
「父の死亡後、団信で残っているローンを一括返済した。相続で母名義に変更したいんだけど、少しでも費用を抑えたいし、相続登記と抵当権抹消を同時に手続きできないかな?」
相続登記と抵当権抹消はそれぞれ必要な書類を用意して、法務局で「連件申請」すると同時に手続きを進められます。

しかし、インターネット上には『抵当権抹消の登録免許税は不動産1個につき1,000円なので数千円でできる』といった情報がありますが、これはあくまで法務局に納める税金のみを指しています。
安易に手続きだけを済ませてしまうと、将来の相続トラブルや資産管理への責任まではカバーできません。
相続登記と抵当権抹消は単に手続きをする工程でなく、大切な資産をどのように引き継ぐのか将来を見据えて検討するタイミングです。
自分で何となく判断をして手続きを進めて、後悔をした声が数多くあるのが実状です。
【自分で相続登記と抵当権抹消を進めて後悔した声】
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本記事では、相続登記と抵当権抹消を同時に進める手順や注意点をまとめて解説します。
安易に手続きを進めないためにも、ぜひ参考にしてみてください。
1章 相続登記と抵当権抹消は同時に手続きできる
冒頭でも触れたように、相続登記と抵当権抹消登記は、2件の登記を続けて申請する「連件申請」が可能です。
厳密には同時に登記されるわけではなく、相続登記→抵当権抹消登記の順に手続きが進められます。
例えば、父が亡くなり、団信によって住宅ローンが完済されて、母への相続登記と抵当権抹消が必要になったとしましょう。
下記のように、相続登記と抵当権抹消は目的が異なり、必要となる書類も違います。
申請の種類 | 概要 |
相続登記 | 亡くなった人が所有していた土地や建物の名義を相続人に変更する手続き |
抵当権抹消 | 不動産の登記簿に残っている抵当権の記録を削除する手続き |
しかし、法務局への申請自体は「まず相続登記を行い、それが終わったらそのまま続けて抵当権抹消を行ってください」と、2つの手続きをセットにして申請できます。

関連する複数の登記を処理する順番を指定して一緒に提出する方法を「連件申請」と呼びます。2つの手続きをセットにして1回で申請することで、申請時の負担を軽減できます。
「相続登記と抵当権抹消が同時に発生して、手元に書類がたまっている」
「相続が複雑で現状が整理できない」
など、いざ手続きを進めようとすると、相続登記と抵当権抹消は難所が非常に多く、判断に迷うケースがあります。
少しでも不安や迷いを感じた場合は、まずは相続に特化した専門家集団であるグリーングループに、そのお気持ちをお聞かせください。
2章 相続登記と抵当権抹消を同時に手続きするステップ
相続登記と抵当権抹消を同時に手続きするときは、下記のステップで手続きを進めます。
【相続登記と抵当権抹消を同時に手続きするステップ】
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原則として不動産の名義が亡くなった人のままになっている状態では、抵当権を消すことはできません。
そのため、亡くなった方から相続人へ名義を変更する(相続登記)をした後に、新しい所有者が抵当権を抹消する順番を踏む必要があります。
どのような手順で進める必要があるのか、チェックしておきましょう。
2-1 ステップ1:相続登記の書類を用意する
まずは、相続登記に必要な書類を用意します。相続の状況に応じて、必要な書類は下記のとおりです。
相続手続きのパターン | 集める書類・作成する書類 |
遺言書がある場合 | <集める書類>
<作成する書類>
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遺産分割協議をした場合 | <集める書類>
<作成する書類>
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※ご家族の状況によって上記以外にも必要な書類が出てくる場合があります
参考:法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」
書類一覧だけを見ると「簡単に集められそう」と感じるかもしれませんが、不動産という重要な財産の手続きですので、かなり厳密な手続きが求められます。
例えば、被相続人の戸籍謄本は、出生から死亡までの全てを集めて誰が法的な相続人なのかを確認しなければなりません。

以前は本籍地ごとに請求する必要がありましたが、令和6年3月1日からは『広域交付制度』が始まり、所得できる条件が満たされていれば、最寄りの市区町村窓口でまとめて取得できるようになりました。
