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不動産の生前贈与が相続税対策になるケース|贈与時の注意点とは

不動産の生前贈与が相続税対策になるケース|贈与時の注意点とは
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司法書士日野 修亮

 監修者:日野 修亮

この記事を読む およそ時間: 7

子供や配偶者にかかる相続税の負担を少しでも軽減したいのであれば、生前贈与が有効です。
生前贈与すれば、遺産そのものを減らせるため相続税の負担を軽くできます。

一方で、単純に相続税と贈与税を比較した場合、贈与税の方が税率が高いので節税効果をシミュレーションした上で生前贈与を行うことが大切です。
相続税対策で不動産の生前贈与を行うのであれば、賃貸用不動産や将来値上がりが予想される不動産を贈与しましょう。

本記事は、生前贈与に適した不動産や不動産を生前贈与するメリット・デメリットを解説します。
相続税と贈与税の違いについては、下記の記事で詳しく解説しているのであわせてご参考にしてください。

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1章 不動産の生前贈与が相続税対策になる3つのケース

相続税対策で不動産を生前贈与するのであれば、収益を生み出す不動産や将来価値が上がりそうな不動産を譲るのが良いでしょう。
相続税の節税目的で行う不動産の生前贈与に適したケースは、主に下記の通りです。

  1. 賃貸用不動産を生前贈与するケース
  2. 将来値上がりする可能性が高い不動産を生前贈与するケース
  3. 贈与税の配偶者控除を利用出来るケース

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1 賃貸用不動産を生前贈与するケース

賃貸経営をしている場合は、早い段階で子供や孫、配偶者に賃貸用不動産を贈与してしまうのも良いでしょう。
賃貸用不動産を生前贈与すれば、不動産そのものだけではなく将来発生する賃貸収入も贈与者の財産となるからです。

自宅や活用していない不動産を生前贈与するよりも、相続税の節税効果が高いともいえるでしょう。

1-2 将来値上がりする可能性が高い不動産を生前贈与するケース

将来値上がりが予想される不動産を生前贈与すれば、相続税の節税効果が大きくなります。

贈与税は、生前贈与を行ったときの価格で計算されるからです。
一方で、相続により不動産を受け継ぐ場合は相続発生時点の評価額をもとに相続税を計算します。

そのため、将来的に価値が上がることが予想される不動産をお持ちの場合は、値上がり前に生前贈与してしまうことも検討しましょう。

1-3 贈与税の配偶者控除を利用出来るケース

住宅 贈与税/贈与税の配偶者控除

婚姻期間が20年を超える場合は、贈与税の配偶者控除を利用して生前贈与しても良いでしょう。

贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上の夫婦が居住用不動産もしくはそれを取得するための資金を贈与する場合、贈与額から最大2,000万円まで控除できる制度です。
贈与税の配偶者控除は暦年贈与と併用できるため、その年は最大2,110万円まで贈与税が非課税になります。

贈与税の配偶者控除を適用すれば、贈与税を大幅に節税できますし将来の遺産総額も減らせるため、相続税の節税にも役立ちます。️

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2章 相続税対策のため不動産を生前贈与するメリット

不動産を生前贈与すれば、相続税を節税できるだけでなく、贈与する人物やタイミングを自由に設定可能です。
他にも、不動産の生前贈与には、下記のメリットがあります。

  1. 贈与する人物・タイミングを自由に選べる
  2. 相続税を節税できる場合がある
  3. 認知症対策につながる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1 贈与する人物・タイミングを自由に選べる

生前贈与は、贈与者と受贈者の合意によって行うため、贈与する人物やタイミングを自由に決定できます。
一方で、人が亡くなるタイミングは誰にも予想できないため、任意のタイミングで相続を発生させることは難しいでしょう。

また、相続によって財産を受け継ぐ場合、法律によって遺産を取得する人物が決められています。
生前のうちに遺言書を作成しておけば、任意の人物に不動産を受け継ぐことができますが、遺言書に不備がある、遺言執行者を選任していないなどが理由で、遺言書通りの遺産分割が行われない恐れもあります。

そのため、特定の人物に土地を受け継いでほしいなどの強い希望があるならば、不動産の生前贈与を検討しましょう。

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2-2 相続税を節税できる場合がある

不動産を生前贈与すれば、相続税を節税できる可能性があります。
生前贈与をすれば、その分だけ遺産を減らせるからです。

ただし、一定額を超える生前贈与を行うと贈与税が課税されます。
贈与税の課税方法は、下記の2種類です。

  1. 暦年贈与
  2. 相続時精算課税制度

暦年贈与とは、年間110万円の基礎控除を利用して相続税や贈与税を節税する方法です。
繰り返し贈与を行うことで数百万円近く、相続税や贈与税を節税できる可能性もあります。

相続時精算課税制度とは、2,500万円までの贈与税を非課税にできる制度です。
贈与税の節税効果は大きいものの受贈者が亡くなったときに贈与財産を相続税の課税対象に含める必要があるため、直接的な相続税の節税効果はありません。

