- 相続登記とは何か
- 相続登記の流れ・必要書類
- 相続登記は自分でできるのか
不動産の相続登記って何からはじめたらいいの?
不動産の相続登記に必要な書類や費用が知りたい!
不動産の相続登記は人生において何度も行うものではないため、このようなお悩みを抱えている方が多いと思います。
本記事では不動産の相続登記の手順や方法をわかりやすく解説したいと思います。
令和3年(2021年)に相続登記義務化の法案が可決され、令和6年(2024年)までに施行予定となっています。このため、次の相続が発生した時には義務化されている可能性が高いでしょう。今のうちから、なるべく早く手続きをされるのがオススメです。
本記事は、自分で手続きしたいと思っている人が手順に沿って進めていけるような構成にしていますので、参考にしながら一つずつクリアしていただければと思います。
目次
1章 2024年4月から】相続登記が義務化されました
これまで相続登記は義務化されておらず、相続人の意思によって行うとされていました。
しかし、2024年4月からは相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に相続登記をしない場合には10万円以下の過料が科される恐れがあります。
なお、相続登記の義務化は過去に発生した相続においても適用されます。
そのため、まだ相続登記がおすみでない土地をお持ちの人は早めに手続きをすませましょう。
相続登記は自分でも行えますが、司法書士に依頼すれば数万円程度で代行可能です。
グリーン司法書士法人でも相続登記に関する相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。
2章 不動産の相続登記とは
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなったときに、故人から相続人へ不動産の名義変更をする手続きです。
相続登記は、法務局にて登記申請書や必要書類を提出して手続きします。
法務局はそれぞれの都道府県内に複数あり、各法務局は決められたエリアにある不動産について管轄しており、この管轄(エリア)は市や区の単位で決められています。
2-1 相続登記は3パターンに分けられる
相続登記は不動産の遺産分割方法や相続の状況によって、下記の3種類に分類できます。
- 遺言
- 遺産分割
- 法定相続
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1-1 遺産分割協議による相続登記
相続人全員で誰が不動産を取得するのか話し合いをして、相続登記をする方法です。
これが最もポピュラーな方法になります。
遺言書がなく、法定相続分と異なる内容に名義変更したい場合には、この方法で手続きを行います。
2-1-2 遺言による相続登記
亡くなった人が遺言書を残しており、遺言された内容どおりに相続登記をする方法です。残されていた遺言書を使って相続登記の手続きを行います。
遺言の形式によって注意点や行うべき手続きがあるため注意しましょう。
2-1-3 法定相続分による相続登記
法定相続分どおりに相続人全員で相続登記する方法です。
他の方法に比べ必要な書類も少なく、手続きとして一番シンプルな方法になります。
遺言書がなく、法定相続分どおりの持分割合に名義変更したい場合に、この方法で相続登記の手続きを行います。
ご覧いただいたとおり、相続登記とひとくくりに言っても、あなたが置かれている相続シチュエーションのパターンによって、手続きの流れが異なります。
次章で遺産分割による相続登記の手続きの手順や方法について、詳しく解説したいと思います。
2-2 相続登記をしないリスク
相続登記をしないと、名義変更が完了しないうちに相続人が亡くなってしまい権利関係が複雑になるなどのリスクがあります。
相続登記をしないリスクは、主に下記の通りです。
- 新たな相続が発生し相続人が増えて話し合い(遺産分割協議)が難航する
- 相続登記に時間がかかることで、相続人の一部が手続きに協力してくれない恐れがある
- 一部の相続人が認知症になってしまい、手続きを行えなくなる
- 相続発生から3年以内に相続登記をしない場合には10万円以下の過料が科される恐れがある【2024年4月から】
2024年4月からは相続登記が義務化されたため、できるだけ早く登記申請を行うことが大切です。
3章 【手順別】不動産の相続登記手続き方法
本章では「遺産分割協議による相続登記」の方法について、書類の準備から登記の完了まで、手順別に手続きのやり方や方法をくわしく説明したいと思います。
まずは相続登記の手続きの全体の流れを確認しましょう。
全体の流れがわかれば、次にそれぞれの手順について詳しく見ていきましょう。
STEP① 不動産についての必要情報を集めよう
不動産についての情報を集める前に「不動産を管轄する法務局」について理解しておく必要があります。
登記簿謄本(登記事項証明書)は全国どこの法務局でも取得することができますが、相続登記の手続きは、その不動産を管轄する法務局に申請することになります。
管轄の違う法務局へ申請しても却下されることになるので、必ず確認しましょう。
不動産の所在によって、市区町村単位で管轄する法務局が決まっています。
以下の法務局のホームページにある「不動産登記の管轄区域一覧」から確認してください。
それでは次に亡くなった人が所有していた不動産はどのようなものか確認しましょう。
3-1-1 不動産の地番や家屋番号を調べよう
