- 相続登記をしないと相続税は課税されないのか
- 相続税申告・相続登記を行う前にすべき準備
- 相続税を計算する方法
不動産を所有している人が亡くなったときには、相続登記が必要です。
2024年4月からは相続登記が義務化され、相続から3年以内に登記申請をしないと10万円以下の過料が発生する恐れがあります。
なお、家族や親族が亡くなったときには、相続登記とは別に相続税申告が必要な場合もあります。
相続税申告の期限は相続開始から10ヶ月以内であり、仮に不動産の相続登記を放置していても相続税はかかるのでご注意ください。
本記事では、相続登記と相続税の関係についてわかりやすく解説します。
家族や親族が亡くなったときの相続手続きの流れは、下記の記事で詳しく解説しているので合わせてお読みください。
目次
1章 相続登記をせずに放置していても相続税はかかる
本記事の冒頭で解説したように、亡くなった人が所有していた不動産の相続登記を行わずに放置していたとしても相続税はかかりますし、申告手続きもしなけれはなりません。
亡くなった人が所有していた不動産は、相続登記が行われていなくても相続人全員の共有財産として扱われるからです。
したがって、相続税を節税するために相続登記を先延ばしにしても意味がないのでご注意ください。
それどころか、相続登記や相続税申告を放置すると下記のデメリットがあります。
- 2024年4月から相続登記が義務化された
- 相続税を申告しないとペナルティが発生する
- 相続税は相続開始から10ヶ月以内と期限が決められている
- 相続税は遺産分割の内容を踏まえて計算するのが原則である
それぞれ詳しく解説していきます。
1-1 2024年4月から相続登記が義務化された
2024年4月からは相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に登記申請を済ませないと10万円以下の過料が発生する恐れがあります。
なお、相続登記の義務化は過去の相続に対しても適用されるのでご注意ください。
まだ相続登記がお済みでない不動産をお持ちの人は、早めに手続きをすませましょう。
相続登記は自分で行うこともできますが、司法書士に数万円程度で依頼も可能です。
1-2 相続税を申告しないとペナルティが発生する
相続税が発生しているにもかかわらず申告および納税をしないでいると、追徴課税のペナルティが発生してしまいます。
相続税を申告しなかったときに発生するペナルティは、下記の通りです。
- 延滞税
- 無申告加算税
- 重加算税
相続税は固定資産税などと異なり、役所や税務署が税額を計算し納付書を送付してくれるわけではありません。
遺産総額が一定額を超える場合は、相続税申告および納税が必要なのでご注意ください。
相続税を計算する流れは、下記の記事で詳しく解説しています。
1-3 相続税は相続開始から10ヶ月以内と期限が決められている
相続税の申告および納税期限は、相続開始から10ヶ月以内と期限が決められているのでご注意ください。
相続登記の義務化の期限は「相続開始から3年以内」なので、相続税の申告期限の方が早く設定されています。
1-4 相続税は遺産分割の内容を踏まえて計算するのが原則である
相続税の計算は、遺産分割の内容を踏まえて行うことが原則とされています。
そのため、一般的には10ヶ月以内に遺産分割の内容を相続人間で確定させて、税申告を行いその後速やかに相続登記申請を行います。
相続税の申告期限までに相続登記などの名義変更手続きを完了させるメリットは、主に下記の通りです。
- 実際の相続分に応じた相続税を納められるため、修正申告や更正の請求が不要となる
- 小規模宅地等の特例や相続税の配偶者控除などを適用できる
- 相続不動産を売却して相続税の納税資金に充てられる
万が一、不動産や預貯金の遺産分割が完了しないうちに相続税の申告期限が来てしまった場合は、一旦は遺産未分割の状態で申告書を提出し、納税する必要があります。
2章 相続税申告・相続登記を行う前にすべき準備
相続税申告や相続登記をする際には、事前に相続人調査や相続財産調査を行っておく必要があります。
相続税申告や相続登記の前に行う準備は、下記の通りです。
- 遺言書の有無の調査・検認手続きをする
- 相続人調査をする
- 相続財産調査をする
- 遺産分割協議を開始する
- 遺産分割協議書を作成する
上記の準備はただ行えば良いわけではなく、行う順番も重要です。
例えば、遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるため、協議完了後に新たな相続人が見つかると遺産分割協議をやり直さなければなりません。
相続は人生の中でそう何度も発生することではないので、初めて相続税申告や相続登記をする人も多いでしょう。
自分で手続きできるか自信がない場合や仕事や家事、育児などで忙しい場合は司法書士や税理士などの専門家に手続きを依頼することをおすすめします。
3章 相続税を計算する方法
相続税は不動産だけでなく、亡くなった人が所有していた預貯金や株式など様々な遺産に対してかかります。
