- 相続争いが起きる主なパターン
- 相続争いを防止する方法
- 相続争いが起きてしまったときの対処法
相続争いはドラマや小説の中の出来事で自分には関係ないと思っていませんか?
相続争いは決して他人事ではなく、遺産分割に関する裁判のうち、遺産総額5,000万円以下で争われたケースは全体の8割弱にものぼります。
相続争いは富裕層や資産家だけに起きることではなく、むしろ遺産が少ないケースほど起きやすいことを理解しておきましょう。
相続争いを防ぐためには、どんなケースで相続争いが起きやすいのかを理解し、事前に対策をしておくのが有効です。
具体的には、遺言書の作成や生前贈与などで、自分の財産を受け継いでもらう人物を指定しておくのが良いでしょう。
本記事では、相続争いが起こりやすいパターンや防止する方法、万が一相続争いが起きたときの対処法を解説します。
1章 相続争い・トラブルは富裕層だけの問題ではない
「骨肉の争いとなる相続トラブルなんて、一部の金持ちだけの話だろう」と思っている人も中にはいるのではないでしょうか。
他にも「子供たちは大人になっても仲が良いから、相続の際に争いなんて起きない」と信じている人もいるかもしれません。
しかし、相続争いは決して他人事ではありませんし、一部の富裕層だけに限定される問題ではありません。どんな家族であっても、相続争いが起きうる根拠について、詳しく見ていきましょう。
1-1 遺産分割の裁判のうち遺産が1,000万円以下のケースは3割を超えている
相続争いは一部の資産家だけの問題ではなく、むしろ遺産が少ないケースほど争いが泥沼化する傾向があります。
実際に、令和5年の司法統計年報によると、裁判所に遺産分割事案で持ち込まれた件数を遺産総額ごとにまとめると下記の結果となります。
遺産総額 | 遺産分割事件の件数 |
---|---|
1,000万円以下 | 2,448件 |
1,000万円超え5,000万円以下 | 3,166件 |
5,000万円超え1億円以下 | 863件 |
1億円超え5億円以下 | 494件 |
5億円超え | 33件 |
算定不能・不詳 | 230件 |
総数 | 7,234件 |
上記のように、遺産分割事件のうち、遺産総額が1,000万円以下のものは33.8%にのぼります。
また、遺産総額5,000万円以下の争いは、全体のうち約8割弱になると上記の結果からは読み取れます。
このように、相続争いは富裕層のみに起きる問題ではなく、むしろ遺産が少ないケースほど揉めやすいことを認識しておきましょう。
1-2 金額面だけでなく相続人の立場や感情で揉める場合もある
相続争いが起きるケースは、遺産の金額面だけでなく、相続人ごとの立場の違いやそれぞれの家族の感情が理由となり揉める場合もあります。
例えば、一部の相続人は使い道のない実家を処分したいと主張するものの、一部の相続人が実家を遺しておきたいと主張し、遺産分割方法や代償金の支払いで揉めてしまうことも多いです。
他にも、長年にわたり亡くなった人の介護をしてきた相続人がいる場合や、特定の相続人だけ生前贈与を受けていたケースでも、相続トラブルが起きやすくなります。
2章 相続争いが起こる9つのパターン
先ほど解説したように、相続争いはどんな家族でも起こりうる問題です。
そして、相続争いのパターンもある程度決まっており、主に下記の通りです。
- 遺産の分け方で揉める
- 遺言書の内容が偏っていて揉める
- 遺産の評価方法で揉める
- 前妻の子どもや認知した子どもがいて揉める
- 貢献度を考慮して欲しい相続人がいて揉める
- 生前贈与を受けた相続人がいて揉める
- 事業承継で揉める
- 内縁の配偶者と実子が揉める
- 子供がいない夫婦の片方が亡くなり揉める
それぞれのパターンと防止策について詳しく見ていきましょう。
2-1 遺産の分け方で揉める
相続争いで多いのは、遺産の分け方で揉めるパターンです。
例えば、不動産が相続財産に含まれているとき、複数の相続人が単独での取得を希望したら合意できず、遺産分割協議がいつまでも完了しません。
他にも、不動産を売却して分けたいと主張する相続人と守りたい相続人がいて揉めるパターンもあります。
誰か1人が不動産を取得することに合意しても、代償金を支払うかどうかや金額でもめてしまうケースも多々あります。
