相続登記の中間省略は原則不可!数次相続で認められるケースとは

相続登記の中間省略は原則不可!数次相続で認められるケースとは
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 6

中間省略登記とは、名前の通り、不動産の権利関係の変遷の中間をを省略して登記手続きをすることです。
中間省略登記を行えば登録免許税を節税できますが、法務局では原則として中間省略登記を認めていません。

相続登記であっても中間省略は認められていないので、原則として複数の相続において相続登記されていない土地に関しては相続ごとの登記手続きをしなければなりません。
ただし、一部のケースでは相続登記の中間省略が認められています。具体的には、先に発生した相続、次いで発生した相続について、遺産分割協議を行い不動産を取得する人が決まったようなケースです。

相続登記の中間省略が認められる場合、手続きが複雑化し必要書類の数も増えてしまい、相続人自らが行うのは難しいでしょう。
司法書士であれば、数万円台で相続登記を代行できますし、他の相続手続きに関してもワンストップで代行可能ですので依頼してしまうのもおすすめです。

本記事では、相続登記の中間省略が認められるケースや中間省略登記の流れや必要書類を解説していきます。
相続登記の流れについては、下記の記事でも詳しく解説していますのでご参考にしてください。

【完全版】相続登記が自分でできる!司法書士直伝の簡単申請マニュアル

1章 相続登記の中間省略とは

相続登記の中間省略とは

中間省略登記とは、複数回にわたり不動産の所有者が変更されたときに、中間部分にあたる所有権移転登記を省略して行う登記手続きです。
例えば、上記のイラストの例であれば「AからB」および「BからC」の所有権移転登記を省略し、「AからC」の所有権移転登記のみを行うのが中間省略登記です。

中間省略登記を行えば、登記申請の回数を減らせるので申請時にかかる登録免許税を節税できます。
ただし、法務局では不動産の権利関係が変わるたびに登記申請を行うことを原則としており、中間省略登記は認めていません。

相続登記においても、原則として中間省略は認められていないので、過去何代にもわたって相続登記されていない土地に関してはさかのぼって登記手続きをしなければなりません。
ただし、数次相続が発生した場合には例外的に相続登記の中間登記が認められています。次の章で詳しく見ていきましょう。

相続登記にかかる登録免許税の計算方法や納付方法を司法書士が解説
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2章 数次相続なら相続登記の中間省略が可能

1章で解説したように、中間省略登記は原則として認められていなく、不動産の所有者が変わるたびに所有権移転登記をしなければいけない決まりになっています。

一方で、数次相続が発生した場合には例外的に相続登記の中間省略が認められる場合があります。
数次相続とは、先に発生した相続の遺産分割協議が終了する前に相続人が亡くなってしまい新たに相続が開始されることであり、イメージは下記の通りです。

二次相続とは

あくまでも、相続登記であっても中間省略は認められないのが原則であり、数次相続であっても要件を満たさない限り中間省略登記は行えません。
次の章では、中間省略登記が認められる要件について解説していきます。

数次相続の遺産分割協議書の作り方/書式ダウンロードで簡単作成!

3章 数次相続時に相続登記の中間省略が認められるケース

数次相続時に相続登記の中間省略を認められるのは、中間で発生した相続で誰が不動産を相続したかわかりやすいケースのみです。
考えられるケースは、主に2つなのでそれぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1 中間の相続人が1人だけのケース

数次相続時に相続登記の中間省略が認められるケース/中間の相続人が1人だけのケース

中間の相続(一次相続)で法定相続人が1人だけのケースは、中間の相続で誰が不動産を相続したのか戸籍謄本を確認すればはっきりするので相続登記の中間省略が可能です。
具体的には、以下のケースなどが該当します。

【一次相続】

  • 夫が亡くなり法定相続人は妻のみ
  • 夫婦の間に子供はいなく、夫の両親・祖父母は他界しており、兄弟姉妹もいない

【二次相続】

  • 夫から土地を相続した妻が亡くなった
  • 両親・祖父母はすでに他界しており、妻の兄弟姉妹のみが法定相続人となった

上記のケースでは、相続登記の中間省略が認められるので妻が不動産を受け継いだときの相続登記は不要です。
また、中間の相続において所有者がはっきりしていれば相続登記の中間省略は可能なので、二次相続時に不動産を複数の相続人で共同で相続しても問題ありません。

