親の口座から自分の口座に移すと贈与税がかかる?かかるケースを解説

親の口座から自分の口座に移すと贈与税がかかる?かかるケースを解説
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 5
この記事でわかること

  • 親の口座から自分の口座にお金を移すと贈与税がかかるのか
  • 親の口座から自分の口座にお金を移すと贈与税がかかるケース・かからないケース
  • 親の資産を一時的に自分の口座で預かるときの注意点

親の口座から自分の口座へお金を移すことは、生活費の立替えや医療費の支払いなど日常的に起こり得ます。
しかし、状況によっては「贈与」や「名義預金」と判断され、税金がかかったり相続発生時にトラブルとなったりすることも少なくありません。

本記事では、親の口座から子の口座へ資金を移す際に贈与税がかかるのかを解説します。


1章 親の口座から自分の口座にお金を移すと贈与税がかかる?

親名義の銀行口座から自分の口座へお金を移した場合、資金の移転が「贈与」と判断されれば贈与税の課税対象になります。

とはいえ、必ずしもすべてのケースで贈与と判断されるわけではありません。
例えば、親が子供の生活費や学費を負担するために資金を移転した場合には、贈与税はかからないとされています。

他にも、親が高齢であり、子供が親の意思に基づいて代理として入出金を管理しているだけのケースでは、実態によっては贈与とは扱われません。

重要なのは、お金の移動が「親から子供への一方的な財産移転」とみなされるかどうかです。
税務署は資金が移転された事実だけでなく、理由や実態も確認し、贈与かどうか判断します。

そのため、親の資金管理を子が代行する場合には「支出先の領収書を保管する」「資金移動の理由をメモに残す」など、客観的な説明ができるようにしておくことが重要です。

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2章 親の口座から自分の口座にお金を移すと贈与税がかかるケース

親の口座から自分の口座にお金を移した際に、贈与税の課税対象となるケースは、主に以下の通りです。

  • 移した金額が年間110万円を超える場合
  • 生活費・教育費以外の目的で贈与した場合
  • 非課税枠(1,000万円または500万円)を超える住宅取得資金を贈与した場合
  • 1,000万円を超える結婚・子育て資金を贈与した場合
  • 1,500万円を超える教育費を贈与した場合

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 移した金額が年間110万円を超える場合

贈与税には「年間110万円までの基礎控除」があり、基礎控除内であれば贈与税はかかりません。
親から受け取った金額が年間110万円以内であれば、贈与税の申告や納税は必要ありません。

一方で、親から受け取った金額が年間110万円を超えた場合、その超えた部分に対して贈与税が課せられる可能性があります。

なお、注意したいのは複数回に分けて110万円以下の入金をしても、合計で110万円を超えれば贈与と扱われるという点です。
「毎月9万円ずつならセーフ」と誤解されることもありますが、子供が自由に使える状態であれば、すべて贈与としてカウントされます。

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2-2 生活費・教育費以外の目的で贈与した場合

親子など扶養義務者間で生活費や教育費を贈与した場合には、贈与税がかからないとされています。
そのため、親が子供に対して生活費や学費を仕送りした場合には、贈与税はかかりません。

一方で、生活費や教育費として贈与した場合でも、以下のようなケースでは贈与税がかかるのでご注意ください。

  • 子供が自由に使える状態で、必要額を超えて資金を渡す
  • 貯金目的で送金した
  • 名目は生活費でも、実際には娯楽費や資産形成に使っている
  • 子供が高額なブランド品や車の購入費に充てた

生活費や教育費として非課税で贈与したいのであれば、必要な時期に、必要な分だけ親が支払うことが重要です。
一括で渡してしまうと「贈与」と判断されやすくなります。

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2-3 非課税枠を超える住宅取得資金を贈与した場合

親から住宅取得資金として非課税枠を超える金額を贈与されると、その超えた分には贈与税が課せられる恐れがあります。

親から住宅用取得資金の援助を受ける場合、「住宅取得資金の非課税制度」を利用できる場合があります。
この制度は、住宅用取得資金を贈与された場合、住宅の種類ごとに以下の金額までが非課税となる制度です。

  • 省エネ等住宅:1,000万円
  • それ以外:500万円

親が子供に対して非課税枠を超える贈与をした場合、非課税枠を超えた分に対して贈与税が課せられます。
また、住宅取得資金の非課税制度の適用を受けるには、受贈者の収入要件や購入する物件の要件を満たす必要があるので、事前に確認しておきましょう。

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2-4 1,000万円を超える結婚・子育て資金を贈与した場合

結婚や子育てのために親からまとまった資金を援助してもらった際にも、贈与税がかかる場合があります。
結婚や子育て資金の贈与の際に使える制度として「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度」というものがありますが、これの非課税枠は最大1,000万円となっています。
そのため、結婚や子育て資金のために1,000万円を超えて贈与をすると、非課税枠を超えた分が課税対象となる可能性があるのです。

なお、「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度」の適用を受ける際には、信託銀行などで専用口座を開設したうえで所定の手続きを踏む必要があります。
また、結婚関連費用の非課税枠は上限300万円となっている点にも注意しましょう。

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2-5 1,500万円を超える教育費を贈与した場合

教育費についても「教育資金の一括贈与の非課税制度」があり、要件を満たせば最大1,500万円まで非課税で贈与できます。
「教育資金の一括贈与の非課税制度」についても、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度と同様に信託銀行等で専用口座を作成しなければなりません。

加えて、非課税枠の1,500万円を超えて贈与した資金については、超過部分が贈与税の対象となります。
教育費については、扶養義務者間であれば非課税で贈与できるので、制度の適用を受けず非課税で都度贈与するか、制度の適用を受けた方が良いか検討することをおすすめします。

