相続財産清算人の予納金を払えない場合の対処法|いつ・誰が払う?

相続財産清算人の予納金を払えない場合の対処法|いつ・誰が払う?
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司法書士日野 修亮

 監修者:日野 修亮

この記事を読む およそ時間: 3
 この記事を読んでわかること

  • 相続財産清算人に支払う予納金とは何か・相場はいくらか
  • 相続財産清算人の予納金を支払う時期
  • 相続財産清算人の予納金を払えない場合の対処法

相続財産清算人(相続財産管理人)とは、亡くなった人の財産を管理する役割を担う人物です。
なお、2023年4月の民法改正により、相続財産管理人は相続財産清算人という名称に変更されました。

相続財産清算人は、亡くなった人に相続人が1人もいない場合や相続人全員が相続放棄した場合などに必要です。
ただし、相続財産清算人を選任するときには、20~100万円程度の予納金が必要になるのでご注意ください。
相続財産清算人の予納金を払えない場合は、法テラスの利用を検討しましょう。

本記事では、相続財産清算人に支払う予納金の相場や払う時期、払えない場合の対処法を解説します。
相続財産清算人および相続財産管理人については、下記の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。

相続財産管理人を徹底解説!相続財産管理人の権限を分類してご紹介

1章 相続財産清算人(相続財産管理人)に支払う予納金とは

相続財産清算人(相続財産管理人)とは、亡くなった人の財産を管理する役割を担う人物です。
亡くなった人に相続人が1人もいないケースや相続人全員が相続放棄したケースでは、相続財産清算人を選任しなければならない場合があります。

ただし、相続財産清算人を選任するときには、数十万円程度の予納金が必要です。
相続財産清算人を選任するときの予納金について押さえておくべきポイントは、下記の通りです。

  • 予納金は相続財産清算人の報酬や業務を行うのに使われる
  • 予納金の相場は20万〜100万円
  • 相続財産清算人の選任に予納金が必要なケース
  • 予納金を負担する人物は選任を申立てた人物

それぞれ詳しく解説していきます。

1-1 予納金は相続財産清算人の報酬や業務を行うのに使われる

相続財産清算人の選任時に納める予納金は、相続財産清算人に支払う報酬や業務を遂行するのに使用されます。
相続財産清算人の業務内容は、主に下記の通りです。

  • 亡くなった人の遺産の処分・清算
  • 亡くなった人の遺産を処分して債権者に返済していく(亡くなった人に借金がある場合)
  • 最終的に遺った遺産については国に帰属させる

予納金は上記の業務や遺産の管理や処分のための費用として使われます。

1-2 予納金の相場は20万〜100万円

相続財産清算人の予納金相場は、20~100万円程度です。
ただし、予納金の金額は遺産の状況や債権者の有無、人数によっても変わってくるため一概には言えません。

相続財産清算人の予納金の金額を決めるのは家庭裁判所であり、相続財産清算人の申立てをしないと正確な予納金がわからない仕組みとなっています。
相続財産清算人の選任申立てを行うときには「最大100万円程度の予納金がかかることもある」と理解しておきましょう。

1-3 相続財産清算人の選任に予納金が必要なケース

相続財産清算人を選任するからといって、すべてのケースで予納金が必要になるわけではありません。
遺産の中に現金や預貯金などの流動資産がない場合や少ない場合は、予納金が必要となります。

遺産に流動資産がある場合、相続財産清算人に支払う報酬や管理費用については、遺産から払うことができるからです。
また、予納金を納めたとしても遺産の処分が完了したときに余りがあれば、余剰金として返還してもらえます。

1-4 予納金を負担する人物は選任を申立てた人物

相続財産清算人の予納金を払うのは、選任申立てを行った人物です。
相続財産清算人を申立てる人として考えられるのは、主に下記に該当する人物です。

  • 特別縁故者として遺産を受け取りたい人
  • 亡くなった人にお金を貸しており遺産から支払ってほしいと考える人(債権者)
  • 相続発生時に故人と同居しており相続放棄したものの遺産の管理義務が残ってしまった人
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2章 【注意】予納金を支払えないと相続財産清算人を選任できない

相続財産清算人の選任申立てを完了させるには、予納金を支払う必要があります。
したがって、納金を支払えない場合、相続財産清算人は選任されません。​

万が一、予納金を払うのが難しい場合は本記事の4章で詳しく解説する法テラスへの相談、利用も検討しましょう。


3章 相続財産清算人の予納金を納めるタイミング

相続財産清算人の予納金を支払う期限は、原則として選任申立てを行ってから1ヶ月以内です。
申立てから1ヶ月過ぎても予納金を払えない場合、申立て自体が却下されてしまうのでご注意ください。


4章 相続財産清算人の予納金を払えない場合は法テラスの利用を検討しよう

万が一、相続財産清算人の予納金を払えない場合は、法テラスの利用を検討しましょう。
法テラス(日本司法支援センター)とは、国が設立した法的トラブル解決を支援する案内所です。

相続財産清算人の選任申立てに限らず、様々なトラブルについて相談できます。
法テラスでは、法律相談を無料で行えるだけでなく、「民事法律扶助制度」を活用し予納金を立て替えてもらうことも可能です。

ただし、法テラスを利用するには資産要件や所得要件をクリアする必要があり、誰でも利用できるわけではありません。
利用要件については、法テラスの公式ホームページをご確認ください。


5章 相続人がいない・特定の人物に遺産を遺したい場合は遺言書を作成しよう

自分が亡くなったとき、相続人になる家族や親族がいない場合や相続人以外の第三者に遺産を遺したい場合は、元気なうちに遺言書を作成しておくのがおすすめです。
相続人が誰もいない場合、特別な関係にあった人が特別縁故者として遺産の全部もしくは一部を相続できる場合があります。

ただし、特別縁故者が遺産を受け継ぐためには、相続財産清算人の選任申立てが必要であり、場合によっては予納金もかかります。
しかし、遺言書を作成しておけば相続人以外の第三者にも遺産を相続させられます。

遺言書がある場合、相続財産清算人の選任申立ては必要なくなるので予納金も発生しません。
籍は入れていないものの長年連れ添ってきた内縁の妻や夫、特別仲が良かった従姉妹などに財産を遺したいのであれば、遺言書を作成しておくと良いでしょう。

家族円満でも知っておきたい遺言を書いたほうがいい人16選【一覧表】
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まとめ

相続財産清算人の選任をする際には、20~100万円程度の予納金を納めなければならない場合があります。
予納金が必要かどうかや正確な金額は、家庭裁判所に相続財産清算人の選任申立てを行わないとわかりません。

相続財産清算人の予納金を払えない場合は、法テラスを利用すれば民事法律扶助制度により予納金を立て替えてもらえます。
ただし、法テラスはすべての人が利用できるわけではなく、所得要件や資産要件が決められているのでご注意ください。

また、自分に身寄りがなく相続人がいない場合、希望の人物に財産を遺したいと考えるなら、元気なうちに遺言書を作成しておくのがおすすめです。
遺言書があれば、相続財産清算人を選任することなく、希望の人物に財産を受け継いでもらえます。

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