相続した実家をアパートに建て替えるメリット・デメリットや費用相場

相続した実家をアパートに建て替えるメリット・デメリットや費用相場
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 7

相続した実家をそのままにするのではなく、アパートやマンションに建て替えれば家賃収入を得られる可能性があります。

また、アパートやマンションを建築し他人に貸している土地は「貸家建付地」に該当し、相続税評価額が下がります。
そのため、アパートやマンション経営をすることで将来発生する相続税も節税可能です。

一方でアパート経営には空室リスクや災害リスクもあるので、物件を建築する前に相続した土地のエリアで賃貸需要があるかなどの確認も必要です。

本記事では、相続した実家をアパートやマンションに建て替えるメリットやデメリット、費用などを解説します。
相続した実家の活用方法については、下記の記事でも詳しく解説しているのでご参考にしてください。

空き家を相続したときの5つの問題点【売却・活用方法について解説】

1章 相続した実家をアパート・マンションに建て替えるメリット

相続した実家をアパートやマンションに建て替えると、入居者から家賃収入を得られます。
また、アパートやマンションを建て賃貸経営している土地は相続税評価額が下がるため将来の相続税対策にもつながります。

相続した実家をアパートやマンションに建て替えるメリットは、主に下記の4点です。

  1. 継続的に家賃収入を得られる
  2. 賃貸経営は相続税対策になる
  3. 相続した土地を次世代に遺せる
  4. ローンを組めば自己資金がすくなくてすむ

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1 継続的に家賃収入を得られる

相続した実家にアパートやマンションを建築し入居者が集まれば、継続的に家賃収入を受け取れます。
戸建ての実家をそのまま他人に貸し出すよりも、アパートやマンションに建て替えることで全室空き部屋になり収入がゼロになるリスクを減らせます。

なお、日本賃貸住宅管理協会の調査によると2021年度の賃貸住宅入居者の平均居住期間は4年1ヶ月です。
このデータからも賃貸住宅に住民が入居すれば継続的に収入が発生する可能性が高いです。

1-2 賃貸経営は相続税対策になる

アパートやマンションなどを建築し他人に貸し出している土地は「貸家建付地」と呼ばれ、相続税評価額が自分で使用している土地よりも2割ほど軽減します。
相続した実家を空き家のままにしておくよりも、アパートやマンションに建て替えた方が将来の相続税対策にもつながるのがメリットといえるでしょう。

貸家建付地の相続税評価額の計算方法!評価額を下げる方法とは

1-3 相続した土地を次世代に遺せる

相続した実家をアパートやマンションに建て替え、賃貸経営をすれば、実家の土地を遺せます。
そのため、「実家を売却するのは嫌だ」「先祖から受け継いだ土地を守りたい」と考えている人にも、実家の建て替えや賃貸経営はおすすめできます。

1-4 ローンを組めば自己資金がすくなくてすむ

アパートローンを組めば自己資金のみで建築費用を賄う必要がなく、少ない自己資金でアパート経営を始められます。

アパートやマンションを建てる際には全額を自己資金で賄うケースは少なく、アパートローンを組むことが多いです。
そのため、実家を相続した時点で自己資金が少ない人や子供の教育費などに預貯金を使いたいと考えている人もアパート経営を行えます。

またアパートローンを組む際には、団体信用生命保険に加入することが一般的です。
団体信用生命保険に加入していればローン名義人が亡くなったときに、ローンの返済義務がなくなります。自分に万が一のことがあったときに家族がローンを負担する必要はありませんし、アパートを遺せるため不動産自体が保険としての役割も担います。

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2章 相続した実家をアパート・マンションに建て替えるデメリット

相続した実家をアパートやマンションに建て替え賃貸経営をした場合、空室の発生や家賃を下げることにより予想より収益性が下がる恐れがあります。
相続した土地でアパートやマンションを建て、賃貸経営するデメリットやリスクは主に下記の4点です。

