アパートやマンション経営は継続的に賃貸収入を受け取れる一方で、入居者が集まらないなどの問題が発生すると経営に失敗してしまうケースもあります。
アパート経営やマンション経営を始める際には、事前に失敗する原因やケースを理解しておくことが大切です。
本記事では、アパート経営やマンション経営が失敗してしまう原因や対処法を解説します。
目次
- 1 1章 アパート経営が失敗してしまう原因・ケース
- 1.1 1-1 借入金が多すぎてしまう
- 1.2 1-2 サブリースの内容を確認しないで契約してしまった
- 1.3 1-3 相続発生時に空室が発生し税金対策にならなかった
- 1.4 1-4 追加投資したが上手くいかず失敗してしまった
- 1.5 1-5 アパートの立地や賃貸需要を把握せず始めてしまった
- 1.6 1-6 入居者が夜逃げしてしまった
- 1.7 1-7 入居者とのトラブルが発生してしまった
- 1.8 1-8 空室や家賃下落リスクの計算を見誤った
- 1.9 1-9 節税目的で始め利回りを意識していなかった
- 1.10 1-10 修繕費を積み立てていなかった
- 1.11 1-11 災害など不測の事態を想定していなかった
- 1.12 1-12 金利が上昇してしまった
- 1.13 1-13 アパート経営をしている人が認知症になってしまう
- 1.14 1-14 アパートの所有者が亡くなり相続トラブルに発展してしまう
- 2 2章 アパート経営で失敗しやすい人の特徴
- 3 3章 アパート経営の失敗を回避する方法
- 4 4章 アパート経営をしている人がすべき認知症・相続対策
- 5 まとめ
1章 アパート経営が失敗してしまう原因・ケース
アパート経営やマンション経営を始めるにあたり、借入金が多過ぎてしまうと資金繰りが難しくなり不測の事態に対応できない恐れがあります。
他にも、アパート経営やマンション経営にあたり、入居者とのトラブルが起きる可能性もゼロではありません。
アパート経営やマンション経営をしていて失敗してしまう原因は、主に下記の通りです。
- 借入金が多すぎてしまう
- サブリースの内容を確認しないで契約してしまった
- 相続発生時に空室が発生し税金対策にならなかった
- 追加投資したが上手くいかず失敗してしまった
- アパートの立地や賃貸需要を把握せず始めてしまった
- 入居者が夜逃げしてしまった
- 入居者とのトラブルが発生してしまった
- 空室や家賃下落リスクの計算を見誤った
- 節税目的で始め利回りを意識していなかった
- 修繕費を積み立てていなかった
- 災害など不測の事態を想定していなかった
- 金利が上昇してしまった
- アパート経営をしている人が認知症になってしまう
- アパートの所有者が亡くなり相続トラブルに発展してしまう
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1 借入金が多すぎてしまう
アパートやマンションを建築する際にローンの借入額が多過ぎてしまうと、返済負担が重くなり資金繰りが苦しくなりアパート経営に失敗してしまう場合があります。
特に、土地を所有していない人が新たに土地を購入しアパートやマンションを建築する場合は注意しなければなりません。
土地の購入費用も借入金で賄おうとすると、退去者が出て賃貸収入が下がったときにローンを返済できなくなる恐れがあります。
1-2 サブリースの内容を確認しないで契約してしまった
管理会社とサブリース契約を結ぶ際には、契約内容をよく確認しておきましょう。
サブリースとは、管理会社に一棟丸ごと借りてもらい空室保証や家賃保証を受けられる契約です。
サブリース契約を結べば賃貸収入が一定になるメリットがありますが、手数料が高い点や家賃保証が一生涯続かない点に注意しなければなりません。
契約内容によっては、入居者が集まらないタイミングで家賃を下げられてしまう場合もあるのでご注意ください。
1-3 相続発生時に空室が発生し税金対策にならなかった
相続税対策でアパート経営やマンション経営を行う場合、相続発生時に空室が多くなっていると節税効果が薄れてしまいます。
他人に貸しているアパートやマンションは、相続税評価時に貸家や貸家建付地とさて評価されるため、自分で使用する不動産より評価額を下げられます。
貸家および貸家建付地の相続税評価額の計算方法は、それぞれ下記の通りです。
