親の介護ができないとどうなる?対処法や準備しておくべきこと

親の介護ができないとどうなる?対処法や準備しておくべきこと
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司法書士山中泉

 監修者:山中泉

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この記事でわかること

  • 親の介護ができないとどうなるのか
  • 親の介護ができないときの対処法
  • 親の介護に向けて準備しておくべきこと

親の介護は、誰にとっても避けて通りにくいものですが、仕事や育児との両立、遠距離での生活などから「どうしても介護ができない」と悩む方は少なくありません。
介護を担えない状況に罪悪感を抱きがちですが、子供が必ず自宅で介護をしなければならない義務はありません。
大切なことは、できる範囲で扶養義務を果たし、適切な介護サービスにつなげることです。

本記事では、親の介護ができない場合のリスクや対処法、事前に準備しておくべき認知症対策について解説します。

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1章 親の介護ができないとどうなる?

親子には互いに扶養義務があるため、正当な理由なく親の介護を放棄することは認められません。
本章では、親の介護の取り扱いについて解説します。

1-1 親の介護義務を放棄することは認められない

民法では、親族には「扶養義務」があると定められています。
そのため、親の介護義務を放棄することは、原則として認められません。

ただし、扶養義務とは生活や療養に必要な費用を援助する義務を指し、介護を手伝ったり、親の世話を自分でするといった行為そのものは義務ではありません。

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1-2 親の介護をしないでいると刑事罰に問われる恐れがある

親を放置し、生命や身体に危険を及ぼすほどの状態を生じさせた場合、「保護責任者遺棄罪」や「遺棄致死傷罪」に問われる可能性があります。
とはいえ、このような刑事罰に問われるケースは極めて悪質な場合のみであり、単に「仕事が忙しくて同居介護ができない」「距離が離れていて介護できない」といった事情だけで刑事罰になることは通常ありません。

何らかの理由で、自分が直接介護できない場合には、「適切な介護サービスにつなげていたか」「見守りの体制を整える努力をしたか」といった点が重要視されます。
自治体の包括支援センターやケアマネジャーに相談し、必要な介護サービスを利用していれば、刑事罰の対象になることはまずないのでご安心ください。

1-3 介護費用を負担するだけでも義務を果たしていると判断される

扶養義務は「経済的援助」が中心であり、実際に自分で介護を行う必要はないとされています。
そのため、訪問介護やデイサービス、老人ホームなど、必要なサービスの費用を一部負担していれば、それだけでも扶養義務を果たしていると評価されます。

1-4 経済的余裕がない場合には扶養義務が免除されることがある

扶養義務は「自分の生活を犠牲にしてまで親を支援しなければならない」という義務ではありません。
例えば、子供自身の生活費で精一杯である場合、裁判所は「この子供には扶養を行う余裕がない」と判断し、結果として扶養義務が免除されるケースもあります。

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2章 親の介護ができないときの対処法

仕事や育児、住まいなどが理由で、親の介護をすることが難しい場合には、以下のような方法で対処しましょう。

  • 兄弟姉妹や親族に依頼する
  • 介護費用を負担する
  • 外部のサービスや施設を利用する
  • 経済的理由で介護できないなら事情を説明する

介護の実労働をすることができない場合でも、費用を負担したり、外部のサービスにつなげたりすることはできる方もいるでしょう。
自分のできる方法で介護に協力することが大切です。

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 兄弟姉妹や親族に依頼する

兄弟姉妹がいる場合には、介護の実務や金銭負担、見守り・連絡など、役割分担を明確にし協力を依頼しましょう。
例えば、「実家から離れて暮らす子供は金銭面でサポートし、近くに住む兄弟が通院付き添いを担当する」といった分担方法などもよくあります。

兄弟姉妹で意見が合わない場合には、地域包括支援センターの職員やケアマネジャーに同席してもらうと、客観的な意見が入りやすく、スムーズに話し合いしやすくなります。

2-2 介護費用を負担する

介護の実労働がどうしてもできない場合、経済的な支援を行うことでも義務を果たしていると評価されます。
例えば、以下のような支援が考えられます。

  • ホームヘルパーの利用費を一部負担する
  • デイサービスの自己負担分を支払う
  • 見守りカメラや見守りサービスの月額費用を負担する
  • 通院タクシーや配食サービスの費用を支払う

自分が動けなくても、これらの費用を負担することで介護体制を整えているとみなされます。
仕事や家庭の事情で時間が取れない方にとって、有効な選択肢となるでしょう。

2-3 外部のサービスや施設を利用する

自分で介護をするのが難しいと判断したら、早めに外部サービスの利用を検討しましょう。
特に、介護保険サービスは、要介護認定さえ受ければ原則1~3割負担で利用でき、家族の負担軽減に大きく役立ちます。