  1. 空室リスクや家賃下落リスクがある
  2. 災害リスクがある
  3. アパート・マンションの管理コストがかかる
  4. アパート・マンションが建築されている土地は売却しにくい

それぞれ解説していきます。

2-1 空室リスクや家賃下落リスクがある

アパート経営には空室が発生し予想していた収益を確保できない「空室リスク」や入居者を集めるために家賃を下げざるを得ない「家賃下落リスク」があります。
空き室や家賃を下げなければならない事態が発生すると、予想していた収益を確保できずローンの返済やアパートの管理費の負担が重くなってしまいます。

空室の発生を防ぐには、建て替え時に入居者が集まりやすい間取りや設備のアパートを建てるなどが効果的です。
また、近隣エリアの賃貸の仲介ノウハウを豊富に持っている不動産会社に依頼するのも良いでしょう。

2-2 災害リスクがある

賃貸経営をするときには、災害リスクも考慮しなければなりません。
アパートやマンションを建てたエリアで災害が起きると、建物の倒壊などで収入が途絶える、修繕費用がかかる恐れがあります。

日本は災害が多い地域であり、完全に災害リスクをゼロにすることは不可能です。
そのため、アパートやマンション経営をする際には火災保険や地震保険に加入し、万が一の事態に備えることが大切です。

アパートやマンションを建築する土地を自分で購入する場合は、ハザードマップなどを確認して災害リスクが少ない土地を選択できます。
しかし相続した実家を建て替えアパートやマンションを建築する際には、土地を選べないので保険で備えておきましょう。

2-3 アパート・マンションの管理コストがかかる

アパートやマンション経営は建物を建てて入居者が決まれば終了ではなく、入居後の物件管理も必要です。
具体的には状況に応じて、下記の管理などをしなければなりません。

  • 入居者トラブルの対応
  • 家賃の集金、滞納への対応
  • 共有スペースの清掃
  • 備品管理
  • 共有スペース、設備の管理、修繕対応

賃貸管理会社に依頼しない場合、上記の業務をすべてオーナーが行う必要があります。
しかし、相続後に賃貸経営を始めるケースや相続人が現役世代で本業が別にあるケースでは、自分ですべての管理業務を行うのが難しいでしょう。

その場合は費用を払ってでも、管理会社に委託した方が良いケースもあります。

2-4 アパート・マンションが建築されている土地は売却しにくい

アパートやマンションが建築されている土地は、更地と比較して売却しにくい点に注意が必要です。
例えば、アパート機影を始めたものの収益性が低く建物および土地を売却しようとしても、買い手が見つからない恐れや不動産を安く買いたたかれてしまう恐れがあります。


3章 アパート建て替えを成功させるコツ

実家を相続し、アパートやマンションに建て替えることを検討しているのであれば、事前に賃貸需要があるかの確認や需要がある間取りのアパートを建設する必要があります。

相続した実家をアパートやマンションに建て替えるときには、下記を行うのが良いでしょう。

  1. 賃貸住宅の需要がありそうな立地か確認する
  2. 住民が喜ぶ設備やサービスを用意する
  3. 需要に合った間取りを用意する
  4. 余裕を持った資金計画を立てる
  5. 信頼できる不動産会社や建築会社に依頼する

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 賃貸住宅の需要がありそうな立地か確認する

相続した実家の土地の周辺は、そもそも賃貸需要があるどうか最初に確認しておきましょう。
相続した実家が田舎にあり賃貸需要が低い場合は、アパートやマンションに建て替えても入居者が集まらない恐れがあるからです。

相続した土地周辺で賃貸需要があるかは、下記の方法で確認しましょう。

  • 周辺エリアのアパートの建築実績を調べる
  • ハウスメーカーや建築会社に市場調査を依頼する
  • 近隣の不動産会社に相談してみる
  • 周辺の賃貸住宅に空き室が多くないか確認する
  • 相続した土地は利便性が高いか住みやすいか確認する

相続人が賃貸需要を調査する際には、住み慣れた土地というフィルターを外し、賃貸住宅を借りる入居者の気持ちでそのエリアや相続した土地に住みたいか考えてみることが大切です。