遺産分割方法による相続争いを防止するためには、遺言書を作成しておくのが一番です。
遺言によって、誰が不動産を取得するのか決めておけば、相続人同士が話し合いをして遺産の分け方を決める必要がなくなります。
また、自分が生きているうちに特定の相続人に生前贈与しておく方法も有効です。
2-2 遺言書の内容が偏っていて揉める
遺言書が原因で、相続トラブルが発生してしまうケースもあります。
よくあるのが、「相続人間で不平等な遺言書を作成してしまうこと」です。
例えば、子供達3人が相続人の場合に「長男にすべての遺産を分与する」と書いてあると、他の兄弟が納得せず、遺留分侵害額請求を行うリスクがあります。
遺留分とは、亡くなった人の配偶者や子供、両親に用意されている遺産を最低限度受け取れる権利です。
遺留分は遺言よりも優先されるため、遺留分侵害額請求をされたら、遺産を多く受け取った相続人は遺留分侵害額相当分の金銭を支払わなければなりません。
遺言書の内容により相続争いが起きることを防ぐには、遺言書作成時に司法書士や弁護士などの専門家に相談しておくのが有効です。
相続に精通した司法書士や弁護士であれば、遺留分や相続トラブルを考慮した遺言書の内容を提案可能です。
他にも、相続人に事情を説明し、遺留分の放棄をしてもらうのも良いでしょう。
遺留分の放棄は相続放棄と異なり、相続発生前の放棄も認められています。
また、どうしても遺留分を侵害する内容の遺言になるときは、附言事項として遺留分を侵害する内容になった経緯や、そのような遺言を書いた自分の気持ちを合わせて記しておくようにしましょう。
2-3 遺産の評価方法で揉める
各相続人の取り分を決める際に、遺産の評価方法で揉めてしまうケースも多いです。
預貯金などは金額がわかりやすいため、相続分を計算しやすいですが、不動産には複数の評価方法があり、それぞれ評価額が下記のように異なります。
例えば、不動産を受け継がない相続人であれば評価額が高くなりやすい時価(実勢価格)で評価したがるのに対し、不動産を受け継ぐ相続人は評価額が下がりやすい相続税評価額や固定資産税評価額を使用したいと主張するケースもあるでしょう。
なお、法律では遺産分割の際に用いる評価額は決められていないため、相続人同士が話し合い自由に決められます。
ただし、不動産の場合は時価(実勢価格)で評価して、各相続人の取り分を決めるケースが一般的です。
遺産分割時にどの評価額を用いるかで揉めた場合は、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談してみるのが良いでしょう。
相続に詳しい専門家であれば、相続人や遺産の状況に合った遺産分割方法を提案できるからです。
特に、司法書士の場合は第三者の中立な立場からアドバイスできるので、円満解決を目指している人におすすめです。
2-4 前妻の子どもや認知した子どもがいて揉める
亡くなった人に離婚歴があり、相続人に前妻(前夫)の子がいるケースや認知した隠し子がいるケースも相続争いが起きやすいのでご注意ください。
そもそも、亡くなった人に前妻との子供や認知した子供がいても、今の家族はその事実を知らないケースもよくあります。
相続発生後に、戸籍謄本を取得して相続人調査をしてみたら、いきなり知らない子供がいると判明するケースもあるでしょう。
前妻(前夫)の子や認知した隠し子は、今の子供と同じ相続割合になるため、下記の争いが起きる可能性があります。
- 前妻(前夫)の子や認知した隠し子に財産を渡したくないと揉める
- 前妻(前夫)の子や認知した隠し子が相続手続きに協力してくれない
- 前妻(前夫)の子や認知した隠し子が遺産の取り分を主張し、実家の処分などを主張する
前妻との子供や認知した子供との相続争いを防止するにも、遺言書の作成や生前贈与で希望の人物に財産を遺すことが効果的です。
ただし、前妻との子供や認知した子供も実子であり、遺留分が認められるので、遺言書作成時や生前贈与時には司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。
また、いずれかのタイミングで、前妻との子供や認知した子供がいることを、今の家族に告げておくことが望ましいです。
2-5 貢献度を考慮して欲しい相続人がいて揉める