建物(貸家) | 建物の固定資産税評価額-(建物の固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合) |
土地(貸家付建物) | 自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合) |
上記のように、空室が多いと賃貸割合が下がってしまうため、相続税評価額の節税効果が薄れてしまう可能性があります。
なお、賃貸割合は「貸し出しされている床面積÷専有部分の床面積合計」で計算するため、貸し出している部屋数で計算するわけではない点にもご注意ください。
1-4 追加投資したが上手くいかず失敗してしまった
建築したアパートやマンションの築年数が経つと、退去者が増え利回りが低下する場合があります。
この際に、追加でアパートやマンションを建築し、リスク分散や全体の利回り改善を図ろうとしたものの失敗してしまうケースも珍しくありません。
確かに、アパートやマンションを複数所有して経営すれば、それだけリスクを分散できます。
ただし、赤字が出ているアパートやマンションを抱えている場合、追加投資するマンションやアパートは一棟では足りないケースも多いです。
加えて、追加投資するにあたり借入金を増やすとリスクや返済負担が増えてしまいます。
借入金を増やしたくないのであれば、アパートやマンションの買い替えも含めて検討していきましょう。
1-5 アパートの立地や賃貸需要を把握せず始めてしまった
アパートやマンションを建築したものの立地が悪い、周辺地域の賃貸需要がなく、入居者が集まらない場合もあります。
アパートやマンションは入居者が集まらないと、賃貸収入を受け取りローンを返していくことができません。
人口が減少傾向にある地域や周辺に商業施設がない地域にアパートやマンションを建築しても、借り手が見つからない恐れがあります。
このような事態を防ぐために、アパート経営やマンション経営を始める前には、周辺地域の調査を細かく行っておくことが大切です。
1-6 入居者が夜逃げしてしまった
入居者が夜逃げしてしまうと、滞納分の家賃を回収できなくなる恐れがあります。
さらに入居者に夜逃げされると、家電や家具などの片付けを大家が負担しなければならず追加で費用がかかるケースもあります。
入居者の夜逃げを防ぐためには、入居者と普段からコミュニケーションを取る、郵便受けに郵便が溜まっているなど夜逃げの兆候に早く気付くことが大切です。
1-7 入居者とのトラブルが発生してしまった
賃貸経営はアパートやマンションを建築して終了ではなく、その後も入居者への対応を行う必要があります。
入居者とのトラブルが発生し家賃を滞納されると、資金繰りが悪化してしまいます。
家賃滞納が悪質な場合は訴訟や立ち退きなどが必要になり、手続きに手間と費用、時間がかかってしまうのでご注意ください。
トラブルを防ぐには、入居者の状況を気にかけておく、入居時に適切な審査を行うなどが大切です。
1-8 空室や家賃下落リスクの計算を見誤った
アパートやマンション経営をするにあたり、空室や家賃下落リスクを甘く計算すると、不測の事態に対応できない恐れがあります。
賃貸経営をするにあたり、空室や家賃下落はある程度避けられないものです。
そのため、経営を始める段階でリスクを計算し、退去者があらわれても数ヶ月は問題ないように余裕を持った計画を立てておく必要があります。
1-9 節税目的で始め利回りを意識していなかった
アパート経営やマンション経営は相続税対策としても有効ですが、利回りを意識しないと将来性のないアパートやマンションを建築してしまう恐れがあります。
節税効果はあるものの収益性の低いアパートを遺してしまうと、相続人が扱いに困ってしまう可能性もあるでしょう。
1-10 修繕費を積み立てていなかった
アパートやマンションは築年数が経過すると、リフォームや修繕が必要になります。
いざというときのために修繕費を積み立てておかないと、建物の老朽化により資金繰りが難しくなってしまう恐れがあります。
アパートの利回りや収益性を計算する際には、将来発生する修繕費も見込んで計算しておきましょう。
1-11 災害など不測の事態を想定していなかった
アパートやマンション経営には様々なリスクがあります。
特に近年では、水害や地震などの災害も増えているため、不動産経営を始める際には災害リスクなども考慮しておかなければなりません。