3-2 住民が喜ぶ設備やサービスを用意する

アパートやマンションを建築する際には、入居者が喜ぶ設備やサービスを用意しましょう。
賃貸住宅の入居者は住みたいエリアの複数の賃貸住宅を比較し、自分に合う物件を選ぶことがほとんどだからです。

そのため、これからアパートやマンションを建築するのであれば下記のように住民が魅力的と感じる環境にするのも大切です。

  • 無料インターネットサービス
  • テレワークに適した間取り
  • オートロック
  • 防犯カメラ
  • 警備会社サービスとの契約
  • 宅配ボックス
  • ペット可
  • ホテルのようにデザイン性が優れた部屋

相続した実家をアパートやマンションに建て替える際には土地の取得費用がかからない分、近隣の賃貸住宅との差別化を図るための建築費用を用意しやすいメリットがあります。

3-3 需要に合った間取りを用意する

相続した実家をアパートやマンションに建て替えるのであれば、賃貸需要に合う間取りの物件を建築しましょう。
相続した実家があるエリアや立地によって、求められている間取りも変わってくるからです。

例えば、都心にアクセスしやすい立地であればシングルや子供のいない夫婦などに人気です。
一方で、近くに大学があれば学生の需要が高くなりますし、子育て環境が充実している地域であればファミリー世帯の需要が高くなります。

ニーズに合わせた間取りを建てれば、入居者が集まりやすくなるので事前に考えられるニーズや入居者像を調査しておきましょう。

3-4 余裕を持った資金計画を立てる

相続した実家をアパートやマンションに建て替えるのであれば、余裕を持った資金計画を立てましょう。
具体的には、アパートローンの返済額を満室時の家賃収入の50%以下に収めておくと安心です。
なお、ローンの返済額と満室時の家賃収入の比率を「返済比率」と呼びます。

アパート経営時にはローンの返済費用の他にも、管理費や修繕費、税金などの諸経費が家賃の20%ほどかかるケースが多いです。
返済比率を50%以下に抑えておけば、諸経費を負担しても入居率が70%くらいまでであれば黒字化できます。

返済比率が50%を超えてしまう場合は、自己負担額を増やして返済比率を抑えられないか検討する、もしくはアパート建築自体を見送ることを検討しましょう。

3-5 信頼できる不動産会社や建築会社に依頼する

アパート経営は建築会社だけでなく、不動産会社や金融機関などさまざまな会社が関わってきます。
経営を成功させるには、信頼できるパートナーを見つけることが大切です。

例えば、アパートやマンションの建築実績が豊富な建築会社であれば、間取りの提案から建築、アフターサービスまで一括で任せられます。

グリーン司法書士法人は、グループ会社に不動産会社もあり、相続した土地の活用事例も豊富に用意しております。
アパートやマンションの建て替えだけでなく、さまざまなご提案が可能ですので、まずはお気軽お問合せください。


4章 相続した実家のアパート建て替えにかかる費用の内訳・相場

相続した実家をアパートやマンションに建て替える際には、実家の解体費用やアパートの建築費用など下記の費用がかかります。

  1. 実家の解体費用
  2. アパートの建築費用
  3. 相続税
  4. 名義変更にかかる費用

それぞれの内訳や相場を詳しくみていきましょう。

4-1 実家の解体費用

家の解体費用は実家の構造によっても変わりますが、坪単価3~8万円程度です。
そのため、一般的な木造一戸建ての場合は100~200万円程度かかります。

また実家を取り壊す前に遺品整理をする必要があり、業者への依頼費用や廃品回収費用などに数万〜数十万円程度かかる場合があります。

遺品整理のやり方・流れとは?準備するものや遺品の処分方法

4-2 アパートの建築費用

アパートやマンションの建て替え費用も広さや建物の構造によって異なり、それぞれ相場は下記の通りです。

構造建築費用の坪単価相場
木造60~90万円/坪
鉄骨造90~110万円/坪
鉄骨コンクリート造100~120万円/坪

例えば、60坪の鉄骨コンクリート造のアパートを建てた場合は6,000~7,200万円ほどの建築費用がかかります。
また、アパートやマンション建築時には建築費用とは別に10%程度、設計費や地盤調査費用などの諸費用がかかります。

