土地の取得費の調べ方とは?取得費がわからないときの対処法も紹介

土地の取得費の調べ方とは?取得費がわからないときの対処法も紹介
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 4

土地や建物などの不動産を売却すると、発生した利益に対して譲渡所得税と住民税がかかります。
譲渡所得税と住民税を計算するためには、土地や建物の取得費を調べる必要があります。

土地や建物の取得費は売却代金から控除できるので、少しでも譲渡所得税と住民税を節税するためにも、売却を検討する前に必ず取得費を調べ確定申告時に証明書類を提出しましょう。
また、相続した土地を売却する際には、亡くなった人が土地を取得する際に払った費用をそのまま取得費として申告可能です。

本記事では、土地の取得費の調べ方や取得費がわからないときの対処法を紹介します。
なお、土地を売却したときにかかる譲渡所得税や住民税の計算方法は、下記の記事で詳しく解説しています。

土地を売却した際にかかる譲渡所得税とは?計算方法と節税方法を解説

1章 譲渡所得税計算時には土地の取得費が必要

不動産を売却すると、譲渡所得税の計算・納税が必要です。
譲渡所得の計算式は、下記の通りです。

譲渡所得=不動産の売却金額−(土地の取得費+売却費用)

譲渡所得税の金額を抑えるには、土地の取得費や売却費用を適切に計算し、少しでも譲渡所得を抑える必要があります。

土地を売却したときの譲渡所得税とは?計算方法と節税方法を解説
相続した土地を売却するときには名義変更手続きが必要

土地を相続したものの活用予定がなく売却したいと考える人も多いでしょう。
ただし、相続した土地を売却する際には、事前に名義変更手続きをすませなければなりません。
相続した土地の名義変更手続きは、法務局にて相続登記を行います。

また、相続登記は2024年4月から義務化され、相続発生から3年以内に相続登記をしない場合には10万円以下の過料が科される恐れがあります。

相続登記は自分でも行えますが、司法書士に依頼すれば数万円程度で代行してもらえます。

相続登記の義務化は2024年4月!法改正で変更される4つのポイント

1-1 土地の取得費に含まれるもの

土地売却時に取得費として計算できるものは、主に下記の通りです。

  • 土地の購入代金
  • 土地の造成費用
  • 土地の測量費
  • 購入手数料
  • 購入時に納税した登録免許税や不動産取得税、印紙税
  • 借主に支払った立退料
  • 所有権を確保するための訴訟費用

上記のように、土地の取得費は購入代金などの直接費用だけでなく取得にかかった間接費用も含められます。
また、相続や贈与によって土地を取得した場合には、亡くなった人や贈与者が取得時に払った費用を取得費として計算可能です。

土地を売却したときの譲渡所得税は、固定資産税と異なり自分で計算して申告しなければなりません。
そのため、土地の取得費に関しても自分で調べ証明書類を用意しましょう。

次の章では、土地の取得費の調べ方を詳しく解説していきます。

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2章 土地の取得費の調べ方

譲渡所得税計算時には、土地の取得費を調べ証明書類を用意しなければなりません。
土地の取得費がわからないときの調べ方や計算方法は、主に下記の4つです。

  1. 購入時の売買関係書類を確認する
  2. 取得費を間接的に証明出来る書類を用意する
  3. 市街地価格指数を利用して取得費を計算する
  4. 土地の取得費がわからないときには概算取得費で計算する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

STEP① 購入時の売買関係書類を確認する

まずは、購入時の売買関係書類を確認しましょう。

  • 不動産購入時に不動産会社から受け取った売買関係書類を探す
  • 相続によって取得した土地を売却するながら、亡くなった人の自宅などで売買関係書類を探す

相続や贈与によって取得した土地を売却する場合には、亡くなった人や贈与者が払った取得費をもとに譲渡所得税を計算できます。

STEP② 取得費を間接的に証明出来る書類を用意する

売買関係書類などが見つからないときには、取得費を間接的に証明できる書類を用意しましょう。
具体的には、下記の書類があれば取得費を間接的に証明可能です。

  • 購入代金が記帳された通帳
  • ローン返済口座の通帳
  • 住宅ローン契約書・償還表
  • 不動産業者が発行した購入当時の価格が記載されたパンフレット

亡くなった人の自宅で相続した土地の売買関係書類を見つけられなかったとしても、通帳や住宅ローンの契約書などで取得費を計算できる可能性があります。
相続発生後は様々な手続きがあり非常に労力がかかりますが、手続きと合わせて亡くなった人の自宅の片付けも行なっていきましょう。

