遺体の引き取り拒否をしても相続放棄は必要!流れや注意点を解説

遺体の引き取り拒否をしても相続放棄は必要!流れや注意点を解説
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 4

借金を遺して亡くなった家族の相続放棄をしたいものの遺体を引き取りたいとお悩みの人は多いです。
また「正直なところ、迷惑をかけられたし相続放棄するし遺体も引き取りたくない」と考える遺族も多いでしょう。

遺体の引き取りと相続については関係がなく、遺体の引き取り拒否をしたとしても相続放棄の手続きは必要です。
相続放棄は自分が相続人になってから3ヶ月以内の申立て手続きが必要なので、忘れないようにしましょう。

また、遺体の引き取り拒否と相続放棄をしても、相続人が故人の扶養義務者に該当する場合には葬儀費用を負担しなければならない場合もあります。
本記事では、遺体の引き取り拒否と相続放棄の関係について解説していきます。

相続放棄については、下記の記事でも詳しく解説しています。

【完全版】相続放棄の手続き方法から必要書類・注意点まで解説!

1章 遺体の引き取り拒否と相続放棄に関係はない

結論から言うと、遺体の引き取りと遺産相続には全く関係がありません。
そのため、遺体の引き取り拒否をしたからといって、相続放棄の手続きが完了するわけではないのでご注意ください。
相続放棄する場合には、自分が相続人であると知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所での申し立て手続きが必要です。

また、相続放棄をしている人でも、遺体の引き取りを行えます。

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2章 故人死亡後から遺体の引き取り拒否までの流れ

続いて、死亡してから家族や親族に遺体引き取りの連絡が届くまでの流れを解説します。
遺体引き取りの連絡は下記のように、警察や自治体、火葬場からそれぞれ届く場合があります。

  1. 故人の死亡が発見され親族に連絡が届く
  2. 自治体により葬儀が行われる
  3. 自治体から法定相続人や扶養義務者に葬儀費用の連絡が来る

それぞれ詳しくみていきましょう。

STEP① 故人の死亡が発見され親族に連絡が届く

まず、遺体が発見され警察によって身元が判明した際には、故人の家族や親族に連絡が届きます。
警察から突然連絡が届いて驚かれるかと思いますが、遺体の引き取りに関しては遺族の意思が尊重されるので引き取り拒否をしても問題ありません。

なお、遺体の引き取り拒否をする場合でも、警察署に行き所定の手続きは必要となります。

STEP② 自治体により葬儀が行われる

遺族が警察に行って遺体の引き取り拒否をすると、警察から自治体に遺体が引き継がれます。
遺族が遺体を引き取り拒否した場合には、自治体が無縁仏として火葬手続きを行います。

なお、警察での手続きや遺体の引き取り拒否を行なっていても、自治体から遺体の引き取りについて連絡が届く場合や別途手続きが必要な場合もあるので指示に従いましょう。

STEP③ 自治体から法定相続人や扶養義務者に葬儀費用の連絡が来る

自治体が無縁仏として火葬手続きを行った後は、火葬場から遺骨の引き取りに関する連絡が届きます。
火葬場からの連絡および遺骨の引き取りについては、以下のように地域差があります。

関西:遺骨の一部を収骨するので遺体の引き取り拒否をしやすい
関東:遺骨全てを収骨するので遺体の引き取り拒否をしにくい

上記のように、関東は遺骨の置き場所がないなどの理由により、火葬場から遺体の引き取りを強く求められる場合もあります。
特に、関東圏では民間の火葬場が多いので、遺族が連絡を受けてから遺骨の引き取り拒否をするのは難しいでしょう。

このように、遺体の引き取り拒否をする際には警察や自治体、火葬場から連絡が来たときの対応が必要です。
また、本記事の1章で解説したように、遺体を引き取り拒否したとしても相続放棄の申立て手続きは必要になります。
次の章では、相続放棄の手続きについて詳しく解説していきます。


3章 遺体を引き取り拒否した場合でも相続放棄の手続きは必要

遺体の引き取り拒否と相続放棄に関連性はないので、遺体を引き取らなかったとしても別途、相続放棄の手続きは必要です。
相続放棄は家庭裁判所への申立手続きが必要であり、期限もあるのでスピーディに行わなければなりません。
相続放棄の流れや必要書類、期限について解説していきます。

3-1 相続放棄の流れ

相続放棄申述書作成の流れ

上図のように、亡くなった人の相続放棄をするには、期限内に家庭裁判所に相続放棄申述書や添付書類の提出が必要です。
相続放棄は一度認められると、原則として撤回できない手続きです。

そのため、手続きをする前には相続財産の金額や内容を調査し、本当に相続放棄が適切かどうか検討しなければなりません。
自分が本当に相続放棄すべきかわからなくてお悩みの場合には、相続放棄に詳しい司法書士や弁護士にご相談ください。

【完全版】相続放棄の手続き方法から必要書類・注意点まで解説!