相続人の中に、亡くなった人の介護を長年にわたり献身的に行った人がいる場合など、自分の貢献度を考慮してほしい人がいる場合にも相続争いが起こりやすいです。
なお、法律的には亡くなった人に対して相続人が行ってきた貢献度を「寄与分」と呼びます。
寄与分が認められれば、介護や事業の手伝いをしてきた相続人は、他の相続人より遺産を多く受け取れます。
しかし、他の相続人からしたら寄与分を認めると、自分の遺産の取り分が減るため、寄与分を認めないことも多いです。
このように、特定の相続人が亡くなった人の生活に貢献していた場合は、その相続人とそれ以外の相続人で意見がぶつかり合う恐れがあります。
介護などで特にお世話になった相続人がいる場合には、相続発生後に寄与分を主張してもらうのではなく、あらかじめ遺言書を用意しておくのが良いでしょう。
他にも、介護をしてくれる相続人に対して生前贈与や負担付贈与などを行うのもおすすめです。
2-6 生前贈与を受けた相続人がいて揉める
生前贈与によって、相続争いが発生してしまうこともあるので注意しなければなりません。
相続人が生前贈与を受けた場合、それが「特別受益」となってしまう可能性があるからです。
特別受益とは、特定の相続人が遺産を多めに譲り受けたり遺贈されたりすることです。
過去の生前贈与が特別受益と認められた場合、過去の贈与財産を相続財産に加えて、各相続人の遺産の取り分を計算しなければならない場合があります。
過去に生前贈与を受けていた相続人は「特別受益に当たらない」「そもそも贈与をもらっていない」と主張をするはずです。
一方で、他の相続人は過去の贈与を特別受益だと主張するでしょう。
このように、特定の相続人に生前贈与をしていると、相続発生時に揉める恐れがあります。
生前贈与による相続争いを防止するには、やはり遺言が役立ちます。
遺言により、特別受益の持ち戻し計算を免除できるからです。
子供に不動産やまとまったお金を贈与したりして生前贈与が問題になりそうな場合、遺言書を作成して特別受益の持ち戻し免除することを明らかにしておきましょう。
2-7 事業承継で揉める
会社を経営している方は、事業承継について考えておく必要があります。
事業承継でも、相続関係のトラブルが非常に多いからです。
例えば、遺言によって後継者となる相続人に遺産を集中させようとしたら、他の相続人から遺留分を請求される恐れがあります。
また、事業承継について何も対策もしていなかったために、会社の株式が相続人に法定相続分通りに分散されてしまい、会社経営の意思決定を行いにくくなる可能性もゼロではありません。
事業承継による様々なトラブルを回避するには、様々な事態を想定して早い段階から複数の相続対策を行っておく必要があります。
例えば、現経営者が元気なうちに家族信託を利用して、自社株の管理を後継者候補に任せるのも良いでしょう。
他には、遺言書によって自社株など事業に関する資産を次期後継者に集中させることも可能です。
事業承継の場合、生前に他の相続人らと協議して、遺留分を請求しないよう約束してもらう方法もあります。
事業承継は複雑であり、会社や後継者の状況によってベストな対応が異なるので、詳しい司法書士や弁護士などの専門家に相談することが大切です。
2-8 内縁の配偶者と実子が揉める
以前に婚姻していて子供があり、現在は内縁の夫や妻がいる方の場合、内縁の配偶者と以前の子どもがもめてしまう可能性が高いので注意が必要です。
内縁の配偶者には遺産相続権がないため、相続対策をしておかないと全ての遺産を子供が相続するからです。
現在の資産のほとんどが内縁の配偶者と一緒に築いたものだとしても、同じ結果になってしまいます。
自宅が故人名義の場合、実子が内縁の配偶者を家から追い出してしまう可能性もありますし、預貯金が故人名義なら全部実子が相続し、遺された内縁の配偶者が困窮してしまう恐れもあるでしょう。
内縁の配偶者がいる場合、必要な資産を生前贈与するか、遺言書によってできるだけ多くの遺産を残しておきましょう。
もしも誰か託せる親族などがいたら(内縁の配偶者側の親族でもかまいません)、内縁の配偶者のために財産を管理してもらうよう、家族信託契約を締結するのも1つの方法です。
2-9 子供がいない夫婦の片方が亡くなり揉める