また、相続税は遺産ごとにかかるのではなく、遺産総額に対してかかることも理解しておきましょう。
相続税を計算する流れは、下記の通りです。
- 財産を評価する
- 遺産の総額から基礎控除額を引く
- 基礎控除額を引いたあとの遺産を法定相続分で分ける
- 法定相続分で分けた遺産から相続税の総額を計算
- 相続税の総額を実際の相続割合で分けなおす
- 控除・加算で最終的な納付税額を求める
上記のように、相続税を計算するには遺産ごとの相続税評価額を算出しなければなりません。
亡くなった人の遺産の種類が多いほど申告に手間がかかるので、相続税申告を税理士に依頼することも検討しましょう。
4章 相続税を申告する方法
相続税申告は、相続開始から10ヶ月以内に亡くなった人の最後の住所地の税務署に申告書や必要書類を提出する必要があります。
相続税申告の手続き方法および必要書類は、下記の通りです。
手続きする人 | 遺産を相続した人 |
手続き先 | 亡くなった人の住所地を管轄する税務署 |
必要書類 |
|
なお、相続税には「小規模宅地等の特例」や「相続税の配偶者控除」などの控除や特例が用意されています。
控除や特例を活用できれば、相続税を大幅に節税できるので漏れなく利用しましょう。
自分が利用できる控除や特例がわからない場合は、相続に強い税理士に相続税申告を依頼するのもおすすめです。
5章 相続登記をする方法・必要書類
相続登記は不動産の住所地を管轄する法務局にて、登記申請書や必要書類を提出して手続きします。
2024年4月からは相続登記が義務化され、相続から3年以内に登記申請をしないと10万円以下の過料が発生する恐れがあるのでご注意ください。
相続登記の手続き方法および必要書類は、下記の通りです。
手続きする人 |
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提出先 | 不動産の所在地を管轄する法務局 |
費用 | 不動産固定資産評価額の0.4%(登録免許税) (目安:1000万円の場合4万円、2000万円の場合8万円) |
必要なもの |
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必要書類については、亡くなった人と相続人の関係や遺言書の有無によっても変わるので事前に確認しておきましょう。
相続登記を自分で行うことが難しい場合は、司法書士に相続登記を依頼することもご検討ください。
6章 相続税申告・相続登記を依頼できる専門家
相続税申告や相続登記は自分で行うだけでなく、税理士や司法書士などの専門家にも依頼可能です。
相続税申告は税理士、相続登記は司法書士が得意としている業務なので、自分が依頼したい内容にあわせて相談する専門家を選びましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
6-1 相続税申告は税理士に依頼する
相続税申告を依頼したい場合は、税理士に依頼しましょう。
税理士は、税金に関する専門家であり、相続税申告は税理士しか行うことができません。
ただし、税理士の業務は多岐にわたるため、すべての税理士が相続税に精通しているわけではありません。
例えば、税理士事務所によっては法人との顧問契約を中心に行っているところもあります。
そのため、相続税申告を税理士に依頼する際には、事務所のHPなどを確認し相続税申告の実績を確認しておくと良いでしょう。
6-2 相続登記は司法書士に依頼する
相続登記を得意としている専門家は、司法書士です。
登記申請だけでなく、預貯金などの相続手続きや遺産分割協議書の作成も可能ですので、ワンストップで相続手続きを依頼することもできます。
そのため、登記申請のみを依頼したい人だけではなく、相続手続きを何から始めて良いかわからない人や仕事が忙しく相続手続きを進められない人も司法書士に依頼するのが良いでしょう。
依頼内容によって司法書士に支払う報酬が大きく変わってくるので、司法書士事務所の初回無料相談を活用して見積もりを取得しておくことをおすすめします。
まとめ
相続登記と相続税申告はどちらも相続手続きですが、直接の関係はありません。
相続登記をすることで亡くなった人から相続人へ不動産の名義変更手続きが完了しますが、相続税に関しては登記申請が済んでいない不動産に対してもかかるのでご注意ください。
相続税申告と相続登記を行う前には、相続人調査や相続財産調査を行う必要があるので、家族や親族が亡くなった後は速やかに相続手続きを進めることをおすすめします。
忙しくて相続手続きを進められない場合や何から行うべきかわからない場合は、相続に詳しい司法書士や税理士に相談するのが良いでしょう。
士業同士には横のつながりもあるため、相続に強い司法書士に登記申請を依頼すれば相続税申告を行ってくれる税理士も紹介してもらえます。
グリーン司法書士法人では、相続登記についての相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。