土地を子供や孫に譲る場合、生前贈与と相続のどちらが得かはケースバイケースとなります。生前贈与と相続ではかかる税金が異なるので、事前にシミュレーションした上で手続きすることが大切です。
土地を子供や孫に引き継がせる方法には、生前贈与や相続があります。
生前贈与は、元気なうちに希望する相手へ土地を渡せる一方、贈与税や不動産取得税などの負担が重くなりやすい点に注意が必要です。
一方、相続は税金や登記費用を抑えやすいものの、遺産分割協議で相続人同士が揉めるリスクがあります。
本記事では、土地は生前贈与と相続のどちらが得なのか、それぞれのメリット・デメリットやかかる税金を解説します。
目次
1章 土地は生前贈与と相続のどちらが得?
土地を子供や孫に受け継いでもらう場合、生前贈与や相続といった方法があります。
「生前贈与と相続のどちらが得だろう」と悩まれる方もいるかもしれませんが、どちらが得かはケースバイケースであり一概にはいえません。
一般的には、税金や登記費用だけを比較すると、相続の方が負担を抑えやすい傾向があります。
単純に税率のみで比較すると、贈与税より相続税の税率の方が低く設定されているからです。
また、不動産の名義変更時にかかる登録免許税も贈与より相続の方が低く設定されています。
また、相続で土地を取得する場合、自宅や事業用の土地については「小規模宅地等の特例」の適用を受けられる可能性があります。
本特例の適用を受けられると、土地の評価額を大幅に軽減できるので、相続税の負担を抑えやすくなります。
一方で、生前贈与には「元気なうちに確実に渡せる」「相続トラブルを防ぎやすい」「将来値上がりが見込まれる土地を早めに移せる」といったメリットがあります。
そのため、単純な税額だけでなく、家族関係や今後の土地活用まで含めて検討することが大切です。
1-1 生前贈与が適しているケース
生前贈与が適しているのは、主に以下のケースです。
- 特定の人に確実に土地を渡したい
- 早い段階で子供や孫に土地を活用してほしい
- 将来的に土地の値上がりが見込まれる
特定の人物に土地を譲りたい場合には、生前贈与を検討しましょう。
相続では遺言書がない限り、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があり、希望通りに土地を承継できない可能性もあります。
他にも、子供が自宅を建築する場合や事業で使用する土地を探している場合などでも、生前贈与で土地を譲った方が良いケースもあります。
さらに、将来的に土地の値上がりが見込まれる場合も、早い段階で土地を譲った方が結果として税負担を抑えられる可能性があるでしょう。
1-2 相続が適しているケース
相続が適しているのは、主に以下のケースです。
- 税負担を抑えたいケース
- 小規模宅地等の特例の適用を受けられるケース
- 遺産総額が少なく相続税がかからないことが予想されるケース
単純に税率のみを比較した場合、贈与税よりも相続税の税率の方が低く設定されています。
また、小規模宅地等の特例の適用を受けられれば、相続税の負担を大幅に軽減できることもあります。
他にも、遺産総額が少なく、相続税がそもそもかからない家庭では、無理に生前贈与をせず相続で土地を受け継いだ方が税金や名義変更の費用を抑えられます。
2章 土地を生前贈与するメリット・デメリット
土地の生前贈与は、相続対策として有効な場面がある一方で、税金や手続き面の負担も大きい方法なので、慎重に判断しましょう。
2-1 生前贈与するメリット
土地を生前贈与する最大のメリットは、贈与者が元気なうちに財産の承継先を決められる点です。
相続発生後に相続人同士で争いが起きると、土地の名義変更や売却が進まないことがあります。
一方、あらかじめ生前贈与をしておけば、「誰がその土地を取得するのか」を明確にでき、相続トラブルの予防につながります。
また、受贈者が早期に土地を活用できる点もメリットといえるでしょう。
生前贈与で土地を早い段階で譲れば、子供や孫が家を建てたり、賃貸物件を建築したりできます。
さらに、生前贈与をすると将来の相続財産を減らせるので、相続税を減額できる可能性もあります。
2-2 生前贈与するデメリット
土地の生前贈与の大きなデメリットは、税金や諸費用が高くなりやすいことです。
贈与税は相続税より税率が高くなるケースが多く、土地の評価額が高い場合には大きな負担となります。
加えて、贈与による名義変更では登録免許税が2.0%かかり、相続登記の0.4%と比べると税率が5倍になります。
また、贈与によって土地を取得すると、不動産取得税がかかることにも注意しなければなりません。
一方、相続で土地を取得する場合には原則として不動産取得税はかかりません。
そのため、この点でも生前贈与は費用面で不利になりやすいといえます。
3章 土地を相続で譲るメリット・デメリット
子供や孫に土地を相続で譲ると、税金面で有利になることがあります。
特に、相続税の基礎控除内に収まる家庭や、小規模宅地等の特例の適用を受けられる可能性がある土地については、相続で引き継いだ方が負担を抑えられるでしょう。
3-1 相続で譲るメリット
土地を相続で譲る大きなメリットは、生前贈与と比べて税金や諸費用を抑えやすい点です。
土地を贈与すると、贈与税や不動産取得税、登録免許税などがかかる可能性があります。
一方、相続で土地を取得する場合、原則として不動産取得税はかかりません。
また、相続登記の登録免許税は固定資産評価額の0.4%であり、贈与による所有権移転登記の2.0%よりも低く設定されています。
また、相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除があります。
遺産総額が基礎控除の範囲内であれば、相続税はかかりません。
