
- 孤独死でDNA鑑定が必要な場合はあるのか
- 孤独死の遺体のDNA鑑定にかかる期間の目安
- 孤独死における相続放棄の起算点はいつなのか
孤独死が発生すると、遺体の状況によっては、身元確認のためにDNA鑑定をしなければならないこともあります。
DNA鑑定の結果が出るまでには1〜3ヶ月程度かかり、その間は故人の死亡を証明できないため、相続放棄などの手続きを進めることはできません。
孤独死に伴いDNA鑑定が行われた場合、相続放棄の期限に間に合うだろうかと不安な方もいるのではないでしょうか。
本記事では、孤独死に伴うDNA鑑定と相続放棄の期限について解説します。
目次
1章 孤独死では遺体のDNA鑑定が必要な場合がある
孤独死が発見された場合、遺体のDNA鑑定が必要となることがあります。
たとえ、自宅で亡くなっていたとしても、発見が遅れてしまい遺体の状態が悪くなると、身元確認が難しくなることがあるからです。
このようなケースで、免許証や健康保険証などの所持品だけでは身元を特定できない場合には、DNA鑑定によって本人確認が行われます。
2章 孤独死の遺体のDNA鑑定にかかる期間の目安
孤独死の遺体の身元確認のためにDNA鑑定が行われる場合、一般的に1ヶ月から3ヶ月程度かかります。
思ったよりも長いと感じられる方も多いかもしれませんが、鑑定は専門機関で慎重に行われるため、どうしても時間がかかってしまいます。
DNA鑑定の結果が出るまで、相続人は「故人が確かに死亡した」ということを証明する戸籍謄本類を取得することはできません。
除籍謄本や死亡記載のある戸籍は、DNA鑑定の結果が出て死亡届を役所に提出することによって発行されるようになるからです。
つまり、DNA鑑定が完了するまでは、遺族が相続手続きを行うことはできません。
3章 孤独死における相続放棄の起算点はいつ?
故人の資産状況やこれまでの関係性によっては、相続放棄をしたいと考えることもあるでしょう。
相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も相続しなくなる手続きであり、手続きが認められると最初から相続人ではなかった扱いとなります。
相続放棄は家庭裁判所に申し立てる必要があり、自分が相続人であると知ってから3ヶ月以内という期限も設定されています。

故人が孤独死しておりDNA鑑定をしている場合、相続放棄の期限に間に合わないのではないかと不安になる方もいるでしょう。
結論を言うと、孤独死によりDNA鑑定による身元確認を行った場合、相続放棄の起算点は以下のいずれか遅い日となります。
- 鑑定結果を聞いた遺族
- 鑑定結果を聞いた日
- 鑑定結果を直接聞かなかった遺族
- 戸籍に死亡が記載された日
- 故人が死亡し、自分が相続人であると知った日
相続放棄の期限の起算点は、自分が相続人であると知った日であり、状況によっては故人の死亡日と一致しないことがあります。
そのため、遺体のDNA鑑定が行われる状況となった場合、DNA鑑定の結果が出てから相続放棄の手続きをする形で問題ありません。
4章 相続放棄をする際の注意点
相続放棄をする際には、期限だけでなく以下のような点にも注意しなければなりません。
- 相続放棄するとプラスの財産も相続できない
- 相続人全員が放棄すると次の順位に相続権が移る
- 遺産の使用・処分をすると相続放棄が認められない恐れがある
- 相続放棄をした後も遺品の片付けが必要な場合がある
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1 相続放棄するとプラスの財産も相続できない
相続放棄をすると、借金などのマイナスの財産だけでなく、預貯金や不動産などのプラスの財産も一切受け取ることができません。
「借金だけ放棄して財産はもらう」という選択はできないと理解しておきましょう。
家族や親族が孤独死した場合、部屋の片付けや清算の負担に気を取られて慌てて放棄を選んでしまうと、後になって存在を知ったプラスの財産まで失う可能性があります。
そのため、相続財産調査を丁寧に行い、相続放棄すべきかを判断するようにしましょう。
4-2 相続人全員が放棄すると次の順位に相続権が移る
同順位の相続人全員が相続放棄をすると、次の順位の相続人に相続権が移ります。
相続人になる人物や優先順位は、法律によって以下のように決められています。

| 常に相続人となる | 配偶者 |
|---|---|
| 第1順位 | 子供や孫 |
| 第2順位 | 親や祖父母 |
| 第3順位 | 兄弟姉妹や甥・姪 |
例えば、第1順位である子供たち全員が相続放棄をすると、相続権は次の順位の相続人である親や祖父母に移ります。
親族同士のトラブルを防ぐためにも、相続放棄をする場合には次に相続人となる人物に相続放棄をしたことや理由を説明しておくと良いでしょう。
4-3 遺産の使用・処分をすると相続放棄が認められない恐れがある
産を使用したり処分したりしてしまうと、相続放棄が認められなくな遺る恐れがあります。
遺産の使用や処分は、相続する意思があるとみなされる行為だからです。
例えば、故人の預金を生活費に充てたり、遺品を現金化したりするようなことはしてはいけません。
家族や親族が孤独死した場合、大家さんや近隣住民から故人の自宅を片付けるように言われることもあるでしょう。
しかし、自己判断で片付けをしてしまうと、遺品の使用や処分として扱われる恐れがあるのでご注意ください。
不用意な行動により、相続放棄が認められなくなることを避けるために、相続放棄を検討している時点で司法書士や弁護士に相談して遺品や自宅の片付けを進めていくようにしましょう。
4-4 相続放棄をした後も遺品の片付けが必要な場合がある
相続放棄をしたからといって、すべての負担から解放されるわけではありません。
特に、故人が賃貸住宅に住んでいた場合、大家さんや管理会社から「部屋の片付けや特殊清掃費用を負担してほしい」と求められることがあります。
相続放棄をする場合、自宅の片付け費用や特殊清掃費用は遺産から支払うことができないので注意しましょう。
結果として、遺族が自分の資産から片付け費用などを支払わなければならないケースもあります。
まとめ
孤独死でDNA鑑定が必要になる場合、鑑定結果が出るまでに1~3か月ほどかかり、その間は戸籍に死亡が反映されず相続放棄の手続きもできません。
相続放棄の期限は「自分が相続人であることを知った日から3か月以内」とされており、DNA鑑定を経て死亡が確認された日や死亡記載のある戸籍を確認できた日が起算点となります。
そのため、鑑定結果を待ってから相続放棄の申し立てをしても期限を過ぎる心配は基本的にありません。
ただし、遺産を使ったり処分したりすると放棄が認められなくなる可能性があるためご注意ください。
相続放棄を確実にしたい場合には、司法書士や弁護士に相談しながら申立ての準備や故人の自宅や遺品の片付けなどを進めることをおすすめします。
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