アパートやマンション経営にあたりこれから土地を購入する場合は、ハザードマップを確認し災害に強い土地を購入することも大切です。
1-12 金利が上昇してしまった
アパートローンを返済しているときに、金利が上昇すると借入金の返済負担が重くなってしまいます。
特に近年は低金利状態が続いているため、今後は金利が上がる可能性を否定できません。
アパートローンは借入額が多くなることも多いため、数%の金利変動が総返済額や毎月の返済額に大きな影響を与えることもあります。
1-13 アパート経営をしている人が認知症になってしまう
アパート経営やマンション経営をしている人が認知症になり判断能力を失ってしまうと、財産管理や法的手続き、契約行為を行えなくなり、賃貸経営を行えなくなってしまいます。
不動産経営をしている人が認知症になり判断能力を失うと、下記の行為ができなくなります。
- アパートやマンションのリフォーム、建て替え
- アパートやマンションの売却
- 新たな入居者との賃貸借契約
認知症対策を行っていない場合、上記の行為は所有者の子供や配偶者でもかわりに行うことができません。
そのため、最悪の場合、賃貸用不動産が塩漬け状態になってしまう恐れもあります。
アパート経営やマンション経営している人向けの認知症対策および相続対策については、本記事の4章で解説しているのでご参考にしてください。
1-14 アパートの所有者が亡くなり相続トラブルに発展してしまう
亡くなった人が所有していたアパートやマンションは、相続財産に含まれ亡くなった人の子供や配偶者などが受け継ぎます。
遺産の内容や相続人の関係性によっては、相続トラブルが発生し遺産分割が難航してしまう恐れがあります。
不動産は平等に分割することが難しいので、遺産の中で不動産が占める割合が多いと相続トラブルが発生しやすくなるので特に注意しなければなりません。
アパートやマンションを所有している人が行うべき相続対策については、本記事の4章で詳しく解説しています。
2章 アパート経営で失敗しやすい人の特徴
アパート経営で失敗してしまう原因やケースは複数ありますが、不動産経営に失敗しやすい人の特徴はある程度決まっています。
下記の特徴に該当する人は、賃貸経営に失敗しないように特に注意しなければなりません。
- 賃貸収入を得られるのが当たり前だと考えている人
- 不動産会社はハウスメーカーに任せれば大丈夫だと考えている人
- 管理会社に任せずすべて自分でこなそうと考えている人
不動産経営はアパートやマンションを建築することがゴールではなく、入居者を集め毎月家賃を払ってもらうことがゴールです。
アパートやマンション建築がゴールでその後はすべてうまくいくだろうと考えてしまうと、不測の事態に対応できない恐れがあります。
また、不動産会社やハウスメーカーに任せすぎてしまうと、要望を伝えられず自分が希望する形で賃貸経営をできなくなる可能性もあるのでご注意ください。
一方で、管理会社に任せずすべて自分でこなそうとすると、アパートやマンションの管理が負担になり経営が続かなくなる恐れもあります。
3章 アパート経営の失敗を回避する方法
アパート経営やマンション経営の失敗を防ぐには、土地選びの段階で周辺地域の賃貸需要を確認しておくなどの工夫が大切です。
他にも、下記の方法でアパート経営の失敗を回避していきましょう。
- アパートの立地にこだわる
- 周辺地域の賃貸需要や土地需要を確認する
- 入居者のニーズに合ったアパートを建築する
- 信頼できる建築会社や管理会社を選ぶ
- 自己資金を増やし借入金の割合を減らす
- 表面利回りだけでなく実質利回りを計算しておく
- 入居者の審査を丁寧に行う
- 災害リスクやその他のリスクも把握しておく
- 認知症対策・相続対策をしておく
それぞれ詳しく解説していきます。
3-1 アパートの立地にこだわる
アパート経営やマンション経営を始めるのであれば、立地にこだわりましょう。
駅近や商業施設周辺などの土地は、賃貸需要が高くなりやすいからです。
これから不動産経営を行う土地を選ぶのであれば、下記に該当する土地がおすすめです。
- 駅から近い
- 最寄り駅から都心部にアクセスしやすい
- 商店街や商業施設から近い
- 日当たりが良い
- 将来的に開発される予定がある
- 人口増加傾向にある地域
- 大学や工場が近くにある
