士に相続登記を依頼する場合も、手続きが複雑化する分、費用が高額になってしまいます。

相続登記の中間省略は原則不可!数次相続で認められるケースとは

1-3 相続関係が複雑になり遺産分割協議に手間がかかる

過去の相続から年数が経っていて、遺産分割協議の内容や土地を相続した人物がわからない場合、相続関係が複雑になってしまう可能性も高いです。
遺産分割協議が完了していない不動産は相続人全員で共有している状態であり、相続の回数を重ねるたびに相続人の数が増えてしまいます。

3世代進んだ時の相続人の数

上図のように、3世代にわたり土地の共有状態が続いてしまうと法定相続人にあたる人物は膨大になってしまいます。
普段から連絡を取り合っていない関係性の薄い人物同士が相続人になるケースもあるでしょう。

このように、複数代にわたり遺産分割を放置された土地は権利関係が複雑になり、共有状態の解消や遺産分割協議を行うのも大変です。
また、相続人の状況や過去の相続の調査状況によって困難なケースと思われるときは、司法書士に相談されることをお勧めします。

土地の共有持分はトラブルのもと!共有持分でできることと処分方法

1-4 相続した土地の活用・売却ができない

先ほど解説したように、長年にわたり名義変更されておらず共有状態になっている土地は、活用も売却もできず管理コストや固定資産税だけがかかってしまう状態になりやすいです。
共有状態の土地は共有名義人の過半数が合意しないと活用できず、共有名義人の全員が合意しないと売却できないからです。

相続した土地すべてを売却せず共有持分だけ買い取ってもらうことも不可能ではないですが、実際には共有持分のみを購入したがる人が現れる可能性は低いでしょう。

このように、相続した土地の名義が代々変更されていない状態が続くと売却や活用もしにくくなります。
しかし、相続登記が義務化されることや放置しても問題が解決しないことを考えると、できるだけ早く権利関係をはっきりさせ相続登記をすませるしか解決策はないでしょう。

次の章では、先祖代々にわたり名義変更されていない土地を相続登記する際の流れを詳しく解説します。

不動産の共有持分は売却できる?売却する方法と注意点を徹底解説!
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2章 先祖代々変更されていない土地の相続登記は司法書士に相談しましょう

1章で解説したように、先祖代々にわたり名義変更されていない土地の相続登記は非常に手間がかかります。
相続や法律に関する専門的な知識も必要になりますので、司法書士に相談するのがおすすめです。
具体的には、祖父母より上の代から土地の名義が変更されていない場合には、自分で相続登記を行うのはほぼ不可能です。

確かに、司法書士に相続登記を依頼すると費用がかかりますし、先祖代々にわたり名義変更されていない土地の登記手続きは通常の相続登記よりも費用がかかります。
それでも、プロに相続登記を任せた方が確実に手続きを行えますし、必要書類の収集にかかる手間や時間を節約可能です。

グリーン司法書士法人では、何代にもわたり名義変更されていない土地の相続登記にも対応可能です。
まずは、お気軽にお問い合わせください。


3章 先祖代々名義変更されていない土地の相続登記の流れ・必要書類

先祖代々にわたり名義変更されていない土地の相続登記を行う際も、手続きの流れ自体は通常の相続登記と同様で下記の順番で行っていきます。

  1. 不動産に関する情報を収集する
  2. 亡くなった人や先祖の戸籍謄本類を収集する
  3. 遺産分割協議を行い誰が土地を相続するか決定する
  4. 登記申請書を作成する
  5. 法務局に登記申請書・必要書類を提出する

ただし、先祖代々にわたり相続登記できていない場合には、複数回分の相続登記が必要な可能性が高く必要書類の数も増えてしまいます。
相続人が自分で相続登記を行うのは現実的ではないので、相続に詳しい司法書士に相談するのが良いでしょう。

相続登記の司法書士【報酬相場】と【依頼を検討した方が良いケース】

STEP① 不動産に関する情報を収集する

まずは、相続した不動産に関する情報を収集します。
故人宛に送られてきた固定資産税課税明細書や市区町村役場で請求できる名寄帳を活用して、相続不動産を特定します。

相続不動産の特定が完了したら、法務局にて登記簿謄本を取得下記の3種類の情報を確認しましょう。

必要な情報補足
地番・家屋番号・地目固定資産税課税明細書や名寄帳と照らし合わせ、取得した登記簿謄本で間違っていないか確認
所有者亡くなった人が登記名義人になっている確認
登記名義人が亡くなった人でない場合には、過去の相続登記が行われていない可能性がある
住所亡くなった人の住所がどのように登記されているか確認する

登記簿謄本の取得方法は、下記の通りです。

取得できる人誰でも取得できる
取得できる場所法務局
(不動産の所有地を管轄する法務局以外でも取得可能)
取得費用1通:480円
取得方法
  • 窓口発行
  • 郵送請求
  • ネット閲覧(ネットバンキングでの支払いのみ対応)
【超便利】名寄帳とは?所有不動産が一覧できる!取得方法や注意点

