骨董品・美術品の相続税評価額の算出方法とは?納税猶予の特例も紹介

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司法書士日野 修亮

 監修者:日野 修亮

この記事を読む およそ時間: 4
 この記事を読んでわかること

  • 骨董品・美術品も相続税の対象となるか
  • 骨董品・美術品の相続税評価額を計算する方法
  • 骨董品・美術品の相続税申告をする際の注意点

骨董品や美術品なども遺産分割や相続税の対象となります。
特に、骨董品や美術品の相続税を計算するときには、最初に相続性評価額も計算しなければなりません。

骨董品や美術品の相続税評価額を計算するには、いくつか方法がありますが、精通者意見価格が最も信頼性が高くおすすめです。
また、骨董品や美術品によっては、相続税の納税猶予の特例を適用できる可能性があるので事前に確認しておきましょう。

本記事では、骨董品や美術品の相続税評価額の計算方法や納税猶予の特例について詳しく解説していきます。
相続税の計算方法については、下記の記事でも詳しく解説しています。

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1章 骨董品・美術品も相続税の対象になる

本記事の冒頭で解説したように、骨董品や美術品も相続税の計算対象に含まれます。
亡くなった人が骨董品や美術品を所有していた場合は、相続税の申告漏れが発生しないようにご注意ください。

なお、相続税は骨董品や美術品、預貯金など遺産ごとにかかるわけではなく、遺産総額に対してかかります。
加えて、預貯金や現金と異なり額面がわかりにくい骨董品や美術品は、相続税を計算する際に評価額を算出しなければなりません。

次の章では、骨董品の相続税評価額を計算する方法を詳しく見ていきましょう。

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2章 骨董品・美術品の相続税評価額の算出方法

亡くなった人が骨董品や美術品を所有していた場合は、相続税評価額を計算する必要があります。
骨董品や美術品の相続税評価額を計算する方法は、①売買実例価額②精通者意見価格の2種類があります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1 売買実例価額を用いて計算する

売買実例価額とは、実際に市場で取引されているときの価格を相続税評価額とする方法です。
売買実例価額では、下記の金額を参考に相続税評価額を決定します。

  • 似た骨董品・美術品の市場価格
  • 買取業者の査定価格
  • 購入価格

ただし、上記の価格のうち購入価格については、購入から時間が経過している場合や購入時と時価が大きく変わっている場合には、参考にできないのでご注意ください。
売買実例価額は、市場価格を参考にするため、市場で多く流通している骨董品や美術品の相続税評価額を計算するのに適しています。

2-2 精通者意見価格を用いて計算する

精通者意見価格とは、亡くなった人が所有していた骨董品と美術品を古美術商や鑑定士などの専門家に鑑定してもらい相続税評価額を算出する方法です。

精通者意見価格は、専門家の意見を参考にするため信頼性が高いのが特徴といえるでしょう。
また、売買実例価額と異なり、市場で流通していなく希少価値が高い骨董品や美術品の相続税評価額を算出するのにも適しています。

ただし、精通者意見価格を用いる場合、古美術商や鑑定士に支払う鑑定費用がかかります。


3章 骨董品・美術品を相続税申告する方法

先ほどの章で解説した方法で、骨董品や美術品の相続税評価額を計算した後は、他の遺産と合わせて相続税申告を行います。
骨董品や美術品を相続税申告する際には、骨董品や美術品の価値によって申告書の記載方法が異なるのでご注意ください。

本章では、骨董品や美術品を相続税申告する際の記載方法を解説します。

3-1 1点あたりの評価額が5万円以下であれば家庭用財産として申告する

相続した骨董品や美術品の1点あたりの評価額が5万円以下であれば、家庭用財産としてまとめて計上可能です。
例えば、骨董品や美術品を他の家電などと一緒に「家財一式◯万円」などと申告書に記載できます。

3-2 1点あたりの評価額が5万円を超えるのであれば個別に申告する

亡くなった人が所有していた骨董品や美術品が1点あたり5万円を超えるのであれば、家庭用財産として申告できないので、ひとつずつ個別に申告しなければなりません。
相続税申告を漏れなく行いたい場合は、相続に詳しい税理士に相談するのが良いでしょう。


4章 特定の美術品に係る相続税の納税猶予とは

亡くなった人が所有していた骨董品の数や価値によっては、相続税の負担が重くなる場合もあるでしょう。
亡くなった人が所有していた骨董品や美術品によっては、特定の美術品に係る相続税の納税猶予を活用できる場合もあります。

特定の美術品に係る相続税の納税猶予とは、条件を満たせば、骨董品や美術品にかかる相続税を80%まで猶予する制度です。
特定の美術品に係る相続税の納税猶予の適用要件や計算方法を詳しく解説していきます。

4-1 適用要件

特定の美術品に係る相続税の納税猶予の適用要件は、下記の通りです。

  • 亡くなった人が、美術品を一定の美術館などに寄託しており、文化財保護法に基づく保存活用計画の認定を受けていた
  • 骨董品や美術品を受け継ぐ相続人や受遺者が、亡くなった人が締結した寄託契約及び保存活用計画に基づき、美術品の寄託を継続する
  • 骨董品や美術品を受け継ぐ相続人や受遺者が美術品について、一定の保険に加入するおよび質権設定等の手続を行う