2024年からは相続時精算課税制度にも基礎控除が追加されたため、暦年贈与のように毎年贈与を繰り返し贈与税および相続税を節税できます。

2024年から相続時精算課税制度に基礎控除が追加されます

2024年1月1日以降は相続時精算課税制度に毎年110万円の基礎控除額が設定されます。
相続時精算課税制度の基礎控除の取り扱いは、下記の通りです。

  • 毎年110万円以下の贈与であれば贈与税の申告および納税は不要
  • 毎年110万円以下の贈与であれば贈与財産を相続税の加算対象に含めなくて良い

相続時精算課税制度にも暦年贈与同様に基礎控除額が用意されたことで、メリットや節税効果が大きくなるといえるでしょう。

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2-3 認知症対策につながる

不動産を生前贈与し次世代に譲ることは、認知症対策にもつながります。
認知症になり判断能力を失ってしまうと、不動産の活用や売却などの契約行為や財産管理ができなくなってしまいます。

そのため、認知症になった人が介護施設に入居する際に、自宅を売却できず入居費用に充てられないなどの可能性もゼロではありません。
一方で、不動産を生前贈与し子供に譲っておけば、介護費用が必要になった段階で売却などの対応も可能です。

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3章 相続税対策のため不動産を生前贈与するデメリット

不動産を生前贈与すると相続税を節税できる可能性はありますが、一方で贈与税がかかるおそれがあります。
相続税の節税目的で不動産を生前贈与するデメリットは、主に下記の通りです。

  1. 贈与税がかかる場合がある
  2. 不動産取得税や登録免許税がかかる
  3. 相続開始3~7年以内の生前贈与は相続税の課税対象となる
  4. 小規模宅地等の特例が使えなくなる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1 贈与税がかかる場合がある

生前贈与する不動産の価値によっては、贈与税がかかる場合があります。
具体的には、年間110万円を超える贈与を受け取ると贈与税がかかる可能性があります。

例えば、父から子供に暦年贈与で不動産1,000万円を贈与した場合の贈与税は、177万円です。
贈与税と相続税は共に累進課税制度を採用しているため、贈与額が大きくなればなるほど税率も上がってしまいます。
加えて、単純に相続税と贈与税の税率を比較した場合、贈与税の方が高い税率が設定されています。

したがって、贈与税のことを意識しないまま不動産を生前贈与してしまうと、相続税の節税額以上に贈与税がかかる恐れもあるのでご注意ください。

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3-2 不動産取得税や登録免許税がかかる

不動産を次世代や配偶者に譲ったときには、相続税や贈与税だけでなく不動産取得税や登録免許税がかかります。
相続および贈与によって不動産を取得してときにかかる不動産取得税および登録免許税は、下記の通りです。

相続時の税率贈与時
不動産取得税かからない3%もしくは4%
(1,000万円の不動産を贈与された場合、30~40万円)
登録免許税0.4%
(1,000万円の不動産を相続した場合、4万円)
2%
(1,000万円の不動産を贈与された場合、20万円)

上記のように、生前贈与時の不動産取得税や登録免許税は相続時よりも高く設定されています。
不動産は価値が高いものも多いので、生前贈与時には不動産取得税や登録免許税も考慮しておきましょう。

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3-3 相続開始3~7年以内の生前贈与は相続税の課税対象となる

相続開始3〜7年以内に行われた生前贈与は、贈与財産が相続税の課税対象に含まれる場合があります。
そのため、受贈者が亡くなる直前に行われた贈与に関しては、相続税の節税効果がなくなる可能性もあります。

過去の生前贈与が相続税の課税対象になることを生前贈与加算と呼び、下記の贈与が対象になります。

生前贈与の種類生前贈与加算の対象になるケース
暦年贈与
  • 死亡前3~7年以内に行われた生前贈与
  • 相続・遺贈で財産を取得した人
  • みなし相続財産を受け取った人
相続時精算課税制度すべてのケースで生前贈与加算の対象になる

暦年贈与により相続税対策を行う場合、生前贈与加算を防ぐために若いうちから贈与をする、相続によって財産を取得しない孫に贈与することもご検討ください。

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3-4 小規模宅地等の特例が使えなくなる

不動産を生前贈与した場合、贈与財産に関して小規模宅地等の特例を適用することができなくなります。
小規模宅地等の特例とは、亡くなった人の土地を相続した場合、相続税評価額を最大8割軽減できる制度です。

小規模宅地等の特例は、相続によって取得した土地に適用できる制度のため、生前贈与によって取得した土地には適用できません。
不動産を生前贈与する際には、生前贈与と相続で小規模宅地等の特例を適用する場合のどちらが節税できるかシミュレーションする必要があります。