さらに、自宅や事業用の土地を相続する場合には、小規模宅地等の特例の適用を受けられる可能性があります。
例えば、故人が住んでいた自宅の敷地については、相続税評価額を最大8割軽減できます。
3-2 相続で譲るデメリット
土地を相続で譲るデメリットは、故人の死亡後に相続人同士で話し合いが必要になる点です。
遺言書がない場合、土地を誰が取得するかは、相続人全員による遺産分割協議で決めなければなりません。
故人が希望していた人物が土地を受け継げない可能性もありますし、相続人のうち1人でも合意しなければ、土地の名義変更や売却を進められないため、手続きが停滞する恐れがあります。
また、土地は現金のように平等に分割するのが難しい財産でもあります。
土地を取得した人物が他の相続人に代償金を支払う代償分割もありますが、土地を取得した人物に十分な資金がなければ公平な分割が難しくなります。
そのため、土地を相続で譲る場合、生前贈与で譲る場合よりも、トラブルが発生しやすいといえるでしょう。
4章 土地を生前贈与・相続で譲るときにかかる税金
土地を生前贈与または相続で譲る際には、税金や登記費用が発生する場合があります。
どちらの方法を選ぶかによって、課税される税金の種類や負担額は大きく変わるため、事前に違いを理解しておくことが大切です。
4-1 生前贈与の際にかかる税金
土地を生前贈与する場合、主に「贈与税」「登録免許税」「不動産取得税」がかかります。
まず、土地を無償で譲り受けた人には贈与税が課せられる可能性があります。
贈与税には、毎年110万円の基礎控除があり、1年間に受けた贈与額が110万円を超えると贈与税が課税されます。
土地は評価額が高額になりやすく、110万円の基礎控除だけでは税負担を抑えきれないケースが多いでしょう。
さらに、土地の名義変更をする際には登録免許税がかかります。
贈与による所有権移転登記の登録免許税の税率は、固定資産税評価額の2.0%です。
例えば、固定資産税評価額が2,000万円の土地であれば、登録免許税だけで40万円かかります。
加えて、土地の贈与を受けた人には不動産取得税が課せられる可能性があります。
不動産取得税は、土地や建物を取得したときに都道府県から課される税金です。
土地の税率は原則として3%とされており、住宅用土地など一定の要件を満たす場合には軽減措置を受けられることがあります。
4-2 相続の際にかかる税金
土地を相続で取得する場合、「相続税」と「登録免許税」がかかることがあります。
生前贈与と異なり、相続による取得では原則として不動産取得税はかかりません。
相続税は、土地だけでなく、預貯金、有価証券、建物などを含めた遺産総額をもとに計算されます。ただし、相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除があり、遺産総額が基礎控除額以下であれば相続税はかかりません。
また、故人が住んでいた自宅の敷地などについては、「小規模宅地等の特例」の適用を受けられる可能性があります。
相続で土地を取得した場合、名義変更時にかかる登録免許税は「固定資産税評価額×0.4%」で計算するため、贈与時よりも税負担は軽くなります。
例えば、固定資産税評価額が2,000万円の土地であれば、登録免許税は8万円となります。
まとめ
土地を生前贈与するか相続で譲るかは、税金だけでなく、家族関係や土地の利用予定、将来の相続トラブルの有無まで含めて判断することが大切です。
税負担のみを単純に比較した場合、登録免許税や不動産取得税、小規模宅地等の特例などを考えると、相続の方が費用を抑えやすいケースが多いでしょう。
一方で、特定の人に確実に土地を渡したい場合や、早めに土地を活用したい場合には生前贈与が適していることもあります。
判断に迷う場合は、司法書士や税理士などの専門家に相談しましょう。
グリーン司法書士法人では、生前贈与や相続対策についての相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
5,000万円の土地を贈与すると、いくら贈与税がかかりますか?
5,000万円の土地を贈与した場合の贈与税額は、誰から誰への贈与か、暦年課税か相続時精算課税かによって異なります。 例えば、親や祖父母などの直系尊属から、18歳以上の子や孫へ土地を贈与する場合には「特例税率」を用いて計算します。
この場合、贈与税額は「(5,000万円-110万円)×55%-640万円=2,049万5,000円」となります。
暦年贈与ではなく、相続時精算課税制度を利用する場合、年間110万円の基礎控除を差し引いた上で、累計2,500万円まで特別控除を利用できます。
特別控除額を超えた部分には、一律20%の贈与税がかかります。
ただし、相続時精算課税で贈与した財産は、将来の相続税の計算に加算される点に注意が必要です。
家をタダでもらうと贈与税がかかりますか?
家を無償でもらった場合、原則として贈与税の対象になります。
贈与税は、現金だけでなく、土地や建物などの不動産を無償で譲り受けた場合にも課税される可能性があるためです。 また、「タダでもらったわけではなく、安く買った」という場合でも注意が必要です。
親族などから時価より著しく低い金額で家や土地を購入した場合、時価と売買価格との差額について贈与があったとみなされる可能性があります。
親子であっても土地を譲ってもらうと贈与税がかかりますか?
親子であっても、土地を無償で譲ってもらえば、原則として贈与税がかかります。
親から子への贈与だからといって、当然に非課税になるわけではありません。 例えば、親名義の土地を子供名義に変更した場合、その原因が「贈与」であれば、子供に贈与税がかかる可能性があるでしょう。
▶土地の譲渡にかかる税金ついて詳しくはコチラ