利用できるサービスの例は、主に以下の通りです。

  • 訪問介護:掃除や調理、排泄介助などを外部のヘルパーに担当してもらう
  • デイサービス:入浴やリハビリ、レクリエーションなど、日中の過ごし場所を確保できる
  • ショートステイ:介護者の仕事や休息のために短期間施設で預かってもらえる
  • 特養・老健・有料老人ホームへの入所:自宅介護が限界のときの選択肢となる

外部のサービスを利用する際、介護を第三者に任せることに罪悪感を持ってしまう方もいます。
しかし、専門家によるケアは介護の質を高め、親にとっても安全で快適な環境を提供できるメリットがあります。

自分の限界を認め、適切に専門家を頼ることは決して悪いことではありません。

2-4 経済的理由で介護できないなら事情を説明する

介護が難しい理由として経済的負担をあげる方もいます。
収入が少なかったり、子供の教育費が負担となっていたりすることで、生活に余裕がないという家庭は少なくありません。

その場合は、無理に介護を背負い込む必要はなく、親や兄弟姉妹、ケアマネジャーなどに率直に事情を説明しましょう。
扶養義務は「自分の生活を犠牲にしてまで支払うもの」ではなく「自分のできる範囲ですれば良い」とされています。

借金をしてまで介護費用を捻出する必要はありませんし、裁判所も子供の生活維持が困難であれば扶養義務を軽減または免除する判断を行います。
また、親自身の資産や年金、介護保険サービスを最大限利用すれば、家族の介護費用負担を大幅に減らすことも可能です。
場合によっては生活保護など、公的支援を併用することも選択肢に入れましょう。

「できない理由を抱えたまま沈黙する」ことが最もやってはいけないことです。
介護が難しい事情を丁寧に伝え、利用できる制度を活用していきましょう。

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3章 親の介護に向けて準備しておくべきこと

親の介護は、突然始まることが多く、準備が不十分なまま始まってしまうと、家族の心身の負担は一気に高まります。
家族の負担を軽減するためにも、親が元気なうちに以下のような準備をしておきましょう。

  • 家族・親族で介護の方針を話し合っておく
  • 親に介護の希望を聞いておく
  • 認知症対策をしておく

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1 家族・親族で介護の方針を話し合っておく

介護は1人で抱え込むものではなく、家族全体のプロジェクトとして捉えるべきものです。
事前に家族や親族同士で、以下のようなことについて話し合っておきましょう。

  • 誰がどのような役割を担うか
  • 親の住まいはどうするか
  • 緊急時の連絡体制
  • 費用負担の分担方法

特に、子供同士で認識のズレがあると、介護が始まってから「なぜ自分だけが負担しているのか」という不満につながることがあります。
仕事や育児、住まいなどといった家庭の事情は人によって違いますから、「できること」と「できないこと」を率直に共有し、現実的な方針を決めることがトラブル防止につながります。

3-2 親に介護の希望を聞いておく

介護の方針は「親がどうしたいか」を基準に考えていくことが基本です。
そのため、親が元気なうちに、介護の希望について聞いておくことをおすすめします。

具体的には、以下のようなことを聞いておくと良いでしょう。

  • 自宅で最期まで暮らしたいか
  • 施設に入る可能性をどう考えているか
  • 延命治療をどこまで希望するか
  • 財産管理を誰に任せたいか
  • 医療や介護に関する価値観

口頭で希望を聞くだけでなく、親にエンディングノートなどで明文化してもらうとより安心です。

3-3 認知症対策をしておく

認知症はゆっくり進行することも多く、子供たちが気付いたときには「判断能力を失っており、意思確認ができない」「財産管理ができない状態になっていた」というケースも多々あります。
そのため、親が元気なうちに家族信託や任意後見制度を活用し、認知症対策を行っておくことを強くおすすめします。

認知症対策については、次の章で詳しく解説します。


4章 元気なうちにしておきたい認知症対策

親が認知症になると、日常生活の支援だけでなく、銀行手続きや財産管理、契約行為など、法律行為の多くが難しくなります。
認知症になったときに親の資産が凍結されないようにするためにも、以下のような方法で対策しておくと良いでしょう。

  • 家族信託の利用
  • 任意後見制度の利用
  • 生前贈与

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 家族信託の利用

家族信託の基本的な仕組み

家族信託とは、親が元気なうちに信頼できる家族に、財産の管理や運用、処分を任せる制度です。
家族信託を利用すれば、認知症により判断能力が低下したとしても、受託者となった家族が信託契約に基づいて財産を管理できます。

家族信託を利用すれば、以下のようなメリットがあります。

  • 認知症発症後も、預貯金を介護費に充てられる
  • 実家の売却資金を施設入居費に充てられる
  • 親が認知症になった後も、不動産を子供が管理できる
  • 将来の相続トラブルを避けられる