子供がいない夫婦のうち、どちらか片方が亡くなったときも、相続争いが起きるリスクがあります。
子供のいない妻や夫が亡くなると、遺された配偶者だけではなく、亡くなった人の兄弟姉妹や甥・姪が相続人となる場合があるからです。
相続人になれる人物および優先順位は、下記のように決められています。
常に相続人になる | 配偶者 |
---|---|
第一順位 | 子供や孫 |
第二順位 | 両親や祖父母 |
第三順位 | 兄弟姉妹や甥・姪 |
したがって、亡くなった人の両親がすでに他界しており、子供がいない場合は、遺された配偶者と兄弟姉妹で遺産を受け継ぎます。
遺された配偶者と亡くなった人の兄弟姉妹は関係性が薄い場合もあり、互いの意見がぶつかり合い相続争いとなる可能性もゼロではありません。
配偶者がすべての遺産を受け継ぐためには、元気なうちに遺言書を用意しておかなければなりません。
3章 相続争いを防止する方法
相続争いを防止するには、相続が発生する前の段階で家族、親族同士で相続について話し合っておくことが大切です。
他にも、遺言書や生前贈与、家族信託などで自分の財産を受け継ぐ人物を指定しておくのも良いでしょう。
相続争いを防止する方法は、主に下記の通りです。
- 家族・親族間で話し合いを行っておく
- 遺言書を作成する
- 生前贈与をする
- 家族信託を活用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1 家族・親族間で話し合いを行っておく
元気なうちから、家族や親族間で相続や老後の生活について、話し合っておくと良いでしょう。
特に、年末年始やお盆時など親族が集まるタイミングで話し合っておくと、互いの意見を交換しやすいのでおすすめです。
例えば、家族同士で話し合った結果、下記のように、相続トラブルを回避できるケースもあるでしょう。
- 長男に実家を相続させる予定だったが、長男は希望しておらず、次男が同居してくれることとなった
- 前妻との間に子供がいることを後妻の子供にも伝え、話し合いの結果、遺言書を用意しておくこととなった
- 将来介護をしてくれる予定である長女と負担付贈与の契約を結ぶこととなった
3-2 遺言書を作成する
本記事の2章でも解説しましたが、相続争いを避けたいのであれば遺言書を作成しておきましょう。
遺言書を作成しておけば、自分が希望する人物に希望の財産を遺せます。
また、遺言書を用意しておけば、相続人全員で遺産分割協議を行う必要もないため、前妻との子供や認知した隠し子と後妻の子や後妻が協力して相続手続きを行う必要もありません。
ただし、相続争いを防止する目的で遺言書を作成するのであれば、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談し遺言書の内容を精査してもらう必要があるでしょう。
遺言書を作成する際には、あわせて遺言執行者も選任しておきましょう。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために手続きを行う人です。
遺言執行者を選任しておけば、単独で遺産の名義変更手続きを行えますし、相続人に遺言書の内容を伝えてくれます。
遺言執行者は相続人がなることもできますが、遺言書の作成を依頼した司法書士や弁護士を選任すれば、作成時の意図や遺志も伝えてもらえます。
3-3 生前贈与をする
生前贈与をすれば、自分が元気なうちに希望の人物に財産を受け継いでもらえます。
例えば、先祖代々受け継いできた土地を長男に受け継いでほしいなど希望がある場合は、生前贈与を検討しても良いでしょう。
他にも、自分の面倒を見てくれる子供に対して財産を多く遺したい場合や子供や孫の住宅購入、教育費の援助をしたい場合にも生前贈与は有効です。
ただし、生前贈与をする場合、特別受益の持ち戻し免除や遺留分について考慮しなければなりません。
生前贈与だけでなく、遺言書作成や他の相続対策との掛け合わせが必要な場合も多いため、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談しながら手続きを進めることをおすすめします。
3-4 家族信託を活用する
家族信託を利用すれば、自分が認知症などで判断能力を失ったときに、財産の管理や運用、処分を家族に任せられます。
