土地をタダで譲渡した場合、あげた側やもらった側に譲渡所得税や贈与税などがかかる可能性があります。
なお、土地をタダで譲渡することは専門用語では「無償譲渡」と呼びます。
土地をタダで譲渡した場合にかかる税金は、あげる側・受け取る側が個人か法人化によって変わってくるのでご注意ください。
「タダで土地をもらって得するはずだったのに、税金がかかってしまった」とならないように、事前に誰にどんな税金がかかるのか把握しておきましょう。
本記事では、土地をタダで譲渡したときにどんな税金がかかるのかを詳しく解説していきます。
目次
1章 【シチュエーション別】土地をタダで譲渡したときにかかる税金
土地をタダで譲渡、もらった場合には、受け取る側とあげる側に税金がかかる場合があります。
土地の無償譲渡時にかかる税金は、それぞれ下記の通りです。
贈与する人 | 贈与された人 | 税金 |
個人 | 個人 |
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個人 | 法人 |
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法人 | 個人 |
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法人 | 法人 |
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それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1 個人から個人にタダで譲渡するときにかかる税金
個人から個人に土地をタダで譲渡した場合、受け取った側に贈与税がかかります。
なお、土地を譲った側には税金はかかりません。
また、個人から個人に土地をタダで譲渡すると、不動産取得税や登録免許税などの税金もかかります。
1-2 個人から法人にタダで譲渡するときにかかる税金
個人から法人に土地をタダで譲渡した場合、受け取った法人と土地を譲った個人にそれぞれ下記の税金がかかります。
- 土地を譲った個人:譲渡所得税および住民税
- 土地を受け取った法人:法人税
土地を譲った側は無償で譲渡したとしても、時価でみなし譲渡をしたとして譲渡所得税および住民税がかかります。
そして、土地を受け取った法人は利益が発生したとみなされ、土地の時価に対して法人税がかかります。
土地を売却したときにかかる譲渡所得税および住民税の計算方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
1-3 法人から個人にタダで譲渡するときにかかる税金
法人から個人に対し土地をタダで譲渡した場合、それぞれに対し下記の税金がかかります。
- 土地を譲った法人:法人税
- 土地を受け取った個人:所得税
土地を譲った法人側は無償で譲渡したとしても、時価で売却したとして利益に対して法人税がかかります。
そして、土地をもらった個人は一時所得があったとみなされ、所得税がかかります。
1-4 法人から法人にタダで譲渡するときにかかる税金
法人から法人へとタダで土地を譲渡した場合には、譲った法人側、受け取った法人側それぞれに法人税がかかります。
このように、土地をタダで譲渡した場合、贈った側と受け取った側が個人か法人かによって、かかる税金が異なります。
土地を無償譲渡する際には、事前に税金についてシミュレーションしておきましょう。
2章 土地をタダで譲渡してもらうメリット
土地をタダで譲渡してもらうと、お金をかけずに不動産を取得できます。
贈与税や所得税などが発生したとしても、土地の購入代金がかからずにすむのは大きなメリットといえるでしょう。
土地をタダで譲渡してもらうメリットを詳しく解説していきます。
2-1 無料で不動産を入手できる
土地を無償譲渡してもらった場合、本来であればかかるはずの購入費用がかからなくなります。
贈与税や所得税などの税金は発生するといえど、土地の購入代金よりは安くすむはずです。
浮いた購入代金を建物の建築やリフォーム費用に当てることもできます。
2-2 自治体によって空き家の取得などに対して補助金が出る場合がある
自治体によっては、空き家や解体や改修にかかる費用に対して補助金が支給される場合があります。
空き家および土地をタダで譲渡してもらい補助金も受けられれば、低予算で不動産を取得、活用可能です。
田舎暮らしをしたい、田舎で民泊経営をしたいなどと考えている場合は、各自治体の補助金制度について確認しておくと良いでしょう。
3章 土地をタダで譲渡してもらうデメリット
土地をタダで譲渡してもらうと、本記事の1章で解説したように土地を譲る側、受け取る側に税金がかかります。
他にも、土地をタダで譲渡してもらうと下記のデメリットがあります。
- 譲渡した側・された側に税金がかかる
- 手続きに手間がかかる
- 建物の解体や廃棄物の撤去費用などがかかることがある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1 譲渡した側・された側に税金がかかる