不動産には1つ1つの土地や建物が識別できるように、土地には「地番」、建物には「家屋番号」がつけられています。不動産の「住所」がわかっていても、「地番」「家屋番号」と「住所」は違うことが多いので、注意が必要です。
今後作成する書類には不動産の地番や家屋番号を正確に記載しなければならないので、まずは相続の対象になっている不動産の地番や家屋番号を確認しましょう。
下記の方法から、亡くなった人が所有していた不動産の地番と家屋番号を調べましょう。
【手元にある資料をもとに調べよう】
地番や家屋番号は以下の書類に記載されているので、以下の書類がないか探してみてください。
固定資産納税通知書
(固定資産税の納付について毎年役所から納税者に届く書類です。)登記済権利証または登記識別情報通知
(亡くなった人が不動産を購入したり、相続したときに法務局で発行してもらっている書類になります。司法書士が関与して手続きを行っている場合は冊子の表題に登記権利証書などと表記されており、担当した司法書士の氏名も合わせて記載されていることが多いです。)登記簿謄本
(法務局で取得できる登記事項証明書といわれる書類です。)
【手元に上記の資料がなかったとき】
手元に資料がなかったときは、相続する不動産がある場所を管轄している市税事務所や市区町村役場で名寄帳(なよせちょう)を取得しましょう。
名寄帳とは、その人が所有する不動産の一覧表のようなもので、市区町村役場では「固定資産課税台帳」とも呼ばれています。名寄帳は所有者本人または相続人であれば、不動産のある市区町村役場で取得することができ、名寄帳を取得すれば亡くなった人が所有していたすべての不動産の地番や家屋番号を知ることができます。
各役場の管轄内にある不動産しかわからないので、複数の地域で不動産を所有していたときは、不動産のある場所を管轄するそれぞれの市区町村役場で名寄帳を取得してください。
3-1-2 登記簿謄本(登記事項証明書)を法務局で取得しよう
亡くなった人が所有していた不動産の「地番」や「家屋番号」がわかったら、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得しましょう。
また、以前に取得した古い登記簿謄本が手元にあっても、あらためて取得し、名義人などに変更がないか確認してください。
登記簿謄本(登記事項証明書)は全国どこの法務局でも取得することができ、請求方法は主に「窓口」または「郵送」の2種類になります。
不動産の所在を問わず、全国の法務局どこでも取得することができるので、最寄りの法務局で取得すればいいでしょう。
(取得できる人)
誰でも可
(準備するもの)
・不動産の地番や家屋番号がわかるもの(またはメモ書き)
・取得に必要な費用
登記事項証明書は1通につき(不動産1つにつき)600円の手数料がかかります。
(手続きの流れ)
①最寄りの法務局へ行く
まずは最寄りの法務局へ行きましょう。
窓口の取扱時間は午前8時30分から午後5時15分までになります。
また、土日、祝祭日、年末年始はお休みなので注意しましょう。
②交付申請書に記入しよう
窓口に準備されている「登記事項証明書交付申請書」に確認した不動産の地番や家屋番号を記入します。
その他、請求する人の氏名、住所、連絡先を記入する欄もあるので、忘れずに記入してください。
③印紙を購入しよう
法務局内にある印紙売り場で印紙を購入し、交付申請書の所定箇所に貼り付けます。
登記事項証明書は1通につき(不動産1つにつき)600円の手数料がかかるので、申請する不動産の数✕600円分の収入印紙を購入しましょう。
④窓口に提出しよう
窓口に交付申請書を提出しましょう。
⑤登記事項証明書を受け取ろう
窓口で登記事項証明書を受取ります。
(取得できる人)
誰でも可
(準備するもの)
・交付申請書
・不動産の数✕600円分の収入印紙
・発送用の封筒
・返信用の封筒(切手を貼ったもの)
(手続きの流れ)
①交付申請書を取得しよう
法務局のホームページで交付申請書をダウンロードし、必要な部数を印刷してください。
②交付申請書に記入しよう
ダウンロードした交付申請書に不動産の地番や家屋番号を記入します。
その他、請求する人の氏名、住所、連絡先を記入する欄もあるので、忘れずに記入してください。
③印紙を購入しよう
郵便局などで収入印紙を購入し、交付申請書の所定箇所に貼り付けます。
登記事項証明書は1通につき(不動産1つにつき)600円の手数料がかかるので、請求する不動産の数✕600円分の印紙を購入してください。
④法務局へ郵送しましょう
必要な手数料分の収入印紙を貼り付けた交付申請書と返信用封筒を同封して、法務局へ郵送しましょう。
どこの法務局へ郵便しても対応してくれますが、郵便事情を考えると最寄りの法務局の方がいいでしょう。
⑤郵便での返送を待ちましょう
法務局の繁忙によりますが、発送してからおおよそ10~20日程度で届きます。
3-1-3 登記事項証明書の所有者を確認しよう
登記事項証明書(登記簿謄本)が取得できたら所有者の確認を行います。
亡くなった人が所有していたと思っていても、すでに売却していたり、他の人と共有している可能性もあるため、念のため登記事項証明書で所有者の確認をしてください。
登記事項証明書の見方は以下のとおりになります。
STEP② 戸籍関係書類を集めよう
相続登記を行う際に集める書類の中で一番むずかしいのが、この戸籍関係の書類集めです。
なぜなら、戸籍に関する法律は過去何度も改正されており、法律の改正にあわせて形式や内容が変化しているからです。
また、古い時代の戸籍は毛筆で手書きされており、クセの強い筆跡で書かれていることも少なくないので、判別するのに苦労することがあります。