STEP③ 市街地価格指数を利用して取得費を計算する

売買関係書類や間接的に取得費を計算できる書類を見つけられなかった場合には、市街地価格指数を用いて土地の取得費を計算可能です。

市街地価格指数とは

全国の主要都市にある宅地の調査地点の土地の価格を一般財団法人日本不動産研究所の不動産鑑定士が価格調査を行い指数化したものです。

ただし、市街地価格指数を用いて取得費を計算する際には下記の点にご注意ください。

  • 市街地価格指数を用いる方法は、法律で認められているわけではない
  • 必ずしもすべての土地の取得費計算に利用できるわけではない

売買関係書類や間接的に取得費を計算できる書類を見つけられなかったケースで、信頼できる土地の取得費を計算する際には、税理士に相談するのが確実です。

STEP④ 土地の取得費がわからないときには概算取得費で計算する

土地の取得費がどうしてもわからなかったときの対策として、概算取得費控除という制度が用意されています。

概算取得費控除とは

概算取得費控除とは、売却金額の5%を取得費として計算する方法です。
例えば、5,000万円で売却できた土地の概算取得費は5,000万円×0.5%=250万円です。

  • 先祖代々にわたり受け継いできた土地を自分の代で売却する場合
  • どうしても取得費に関する証明書類を用意できなかった場合

上記のケースでは、概算取得費控除の利用を検討しましょう。

ただし、概算取得費を使うと売却代金の約9割が譲渡所得になってしまいます。
その結果、譲渡所得税や住民税が高額になってしまう恐れもある点に注意が必要です。

概算取得費控除は取得費がわからないケース以外でも使える

概算取得費控除は土地の取得費が不明、資料を用意できないときだけでなく、取得費が売却代金の5%より安いときにも活用できます。
例えば、先祖代々受け継いできた土地の場合、取得費に関する資料を用意できたとしても今と地価が異なり、取得費が売却代金の5%に満たないケースもゼロではありません。

このようなケースでは、あえて取得費に関する書類を提出せずに、概算取得費控除を適用して譲渡所得税や住民税の確定申告を行えます。


まとめ

土地を売却したときにかかる譲渡所得税や住民税は、土地を売って発生した利益に対してかかります。
土地を売った利益は、売却代金から売却費用や土地の取得費を引いて計算します。

譲渡所得税や住民税を少しでも抑えたいのであれば、土地の取得費を調べ確定申告時に資料を提出しなければなりません。
相続によって取得した土地を売却するときには、亡くなった人が取得時に払った費用を取得費として確定申告可能です。

そのため、相続した土地を売るときには、亡くなった人の自宅などを整理し土地を取得したときの資料を探しましょう。
また、相続した土地を売却する前には、亡くなった人から相続人へ名義変更をする相続登記が必要です。

グリーン司法書士法人では、相続登記に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料ですし、相続した土地の売却に強い不動産会社も紹介できますので、お気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

土地の取得費を調べる方法とは?

土地の取得費を調べる流れは、下記の通りです。
STEP① 購入時の売買関係書類を確認する
STEP② 取得費を間接的に証明出来る書類を用意する
STEP③ 市街地価格指数を利用して取得費を計算する
STEP④ 土地の取得費がわからないときには概算取得費で計算する
▶土地の取得費の調べ方について詳しくはコチラ

土地の取得費とは?

土地売却時に取得費として計算できるものは、主に下記の通りです。
・土地の購入代金
・土地の造成費用
・土地の測量費
・購入手数料
・購入時に納税した登録免許税や不動産取得税、印紙税
・借主に支払った立退料
・所有権を確保するための訴訟費用
▶土地の取得費について詳しくはコチラ

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