STEP② 亡くなった人や先祖の戸籍謄本類を収集する

続いて、亡くなった人の戸籍謄本類を収集します。
STEP①で不動産の登記情報を確認した結果、先祖代々にわたり名義変更されていない状態だと判明したら亡くなった人のみでなく過去の所有者や過去に相続人になった人物の書類の収集も必要になります。

通常の相続登記であれば、亡くなった人に関する必要書類は下記の2種類のみです。

  1. 故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  2. 亡くなった人の戸籍附票

上記だけでも、相続人が自分で漏れなく書類を収集するのは大変なのですが、過去の相続登記も遡って行う場合には以下の理由により必要書類の収集が難しくなります。

  • 戸籍附票の保存期間は5年間であり、それより前に亡くなった人の戸籍附票は発行できない恐れがある
  • 放置されていた年数によっては、戦前の旧民法を紐解き相続人を確定させなければならない
  • 複数回にわたり相続が発生している場合には、相続人の数が膨大となり調査や必要書類の収集が複雑になる

過去数十年にわたって発生した相続をひとつずつ振り返り、遺産分割協議の内容や相続人をハッキリさせるのは専門的な知識や経験が必要です。
相続人自らが行うのは難しいので、相続に詳しい司法書士への相談をおすすめします。

STEP③ 遺産分割協議を行い誰が土地を相続するか決定する

過去に発生していた相続もはっきりし、相続人が確定した後は遺産分割協議を行い、誰が土地を相続するか決めましょう。
遺産分割協議とは、誰がどの財産をどれくらい相続するかを決める話し合いです。

なお、不動産の共有名義での相続は活用や売却が難しくなるのでおすすめできません。
可能であれば、誰か一人に土地の相続を集中させる方が良いでしょう。

相続に詳しい司法書士であれば、相続登記の代行だけでなく、遺産分割の提案も可能ですのでお気軽にお問い合わせください。

遺産分割協議とは?やり方や注意点・相談できる専門家まとめ

STEP④ 登記申請書を作成する

登記申請書

必要書類の収集や遺産分割協議が完了したら、登記申請書を作成します。
登記申請書の作成自体はそんなに難しくなく、上記の見本のように作成すれば問題ありません。

法務局のHPにも遺産分割の内容別にひな形が用意されています。
司法書士に相続登記を依頼すれば、相続人の調査だけでなく登記申請書に関しても代行可能です。

STEP⑤ 法務局に登記申請書・必要書類を提出する

登記申請書や必要書類がすべて揃ったら、不動産の住所地を管轄する法務局に提出します。
相続登記の申請は、下記の3つの方法があります。

  1. 窓口
  2. 郵送
  3. インターネット

上記のうち、インターネットは専用アプリのインストールなどが必要であり、手続きに慣れている専門家以外が行うのは大変です。
とはいえ、先祖代々にわたり名義変更されていない土地の相続登記は、必要書類の数も多く手続きが複雑です。
法務局に相談しながら登記申請を進めなければならないケースもあるので、自分で行うのではなく司法書士へ依頼しましょう。


まとめ

先祖代々にわたり相続登記されていない土地は、過去の相続をさかのぼり所有者を判明させ相続登記をしなければなりません。
過去の相続で遺産分割協議が完了せず、土地が共有名義のままになっている場合には代を重ねるごとに相続人の数が増えてしまっている可能性もあります。

相続人の調査や必要書類の収集には専門的な知識や経験が必要になるので、相続に詳しい司法書士に相談するのがおすすめです。

グリーン司法書士法人では、相続登記に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですのでまずはお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

土地を名義変更していないとどうなる?

トラブルが生じることがあるので、なるべく早く名義変更手続きをすることをおすすめします。
考えられるトラブルは、下記の通りです。
・名義変更しないと新しい相続が発生した際にトラブルになる
・名義変更しないと売却したり、不動産担保ローンを組んだりできない
・親名義のままでも相続税や固定資産税はかかる
▶相続した土地の名義変更について詳しくはコチラ

土地の名義変更はいつまでにすれば良い?

不動産を所有していた人が亡くなった際には、不動産の名義変更手続きが必要です。
いつまでに手続きをしなければいけないという期限は特にありませんが、放置していると相続トラブルに発展する可能性があるので、早めに行いましょう。
また、2024年から相続登記は義務化されることとなっているので、義務化される前に済ませてしまいましょう。
▶不動産の名義変更について詳しくはコチラ

相続登記を司法書士に依頼するといくらかかる?

司法書士に相続登記を依頼した場合の報酬相場は5万円~8万円です。
戸籍収集や遺産分割協議書の作成なども含めた総合的な対応を依頼した場合の報酬相場は7万円~15万円です。
これはあくまで相場で、司法書士の報酬は、不動産の評価額や物件数、相続人の数などによって増減します。
▶相続登記の費用について詳しくはコチラ

相続登記にかかる費用相場は?

相続登記にかかる費用相場は、下記の通りです。
・相続した不動産の調査費用:2,000~3,000円
・必要書類の収集費用:1~3万円
・登録免許税:固定資産評価額に0.4%をかけた金額
・司法書士に支払う報酬:6~13万円(自分で行う場合はかからない)
詳しくは下記リンク先をご参考にしてください。
▶相続登記にかかる費用について詳しくはコチラ

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