まず、はじめに戸籍の種類を理解し、次に必要な戸籍の種類、戸籍の取得方法へと段階的に説明していきたいと思います。
”戸籍の種類”
現在戸籍 | 現在戸籍とは、いま現在の戸籍のことをいいます。 |
除籍 | 除籍とは、戸籍に記載されていた人が死亡や結婚、本籍地の移転などによって、その戸籍(本籍地)に記載されていた人全員が居なくなったため、閉鎖された戸籍のことをいいます。 |
原戸籍 改製原戸籍 | 戸籍は法律の改正によって様式などが変わることがあります。 |
これらの戸籍には以下の2種類があります。
- 戸籍に記載されているすべての情報を写した「戸籍謄本」
- 戸籍に記載されている一部の情報を抜き出した「戸籍抄本」
相続登記の手続きで必要な戸籍は、すべての情報が記載されている「戸籍謄本」になるので、戸籍を取得する際には「戸籍謄本」を選択してください。
3-2-2 相続登記のパターンごとの必要な戸籍関係書類を知ろう
相続登記のパターンは1章で確認してもらったとおり、大きくわけて以下の3つになります。
- 遺産分割協議による相続登記
- 遺言による相続登記
- 法定相続分による相続登記
パターンごとに集めてもらう戸籍関係書類が異なるので、下記の表を使って説明します。
また、遺産分割協議による場合と法定相続分による場合に必要な戸籍関係書類は同じです。
遺産分割協議のよる相続登記 法定相続分による相続登記 | 取得場所 |
亡くなった人の出生から死亡までの 戸籍・除籍・原戸籍 | 出生から死亡までの本籍地の市区町村役場 |
亡くなった人の戸籍の附票 | 亡くなった人の本籍地の市区町村役場 |
相続人全員の現在戸籍 | 相続人それぞれの本籍地の市区町村役場 |
(兄妹姉妹が相続人となる場合) 先順位の相続人の出生から死亡までの | 出生から死亡までの本籍地の市区町村役場 |
遺言による相続登記 | 取得場所 |
亡くなった人の死亡時の戸籍 | 亡くなった人の最後の本籍地があった市区町村役場 |
亡くなった人の戸籍の附票 | 亡くなった人の本籍地の市区町村役場 |
不動産を取得する相続人の現在戸籍 | 不動産を相続する人の本籍地の市区町村役場 |
亡くなった人に関する戸籍関係書類については、「死亡したことの記載」が必要になるので、生前に取得していた戸籍謄本や、死後すぐに取得したため死亡の記載が未だされていない戸籍謄本は相続登記の手続きに使えません。
3-2-3 亡くなった人の戸籍関係書類について
相続登記の手続きでは、遺言によるパターンを除き相続人を明らかにするため、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍をさかのぼって取得していく必要があります。
戸籍は結婚、離婚、転籍(本籍地の移転)、法律の改正などによって新しいものが作られるので、亡くなった時点の現在戸籍だけ取得しても、出生から死亡までの戸籍を取得したことにはなりません。
このように戸籍は人の一生の間に複数つくられるため、亡くなった人がこれまでの人生で入っていた戸籍をすべて取得していくことになるのです。
出生から死亡までの戸籍謄本は以下のイメージ図のように、新しいものから順にさかのぼって取得していくことになります。
3-2-4 戸籍の見方を知ろう
必要な戸籍を漏れることなく取得するために、戸籍の見方を知っておく必要があります。戸籍には本籍地とその人の氏名、生年月日、身分事項などが記載されています。
身分事項とは出生や死亡、結婚や離婚した記録のことをいいます。
戸籍は基本的に親と子で構成されており、それぞれの情報が記載されています。
それでは現在の戸籍謄本を見てみましょう。
上記のとおり現在の戸籍はとても読み取りやすい文字で記載されていますが、明治~大正~昭和に作られた古い時代の戸籍は毛筆によって手書きされていることもあり、非常に読み取りにくいものもあるので、めげずにじっくりと読んでみてください。
戸籍は以下の代表的なポイントを中心に読み取っていきましょう。
【戸籍の編製日、消除日を確認しよう】
戸籍謄本には戸籍が作られた日(編製日)と転籍などにより戸籍が除かれた日(消除日)が記載されています。戸籍謄本は編製日から消除日までの期間について証明していることになります。
【筆頭者、従前の本籍地、新しい本籍地を確認しよう】
筆頭者、従前の本籍地、新しいを本籍地を確認して、確認した情報をもとに次の戸籍を取得することになります。
3-2-5 戸籍関係書類を市区町村役場で取得しよう
それではご自身の相続登記のパターンに応じた戸籍関係書類を集めていきましょう。
戸籍は本籍がある市区町村役場で取得することができ、請求方法は「窓口」または「郵送」の2種類になります。
戸籍は本籍の所在を管轄している市区町村役場でしか取得できないので、本籍地のある市区町村役場へ請求しましょう。
遺言によるパターンを除き、亡くなった人については出生から死亡までの戸籍が必要になります。結婚や本籍地の移転によって、戸籍が変わっているときは以前に戸籍があった市区町村役場へも請求することになります。
(取得できる人)
配偶者、父母子孫(直系血族)、代理人(要委任状)
(準備するもの)
・本籍地の所在と筆頭者名
・本人確認書類
(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード(個人番号カード)など)
・認印
・取得に必要な費用
(必要な費用は役所によって異なります。目安としては戸籍謄本1通450円、改正原戸籍1通750円程度です。余裕をもってお金を持参しておきましょう。)
(手続きの流れ)
①戸籍のある(戸籍のあった)市区町村へ行く