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3章 親の口座から自分の口座にお金を移しても贈与税がかからないケース

贈与と判断されない内容や金額であれば、親の口座から自分の口座に資金移動があっても贈与税が課せられません。
具体的には、以下のようなケースでは贈与税がかかりません。

  • 年間110万円以内の贈与
  • 生活費や教育費として親が都度支払う場合
  • 親のお金を子が一時的に預かっているだけの場合

例えば、親が高齢であり、子供が親のお金を預かり代理で公共料金や病院代の支払いをしている場合には、贈与税はかかりません。
ただし、子供が親のお金を預かるケースでは、贈与ではないのか、何のために預かっているかなどを客観的な証拠として残しておくことが大切です。

次の章では、親の資産を一時的に子供が預かるときに注意すべきことを解説します。


4章 親の資産を一時的に自分の口座で預かるときの注意点

医療費や生活費などを支払うために、親の資産を一時的に子供が預かるときには、トラブルを避けるために、以下のようなことに注意しておくと安心です。

  • 親子で覚書を作成しておく
  • 預かり用の専用口座を作成する
  • 使用した際には記録を残す

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 親子で覚書を作成しておく

最も有効な対策は、親子で「預かり金契約書(覚書)」を作成しておくことです。
書面に残しておけば、子供が預かった資金が贈与ではなく「管理目的」であることを明確に示せます。

覚書には、以下の内容を記載するのが一般的です。

  • 親が子供に一定額を預ける目的(資産管理・支払い代行など)
  • 預かった資金は親の財産であること
  • 子供が自由に使用してはならないこと
  • 残高があれば親に返還する義務があること

覚書は必ず双方が署名し、日付を入れて保管します。
税務調査時には書面の有無が大きな判断材料となるため、「口頭で伝えているから大丈夫」と判断しないようにしましょう。

4-2 預かり用の専用口座を作成する

親のお金を預かるのであれば、専用口座を作成しておくと安心です。
子供のプライベート用の口座に預かり金を入金してしまうと、どれが親の資金でどれが子供の資金かわかりにくくなるからです。

預かり用の専用口座を作成するメリットは、主に以下の通りです。

  • 入出金の履歴が明確になり、説明しやすい
  • 子供自身の生活費と親の資金を完全に分離できる
  • どの支払いが親のための支出なのか追跡しやすい

4-3 使用した際には記録を残す

親の資金を管理している場合、使途の記録を残しておきましょう。
記録が曖昧だと、税務署から「子供が自由に使っている=贈与では?」と疑われやすくなるためです。

具体的には、以下のような記録を残しておくと良いでしょう。

  • 支出が親のためであることを示す領収書
  • 入出金の理由をメモした家計簿・ノート
  • 銀行明細のコピー
  • 医療費や施設利用料などの請求書

特に、医療費や介護費、公共料金、生活用品など、親の生活に関わる支出であれば、領収書や請求書をファイリングしておくと客観的な証拠になります。
また、親本人に確認してもらい、支出記録にサインをもらう方法も有効です。
これにより、子供が勝手に使ったのではなく、親の承認のもとで管理していることを証明できます。


まとめ

親の口座から子の口座へ資金移動があると、状況によっては贈与税の対象となります。
移転時に贈与税がかからなかったとしても、相続時には名義預金として扱われる可能性があるのでご注意ください。
まとまった金額を移転するときには、トラブルや税負担を避けるためにも、税理士に一度相談しておくと安心です。

一方で、生活費や医療費の立替えなど、親のために使う目的で一時的に預かる場合は贈与税の対象にはなりません。
ただし、将来的なトラブルを避けるためにも覚書を作成したり、専用口座を利用したりすることをおすすめします。

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よくあるご質問

親の口座から子の口座に移すと名義預金になる?

親の資金を子の口座へ移した場合、実態によっては「名義預金」と判断される可能性があります。
名義預金とは、名義は子供であっても実質的な所有者が親である預金のことで、相続税の加算対象となる恐れがあります。 例えば、親が「子名義の口座に毎年送金し、子供自身がその存在を把握していない」「子が自由に使ってよいと明言していない」場合には、その預金は名義預金と判断される可能性が高いでしょう。
名義預金について詳しくはコチラ

親が認知症だと贈与はできない?

贈与は「双方の合意」によって成立する契約行為であり、親が認知症となり判断能力がない状態では贈与は成立しません。
認知症発症後に子供が親の口座から資金を移動してしまうと、以下のような恐れがあるのでやめましょう。
・子が勝手に財産を移したとみなされる
・後に兄弟同士でトラブルになる
・相続時に使途不明金として問題視される
認知症と贈与の関係について詳しくはコチラ

医療費用の預かり金は贈与税がかかる?

親の医療費を支払う目的で一時的に預かったお金は、贈与税の対象にはなりません。
医療費や介護費など、親の生活維持に必要な支出は、子が代理して支払うことが社会通念上認められているためです。 ただし、領収書や明細を保存し、「親のために使ったお金」であることを客観的に示しておくことが重要です。

110万円以内なら絶対に税務署にバレない?

110万円以内の贈与は非課税ですが、「絶対にバレない」という意味ではありません。
税務署は銀行の入出金情報や相続時の預金履歴を確認することができ、過去の送金状況もチェックされます。
そのため、年間110万円以内の贈与であっても、贈与契約書を交わし、証拠を残しておくと安心です。

親の口座を勝手に使うと違法?

親の口座を勝手に使ったとしても、原則として、刑事罰に問われることはありません。
家族間の使い込みは民事不介入であり、刑事罰に問われないとされているからです。 しかし、親の口座からお金を勝手に引き出し使用すると、損害賠償請求または不当利得返還請求という民事訴訟を起こされる恐れがあります。

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