しかし、連絡先が分からない面識のない人が含まれている場合等は、戸籍の附票などを辿って現住所を突き止める必要があります。それでも所在が分からない場合には、不在者財産管理人の選任など家庭裁判所での手続きが必要になることがあります。。
このように、たった1つの書類を集めるだけでも相当の労力と時間がかかります。書類が揃ったら、登記申請書を作成します。
申請書の作成方法は、下記の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
【見本付き】相続登記の申請書の書き方ガイド!書類・提出先も解説
相続登記を自分でやる!令和版簡単7STEPを解説
【相続登記は書類を作成するだけではない!相続手続きの土台を作る大切なフェーズ】 相続登記は、必要な書類を集めて申請書を作成する手続きだと考えがちですが、実は「誰が何をどのように相続するのか」を決める大切なフェーズです。 ここでご家族の状況や将来を見据えて大切な資産を適切に相続できるかどうかで、税負担や将来起こり得るトラブルリスクが大きく変わります。 だからこそ「とりあえず手続きを進めるために共同名義にしておこう」など、安易に進めると後から後悔することになるのです。 相続登記を進める段階で「本当にこの分け方でいいのかな」など疑問を持った場合は、専門家に相談して解決しておくことをおすすめします。 |
2-2 ステップ2:抵当権抹消の書類を用意する
相続登記の準備ができたら、抵当権抹消の書類を用意します。主な書類は、下記のとおりです。
抵当権抹消に必要な書類 |
<集める書類>
<作成する書類>
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※ご家族の状況によって上記以外にも必要な書類が出てくる場合があります
参考:法務局「住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)」
参考:法務局「抵当権の抹消の登記の申請に必要な書類とその入手先等」
通常は、住宅ローンを完済すると、登録している住所に金融機関から抵当権抹消に必要な書類一式が届きます(金融機関によっては窓口での受け取りや別送となることがあります)。
その書類と別途発行する登記事項証明書をもとに、登記申請書を作成します。抵当権抹消を長期間放置していた場合は、金融機関から届く書類が手元にない場合があります。
そのような場合は、金融機関に問い合わせをして再発行の手続きを進める必要があるでしょう。
また、登記事項証明書に記載されている昔の金融機関名と、手続きの窓口となる金融機関名が異なる場合は、同じ金融機関であることを証明する書類が別途必要になります。
金融機関の再編は決して珍しいことではありません。
ここ10年ほどを見ても、地域銀行を中心に合併や経営統合が相次いでおり、三菱東京UFJ銀行が三菱UFJ銀行へ商号変更したように、銀行名そのものが変わるケースもあります。
抵当権抹消は相続手続きの最後の難所だと言われるほど、判断が難しい箇所が多々あります。自己判断で進めると修正が重なり手間と負担が大きくなるので、専門家に相談して進めることがおすすめです。
抵当権抹消のより詳しい手続き方法や書類については、下記の記事を参考にしてみてください。
【全まとめ】抵当権抹消登記とは?手続きや必要性、費用をプロが解説
2-3 ステップ3:法務局に2件まとめて申請する
相続登記と抵当権抹消の書類が揃ったら、2件まとめて法務局で申請をします。
1件目で相続登記、2件目が抵当権抹消の「連件申請」であることが分かるように申請をしましょう。
申請方法 | 概要 |
窓口申請の場合 | 処理順に重ねて提出して「相続登記を1件目、抵当権抹消を2件目とする連件申請です」と口頭で伝える |
オンライン申請の場合 | 送信前申請一覧(連件・同順位設定)画面から連件の順番を設定して送信する |
郵送の場合 | 申請書を処理順に並べて「2件を連件として申請すること」と順番を記載した送付状を同封する |
参考:登記・供託オンライン申請システム 「申請(請求)データの送信」
例えば、窓口で申請する場合は、順番に重ねて連件申請である旨を伝えます。
ここで、相続登記と抵当権抹消を別に処理されてしまうと時間がかかってしまうので、必ず連件申請であることを伝えましょう。
3章 自分で相続登記と抵当権抹消を同時に手続きするときの注意点
ここまで読み「同時にできるなら、費用を節約するために自分でやってしまおう」と安易に自己判断するのは危険です。
ここでは、自分で相続登記と抵当権抹消を同時に手続きするときの注意点をご紹介します。本当に自分で進めていいのか判断するためにも、事前にチェックしておきましょう。