窓口の取扱時間は各役所によって様々なので、確認してから行きましょう。
基本的には平日の午前9時00分から午後5時00分までは受け付けてくれると思います。
市民サービスセンターのようなものが設置されている役所では、土日でも営業していることもあるので、各役場に確認してみてください。
②交付申請求書に記入しよう
窓口に準備されている「戸籍等交付請求書」に本籍地と筆頭者名、その他の必要事項を記入します。
結婚している場合、筆頭者は氏を選択された方の人が筆頭者になっています。一般的には夫が筆頭者になっていることが多いでしょう。また、未婚の場合は父または母が筆頭者になっていることが多いです。
請求する人の氏名、住所、連絡先を記入する欄もあるので、忘れずに記入してください。
③窓口に提出しよう
窓口に交付請求書と他の必要書類を提出します。
※亡くなった人の戸籍謄本を取得するときは「ここの窓口で取得できる出生から死亡までの戸籍すべて出してください。」と伝えましょう。
⑤戸籍等関係書類を受け取ろう
番号(名前)が呼ばれたら請求された手数料を支払って戸籍等の書類を受取ります。
(取得できる人)
配偶者、父母子孫(直系血族)、代理人(要委任状)
(準備するもの)
・本籍地の所在と筆頭者名
・本人確認書類のコピー
(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード(個人番号カード)など)
・認印
・取得に必要な定額小為替
・発送用の封筒
・返信用の封筒(切手を貼ったもの)
(手続きの流れ)
①交付請求書を取得しよう
本籍地のある市区町村役場のホームページで交付請求書をダウンロードし、必要な部数を印刷してください。
②交付請求書に記入しよう
ダウンロードした交付請求書に本籍地や筆頭者、その他の必要事項を記入します。
結婚している場合、筆頭者は氏を選択された方の人が筆頭者になっています。一般的には夫が筆頭者になっていることが多いでしょう。また、未婚の場合は父または母が筆頭者になっていることが多いです。
その他、請求する人の氏名、住所、連絡先を記入する欄もあるので、忘れずに記入してください。
③定額小為替を購入しよう
郵便局で定額小為替を購入し、同封してください。
(取得に必要な費用は役所によって異なります。相場としては戸籍謄本1通450円、改正原戸籍1通750円なので、必要な金額がわからないときは余裕をもって小為替を購入し、同封しましょう。仮に余っても返してもらえるので安心してください。)
④市区町村役場へ郵送しましょう
交付請求書、本人確認書類のコピー、返信用封筒、定額小為替を同封して、市区町村役場へ郵送しましょう。
※亡くなった人の戸籍謄本を取得するときは「亡◯◯◯◯に関して御役場で取得できる出生から死亡までの戸籍すべて出してください。」とメモ書きして同封しておきましょう。
⑤郵便での返送を待ちましょう
市区町村役場の繁忙によりますが、発送してからおおよそ10~20日程度で届きます。
3-2-6 戸籍関係書類を市区町村役場で取得するときの3つのポイント
戸籍関係書類を取得するときのポイントを3つ紹介したいと思います。
戸籍関係書類は取得できる人が制限されています。
原則として取得できるのは本人および配偶者、父、母、子、孫(直系血族)になります。本籍地や家族関係は高度な個人情報のため、このような制限がされています。
上記以外の方でも一定の事情がある場合は取得できる可能性もあるので、その都度市区町村役場に確認してください。また、取得できる人から、委任を受けて第三者が請求するときは委任状が必要になります。
相続登記の手続きで必要な戸籍関係書類はそれぞれ1通あれば足ります。
亡くなった人と相続人が同じ戸籍で本籍地をおいてたときは、亡くなった人と相続人の戸籍謄本は1通の同じ書類になるので、2通取得しなくても1通あればOKです。
相続登記の手続きにおいては戸籍関係書類以外にも、住民票や印鑑証明書などが必要になります。
戸籍関係書類と同じ役所で取得できるものについては、まとめて取得することで手間を省くことができます。
また、本記事では相続登記に限って必要書類の案内をしていますが、預金口座の解約や保険金請求などの他の相続手続きにおいても、おおよそ同じ書類が必要になるので、複数取得しておいてもいいでしょう。
STEP③ 固定資産税の評価証明書を取得しよう
相続登記の申請の際には「登録免許税」という税金を法務局へ納める必要があります。
その「登録免許税」は土地や建物の固定資産の価格をもとに計算することになるので、土地や建物の固定資産の価格を確認するために「固定資産評価証明書」を取得する必要があります。
この固定資産評価証明書は不動産がある市区町村役場または市税事務所で取得することができます。
固定資産評価証明書は毎年更新されますが、亡くなった年のものではなく、相続登記を申請する時点の最新年度ものが必要になります。
法務局によっては、納税通知書(毎年届く固定資産税の納付に関する通知書)で対応してくれることもあるので、最新年度の納税通知書が手元にある場合は、法務局に納税通知書で対応してくれるか確認してみましょう。
3-3-1 固定資産評価証明書を市区町村役場(市税事務所)で取得しよう
相続登記を行う不動産の固定資産評価証明書を集めていきましょう。
固定資産評価証明書は不動産がある市区町村役場か市税事務所で取得することができるので、不動産のある市区町村役場か市税事務所のどちらかへ請求します。
(取得できる人)
相続人、不動産共有者、代理人(要委任状)
(準備するもの)
・土地や建物の所在(地番や家屋番号)
・本人確認書類