4-3 相続税

相続した実家の建物や土地には、相続税がかかります。
相続税は建物や不動産それぞれ個別に課税されるのではなく、遺産総額に対してかかります。

そのため、不動産を相続した場合は建物や土地の相続税評価額を計算しなければなりません。
建物および土地の相続税評価額は、それぞれ下記の方法で計算します。

土地路線価もしくは倍率方式
建物固定資産税評価額

自分で不動産の相続税評価額を計算するのが難しい場合やミスなく計算したい場合は、相続税に詳しい税理士に依頼するのがおすすめです。

土地評価額は6種類ある!評価額の調べ方と計算方法まとめ

4-4 名義変更にかかる費用

相続した実家をアパートやマンションに建て替える際には、不動産を亡くなった人から相続人に名義変更しなければなりません。
不動産の名義変更手続きは、法務局にて登記申請を行います。

登記申請時には「不動産の固定資産評価額×0.4%」の登録免許税がかかります。
例えば、不動産の固定資産税評価額が1,000万円の場合は4万円、2,000万円の場合は8万円の登録免許税がかかる計算です。

【簡単に計算】相続登記の費用と司法書士報酬を知ろう!

5章 相続した実家をアパートに建て替える流れ

相続した実家をアパートやマンションに建て替え、賃貸経営をするには実家の名義変更手続きが必要です。
具体的には、下記の流れで名義変更から建物の建築、入居者募集まで行いましょう。

  1. 相続した実家の名義変更手続きをする
  2. 実家がある地域の賃貸市場を調べる
  3. アパート経営の資金計画を立てる
  4. アパート経営の資金を確保する
  5. 建築会社を決定する
  6. 管理方式を決定する
  7. 賃借人を募集する

上記のように、相続した実家をアパートやマンションに建て替えるには建築会社や不動産会社などの協力が必要不可欠です。
自己資金だけでなくローンの借入もする際には金融機関から融資を受ける必要がありますし、そもそも相続した実家を活用する際には亡くなった人から相続人に名義変更をする必要があります。

依頼する建築会社や不動産会社、金融機関を自分でひとつずつ選定するのは非常に大変なので、まずは司法書士に実家の相続手続きを依頼して信頼できる不動産会社や金融機関、建築会社などを紹介してもらうのも良いでしょう。

2024年から相続登記が義務化されます

相続した土地を活用する際には、相続登記が必要です。
また、これまで相続登記は相続人の意思によって行うものとされていました。
しかし、2024年4月からは相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に相続登記をしない場合には10万円以下の過料が科される恐れがあります。

なお、相続登記の義務化は過去に発生した相続においても適用されます。
そのため、まだ相続登記がおすみでない土地をお持ちの人は早めに手続きをすませましょう。

相続登記は自分でも行えますが、司法書士に依頼すれば数万円程度で代行可能です。
グリーン司法書士法人でも相続登記に関する相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。

相続登記の義務化は2024年4月!法改正で変更される4つのポイント
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まとめ

相続した実家をアパートやマンションに建て替えれば、継続的に家賃収入を得られる可能性があります。
賃貸アパートやマンションが建っている土地は自分で使用している土地よりも相続税評価額が下がるので、アパート経営は将来の相続対策にも繋がります。

一方でアパート経営にはリスクもあるので、相続した土地や周辺地域の賃貸需要を確認することが大切です。
また、相続した土地を活用する際には亡くなった人から相続人へ名義変更手続きも必要です。

不動産の名義変更手続きは自分で行うこともできますが、司法書士に数万円程度で依頼もできます。

グリーン司法書士法人では、相続登記に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料ですし、グループ会社には不動産会社もあるので相続した不動産の活用に関する相談もお受け可能です。

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