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4章 不動産を生前贈与する流れ

不動産を生前贈与するときには、受贈者から贈与者へ名義変更を行う必要があります。
不動産の名義変更手続きは、法務局にて登記申請を行います。

登記申請や生前贈与の流れは、下記の通りです。

  1. 不動産贈与契約を締結する
  2. 不動産贈与契約書を作成する
  3. 法務局で不動産の名義変更手続きをする
  4. 税務署で贈与税の申告手続きをする

贈与契約書の作成および登記申請は自分たちで行うこともできますが、司法書士に依頼も可能です。
相続に詳しい司法書士であれば、相続対策まで見据えた生前贈与の提案も行えます。

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5章 不動産を生前贈与する際の注意点

不動産を生前贈与するときには、納税資金の用意や特別受益の持ち戻し対策をする必要があります。
具体的には、下記に注意しておきましょう。

  1. 受贈者が贈与税の納税資金を用意する必要がある
  2. 生前贈与が特別受益に該当する恐れがある
  3. 親子間の贈与でも贈与契約書を作成しておく
  4. 定期贈与と判断されないように注意する

それぞれ詳しく解説していきます。

5-1 受贈者が贈与税の納税資金を用意する必要がある

贈与税を負担するのは贈与をした人ではなく、贈与を受け取った人物です。
そのため、110万円を超える不動産を贈与された場合、納税資金を用意しておく必要があります。

贈与税は物納が認められていないので、不動産を生前贈与された場合は、現金で納税資金を用意しなければならないからです。
生前贈与時には贈与税をシミュレーションしておき、納税資金をあらかじめ用意しておきましょう。

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5-2 生前贈与が特別受益に該当する恐れがある

相続人に対して行った生前贈与は、相続時に特別受益と判断される恐れがあります。
特別受益とは、ある相続人が亡くなった人(被相続人)から特別に得ていた利益です。

相続発生前に、故人が相続人に対して行った生前贈与が特別受益に該当すると、贈与財産も含めて遺産分割割合を決定しなければなりません。

例えば「同居していて特別世話になった長女に多くの財産を遺したい」と思って長女に生前贈与したとしても、特別受益に該当すると生前贈与の目的を果たせなくなってしまいます。

このような事態を防ぐために、生前贈与時には特別受益の持ち戻し免除を行っておく必要があります。
遺言書に「特別受益に対する持戻しをしないこと」を記載しておけば、相続人は記載された贈与に対して特別受益の持ち戻しを主張することはできません。

相続に詳しい司法書士や弁護士であれば、生前贈与だけでなく特別受益の持ち戻し対策まで提案できますので、相続トラブルを防ぎたいのであれば相談してみることをおすすめします。

特別受益とは|持ち戻しの計算方法や具体例・トラブル回避のための対策

5-3 親子間の贈与でも贈与契約書を作成しておく

親子間や祖父母と孫など近しい人間に対して行う贈与であっても、必ず贈与契約書を作成しておきましょう。
贈与契約書があれば、生前贈与があったことを確実に証明できるからです。

生前贈与は受贈者と贈与者の合意があれば行えるため、贈与契約書の作成や締結は要件に含まれていません。
しかし、贈与契約書を作成していないと、受贈者が亡くなったときに贈与を受けていない相続人が「生前贈与は無効だ、そんなものなかった」と主張する恐れがあります。

このような事態を防ぎ、受贈者と贈与者が合意していたことを示すためにも、贈与契約書を作成しておきましょう。
贈与契約書の作成は自分たちでもできますが、後々のトラブルを避けたいのであれば、司法書士や弁護士に贈与契約書を作成してもらうことをおすすめします。

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5-4 定期贈与と判断されないように注意する

暦年贈与や相続時精算課税制度の基礎控除を利用して不動産の生前贈与をする場合は、税務署に定期贈与と判断されないようにご注意ください。
定期贈与とは資産の移動は数回に分かれてるものの、ひとつのまとまった贈与契約として扱われる贈与です。

例えば、毎年100万円ずつの不動産贈与を10回繰り返した場合、「100万円×10回」の贈与ではなく、「1,000万円×1回」の贈与として扱われる場合があります。
税務署に定期贈与と判断されると、ひとつのまとまった贈与として扱われ贈与税がかかってしまいます。

定期贈与と判断されないようにするには、下記の工夫をしておきましょう。

  • 贈与のたびに贈与契約書を作成する
  • 贈与の時期や金額を毎年変更する
贈与税がかからない年110万円の贈与も証拠は必要!有効な証拠とは
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まとめ

賃貸用不動産や将来値上がりが予測される不動産を生前贈与すれば、相続税を節税できる可能性があります。
ただし、年間110万円を超える贈与を受けると贈与税がかかる場合があるので、生前贈与時には贈与税や相続税のシミュレーションをしておくことが大切です。

また、不動産を生前贈与する際には、特別受益の持ち戻し対策や贈与契約書の作成、名義変更手続きなど行わなければならないことが多いです。
相続に詳しい司法書士であれば、相続対策まで見据えた生前贈与の提案や贈与契約書の作成、登記申請まですべて一括で対応できます。

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