子ども世代から、帰省したら「実家に荷物が溢れかえっていた」「実家が汚くて困っている」という声を聞くことがあります。
親や祖父母の世代だと「もったいない」と言って物をなかなか捨ててくれないという方も多いですよね。
実家を片付けようと思っても労力を考えるとつい腰が重くなってしまいますが、そのまま放置しておくといざという時にどこに何があるか分からず大変な思いをすることも…。
今後、親が年を重ねていくにおいて実家の片付けや、必要な生前整理を済ませているのと、そうでないのでは負担が大きく異なります。
この記事では、実家の片付けのコツと効率的な手順を解説します。
目次
1章 実家の片付けは元気なうちに!片付けを進めておくべき理由
小さい頃からずっと住んでいた家ということもあり、大人になって自立した後でも当時の物がそのまま残っている家庭は少なくありません。
実家の片付けは親が元気なうちに進めておくのがおすすめです。
親が元気なうちに片付けることで、捨てるものと取っておくものの判断をしやすい、万が一親が亡くなったときに子供が片付けやすい等のメリットがあります。
また、親が年齢を重ねれば重ねるほど、片付けや掃除そのものが億劫になってしまい難しくなってしまいます。
ぜひ親が元気なうちに片付けを進めておきましょう。
次の章では、親に実家を片付けるよう説得する際に使える具体的なメリットを紹介していきます。
2章 親の説得に使える!実家を片付ける5つのメリット
子どもとしては「どれも捨てて良いもの」だと思っていても、親にとっては「すべて思い出深いもの」だということもあります。
「もったいない」「まだ使える」「思い出だから」など色々な理由を付けて片付けが進まず、終いには口論に…ということも。
物を捨てる=もったいないという考えを持っている親世代に片付けを協力してもらうには、それなりの説得が必要です。
ここからは、親が実家を片付けてくれないときに伝えるべきメリット(説得ポイント)を紹介します。
- 緊急時に物がどこにあるかすぐに把握できる
- 家の安全性が高くなる
- 在宅介護が楽になる
- 家の財産を把握することができる
- バリアフリー工事が必要な際もすぐ作業に取り掛かれる
2-1 緊急時に物がどこにあるかすぐに把握できる
1つ目は「緊急時に備えた片付け」であると親を説得しましょう。
あまり考えたくないものですが、もし急に倒れてしまった場合や緊急で入院をせざるを得ない場合は子どもが物を届けたり必要な書類を集めたりする場合があります。
その際、どこに何があるのか把握し切れていないままだと、探すだけで大変な時間がかかってしまいます。
もしもの緊急の場合でもすぐに対応できるように、ある程度どこに何があるのかを把握できる程度の片付けをおすすめします。
2-2 家の安全性が高くなる
2つ目は片付けることによって「足場が広くなり家の安全性が高くなる」ことを説明しましょう。
足の踏み場もないほど散らかっているケースは珍しいかもしれませんが、片付けることによって狭い場所を通ったり物にぶつかった拍子に転んだりするリスクが減るため家の安全性が高くなります。
また、地震によって物が倒れてしまうリスクも抑えられるので、高く物を積んでいる場合は片付けることによってケアすることができます。
2-3 在宅介護が楽になる
3つ目は、子どもやヘルパーさんが「在宅介護をするのに楽」ということを説明しましょう。
在宅介護のためヘルパーさんに来てもらう場合も、物が散らかっているとスムーズなサポートができない可能性があります。
また、物の整理がされていれば、どこに何があるか見てわかるので、介護する側の負担も大幅に軽減されます。
介護してくれる人を楽にするためにも、元気なうちから備えて片付けを始めるのをおすすめします。
2-4 家の財産を把握することができる
4つ目は「認知症になり判断が難しくなる前に、家の財産を把握することができる」ことを説明しましょう。
認知症になってから、家にある財産の価値を判断してもらうのも難しいですし、財産を売って良いものなのか、そのまま次世代に引き継いで欲しいものなのか判断するのは難しいです。
判断力があるうちに、家の財産を明確にし家族と情報共有しておくことで、相続トラブルの発生リスクが低くなります。
例えば、不動産やブランド品や宝石以外の財産は、人によって価値観が異なるためトラブルの原因にもなりかねません。
本人の口からどうするのかを聞いて把握しておけば、いざという時に意向を尊重できます。
2-5 バリアフリー工事が必要な際もすぐ作業に取り掛かれる
最後は、歳を重ね足腰が弱くなった時に「バリアフリー工事をする可能性」があることを説明しましょう。
家でバリアフリー工事を行なう際は、トイレな風呂場に手すりを付けたり、段差をなくす、滑り止めを敷くなどの工事が必要です。