(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード(個人番号カード)など)
・認印
・相続人であることを証明する書類
(亡くなった人と請求する相続人の関係がわかる戸籍関係書類。なお、不動産の共有者である場合はこの書類は不要です。)
・取得に必要な費用(必要な費用は役所によって異なります。目安としては1つの不動産につき300円程度です。余裕をもってお金を持参しておきましょう。)
(手続きの流れ)
①不動産のある市区町村役場または市税事務所へ行く
窓口の取扱時間は各役所によって様々なので、確認してから行きましょう。
基本的には平日の午前9時00分から午後5時00分までは受け付けてくれると思います。市民サービスセンターのようなものが設置されている役所では、土日でも営業していることもあるので、各役場に確認して見ましょう。
②交付申請書に記入しよう
窓口に準備されている「固定資産評価証明書交付請求書」に不動産の所在と土地の地番、建物の家屋番号、その他の必要事項を記入します。
請求する人の氏名、住所、連絡先を記入する欄もあるので、忘れずに記入してください。
③窓口に提出しよう
窓口に交付申請書とその他の必要書類を提出します。
⑤固定資産評価証明書を受け取ろう
番号(名前)が呼ばれたら手数料を支払い、固定資産評価証明書を受取ります。
(取得できる人)
相続人、不動産共有者、代理人(要委任状)
(準備するもの)
・土地や建物の所在(地番や家屋番号)
・本人確認書類のコピー
(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード(個人番号カード)など)
・認印
・相続人であることを証明する書類のコピー
(亡くなった人と請求する相続人の関係がわかる戸籍関係書類。なお、不動産の共有者である場合はこの書類は不要です。)
・取得に必要な費用分の定額小為替
・発送用の封筒
・返信用の封筒(切手を貼ったもの)
(手続きの流れ)
①交付申請書を取得しよう
不動産のある市区町村役場のホームページから交付申請書をダウンロードし、必要な部数を印刷してください。
②交付申請書に記入しよう
ダウンロードした交付申請書に不動産の所在、土地の地番や建物の家屋番号、その他の必要事項を記入します。
その他、請求する人の氏名、住所、連絡先を記入する欄もあるので、忘れずに記入してください。
③定額小為替を購入しよう
郵便局で定額小為替を購入し、同封してください。
(取得に必要な費用は役所によって異なります。目安としては1つの不動産につき300円程度です。余ったときは返してくれるので余裕をもって小為替を購入し、同封しておきましょう。)
④市区町村役場または市税事務所へ郵送しましょう
交付申請書、本人確認書類のコピー、相続人であることを証明する書類のコピー、返信用封筒、定額小為替を同封して、市区町村役場(市税事務所)へ郵送しましょう。
⑤郵便での返送を待ちましょう
市区町村役場の繁忙によりますが、発送してからおおよそ10~20日程度で届きます。
STEP④ 相続登記に必要な書類を作成しよう
必要な書類の取得が終われば、書類の作成に進みましょう。
作成する書類は手書き、印字どちらでもいいので、自分にあった方法で作成してください。
3-4-1 相続関係説明図を作成しよう
相続関係を一枚の書面にまとめた「相続関係説明図」を作成して、登記申請書に添付しておくと、登記が完了した後、戸籍謄本などの戸籍関係書類の原本を還付してくれます。
戸籍関係書類は預金口座解約など他の相続の手続きにも使用できるので、相続関係説明図を作成して戸籍関係書類の原本を還付してもらいましょう。相続関係説明図は取得している戸籍謄本に記載されている情報をもとに作成しましょう。
3-4-2 遺産分割協議書を作成しよう
亡くなった人が遺言書を残していないときは、相続人全員で話し合いによって財産の分配方法を決定します。
これを遺産分割協議といいます。遺産分割協議が整えば、協議の内容をまとめた遺産分割協議書を作成しましょう。以下に注意して遺産分割協議をおこなってください。
相続人全員が参加すること
遺産分割協議には相続人全員が参加する必要があります。必ずしも一堂に集まる必要はなく、電話や書面のやり取りによって協議を行っても大丈夫です。
以下は遺産分割協議書を作成するときの注意点です。
分割内容や相続の情報については正確に記載すること
記載漏れや誤字脱字のないように注意してください。
それでは次の雛形をもとに遺産分割協議書を作成してみましょう。
遺産分割協議書が作成できたら、相続人全員が合意していることを証明するために、相続人全員が署名し、実印で捺印しましょう。
また、実印であることの証明のため、印鑑証明書をそれぞれ1通提出してもらい、実印で間違いないか確認してください。
この印鑑証明書は遺産分割協議書と一緒に法務局へ提出することになります。
3-4-3 登録免許税を計算しよう
登記申請の際には法務局へ登録免許税という税金を納める必要があります。
登録免許税は一般的に登録免許税分の収入印紙を登記申請書に貼り付けておく方法で納めます。
登録免許税は以下の計算方法で算出します。
”登録免許税の計算の流れ”
- 固定資産評価証明書に記載されている固定資産の価格を確認します。
- 不動産が2つ以上ある場合は、確認した固定資産の価格を合算します。
- 合算金額から1000円未満の金額を切り捨てます。
- 上記金額に✕0.4%します。
- 上記金額から100円未満の金額を切り捨てます。
”計算例”
①建物4,886,200円 土地15,480,440円
②4,886,200円(建物)+15,480,440円(土地)=20,366,640円