自分で相続登記と抵当権抹消を同時に手続きするときの注意点 |
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3-1 書類に少しでもミスがあるとやり直しが発生する
1つ目は、書類に少しでもミスがあるとやり直しが発生することです。連件申請は、1件目の相続登記が法的に完璧に行われていることが大前提となります。
1件目の相続登記の書類に不備があり法務局から指摘を受けると、連動している2件目の抵当権抹消の手続きがストップします。
本来であればスムーズに進むはずの連件申請がなかなか前に進まず、大きなストレスを抱えることになるのです。
相続登記と抵当権抹消は、どちらも1文字のミスも許されません。その場で修正テープを使って修正するなど簡単な修正では許されず、1箇所直すだけでも下記のように膨大な時間がかかる可能性があります。
書類にミスがあったときのトラブル例 | |
相続登記の例 | ・遺産分割協議書に不備があると、書類に押印した相続人全員の実印による訂正印が必要になる。遠方に住んでいる場合やなかなか連絡が取れない場合は、修正作業に時間と労力がかかる |
抵当権抹消の例 | ・金融機関から送られてきた書類の内容に不備があると、自身の印では修正できず金融機関の修正印が必要になる。金融機関に出向き事情を説明して、修正印をもらう負担がかかる |
1箇所修正をしても他の修正が発生するとまた修正…これを法務局で手続きができる平日の日中に繰り返すのは、相当大きな負担になります。
相続登記や抵当権抹消に馴染みのない方がゼロから登記の仕組みを勉強して連件申請をノーミスで通すには、10時間から20時間程度の勉強が必要です。
そのうえで必要な書類を集めて、ミスをしないように書類を作成するというプレッシャーを背負うことになるのです。
連件申請そのものは順番に重ねて申請するシンプルなものですが、そもそも書類に不備があると前に進まないことを把握しておきましょう。
3-2 未成年者がいる場合は特別代理人の選任をしないで進めて将来売却ができなくなる
2つ目は、相続人に未成年者がいる場合、特別代理人の選任をしないで進めて将来売却ができなくなることです。
相続登記と抵当権抹消が同時に発生する場合、住宅ローン返済中に親が亡くなり、相続人に未成年の子供が含まれているケースが多いです。
実際に、グリーングループのご依頼者様のなかには、下記のように幼い子供2人との相続が必要になったケースがあります。
【幼い子供2人との相続が必要になった事例】 夫を亡くして深い悲しみのなか、相続という現実的な問題に直面していました。まだ幼い子供2人を抱え、相続の手続きを進めようにも、ご自身に相続の経験は全くありませんでした。 相続人に子供(未成年者)が含まれる場合、通常の遺産分割協議とは異なり、家庭裁判所での特別な手続きだと判明します。 何から手をつければ良いのか、誰に相談すれば良いのかも分からず、途方に暮れてしまいました。 グリーングループと進めたことで、未成年のお子様がいる中、通常は承認が困難な「配偶者が全ての財産を取得する」というご希望通りの遺産分割を実現しました。 この事例は下記で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。 |
事例にもあるように、このようなケースで遺産分割協議をするためには、特別代理人を選任しなければなりません。
【特別代理人が必要な理由】 母だけの名義にしたい場合、母と子供で遺産分割協議をする必要があります。しかし、母は「自分が家を取得する立場」であると同時に、子の法定代理人でもあります。 母が両方の立場で協議すると子の利益を損なう可能性があり、母は子を代理できません。そこで、家庭裁判所に申し立てて、子の代わりに協議する特別代理人を選んでもらう必要があります。 |
しかし、自分で手続きを進めるときに「特別代理人の申し立て」という手間のかかる法的手続きを避けるために、とりあえず親と子供の共有名義で進めることがあります。
法定相続分での共有登記を特定の相続人が代表して申請してしまった場合、申請人以外の相続人には登記識別情報(権利証に相当するもの)が通知されません。
将来、子供が不動産を売却しようとしたときに「自分の持ち分についての権利証がない」と焦ることになり、追加の本人確認手続き費用や時間がかかり、売却手続きがスムーズに進まない可能性があります。
このように、目先の手続きのしやすさだけで進めると、将来のトラブルにつながる可能性があります。「本当にこのまま手続きを進めて問題ないのか」を慎重に判断することが大切です。
4章 自力での手続きは相当の責任が伴う。大切な資産をうまく引き継げずに家族を困らせてもいいですか?