3-2 相続放棄の必要書類

相続放棄をするには、様々な書類の提出が必要です。
すべての相続放棄で必要になる書類は、下記の通りです。

  • 申述書
  • 亡くなった人の住民票除票もしくは戸籍附表
  • 相続放棄する人の戸籍謄本
  • 収入印紙
  • 切手

上記に加えて、相続放棄をする相続人と故人の関係性を証明する書類が必要になります。
必要書類と収集方法については、下記の記事で詳しく解説しています。

相続放棄の必要書類と集め方をわかりやすく解説【チェックリスト付】

3-3 相続放棄の期限は3ヶ月

相続放棄の期限のスタート地点は「相続権があることを知った」時から3ヶ月以内

相続放棄は、自分が相続人であると知ってから3ヶ月以内に手続きをしなければならないと決められています。
期限を過ぎてしまっても相続放棄を行えますが、家庭裁判所に期限を過ぎた正当な理由があると証明する必要があり、手続きが複雑になります。

万が一、期限に遅れてしまい相続放棄が認められなかった、なんてことにならないように早めに手続きの準備や専門家への依頼をすることが大切です。

なお、相続放棄の申立て期限までに相続財産の調査が終わらないなどの理由があれば、期限の伸長を家庭裁判所に申立てできます。
相続放棄の期限と伸長申立てについては、下記の記事で詳しく解説しています。

【相続放棄の期限は3ヶ月】期限の延長方法と期限過ぎた場合の対処法

4章 遺体の引き取り拒否をする際の注意点

遺体の引き取りと相続手続きに関連性がない以外にも、遺体の引き取り拒否時には以下のように注意しなければならないことがあります。

  1. 扶養義務者は相続放棄後も葬儀費用の負担を求められる
  2. 故人の遺品を整理すると相続放棄できなくなる恐れがある
  3. 故人が生前のうちに遺体の引き取り先を指定している場合がある

それぞれ解説していきます。

4-1 扶養義務者は相続放棄後も葬儀費用の負担を求められる

無縁仏として、自治体が火葬を行った場合には、相続人に火葬費用が請求されます。
また、火葬費用は相続人だけでなく扶養義務者にも請求が届きます。

相続放棄した場合、相続人が火災費用を支払う必要はなくなりますが、相続人が扶養義務者に該当する場合には相続放棄後も火災費用の支払い義務が残る恐れがあるのでご注意ください。

4-2 故人の遺品を処分すると相続放棄できなくなる恐れがある

遺体の引き取りや死後の手続きと合わせて、故人の遺品を勝手に処分するのは避けましょう。
というのも、故人の遺品を勝手に処分すると、相続放棄が認められなくなる恐れがあるからです。

ただし、故人が賃貸住宅に住んでいた場合など、大家さんに部屋の片付けを命じられる場合もあるでしょう。
その際には、自己判断で故人の遺品を処分するのではなく、相続放棄に詳しい司法書士や弁護士に対応内容の相談をすることをおすすめします。
専門家であれば、相続放棄が認められる範囲内での遺品の処分や整理方法を提案可能です。

相続放棄時の家の片付けには注意!法律上問題なく片付ける方法とは?

4-3 故人が生前のうちに遺体の引き取り先を指定している場合がある

故人が遺言や生前の発言で、遺体の引き取り先を指定している場合があります。
遺言書同様に遺体の引き取り先についても故人の意思が尊重されますが、引き取りを指定された人物は断ることも可能です。

故人が遺体の引き取り先を家族や親族に指定していた場合には、自分の感情だけでなく、他の家族や親族、専門家の意見も参考にして決断するのが良いでしょう。


まとめ

遺体の引き取りと相続手続きに関連性はなく、遺体の引き取り拒否をしたとしても相続放棄の手続きは必要になるのでご注意ください。
また、相続放棄をするからといって遺体の引き取り拒否をしなければならないわけでもありません。

相続放棄は自分が相続人であると知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所での申立て手続きが必要です。
家族や親族が亡くなると、遺体の引き取りを始めとして様々な手続きをしなければなりません。

中でも相続放棄は期限が決まっていて短いので、間に合わなかったなんてことがないように注意しましょう。
相続放棄は必要書類の数も多く、遺品の処分など判断が難しい部分も多いです。
ミスなく確実に相続放棄を行うためにも、司法書士や弁護士などの専門家への相談をおすすめします。

グリーン司法書士法人では、相続放棄に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

家族が遺体を引き取り拒否できますか?

家族であっても遺体を引き取り拒否できます。
ただし、扶養義務者の場合は、葬儀費用の負担を求められる場合があります。

遺体を引き取る義務は誰にある?

遺体の引取り義務は同居親族や同居者などにあるとされていますが、法的拘束力はなく、遺体の引取りを拒否しても問題はありません。

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