③20,366,000円(マイナス640円)
④20,366,000円✕0.4%=61,464円
⑤81,400円(マイナス64円)
この「81,400円」が登録免許税の金額になります。
”計算例 持分2分の1”
亡くなった人が持分を所有していた場合の計算方法は以下のとおりになります。
亡くなった人が所有権の一部(持分)を有していたときは、②の額に持分割合を掛けて、持分の価格を算出してから③に進んでください。
②4,886,200円00円(建物)+15,480,440円(土地)=20,366,640円
※20,366,640円✕持分2分の1=10,183,320円
③10,183,000円(マイナス320円)
”計算例 マンションの場合”
マンションの場合は固定資産の価格としてマンションの敷地全体の金額が記載されていることが多くあります。そのときは敷地全体の価格に敷地の持分割合を掛けて算出しましょう。
敷地の持分割合は取得した登記簿謄本の「敷地権の割合」という部分で確認してください。
マンションの敷地の場合の計算方法は以下のとおりになります。
敷地全体の価格(5億6500万円)✕敷地の持分割合(3800分の30)
=敷地(土地)の固定資産の価格(4,460,526円)
②敷地(土地)の固定資産の価格(4,460,526円)+建物価格=固定資産の合算額
③に進んでください。
3-4-4 登記申請書の作成と必要書類のチェックをしよう
これまで集めてきた書類をもとに登記申請書を作成します。
あなたが置かれている相続シチュエーションのパターンによって、作成する登記申請書の形式は異なるので、3つのパターンに応じて登記申請書を説明していきます。
また、登記申請時に必要な書類について、パターンごとに説明しているので書類が揃っているかも合わせて確認してください。
登記申請書の雛形は法務局のHPからダウンロードできます。以下のリンクから自身のパターンに応じて使用してください。
3-4-5 遺産分割による登記申請書と必要書類
ここでは遺産分割による場合の登記申請書を以下の事例をもとに説明したいと思います。
「事例」
亡くなった人 父 山田 太郎
相続人 妻 山田 花子
長男 山田 一郎
次男 山田 次郎
父が所有していた自宅不動産について相続人全員で遺産分割協議を行い、長男一郎が単独で不動産を取得することに決めた。
遺産分割による相続登記申請の際に必要な書類が揃っているか確認しましょう。
- 被相続人(太郎)の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本
- 被相続人(太郎)の出生までのすべての除籍・改製原戸籍など
- 相続人全員(花子・一郎・次郎)の戸籍謄本
- 被相続人(太郎)の住民票(除票)または戸籍の附票(除附票)
- 相続関係説明図
- 遺産分割協議書
- 相続人全員(花子・一郎・次郎)の印鑑証明書
- 不動産を取得する相続人(一郎)の住民票または戸籍の附票
- 不動産の固定資産評価証明書または納税通知書
3-4-6 遺言による登記申請書と必要書類
ここでは遺言による場合の登記申請書を以下の事例をもとに説明したいと思います。
「事例」
亡くなった人 父 山田 太郎
相続人 妻 山田 花子
長男 山田 一郎
次男 山田 次郎
父太郎が「自宅不動産を長男一郎へ相続させる」という内容の公正証書遺言を残していた。
遺言による相続登記申請の際に必要な書類が揃っているか確認しましょう。
- 被相続人(太郎)の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本
- 不動産を取得する相続人(一郎)の戸籍謄本
- 被相続人(太郎)の住民票(除票)または戸籍の附票(除附票)
- 公正証書遺言
(公正証書遺言以外の場合は家庭裁判所へ検認の申立を行い、検認済証明書が付された遺言書が必要です。) - 相続関係説明図
- 不動産を取得する相続人(一郎)の住民票または戸籍の附票
- 不動産の固定資産評価証明書または納税通知書
3-4-7 法定相続分による登記申請書と必要書類
ここでは法定相続分による場合の登記申請書を以下の事例をもとに説明したいと思います。
「事例」
亡くなった人 父 山田 太郎
相続人 妻 山田 花子
長男 山田 一郎
次男 山田 次郎
遺言書は残されていなかった。
遺産分割協議をしないで法定相続分どおりに相続登記を行う。
法定相続分による相続登記申請の際に必要な書類が揃っているか確認しましょう。
- 被相続人(太郎)の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本
- 被相続人(太郎)の出生までのすべての除籍・改製原戸籍など
- 相続人全員(花子・一郎・次郎)の戸籍謄本
- 被相続人(太郎)の住民票(除票)または戸籍の附票(除附票)
- 相続関係説明図
- 相続人全員(花子・一郎・次郎)の住民票または戸籍の附票
- 不動産の固定資産評価証明書または納税通知書
STEP⑤ 登記申請書類を組み上げよう
これまでに取得した書類と作成した書類を組み上げていきます。
組み上げの順序や方法について明確なルールは存在しないので、一般的な方法として説明いたします。
3-5-1 添付した書類の原本を還付してもらうための準備をしよう
法務局に提出した書類のうち一部の書類については登記が完了した後、原本を返してもらうことができます。
戸籍関係書類については相続関係説明図を提出することで原本を返してもらえますが、その他の書類については一定の準備をしておかないと、原本を返してもらえないので原本を返してもらうための準備の仕方を説明したいと思います。