家族信託は自由度が高く、親の希望に合わせた財産管理をしやすい点が特徴です。
その一方で、契約内容の設計が複雑であり、司法書士や弁護士など専門家によるサポートが不可欠となります。

家族信託とは|メリット・デメリットや活用事例をわかりやすく解説

4-2 任意後見制度の利用

任意後見制度は、本人が元気なうちに「認知症などで判断能力が低下したとき、誰に財産管理を任せるか」を契約で決めておく制度です。
本人が判断能力が低下したタイミングで、後見人として選ばれた人物が家庭裁判所に後見監督人選任の申立てをし、制度の利用が開始されます。

任意後見人ができることは、主に以下の通りです。

  • 年金や預金の管理
  • 施設入居契約などの重要な手続き
  • 介護サービスの利用手続き
  • 公共料金や税金の支払い管理

任意後見制度は家族信託と異なり、制度の利用開始後は家庭裁判所が後見業務を監督します。
そのため、財産の私的流用を防ぎやすく、透明性が高いともいえるでしょう。
司法書士や弁護士を任意後見人として選ぶこともできるので、信頼できる家族がいない方にも適しています。

任意後見人になれる人は誰?なれない人の条件や注意点まとめ

4-3 生前贈与

生前贈与は、親が元気なうちに財産を子供や孫に移しておく制度です。
相続税対策として活用する方も多くいますが認知症対策としても有効です。

生前贈与をすれば、所有権を親から子供や孫に移せるので、贈与後は受贈者が自由に資産を管理できます。
例えば、実家を子供に贈与しておけば、親が認知症になり施設に入所するタイミングで子供が実家を売却可能です。

ただし、年間110万円を超える贈与を受けると、贈与税が課せられます。
まとまった金額を贈与する場合には、贈与税のシミュレーションをしておくと安心です。

生前贈与とは?メリット・デメリットや贈与税の計算方法について

まとめ

仕事や育児を抱えていたり、実家と離れて住んでいたりすることが原因で、親の介護ができないことは、決して悪いことでも介護義務を放棄しているわけでもありません。
重要なことは、家族や親族と協力しながら、外部サービスの活用や費用負担など自分にできる形で支援を行うことです。

また、いざというときに備えて、親が元気なうちから認知症対策として家族信託や任意後見制度の活用を検討しておくと良いでしょう。
介護は家族全体の問題であり、1人で抱え込む必要はありません。
早めに情報を整理し、必要に応じて専門家に相談しながら、無理のない介護体制を整えていきましょう。

グリーン司法書士法人では、家族信託などの認知症対策について相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

遠方で介護できない場合はどうすれば良いですか?

>遠方に住んでいて介護ができない場合、まずは地域包括支援センターに相談し、親の状態に合った介護保険サービスを利用する体制を整えることが重要です。
訪問介護や配食サービス、緊急通報システムなど、遠距離でもサポートできる仕組みは様々なものがあります。

親の介護で仕事が続けられない場合にはどうすればよいですか?

介護と仕事の両立が難しい場合、まず検討すべきは介護休業制度や介護休暇の活用です。
これは法律で保障されている制度であり、一定期間の休業や短時間勤務が認められるものです。
また、在宅勤務が可能かどうかを会社に相談するのもひとつの方法です。 仕事を辞める決断は慎重に行うべきで、まずは外部サービスを利用して負担を軽減することが重要です。

介護でうつになる場合の相談先はどこがありますか?

介護は精神的負担が大きく、うつ状態になる方は決して珍しくありません。
少しでも辛いと感じたら、早めに相談先を利用することが重要です。
代表的な相談窓口は、以下の通りです。
・地域包括支援センター
・保健所・精神保健福祉センター
・認知症の家族会
・かかりつけ医や精神科、心療内科
・介護者支援サービス
介護者が倒れてしまうと親の生活も維持できなくなるため、心身の健康を守ることを意識しておきましょう。

兄弟が介護してくれない場合の対処法はありますか?

兄弟姉妹で介護の負担に偏りが出るのは、よくある問題です。
この場合、感情論ではなく、具体的な役割分担と客観的情報の共有によって調整することが有効です。
例えば、「私は仕事で実家に行けないため金銭面を負担する」「あなたは週1回の通院付き添いを担当する」といった具合に、できる範囲で役割を決めましょう。

「介護放棄」に当たるのはどんなケースですか?

介護放棄とは、必要な介護を意図的に行わなかったり、親を危険な状態のまま放置したりすることです。
代表的な例は、以下の通りです。 ・食事や水分を十分に与えない
・不衛生な状態のまま放置する
・明らかな怪我や体調不良を放置する
・暴力や暴言、金銭搾取を行う
・介護サービスにつなげず、一切の支援を放棄する
これらは虐待行為に該当し、悪質な場合は「保護責任者遺棄罪」などの刑事罰に問われる恐れがあります。

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