相続登記と抵当権抹消の連件申請をするときに、法務局は「提出された書類の形式が合っているか」という書類の適切さだけを厳格に確認しています。
「本来なら使える節税対策を使用していない」「この手続きでは将来揉めるリスクが高い」など、相続手続きの適切さや節税に関する確認は業務外となっているのです。
「とりあえず自分で手続きを進めよう」と書類作成をしたときに、取り返しのつかない部分があったとしても、書類の内容に不備がなければ、手続きは進みます。
その結果、下記のようにトラブルにつながっている事例はたくさんあります。
【想像以上の税負担がかかった例】 専門家報酬を節約するために「とりあえず姉妹で2分の1ずつ」の共有名義にして相続登記を自力で行い、そのまま法務局で受理されました。 その後、リフォームなどの手続きで都合が悪くなり「やっぱり家は姉のものにして、妹はその分のお金を現金でもらう形にしよう」と思い直しました。 一度遺産分割が成立して相続登記が完了した後に名義を変更する行為は、原則として遺産分割のやり直しとは認められず、「妹から姉への贈与」とみなされる可能性が高くなります。 親族間の贈与であっても、基礎控除額を超えれば贈与税の対象となるため、想定外の多額の贈与税が発生するリスクがあります。 姉妹間の贈与は税率が非常に高いため、払いきれないほどの多額の贈与税が発生する事態になってしまったのです。 |
【多額の贈与税がかかった例】 実家の不動産を長男が単独で相続し、その代わりに長男が自分のお金から妹に現金を支払う「代償分割」のつもりで、自力で遺産分割協議書を作成して提出しました。 法務局では形式が整っていたため受理されたものの、税務署からは「長男から妹への単なる現金の贈与」とみなされてしまいました。 結果として、妹は本来払わなくてよかったはずの贈与税が発生。予期せぬ税負担を負うことになりました。。「兄が専門家費用をケチったせいで損をした」と激しい親族トラブルに発展してしまいました。 |
「抵当権抹消は数千円でできる」などのインターネット上の情報を鵜呑みにして、一発勝負の書類作成にプレッシャーを感じながら何とか作成し、その後に大きく損をするトラブルが発生するとなると、どう考えても割に合いません。
相続登記と抵当権抹消は単なる紙の上の名前の書き換え作業ではなく、被相続人から相続人への資産の移動を確定させる重要な行為です。
手元に残る資産を最大化しつつ、将来のトラブルを避ける資産の移動を考えるのは、専門家的な知識がどうしても必要です。
5章 ただ書類を作成するのではなく納得できる相続手続きをグリーングループと一緒にお話してみませんか
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長年放置された多数の不動産の数次相続を解決した事例 |
父が亡くなったときの相続登記が未了のまま、年月が経過しました。そのまま母も亡くなり、相続登記が複雑な状態になってしまいました。 財産を調べていくと、不動産の数が非常に多いことが判明。その中には田んぼや山林など、管理や処分が難しく、できれば相続したくない不動産が多数含まれていたのです。 自分だけでは複雑な手続きを前に進めることも、多数の不動産をどうすればよいか判断することも難しく、グリーングループにご相談いただきました。 <グリーングループだからこそできたこと>
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まとめ
本記事では、相続登記と抵当権抹消を同時にできるのか詳しく解説しました。最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。
〇相続登記と抵当権抹消は関連する複数の登記を処理する順番を指定して一緒に提出する「連件申請」ができる
〇相続登記と抵当権抹消を同時に行うステップは下記のとおり
- ステップ1:相続登記の書類を用意する
- ステップ2:抵当権抹消の書類を用意する
- ステップ3:法務局に2件まとめて申請する
〇自分で相続登記と抵当権抹消を同時に手続きするときの注意点は下記のとおり
- 書類に少しでもミスがあるとやり直しが発生する
- 未成年者がいる場合は特別代理人の選任をしないで進めて将来売却ができなくなる
相続における抵当権抹消登記のためには、誰が不動産を相続するかを決めて、相続登記をする必要があります。そのため、どのように不動産を相続するのが良いのかをきちんと検討する必要があります。
何となく進めてしまい「やっぱり修正したい」と思っても、登記と抵当権抹消が完了してしまえば簡単に修正できません。
だからこそ、このタイミングで専門家に相談して、納得できる形で手続きを進められるようにしましょう。