(戸籍関係書類)
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本
- 被相続人の出生までのすべての除籍・改製原戸籍
- 被相続人の住民票(除票)または戸籍の附票(除附票)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 遺言書
- 印鑑証明書
- 不動産を取得する人の住民票または戸籍の附票
- 不動産の固定資産評価証明書または納税通知書
戸籍関係書類以外の書類の原本を返してもらうための以下のとおり準備しましょう。
3-5-2 登記申請書類を組み上げよう
登記申請書類をホッチキスやクリップを使って合綴していきます。
以下の順番で書類を組み上げて行きましょう。
”登記申請書の組み上げ方法”
- 申請書
- 登録免許税分の印紙を貼った紙
- 原本還付書類のコピー
- 相続関係説明図
~~~~~~~~~~ホッチキスで合綴する~~~~~~~~~~~
※①②③の合綴した書類に不動産を取得する人全員が割印しましょう。
※収入印紙には消印する必要はありません。
⑤必要な添付書類の原本
~~①から④の合綴した書類に⑤の書類をクリップで留めましょう。~~
STEP⑥ 法務局へ登記申請しよう
いよいよ登記申請です。登記申請の方法には以下の3つのパターンがあるので、自分に合った申請方法を確認してください。
- 窓口に持参する方法
- 郵送で申請する方法
- オンラインで申請する方法
このうちオンラインで申請する方法は電子証明書を取得したり、パソコンの設定が必要だったり、手間や費用がかかってしまうので、あまりオススメできません。
遠方にある不動産の場合や平日に法務局に行けない場合などは郵送で申請することになりますが、窓口であれば相談コーナーなどで、直前に気になることを聞いてから提出できるので、なるべく窓口で申請することをオススメします。
3-6-1 法務局へ登記申請しよう
以下の順で窓口に申請しましょう。
①法務局へ向かう前に持参するものを確認しましょう。
・登記申請書一式
・申請書に捺印した印鑑
・印紙を購入するための現金
(登録免許税分の印紙の貼付けしていない場合)
②不動産を管轄している法務局へ行きましょう。
③法務局に着いたら、「不動産登記の受付窓口」へ探しましょう。
わからない場合は案内板を確認したり、係員に聞いて教えてもらいましょう。
心配な人は法務局にある無料相談窓口で事前に登記申請書をチェックしてもらいましょう。
④受付の人に登記申請書一式を提出しましょう。
⑤受付の人に受付番号を教えてもらい、メモなどで控えておきましょう。
登記完了後、書類の受領の際にこの受付番号が必要になります。
⑥窓口の近くに登記完了予定日の掲示があるので、完了予定の日付を確認しておきましょう。
以下の順で郵送により申請しましょう。
①郵送前に最終確認しましょう。
郵送の場合は窓口で事前に確認してもらうことができないので、念入りに不備がないか確認してください。
②郵送で完了書類を受け取るための準備をしましょう。
以下のとおり申請書に必要事項を記載しておけば、郵送で完了書類を受け取ることができます。
※記入する場所は登録免許税の下になります。
その他の事項
送付の方法により登記識別情報通知書及び登記完了証の交付、原本還付書類の返還を希望します。
送付先 申請人の住所
申請書に上記の一文を加えたら、返信用の封筒(切手貼付け)を準備しましょう。
返信は本人限定郵便で送られてくるので、切手の金額を間違えないように注意しましょう。
また、レターパック510でも対応してくれるので、どちらか準備して、同封してください。
③申請書一式を書留郵便で郵送しましょう。
封筒には「不動産登記申請書 在中」と書いておきましょう。
④登記の完了予定日を確認しよう。
法務局のホームページに登記完了予定日が掲載されているので、確認しておきましょう。
ホームページに掲載されていないときは法務局へ電話して確認しましょう。
STEP⑦ 登記の完了を確認しよう
登記申請をしたら後は完了を待つだけです。
万が一、申請書や添付資料に不備があった場合は申請してから1~2週間後、法務局から連絡があるので、指示に従って対応してください。
郵送で申請している場合でも法務局まで行って、窓口で不備への対応をしないといけない可能性もあります。
完了予定日まで連絡がなかった場合は不備がなかったということなので、窓口で申請している場合は法務局で完了書類を受取りましょう。
以下の順で登記の完了を確認しましょう。
①完了書類の受取りましょう。
完了書類の受取りは窓口または郵送により、受領することになります。
窓口で受け取る場合は、「本人確認書類」「メモした受付番号」「申請書に捺印した印鑑」を持参しましょう。
不動産登記係の窓口に行って、受付番号を伝え、書類受領の確認の印鑑を押して完了書類を受けとってください。
②完了書類の確認しましょう。
完了書類の以下のものになるので、不足がないか確認してください。
・登記識別情報通知
・登記完了書
・原本還付の依頼をしていた書類
③名義が変更されているか確認しましょう。
亡くなった人から相続人へ名義変更されているか、登記事項証明書を取得して確認しましょう。
④登記識別情報通知を保管しましょう。
受け取った登記識別情報通知は「不動産権利証」とも呼ばれる、大事な書類になりますので、金庫などで大切に保管しておいてください。
これで相続登記の手続きは完了になります。
4章 不動産の相続登記は自分でする?それとも司法書士に依頼する?
