亡くなった人の医療費控除は誰がする?医療費を払った時期別に解説

亡くなった人の医療費控除は誰がする?医療費を払った時期別に解説
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 5

家族や親族が亡くなる直前、病院に入院や介護施設に入居していた場合、故人が払った治療費や入院費用を医療費控除できる可能性があります。
亡くなった人にかかった治療費や入院費用を医療費控除する際には、医療費を支払ったタイミングによって下記のように手続き方法が変わってきます。

医療費を支払った時期医療費控除できる人・手続き
故人が亡くなる前故人の準確定申告で医療費控除できる
故人が亡くなった後故人と生計を一にしていた人の確定申告にて医療費控除できる

上記のように、故人の準確定申告で医療費控除できるのは、故人が死亡する前に支払った医療費のみなのでご注意ください。
また、準確定申告の申告期限は相続開始から4ヶ月以内に行う必要があるので、申告期限に遅れないようにしましょう。

本記事では、亡くなった人が支払った医療費は医療費控除の対象になるのか、手続き方法を解説します。
家族や親族が亡くなったときに行う手続きは、下記の記事もご参考にしてください。

【保存版】相続手続きでやるべきことまとめ!必要書類や期限も紹介

1章 亡くなった人の治療費や入院費用は医療費控除できる

亡くなった人にかかった治療費や入院費用は医療費控除の対象です。
死亡前までに支払った医療費が年間を通して10万円を超えていた場合、亡くなった人の準確定申告で医療費控除を行えます。

また、死亡後に支払った亡くなった人の医療費は、故人と生計を一にしていた人の確定申告にて医療費控除を適用可能です。

このように、亡くなった人の医療費控除は医療費を支払ったタイミングによって取り扱いが異なるので注意が必要です。
次の章では、それぞれの取り扱いについて詳しく解説していきます。

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2章 亡くなった人の治療費・入院費用を医療費控除する方法

本記事の1章で解説したように、亡くなった人の治療費や入院費用は医療費控除の対象です。
しかし、医療費を支払ったタイミングによって下記のように扱いが変わります。

医療費を支払った時期医療費控除できる人・手続き
故人が亡くなる前故人の準確定申告で医療費控除できる
故人が亡くなった後故人と生計を一にしていた人の確定申告にて医療費控除できる

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 亡くなった日より前に払った医療費は準確定申告する

故人が亡くなる前に払った治療費や入院費用は、亡くなった後に行う準確定申告にて医療費控除を行えます。
準確定申告とは、亡くなった人のかわりに相続人が行う確定申告です。
準確定申告の手続き方法と必要書類は、下記の通りです。

手続きする人相続人
包括受遺者
手続き先故人の住所地の所轄税務署
手続き期限故人の死亡後から4ヶ月以内
必要書類
  • 準確定申告書第1表、第2表
  • 付表源泉徴収票 など

なお、準確定申告で申請できる医療費控除はあくまでも故人の財産から払ったもののみです。
故人に十分な資産がなく、亡くなる前も配偶者や子供などの財産から医療費を支払っていた場合は準確定申告ではなく、医療費を支払った人の確定申告で医療費控除を行えます。

準確定申告と確定申告の違いは?手続き期限と申告書の書き方を解説!

2-2 亡くなった日以降に払った医療費は故人の家族が確定申告する

故人の死亡日以降に支払った医療費は故人の準確定申告の対象になりません。
しかし、故人と生計を一にしていた人(配偶者や子供など)が医療費を支払った場合は、実際に医療費を支払った人の確定申告にて医療費控除を行えます。

ただし、すべての支払った費用が医療費控除の対象になるわけではなく。死亡診断書の発行費用や差額ベッド代などは医療費控除の対象にならないので申告時にはご注意ください。

確定申告の方法および必要書類は、下記の通りです。

手続きする人1年間で一定額以上の医療費を支払った人
手続き先住所地を管轄する税務署
手続き期限2月16日~3月15日
必要書類
  • 確定申告書A
  • 医療費控除の明細書
  • 源泉徴収票
  • マイナンバーなどの本人確認書類 など
亡くなった人の遺産で払った医療費は債務控除の対象になる

故人の死亡後に遺産から医療費を支払った場合、相続税の債務控除の対象になるので相続税を節税できます。
相続税の債務控除と所得税の医療費控除は全く関係のない制度なので、医療費控除の対象にならない費用も債務控除の対象となります。

一方で、故人が加入していた医療保険から払われた入院給付金や手術給付金、健康保険から支払われる高額療養費などは相続税計算時に未収入金として計算しなければなりません。

債務控除や未収入金を漏れなく計算し、相続税を申告したいのであれば相続税に詳しい税理士に相談するのがおすすめです。


3章 医療費控除できる治療費・入院費用

医療費控除は対象になる治療費や入院費用と対象にならない費用が細かく決められています。
そのため、準確定申告や確定申告で医療費控除をする際には支払った費用のうちどれが医療費控除の対象になるか計算しなければなりません。