3-2 中間の相続人が複数人いるが1人だけが相続するケース

中間の相続人が複数人いるが1人だけが相続するケース

中間の相続(一次相続)で法定相続人が複数人いたものの1人だけで不動産を相続し、その人物が相続登記を行わず亡くなった場合には相続登記の中間省略が認められます。
具体的には、以下のケースなどが該当します。

【一次相続】

  • 夫が亡くなった
  • 法定相続人は妻および子供2人
  • 遺産分割協議中に妻が亡くなり二次相続が発生した

【二次相続】

  • 妻が亡くなった
  • 法定相続人は子供2人
  • 子供2人で父および母両名の遺産分割協議をまとめて行い、不動産は長男Aがすべて相続した

上記のケースでは、夫から妻への相続登記を省略し、夫から長男Aの相続登記を行うだけで問題ありません。
また、中間の相続で1人だけで不動産を相続していれば、相続登記の中間省略は認められるので、二次相続で不動産を子供2人で共同しても中間省略登記を行えます。

相続登記の中間省略が認められれば、登記申請時にかかる登録免許税を節約できますし、相続登記の回数を減らせるので申請にかかる手間も軽減可能です。
次の章では、相続登記の中間省略の流れや必要書類を解説していきます。


4章 相続登記の中間省略の流れ・必要書類

3章で解説したように、数次相続時に中間の相続で不動産を1人の相続人が受け継いだことを証明できるのであれば、相続登記の中間省略は可能です。
中間省略が認められる場合には登録免許税を節税できるので、中間省略登記をご検討ください。

相続登記の中間省略を行う流れは、下記の通りです。

  1. 不動産について必要な情報を集める
  2. 一次相続の相続人を確定させる
  3. 二次相続の相続人全員で遺産分割協議を行う
  4. 申請手続きに必要な書類を作成する
  5. 法務局へ登記申請する

それぞれ詳しく解説していきます。

【不動産の相続手続き】正しい方法とかかる費用を司法書士が徹底解説

STEP① 不動産について必要な情報を集める

最初に、以下の資料を参考に相続対象となる不動産の地番や家屋番号など必要な情報を集めましょう。

  • 固定資産納税通知書
  • 登記済権利証
  • 登記簿謄本
  • 名寄せ帳

名寄せ帳とは、市区町村単位で発行している土地や家屋の情報をまとめた一覧表で、発行先の市区町村で所有している不動産の一覧情報を確認できます。
故人が複数の不動産を所有していた場合には、手続きに漏れが発生しないように名寄せ帳で不動産に関する情報を収集しましょう。

【超便利】名寄帳とは?所有不動産が一覧できる!取得方法や注意点

STEP② 一次相続の相続人を確定させる

3章で解説した相続登記の中間省略が認められるケースに該当するか調べるために、相続人調査を行い一次相続の相続人を確定させましょう。
相続人調査は、亡くなった人の戸籍謄本や相続人の戸籍謄本を収集して行います。

相続人調査の結果、下記のケースと判明した場合には相続登記の中間省略が可能です。

  • 一次相続の相続人が遺産分割協議により1人で取得することに合意していた
  • 一次相続の相続人が不動産を単独で所有していた
  • 一次相続および二次相続の法定相続人全員で1人の相続人が不動産を単独で相続することに合意した

調査をして相続登記の中間省略ができないことがわかった場合には、相続ごとに登記申請が必要です。
複数回分の相続登記を行うには、必要になる戸籍謄本の種類も多く手続きが複雑になります。
相続人自らが行うのは難しいので、相続に詳しい司法書士に相談するのがおすすめです。

相続人調査(戸籍収集)とは?詳しい手順から方法まで専門家が簡単解説

STEP③ 二次相続の相続人全員で遺産分割協議を行う

最終的に不動産を誰が相続するのかを決定するために、二次相続の相続人全員で遺産分割協議を行いましょう。
遺産分割協議とは、誰がどの遺産をどれくらいの割合で相続するのかを決める話し合いです。