相続登記の手続きは一般的に「自分」で行うか「司法書士」へ依頼して行うことになります。
自分で行うとき、司法書士へ依頼するときのメリットとデメリットを一覧にしていますので、参考にしてください。
※司法書士への手数料は不動産の価格や数、依頼内容によって増減しますので、あくまで目安としてご参照ください。
司法書士の手数料の相場などについて詳しく知りたい方はこちら
4-1 自分で相続登記手続きを行う場合の難易度を知ろう
相続登記手続きの難易度はご自身の置かれている状況や相続の内容によって大きく変わります。
自分ですべての手続きができそうか、それとも司法書士に依頼した方がいいのかを判断する目安として、自分で相続登記を行う場合の難易度を一覧にしました。ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
すべての質問において◯の回答であれば、司法書士へ依頼することなくご自身で相続登記できる可能性が高くなります。反対に×が1つでもあった人は司法書士へ依頼することも検討しましょう。
4-2 自分で行うか司法書士へ依頼するかの判断ポイント
私は今まで、数多く「自分で相続登記をしようとして頑張ってみたが、途中で諦めた人」から、引き継いでご依頼を受け、相続登記の手続きを行ってきました。
自分で相続登記の手続きをするには「相当な時間」と「手間」を覚悟しないといけないので、かかる時間や手間をふまえ判断することをオススメします。
迷うときは、無料で見積してくれる司法書士事務所もあるので、見積だけ依頼してみてもいいでしょう。
また、司法書士へ依頼するにしても、一から十まで依頼するのではなく、戸籍収集など自分でできる事は自分で行い、難しい書類作成の部分だけ司法書士へ依頼すれば、司法書士費用を抑えることができます。
当メディアを運営している「グリーン司法書士法人」は、積極的に相続登記手続きのサポートを行っており、手続き一式から部分的なご依頼までお選びいただけます。無料相談をご希望の方は以下のサイトからご予約ください。
4-3 ベストな司法書士事務所の選び方
私の知る限り、相続登記ができない(苦手な)司法書士はいないので、単に相続登記の手続きをしてもらうだけなら、最寄りの司法書士事務所に依頼すればいいでしょう。
しかし、以下のようなケースについては相続案件を数多く取り扱っている司法書士事務所へ依頼することをオススメいたします。
- 不動産の名義を誰にするのか、専門家の意見を聞いてから決めたい。
- とにかくスピーディーに登記手続きしてほしい。
- 連絡の取れない又は連絡が取りにくい相続人がいる。
- 不動産だけでなく、他の遺産も含めた遺産分割協議書を作りたい。
- 不動産以外の相続手続きや名義変更についても相談したい。
- 2次相続の対策についても合わせて相談したい。
- 相続税のこともふまえて、不動産を誰の名義にするか決めたい。
相続案件を数多く取り扱っている司法書士事務所には様々な内容の相続案件が集まるため、ノウハウが蓄積されており、経験値もあるため相続登記だけでなく、幅広く相続に関する相談に対応してくれるからです。
また、そのような事務所は相続税に強い税理士との連携を密に行っているので、相続税の心配があるときでも安心です。
5章 相続登記に関してよくあるQ&A
ここでは私が相続登記に関する相談時に数多く受けてきたご質問をご紹介いたします。
5-1 不動産を相続人達の共有名義にしても問題ない?
不動産を共有名義にすると売却するときに共有者全員の同意が必要になったり、共有者が亡くなってしまうと、その相続人である血のつながりの薄い人や血のつながりのない人と、共有することになってしまうので注意が必要です。
また、一旦長男と次男の共有名義にした後、次男の持分を長男に贈与して、長男の単有名義にしようと思うと、贈与税、登録免許税、不動産取得税など、少なくない税金がかかることになるので、誰の名義にするかは将来その不動産をどのように承継していきたいのかをよく考えてから判断しましょう。
5-2 売却することが決まってても相続登記は必要?
相続した不動産を売却することが決まっている場合でも、相続登記手続きは必要です。むしろ、相続登記が完了していないと売却できません。
スムーズに売却手続きできるように、事前に相続登記手続きを行なっておきましょう。
5-3 亡くなった人が持っていた権利証はどうしたらいいの?
相続登記の手続きをすると法務局から新たに名義人になった相続人へ、新しい権利証(登記識別情報通知)が発行されるため、これまでの権利証は効力を失います。ただし、共有名義で発行されている権利証の場合は共有者の部分については、これからも権利証として有効なので必要になります。
判断が難しい場合は新たに発行された権利証(登記識別情報通知)と一緒に古い権利書も保管しておくほうが無難でしょう。
5-4 亡父名義の実家に母が住んでいるのですが、子供の名義にしても問題ないですか?
不動産の名義人と居住者が一致している必要はないので、ご質問の場合でも問題はありません。
ただし、相続税がかかる場合は配偶者や同居していた人の名義にすることで、受けられる減税の制度もあるので、相続税の減税制度も調べてから判断しましょう。
まとめ
これまで相続登記手続きについて説明してきましたが、ご理解いただけましたでしょうか。
少なくとも自分で相続登記手続きを行うには、それなりの手間や時間がかかることはご理解いただけたと思います。
調べごとや事務作業が得意な方で且つ平日に十分な時間を取れるようであれば、一度チャレンジしてみてもいいでしょう。
しかし、一生に1回か2回しかない手続きのために多くの時間を割いて勉強したり、手続きの手間を考えると、私として正直なところ「餅は餅屋」「登記は司法書士」へ依頼した方がいいのでは。と思っています。
どちらにせよ、そのまま放置することなく必ず相続登記手続きを行っていただくようお願いいたします。
よくあるご質問
不動産の相続登記をしないとどうなる?
2024年4月からは相続登記が義務化されるので、土地を取得してから2年以内に相続登記をしないと罰則を受ける恐れがあります。
▶相続登記の義務化について詳しくはコチラ
不動産の相続登記の仕方は?
相続登記の流れは、下記の通りです。
①不動産についての必要情報を集める
②戸籍関係書類を集める
③固定資産税の評価証明書を取得する
④相続登記に必要な書類を作成する
⑤登記申請書類を組み上げる
⑥法務局へ登記申請する
⑦登記の完了を確認する
▶相続登記の流れについて詳しくはコチラ