いざリフォームする際、物が散らかっているとそちらを片付けてからでないと工事できません。
リフォーム工事が必要なくらい足腰が弱りきってしまった後に片付けとなると、ほとんど子どもだけで行わなければいけなくなるため、元気なうちに片付けを行うのがおすすめです。
3章 効率的に実家を片付ける順番・コツ
親を説得できたら、いよいよ実家の片付けに移りましょう。
自分の部屋だけならいざ知らず、家全体の片付けとなると「もはやどこから手を付けて良いのか分からない」と思う人も多いはずです。
片付けを効率的に行うには最初の計画が重要です。
以下の5つの手順を参考に、片付けの計画を立てましょう。
- 親や兄弟姉妹に実家の片付けをすることを伝えておこう
- 家族と捨てるもの、捨てないもの基準や価値観を共有しよう
- 1部屋ずつ片付けていこう
- 思い入れのない物から捨てよう
- アルバム・手紙など判断に迷うものは最後まで残そう
手順1:親や兄弟姉妹に実家の片付けをすることを伝えておこう
まずは、実家の片付けをすると決めたら他の家族にも「実家の片付けをする」と伝えておきましょう。
自分だけで決めていて、片付けを始めると揉める原因にもなりかねません。
また、兄弟がいる場合は自分の部屋も勝手に片付けられると思い、嫌がる場合もあるでしょう。
できれば、兄弟がいる場合は一緒に片付けを行うのをおすすめします。
また、実家を片付けている際に思わぬ財産が見つかる可能性もあります。
片付けの際に勝手に宝石やブランド品などの形見分けがはじまると、参加していない兄弟は面白くありませんし、相続トラブルに発展する恐れもあるからです。
片付けをした人だけが知っているということにもならないようにも、あらかじめ情報共有しておきましょう。
手順2:家族と捨てるもの、捨てないものの基準や価値観を共有しよう
親や兄弟から実家の片付けの許可が降りたら、まずは「これだけは捨てたくない」というものは何か聞いておく必要があります。
例えば、自分が子どもの頃の洋服や何気ない工作など、自分自身はどうでも良いと思っていても親にとっては宝物のようなものかもしれません。
良かれと思って勝手に捨ててしまうと、ショックを受けてしまう場合や揉めてしまう場合もあります。
手順3:1部屋ずつ片付けていこう
物の価値観を把握したら、いよいよ片付けに入ります。
片付けといっても各部屋少しずつ着手し始めたら、結局どの部屋がどれだけ片付けが進んだのか分からなくなってしまいます。
実家を片付ける際には1部屋ずつ片付けるのをおすすめします。
ポイントとしては、玄関や洗面所など比較的物が少ない場所から進めるのが良いでしょう。
いきなりリビングや親の部屋など、物や思い出が多そうな場所から進めると全く進まない可能性があるからです。
手順4:思い入れのない物から捨てよう
片付ける部屋の順番が決まったら物を捨てていきます。
まずは躊躇なく捨てられるものからどんどん捨てていきましょう。
例えばキッチンの片付けの場合、明らかにカビやサビがあって使えないキッチン用品や賞味期限が切れた調味料などです。
その際に、思い入れがない物からどんどん捨てていくのがポイントです。
家庭科の授業で作ったエプロンや子どもの頃に使っていたお弁当箱など、捨てるのに迷う物が出てきた場合は容赦なく捨てるのではなく保留にしましょう。
片付ける習慣がない相手と片付けをする場合は、まずは『捨てる癖』を付けさせるのが重要です。
気分が乗ってきたら、普段なら絶対に捨てないものでも、案外簡単に手放せるようになるかもしれません。
手順5:アルバム・手紙など判断に迷うものは最後まで残そう
最後は、片付けの最難関ともいえる賞状やアルバム、手紙といった思い出が詰まったものを片付けましょう。
掃除などで昔のアルバムや手紙など思い出の物が出てきてしまい、作業が進まなくなった…という経験を持っている方も多いはずです。
ましてや、たまの実家でアルバムを開いてしまうと、思い出話に花が咲くのはいうまでもありません。
捨てる・捨てないの前に片付け自体がストップしてしまいそうなものは最後に残しておきましょう。
また、捨てる可能性も0ではない場合は最終判断を下すのに時間がかかってしまう可能性もあります。
こういった、思い出に関係するものは最後の最後まで残しておきましょう。
4章 実家の片付けが大変なときは業者へ依頼しよう
実家があまりにも散らかりすぎて、1日2日どころか1週間以上時間をかけても片付かなさそうという場合は業者へ依頼するのも手です。
業者は清掃や片付けのプロなので、手際よく片付けを進めてくれるメリットがあります。
どうしても時間がない場合や、一向に片付けに終わりが見えてこないという場合は頼るのも検討しましょう。
4-1 実家の片づけを業者へ依頼した方がよいケース
できれば思い出が詰まっている実家なので、業者に頼らず自分たちで進めたいというのが本音だと思います。