家族信託は契約内容によって、柔軟な財産管理や相続対策を行えるのが特徴です。
家族信託は遺言書と異なり、自分が亡くなった後の次の相続先まで指定できます。
例えば、自分が亡くなった後は内縁の妻に自宅不動産を相続させ、内縁の妻が亡くなった後は実子に相続させるといった内容も指定可能です。
ただし、家族信託は非常に複雑な制度であり、自分に合う契約書を作るには専門的な知識や経験が必要となります。
自分で手続きを進めるのは現実的ではないため、家族信託に精通した司法書士や弁護士に依頼するのが良いでしょう。
4章 相続争いが起こったときの対処方法
残念なことですが、不測の事態が発生し、相続争いが起きてしまうこともあるでしょう。
万が一、相続争いが起きてしまい相続人同士での解決が難しい場合は、遺産分割調停や審判を行い、解決を目指しましょう。
相続争いが起こったときの対処方法は、主に下記の通りです。
- 遺産分割調停・審判を行う
- 遺言無効確認調停・訴訟を行う
- 遺留分侵害額請求を行う
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1 遺産分割調停・審判を行う
相続人間で相続財産の分け方についての意見が整わない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停を利用しましょう。
調停では裁判所を介して相続人同士が話し合い、遺産の分け方を話し合い可能です。
ただし、遺産分割調停はあくまでも話し合いであり、相続人同士の主張が異なる場合は解決にいたらない場合もあります。
遺産分割調停でも解決できない場合には「遺産分割審判」という手続になり、裁判官が遺産相続の方法を決定してくれます。
4-2 遺言無効確認調停・訴訟を行う
誰かが「遺言書が無効」と主張している場合、まずは遺言書が本物かどうかを明らかにしなければなりません。
その場合には、家庭裁判所で「遺言無効確認調停」という調停を行います。
遺言無効確認調停もあくまでも調停であり、話し合いによる解決を目指します。
そして、残念ながら話し合いによっては解決できず、調停が不成立になった場合には「遺言無効確認訴訟」へと手続きが進み、裁判官に遺言書が有効か無効かを決めてもらわなければなりません。
遺言無効確認調停や訴訟により、遺言書が無効になったら、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産相続について話し合いましょう。
4-3 遺留分侵害額請求を行う
遺言書の内容が偏っているケースなどでは、遺産を多く受け取る人物に対して遺留分侵害額請求をすることも検討しましょう。
遺留分侵害額請求を行えば、遺産を多く受け取る人物に遺留分侵害額相当の金銭を支払ってもらえます。
遺留分侵害額請求をする際には、まずは相手方との話し合いを行う形が一般的です。
話し合いに応じてもらえない場合は、内容証明郵便の送付や遺留分侵害額請求調停・訴訟へと手続きを進めていきます。
なお、遺留分侵害額請求には下記の時効が設定されているのでご注意ください。
- 相続の開始(被相続人が亡くなった日)から1年
- 相続開始を知らない場合は10年
時効を過ぎてしまうと遺留分侵害額請求を行えないので、時効を迎えそうな場合は内容証明郵便だけでも相手方に送っておきましょう。
まとめ
相続争いは決して珍しいことではなく、どんな家庭でも起こりうることです。
そして残念なことに、相続争いが起きてしまうとトラブルを解決できたとしても、元の関係には戻りにくく遺恨が残ってしまうケースも多いです。
相続争いを防ぐためには、元気なうちから自分の相続について話し合っておき、必要な対策をしておくのが良いでしょう。
相続対策には、遺言書の作成や生前贈与、家族信託など複数の方法があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
相続対策に詳しい司法書士や弁護士に相談すれば、自分に合う対策方法を提案してくれますし、複数の方法を組み合わせた提案をしてくれるはずです。
グリーン司法書士法人では、相続対策についての相談をお受けしています。
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