医療費控除の対象になる費用は、主に下記の通りです。

  • 診療費用(治療の対価として支払ったもの)
  • 医薬品の購入費用(治療や療養に必要なもの)
  • 入院費用
  • 指定介護老人福祉施設に支払ったサービス対価(介護費や食費、居住費)の2分の1
  • 指定介護療養型医療施設に支払ったサービス対価(介護費や食費、居住費)
  • 介護療養院に支払ったサービス対価(介護費や食費、居住費)
  • 診療を受けるためにかかった交通費
  • 医師の診療を受けるために必要な義手や義足、義肢、松葉づえ、補聴器などの購入費用
  • おむつ使用証明書の発行を受けて購入したおむつ代

上記のように、介護施設に支払った費用が医療費控除の対象になるかは施設の種類によって扱いが異なるのでご注意ください。

入院費用をまとめて支払った場合など、1回の請求の中に医療費控除の対象になる費用とならない費用が混在していることも多いです。
支払い時に受け取れる領収書には医療費控除の対象になるものが記載されているので、確認しておきましょう。

医療費控除の対象にならない費用

医療費控除の金額を間違えて申告しないように、控除の対象にならない支払いで代表的なものをいくつか紹介します。

  • 死亡診断書料
  • 差額ベッド代
  • 医師や看護師に対する謝礼
  • 日常生活費(理美容代など)
  • クラブ活動費用など(希望者のみに実施されるもの)

死亡診断書代は故人が亡くなり退院する際に、これまでの入院費用とまとめて請求されることも多いので、特にご注意ください。


4章 亡くなった人の医療費控除をするときの注意点

亡くなった人の医療費控除をする際には、準確定申告もしくは確定申告のどちらで控除を行うか以外にもいくつか注意すべきことがあります。
具体的には、下記の3点に注意しましょう。

  1. 準確定申告の期限は故人死亡後から4ヶ月以内
  2. 死亡診断書代は医療費控除の対象外
  3. 年間の医療費10万円以下でも医療費控除できる場合がある

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 準確定申告の期限は故人死亡後から4ヶ月以内

準確定申告は相続が発生してから4ヶ月以内に行うと決められています。
準確定申告は医療費控除を行うときだけでなく、下記のケースなどでも必要です。

  • 亡くなった人が自営業・フリーランスで48万円以上の所得があった場合
  • 必要経費以外で副収入が20万を超えていた場合
  • アルバイトの掛け持ちなどで2ヵ所以上から給与があった場合
  • 400万円以上の年金受給があった場合
  • 2,000万円以上の給与所得があった場合
  • マンションや駐車場など不動産を貸し出していた場合
  • 株取引などで48万円以上の所得があった場合
  • 懸賞金や賞金を貰っていた場合

期限に遅れてしまうと、延滞税や無申告加算税などのペナルティが発生する恐れもあるので、期限内に必ず申告しましょう。

4-2 死亡診断書代は医療費控除の対象外

本記事の3章でも触れましたが、死亡診断書代は医療費控除の対象外です。
故人と生計を一にしていた人が確定申告で医療費控除をする際には、間違って控除対象に含めないようにご注意ください。

死亡診断書代は故人が亡くなり、入院費用や治療費を精算する際にまとめて請求されることも多いです。
領収書には費用の内訳をよく確認して確定申告を行いましょう。

4-3 年間の医療費10万円以下でも医療費控除できる場合がある

医療費控除の対象になる医療費の基準は、下記のうちいずれか低い金額とされています。

  1. 年間10万円以上
  2. 所得金額の5%以上(年間所得が200万円未満の場合)

上記のように年間所得が200万円未満であれば、所得金額の5%が基準になります。
なお、年間所得とは「収入-経費・控除」で計算可能です。

例えば、下記のケースを見てみましょう。

  • 年間収入:200万円
  • 控除:50万円

上記のケースでは、年間所得が「200万円-50万円=150万円」となります。
年間所得200万円未満であり、医療費控除の基準額は所得の5%が適用されるので「150万円×5%=7万5,000円」として計算可能です。

例えば、1年間で8万円の治療費や入院費用を支払っていた場合、医療費控除できるので準確定申告を行えば所得税を還付してもらえます。


まとめ

亡くなった人が支払った治療費や入院費用は、準確定申告で医療費控除できます。
ただし、準確定申告で医療費控除できるのは死亡前に支払った治療費や入院費用のみなのでご注意ください。

故人が亡くなった後、生計を一にしていた遺族が支払った医療費は遺族が確定申告にて医療費控除を行えます。

また、準確定申告は相続開始から4ヶ月以内に行わなければならず、申告書作成や必要書類の収集を計画的に進めなければなりません。
さらに、準確定申告以外にも行うべき相続手続きは様々なものがあります。

計画的に相続手続きを進めたい、どのように進めれば良いか教えてほしい場合は、相続に詳しい専門家への相談をおすすめします。

グリーン司法書士法人では、相続手続きに関する相談をお受けしています。
初回相談は無料であり、相続に詳しい税理士の紹介も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

亡くなった人の医療費は医療費控除の対象になる?

死亡前に支払った医療費は故人の準確定申告で医療費控除可能です。
▶亡くなった人の医療費控除について詳しくはコチラ

死亡後に支払った医療費は医療費控除の対象になる?

死亡後に支払った医療費控除は故人の医療費控除の対象にならず、故人と生計を一にしていた人が確定申告にて医療費控除できます。
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