本記事の1章で解説したように土地を譲る側、受け取る側に税金がかかります。
土地の無償譲渡時にかかる税金は、それぞれ下記の通りです。
贈与する人 | 贈与された人 | 税金 |
個人 | 個人 |
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個人 | 法人 |
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法人 | 個人 |
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法人 | 法人 |
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また、上記の税金の他にも不動産取得税や登録免許税がかかります。
不動産取得税や登録免許税は土地の価値によって税額が決まるため、譲り受ける土地の資産価値が高ければ高いほど税負担も重くなります。
本記事で解説してきたように土地をタダで譲渡した場合は税金がかかりますが、土地を有償で譲渡したとしても譲渡所得税や法人税などの税金がかかります。
贈与であっても売却であっても税金はかかるため、どのような形で土地を譲るのが良いか様々なケースをシミュレーションすることが大切です。
税金のシミュレーションは非常に複雑であり、自分で行うことは難しいので、贈与税の計算に詳しい税理士に依頼するのがおすすめです。
3-2 手続きに手間がかかる
土地をタダで譲る、もらう場合も契約書の作成や名義変更手続きなどの手間がかかります。
不動産の売買では、一般的に不動産会社が仲介に入るため契約から土地の引渡しまでサポートしてもらえます。
一方で、無償譲渡の場合は不動産会社が仲介に入らないため、すべて当事者が手続きを行わなければなりません。
土地の譲渡に不慣れな場合や税金、登記申請に関する知識が少ない場合は、手続きを負担だと感じてしまうでしょう。
なお、司法書士であれば贈与契約書の作成から登記申請まで一括でサポート可能です。
3-3 建物の解体や廃棄物の撤去費用などがかかることがある
空き家付きの土地を無償譲渡してもらう場合、建物の解体や大規模修繕が必要な場合があります。
そのため、土地をタダでもらう場合は、建築物の建て替え、解体費用についても見積もりをしておく必要があります。
4章 土地をタダで譲渡するときの注意点
土地をタダで譲渡する場合は、後々のトラブルを避けるためにも贈与契約書を作成しておきましょう。
他にも、負担付贈与の場合は、贈与者が契約不適合責任を負う点に注意しなければなりません。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1 書面で契約を交わしておく
土地をタダで譲る際には、法律上は口頭での契約も認められています。
しかし、後々のトラブルをできるだけ避けるためにも、無償譲渡時には契約書を作成しておくのがおすすめです。
契約書を作成しておけば「言った」「言わない」のトラブルもなくせますし、土地や建物に欠陥があった場合も問題を解決しやすくなります。
また、土地を無償譲渡し名義変更手続きする際にも、法務局にて贈与契約書の提出が求められます。
司法書士であれば、贈与契約書の作成から登記申請まで一括で行えるので、お気軽にお問い合わせください。
4-2 負担付贈与の場合は贈与者が契約不適合責任を負う
土地をタダで譲るときには、譲る側が「老後の面倒を見てほしい」「住宅ローンの残債を払ってほしい」などの見返りを求める場合があります。
このような見返り付きの贈与は負担付贈与と呼ばれ、贈与者は贈与財産について契約不適合責任を負わなければなりません。
契約不適合責任とは、契約内容に合っていない場合に売主が責任を負うことです。
契約不適合責任を負う贈与者は、契約内容と異なるものを贈与したときに受贈者から契約解除や損害賠償などを追及される場合があります。
例えば、空き家がシロアリ被害や雨漏りがあったことを贈与者が知ってて隠していた場合、瑕疵責任を問われてしまいます。
契約不適合責任を回避するには、受贈者の了解をとった上で、贈与契約書に契約不適合責任を負わないことを特約として入れておく必要があるのでご注意ください。
まとめ
土地をタダで譲渡した場合、贈与税や法人税、譲渡所得税などの税金がかかります。
土地を無償譲渡した場合に発生する税金は、贈与者および受贈者が個人か法人かによって変わってくるので、事前にシミュレーションしておきましょう。
また、土地をタダで譲ってもらうと取得費用を抑えることはできますが、建築物の解体費用や税金がかかる、手続きに手間がかかるなどのデメリットがあります。
本当にその土地を無償で譲ってもらうのが得になるかどうかは、事前に確認しておく必要があるでしょう。
また、土地をタダで譲った、譲ってもらった場合は、法務局にて名義変更手続きが必要です。
名義変更手続きは自分でも行えますが、司法書士に数万円程度で依頼もできます。
グリーン司法書士法人では、登記申請に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。