また、制度の対象となる骨董品および美術品の条件は、下記の通りです。

  • 一定の重要文化財:重要文化財として指定された絵画や彫刻、工芸品その他の文化的所産である動産
  • 一定の登録有形文化財:登録有形文化財(建造物を除く)のうち、世界文化の検知から歴史上、芸術上または学術上特に優れた価値を有するもの

上記のように、特定の美術品に係る相続税の納税猶予の適用要件は厳しく、亡くなった人が自宅に骨董品や美術品を保管していただけでは、適用できません。
相続した骨董品や美術品が、特定の美術品に係る相続税の納税猶予の適用要件を満たすかわからない場合は、相続に詳しい税理士に確認してみるのが良いでしょう。

4-2 猶予される税額の計算方法

特定の美術品に係る相続税の納税猶予が認められれば、骨董品や美術品にかかる相続税を80%まで猶予できます。
制度を適用した場合、骨董品や美術品を受け継いだ相続人や受遺者の相続税は下記のように計算します。

  1. 納税猶予制度を適用せず、通常の方法で相続税を計算する
  2. 骨董品や美術品を受け継いだ相続人・受遺者が特定美術品のみを相続した場合の相続税を計算する
  3. 骨董品や美術品を受け継いだ相続人・受遺者は、20%の相続税評価額で特定美術品のみを相続したものとして相続税を計算する
  4. ②と③の差額を計算する(この金額が納税猶予の金額となる)
  5. ①で計算した相続税額から納税猶予の金額を控除する

上記のように、特定の美術品に係る相続税の納税猶予を適用した場合の相続税計算方法は、非常に複雑です。
自分で計算するのが難しい場合は、相続に詳しい税理士に相談するのが良いでしょう。

4-3 納税猶予が取り消されるケース

特定の美術品に係る相続税の納税猶予はあくまでも納税が猶予されるだけであり、下記に該当すると納税猶予か取り消されてしまいます。

  • 特定美術品を譲渡した
  • 特定美術品が滅失、紛失等をした
  • 寄託契約が終了、保存活用計画の期間が満了したのち新たな認定を受けなかった
  • 重要文化財の指定解除、登録有形文化財の登録抹消、保存活用計画の認定取消しになった
  • 寄託先の美術館が廃止された(別の美術館に寄託した場合は納税猶予が適用される

上記に該当し納税猶予が取り消される場合、過去の猶予された税金をさかのぼって払うだけでなく利子税もかかるのでご注意ください。

4-4 納税が免除されるケース

特定の美術品に係る相続税の納税猶予を適用し、下記のケースに該当した場合は猶予されていた相続税が免除になります。

  • 骨董品や美術品を受け継いだ相続人・受遺者が死し亡くなった場合
  • 寄託している美術館に特定美術品を寄贈した
  • 特定美術品が災害により滅失した

5章 骨董品・美術品を相続するときの注意点

骨董品や美術品を相続するときには、相続税の申告漏れやミスを避けること、税務調査リスクを減らす工夫が大切です。
骨董品や美術品を相続するときの注意点は、下記の通りです。

  1. 税務調査リスクを減らしたいなら精通者意見価格で評価する
  2. 骨董品・美術品の鑑定料は相続税から控除できない
  3. 相続税の申告漏れ・無申告はペナルティが発生する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

5-1 税務調査リスクを減らしたいなら精通者意見価格で評価する

相続税申告後の税務調査リスクを少しでも減らしたいのであれば、骨董品や美術品の相続税評価額を精通者意見価格で計算しましょう。
精通者意見価格は、古美術商や鑑定士に鑑定を依頼する分、信頼性が高いとされるからです。

また、税務署も相続税の金額や申告内容に根拠を求める傾向があるため、古美術商や鑑定士など専門家の意見があった方が税務調査を避けやすくなります。

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5-2 骨董品・美術品の鑑定料は相続税から控除できない

相続税評価額を計算するにあたり、骨董品や美術品の鑑定を専門家に依頼したとしても、鑑定料は相続税から控除できないのでご注意ください。

ただし、鑑定料がかかるからといって、古美術商や鑑定士による鑑定を避けると、先ほど解説したように税務調査のリスクが上がる恐れもあります。
特に、数百万円を超えるような骨董品や美術品を受け継いだ場合は、税務署も相続税の申告漏れやミスを警戒しているので、専門家に鑑定を依頼した方が良いでしょう。

5-3 相続税の申告漏れ・無申告はペナルティが発生する

相続税の申告漏れや無申告は、延滞税や無申告加算税などのペナルティが発生するのでご注意ください。
骨董品や美術品は一見すると価値がわかりにくいことや、そもそも遺族が相続税の課税対象であると知らなかったなどの理由で、相続税の申告から外してしまう恐れがあります。

相続税の申告漏れや無申告による税務調査やペナルティを避けたいのであれば、相続に精通した税理士に申告書の作成を依頼するのが良いでしょう。

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まとめ

骨董品や美術品は相続税の課税対象であり、遺産分割の対象にもなります。
骨董品や美術品の中には、1点で数百万円になるものもあるので、相続税の申告漏れやミスに注意しましょう。

相続税申告を自分でするのが不安な場合やできるだけ相続税を節税したい場合は、相続に精通した税理士に相続税申告を依頼するのもおすすめです。

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