3-2 周辺地域の賃貸需要や土地需要を確認する
不動産経営を始める際には、活用予定の地域の賃貸需要や土地需要を調べておきましょう。
活用予定の土地の立地が良くても、周辺地域にアパートやマンションが多く建築されていれば賃貸需要は低い可能性があるからです。
他にも、相続した土地でアパート経営やマンション経営を始めるケースなどのように、自分で土地の立地を選べない状況もあります。
このようなケースでも、周辺地域の賃貸需要や土地需要を調査し、アパート経営をして収益性を確保できそうか判断しなければなりません。
3-3 入居者のニーズに合ったアパートを建築する
活用予定の土地に賃貸需要があることを把握した後は、入居者のニーズ調査も行いましょう。
ニーズ調査を行わないと、入居者が希望しない間取りや設備のアパートやマンションを建築してしまう可能性もあるからです。
例えば近隣に大学が多くあり学生の入居者が多いと予想される場合は、間取りはワンルームの方が良いでしょう。
他にも女性の入居者が多いと予想できるなら、オートロックや防犯カメラの設置なども検討すべきです。
3-4 信頼できる建築会社や管理会社を選ぶ
アパート経営やマンション経営を始めるのであれば、信頼できる建築会社や管理会社を選びましょう。
建築会社選びを間違えてしまうと、入居者が集まりにくいアパートや自分の希望と異なる建物を建てられてしまう可能性があります。
そして、管理会社選びに失敗すると入居者とのトラブルが起きやすい、退去者が出やすくなるなどの李s苦があります。
建築会社や管理会社を選ぶ際には、複数の会社に相談し提案内容や費用を比較することが大切です。
3-5 自己資金を増やし借入金の割合を減らす
アパート経営の失敗を避けたいのであれば、自己資金を少しでも増やし借入金の割合を減らしましょう。
借入金の割合を減らせば赤字になりにくくなりますし、資金繰りも健全に保ちやすくなるからです。
相続した土地を賃貸経営に活用する場合、土地の取得費用がかからないので、自己資金が少なくても借入金を減らせる可能性があります。
3-6 表面利回りだけでなく実質利回りを計算しておく
アパート経営やマンション経営を成功させるには、表面利回りだけでなく実質利回りまで計算しておきましょう。
表面利回りとは、収入に対する物件価格の割合を計算したものです。
それに対して、実質利回りとは税金や借入金の利息などの経費まで含めて計算した利回りです。
賃貸経営を始めて手元にいくら残るかを計算するには、実質利回りの方が適しています。
不動産会社やハウスメーカーは表面利回りのみを計算していることがあるので、自分で実際に実質利回りを計算してみることが大切です。
3-7 入居者の審査を丁寧に行う
入居者とのトラブルや家賃滞納を防ぐためには、入居者審査を慎重に行わなければなりません。
なお、入居者審査は物件オーナーが行うのではなく管理会社が行うことが一般的です。
そのため、希望する条件の入居者を集めるためにも管理会社とは普段から密に連絡を取っておくことをおすすめします。
一方で、入居者審査を厳しくしてしまうと、入居者が集まりにくくなるのでご注意ください。
3-8 災害リスクやその他のリスクも把握しておく
アパート経営やマンション経営には、様々なリスクがあります。
不測の事態が起きたときに資金がショートしなくてすむように、下記のような様々なリスクを考慮しておきましょう。
- 空室リスク
- 家賃滞納リスク
- 家賃下落リスク
- 災害リスク
- 建物の老朽化リスク
- 立地リスク
- 入居者によるトラブルリスク
- 収益悪化リスク
- サブリース契約によるリスク
- 金利上昇リスク
上記のリスクをすべて失くすことは現実的には、不可能です。
そのため、賃貸経営する物件のリスクをできるだけ正確に把握し、対処しておくことが必要となります。
3-9 認知症対策・相続対策をしておく
アパートやマンションオーナーは、元気なうちに認知症対策や相続対策をしておきましょう。
認知症対策をしておかないと、自分が認知症になったときに物件が塩漬け状態になってしまう恐れがあるからです。
そして、相続対策をしておかないと自分が亡くなった後、遺産分割方法でトラブルが起きる可能性があります。
認知症対策および相続対策は、認知症などで判断能力を失った後に行うことはできません。
そのため、元気なうちから様々な可能性を考慮して対策しておく必要があります。