遺産分割協議により不動産を受け継ぐ人物が決定したら、話し合った内容を遺産分割協議書にまとめ、相続人全員で署名および押印をします。

遺産分割協議とは?やり方や注意点・相談できる専門家まとめ

STEP④ 申請手続きに必要な書類を作成する

不動産の相続人が決定したら、登記申請書の作成と必要書類の用意をしていきます。
相続登記の中間省略を行う際の登記申請書の例は、下記の通りです。

申請手続きに必要な書類を作成する

相続登記の中間省略を行う際は、以下のポイントに注意して登記申請書を作成しましょう。

原因

「不動産をもともと所有していた日付+中間の相続人の名前+相続」と記載 中間の相続人が亡くなった日付を記載する

被相続人

中間の相続人ではなく、もともとの不動産の所有者(登記事項証明書の所有者に記載のある氏名)を記載する

添付書類

登記原因証明情報と住所証明書の2つを記載する

相続登記の中間省略では、登記申請書とあわせて下記の書類提出も必要です。

  • 遺産分割協議書(遺言書がない場合)
  • 相続人全員の印鑑証明書(遺言書がない場合)
  • 遺言書(故人が作成していた場合)
  • 不動産のもともとの所有者の生まれてから死亡するまでの連続した戸籍謄本
  • 中間の相続人の生まれてから死亡するまでの連続した戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 不動産のもともとの所有者の住民表もしくは戸籍の附票
  • 不動産を相続する人の住民票もしくは戸籍の附票

上記の中でも、不動産のもともとの所有者および中間の相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本の収集は非常に手間がかかり大変です。
平日の日中仕事をしている人や小さい子供を育児中などで書類の収集が難しい場合には、司法書士への依頼がおすすめです。

STEP⑤ 法務局へ登記申請する

登記申請書および必要書類を準備できたら、法務局へ登記申請をします。
登記申請方法は、下記の3種類です。

  1. 窓口に持参する
  2. 郵送で申請する
  3. オンラインで申請する

上記のうち、オンラインでの申請は電子証明書の取得やパソコンの設定が必要で、手間と費用がかかるのであまりおすすめできません。
窓口での申請であれば、相談コーナーで質問してから提出も可能ですので、自分で手続きするのであれば窓口への持参をおすすめします。

相続登記が2024年から義務化されます

これまで相続登記は義務化されていなく、過去何代にもわたり相続登記が行われていない土地があっても大きな問題が発生するケースは多くありませんでした。
しかし、2024年4月からは相続登記が義務化され相続発生から3年以内に相続登記を行わないと、10万円以下の過料が科せられます。

なお、相続登記の義務化は過去に発生した不動産の相続に関しても適用されます。
現時点で、相続登記のすんでいない不動産を所有している人は早めに手続きをすませておきましょう。

相続登記は登記申請書を作成し、必要書類を用意すれば自分で手続き可能です。
しかし、複数代にわたる相続登記が必要など手続きに手間がかかるケースでは、司法書士への依頼をおすすめします。

グリーン司法書士法人では、税込8万8,000円から相続登記を代行できますので、お気軽にお問い合わせください。

相続登記の義務化は2024年4月!法改正で変更される4つのポイント

まとめ

法務局は権利関係が変更されるたびに登記申請を行うこととしているので、相続登記であっても中間省略を行うことは認められていません。
ただし、数次相続では相続登記の中間省略が認められるケースがあります。
具体的には、中間の相続人が1人もしくは相続放棄や遺言などで一次相続時に1人の人物が不動産を相続した場合には中間省略登記が可能です。

相続登記の中間省略を行えば、登記申請書作成の手間や登録免許税を節税できますが、実際の手続きは必要書類の数と種類が多く相続人自らが行うのは難しいと感じる場合も多いでしょう。
司法書士であれば、数万円台で相続登記を代行できますし、他の相続手続きに関してもワンストップで代行可能です。

グリーン司法書士法人では、相続登記に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

数次相続とは?

数次相続とは、相続人が亡くなった方の財産を相続すると決めた後、相続手続き中に亡くなった場合の相続を指します。
▶数次相続について詳しくはコチラ

数次相続時の相続登記の流れとは?

数次相続時の相続登記の流れは、下記の通りです。
・不動産について必要な情報を集める
・一次相続の相続人を確定させる
・二次相続の相続人全員で遺産分割協議を行う
・申請手続きに必要な書類を作成する
・法務局へ登記申請する
▶数次相続時の相続登記について詳しくはコチラ

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