しかし、もはやゴミ屋敷と呼ばれるレベルまで散らかっている場合や、親が高齢で片付けがままならない場合は依頼した方が良いでしょう。
また、家具を捨てる場合など大掛かりな片付けを行う場合は怪我をする可能性もあるので、そちらも業者の力を借りるのがおすすめです。
自分たちでは進められなさそうだと思ったら、検討してみましょう。
4-2 実家の片づけを業者へ依頼するときの費用目安
片付けを依頼する際の業者の費用は、部屋の間取りや片付ける量によっても異なります。
金額に大きな差が出ますが、30万〜60万くらいが相場だと言われています。
実家の場合は2LDK以上がほとんどだと思うので40万〜60万くらいを見ておきましょう。
また、片付けだけでなく家電など大きな物を処分する際は多額の処分費がかかるため、これよりも更に高くなる可能性もあります。
4-3 実家の片づけ費用を安くするコツ
業者に頼みたいけれど少しでも費用を抑えたいという場合は、以下の2つのポイントを参考にして業者を選びましょう。
- 依頼する業者を複数件ピックアップして相見積もりをとる
- 自分たちでできそうな部屋は進めておく
複数の業者に見積もり依頼を出さないと、費用が相場通りなのか分からず損をしてしまう可能性があります。
また、部屋数によって金額が異なるため、玄関や洗面所など自分たちで進められそうな部屋があれば、進めておいてリビングなど大きな部屋のみ依頼するのも選択肢のひとつです。
4-4 信頼できる実家の片付け業者を探す方法
悪徳業者に引っかからないようにするには、見積書に作業内容が具体的に記載されていて各項目ごとに料金が分かれているかチェックしましょう。
作業一式などでまとめて金額が記載されている場合、どこに何のお金がかかっているか分からないため怪しい業者の可能性があります。
また、見積書に記載されている作業が少なすぎる場合も注意しましょう。
当日になって急遽作業の追加や清掃代、処分代などとあれこれ持ちかけて追加料金を払うことになるケースもあるからです。
当日追加料金がかかる可能性があるのかどうかも確認しておくのが良いでしょう。
4-5 業者を入れる場合は必ず立会いをする
業者に依頼する際には、必ず立会いをしましょう。
忙しいからと言って、立ち会いをしないでそのまま丸投げして業者に依頼すると、悪質な場合お宝が見つかったらそのまま持って行ってしまう可能性もあります。
また、残しておきたいと思っていた物が勝手に処分されてしまい、トラブルになったというケースもあります。
5章 遺品整理を行う場合は借金などの負債がないか調べよう
生前の実家の片付けの他に、親が亡くなってから遺品整理として実家の片付けを行うケースもあります。
近年『終活』という言葉が定着しましたが、亡くなってから初めて本格的に実家を片付けたという方もまだまだ少なくありません。
ここからは、遺品整理を行う場合の注意点を解説します。
まず初めに、亡くなった人が借金などの負債を抱えていないか調べておきましょう。
亡くなった人に借金があった場合でも、相続放棄を行えば借金を受け継がずにすみます。
相続放棄は相続開始から3ヶ月以内に行う必要があるので、遺品整理を行う際には故人の借金の有無から調べるのがおすすめです。
まとめ
年老いてしまい身体を動かすのがおっくうになってくると、どうしても片付けのモチベーションは下がっていくものです。
そのため、できるだけ親が元気なうちに実家の片付けをしておくのがおすすめです。
さらに、実家を今後継ぐのか畳むのかも話し合ってみましょう。
空き家のまま放置しておくと管理や保険料の支払い、防犯上のリスクなどデメリットが多いため判断できるうちに決めておけると安心です。
相続や生前贈与などのご相談は、当メディアを運営しているグリーン司法書士法人でも行っております。
まずはお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
実家の片付けは何から始めれば良い?
実家の片付けは、下記の順番で行いましょう。
①親や兄弟姉妹に実家の片付けをすることを伝えておく
②家族と捨てるもの、捨てないものの基準や価値観を共有する
③1部屋ずつ片付ける
④思い入れのない物から捨てる
⑤アルバム・手紙など判断に迷うものは最後まで残す
▶効率的に実家を片付ける順番・コツについて詳しくはコチラ
実家の片付けにはいくらかかる?
実家の片付けを業者に依頼した場合には、30万〜60万くらいが相場だと言われています。
実家の場合は2LDK以上がほとんどだと思うので40万〜60万くらいを見ておきましょう。
▶実家の片づけを業者へ依頼するときの費用目安
実家の片付けにかかる費用は?
実家の片付けを業者に依頼するときは2LDK以上がほとんどだと思うので40万〜60万くらいを見ておきましょう。
▶実家片付けにかかる費用相場について詳しくはコチラ