次の章では、アパート経営をしている人が行うべき認知症対策や相続対策を詳しく解説します。
4章 アパート経営をしている人がすべき認知症・相続対策
アパートやマンションを所有している人は、元気なうちに認知症対策や相続対策をすませておきましょう。
認知症対策や相続対策には、主に下記の方法があります。
- 家族信託
- 遺言書の作成
- 生前贈与
- 生命保険の活用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1 家族信託
賃貸用不動産を所有している人に特におすすめしたい認知症対策および相続対策は、家族信託です。
家族信託とは、信頼する家族に自分の財産の管理や運用、処分を任せる制度です。
家族信託は認知症対策の中でも柔軟な財産管理を行えるのが特徴であり、下記のメリットがあります。
- 賃貸用不動産の売却など柔軟な財産管理を行える
- 自分が亡くなった後の次の相続まで指定できる
- 倒産隔離機能により信託財産が守られる
- 不動産の共有状態を回避できる
一方で、家族信託を行うには信託契約書の作成や登記申請などの手続きが必要であり、専門的な知識が必要です。
自分で手続きを行うのは現実的ではないので、家族信託に精通した司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。
4-2 遺言書の作成
認知症になる前に遺言書を作成しておけば、自分が希望する人物に財産を遺せます。
遺された家族は遺言書に記載された内容に従って遺産分割を行えばよいので、相続手続きの負担や手間も減らせます。
相続対策で使用される遺言書には複数の種類がありますが、最も信頼性が高く形式不備による無効リスクが少ないのは公正証書遺言です。
遺言書を作成する際には、様々な可能性を考慮して漏れなく作成する必要があります。
自分で漏れのない遺言書を作成するのは難しいので、相続対策に詳しい司法書士や弁護士に相談することもご検討ください。
遺言書を作成する際には、あわせて遺言執行者も選任しておきましょう。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために手続きを行う人です。
遺言執行者を選任しておけば、単独で遺産の名義変更手続きを行えますし、相続人に遺言書の内容を伝えてくれます。
遺言執行者は相続人がなることもできますが、遺言書の作成を依頼した司法書士や弁護士を選任すれば、作成時の意図や遺志も伝えてもらえます。
4-3 生前贈与
生前贈与をすれば、希望するタイミングで希望する人物に、自分の財産を受け継いでもらえます。
生前贈与により財産の所有権が移れば、贈与者が認知症になり判断能力を失っても、受贈者が自由にアパートやマンションの管理や運用、処分を行えます。
なお、生前贈与を行う際には受贈者および贈与者の合意が必要です。
贈与者が認知症になり判断能力を失うと、生前贈与を行えないのでご注意ください。
4-4 生命保険の活用
アパートやマンションを所有している人は、相続対策の一環として生命保険に加入しておくのもおすすめです。
生命保険金は受取人固有の財産となるため、遺産分割の対象になりません。
そのため、アパートやマンションを受け継ぐ人を受取人にした生命保険に加入しておけば、相続税の納税資金や他の相続人に支払う代償金として活用できます。
まとめ
アパート経営やマンション経営が失敗しまう原因には、様々なものがあります。
賃貸経営を始めるにあたり計画が甘いと、退去者が増えたときや修繕が必要になったタイミングで資金繰りが悪化しローンの返済が難しくなってしまうことがあるのでご注意ください。
加えて、アパートやマンション経営をする人は、元気なうちから認知症対策や相続対策をしておくことが肝心です。
認知症対策をしていないと、不動産オーナーが認知症になった後に物件が塩漬け状態になってしまう恐れもあるからです。
認知症対策や相続対策には複数の方法があるため、自分に合う方法で対策したい場合は、相続対策や認知症対策に詳しい司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。
グリーン司法書士法人では、認知症対策および相続対策に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。