- 相続について相談できる専門家・窓口
- 相続について相談する専門家の選び方
誰しもが一度は「家族の死」を経験します。
しかし「相続」について「専門家に相談したい!」と思っても「どこに相談したらいいんだろう」と迷われるケースも多いです。
相続の相談をする専門家は「司法書士・行政書士・税理士・弁護士銀行・市役所」が一般的です。
相続の相談先は複数あるので、相談したい内容や相続の状況によって使い分ける必要があります。
本記事をお読み頂けば、いざというときあなたのお悩みに応じて、どの専門家に相談に行けば良いのか、相談先を選ぶ際のポイントがわかります。
ぜひお読みいただいて、いずれは訪れる親の相続の際にご活用ください。
1章 相続について相談できる専門家・窓口
相続について相談できる専門家や窓口は、主に下記の8つです。
相談先 | 相談がおすすめな人の特徴 |
---|---|
司法書士 |
|
行政書士 | 相続手続きに必要な書類の収集のみを依頼したい人 |
税理士 |
|
弁護士 | 相続トラブルの解決を依頼したい人 |
銀行 |
|
市役所 |
|
税務署 |
|
法テラス |
|
上記の中でも相続に関する専門家は、司法書士と弁護士、税理士と行政書士です。
銀行は各専門家と相談者を結ぶ総合的な窓口としての機能を果たしています。
市役所は、無料で相談に乗ってもらえるのはメリットですが、予約が取りにくくすべての相続手続きや問題が解決する可能性が低いです。
それぞれの専門家の得意分野や相談するのがおすすめな人の特徴を解説していきます。
1-1 司法書士への相続相談
司法書士は、相続登記の専門家であり、相続財産の中に不動産が含まれる人の相談先に向いています。
他にも相続放棄の申立てや遺言書の検認手続きなど、裁判所へ提出する書類一切の作成を依頼できます。
相続を専門とする司法書士は、様々な相続手続きを行えるだけでなく、民法の知識や不動産知識が豊富な点が特徴です。
1-1-1 司法書士に相談できること
司法書士に相談できる相続手続きは、主に以下の通りです。
- 不動産の名義変更(相続登記)
- 亡くなった方が役員をしていた会社の変更登記
- 金融機関の相続手続き
- 遺言書の作成
- 遺言書の検認
- 遺言執行
- 遺産分割協議書の作成
- 相続放棄
1-1-2 司法書士への相談がおすすめな人
司法書士は相続登記の専門家なので、相続財産に不動産がある人などは司法書士に相続手続きを依頼するのが良いでしょう。
具体的には、下記に当てはまる人は司法書士への相談がおすすめです。
- 相続財産の中に不動産がある人
- 遺産分割協議書を作成したい人
- 相続放棄をリーズナブルに行いたい人
相続人間でトラブルになっていなく遺産分割協議書の作成を手軽にすませたい場合には、司法書士に依頼するのが良いでしょう。
また、相続放棄の手続きは、書類のやりとりだけで終わるケースがほとんどです。
なるべく安く相続放棄の手続きをすませたい人は、弁護士ではなく司法書士に依頼すると費用を節約できます。
ただし、相続放棄に関しては、弁護士も司法書士も取り扱わない事務所も多いので確認をして相談をしましょう。
1-2 行政書士への相続相談
行政書士は、役所等に提出する書類を作成する専門家です。
遺産分割協議書の作成や相続手続きに必要な戸籍謄本の収集などを行ってもらえます。
他の専門家と比較すると若干相談費用が安いのが魅力ですが、行政書士にしか行えない相続手続きはありません。
例えば不動産登記は司法書士しか扱えませんので、行政書士に不動産を含む相続手続きを依頼した場合は、不動産の名義変更は別で探さなければなりません。
結論を言うと、グリーン司法書士法人行政書士法人のように、司法書士と行政書士のダブルライセンスの事務所も多いので、そのようなパターンが費用も抑えられ、依頼できる業務も幅広いためベストです。
1-2-1 行政書士に相談できること
行政書士に相談できる相続手続きは、主に以下の通りです。
- 遺産分割協議書の作成
- 遺言書の作成
- 金融機関の相続手続き
1-2-2 行政書士への相談がおすすめな人
行政書士のメリットは、他の専門家よりも相談費用が安価な点です。
以下に当てはまるケースでは、行政書士に相続手続きを依頼すれば、費用を節約しつつ相続手続きをスムーズにすませられます。
- 現金や預貯金しか相続財産がない
- 相続手続きに必要な戸籍謄本などの収集のみを依頼したい
上記の相続手続きは行政書士のみで対応可能です。
一方で、不動産の相続登記は司法書士、相続税申告は税理士など別の専門家への依頼が必要になります。
さらに専門家を探さなければならず二度手間になってしまう恐れがあるので、ご注意ください。
1-3 税理士への相続相談
税理士は、税金に関する専門家であり、相続税申告を依頼するなら税理士に相談しましょう。
ただし、税理士のすべてが相続に関して精通しているわけではないので、相談する税理士を選ぶ際には事前に公式ホームページなどで実績を確認しておくと安心です。
1-3-1 税理士に相談できること
税理士に相談できる相続手続きは、主に以下の通りです。
- 相続税申告
- 準確定申告
- 相続税の節税対策
1-3-2 税理士への相談がおすすめな人
税理士は税金についての専門家なので、相続税の申告が必要な人は税理士に依頼するのが良いでしょう。
具体的には、以下に当てはまる人は税理士への相談をご検討ください。
- 相続税申告が必要な人
- 準確定申告が必要な人
準確定申告とは、相続人が亡くなった人のかわりに所得を計算し申告および納税をする制度です。
準確定申告は、相続開始から4ヶ月以内に行わなければならず、相続税の申告期限よりも期限が短い点に注意が必要です。
家族や親族が亡くなり法要や片付けなどでバタバタしていて「自分で準確定申告をやっていると間に合わない」と思ったときには、税理士に依頼してしまうと良いでしょう。
1-4 弁護士への相続相談
弁護士は紛争解決の専門家であり、紛争になっている相続案件を解決できる唯一の専門家です。
相続トラブルの依頼には力になってもらえる一方で、費用は高額になりがちです。
そのため、トラブルに発展していない相続手続きを依頼したい場合には、あえて弁護士を選ぶ必要性は薄いでしょう。
1-4-1 弁護士に相談できること
弁護士に相談できる相続手続きは、主に以下の通りです。
- 相続に関する争いの解決
- 相続放棄
- 遺言書の作成
- 遺言書の検認
- 遺言執行
- 遺留分減殺請求
- 遺産分割調停
1-4-2 弁護士への相談がおすすめな人
すでに相続トラブルが起きていて、当事者同士での解決が難しい場合には、弁護士に相談するのが良いでしょう。
下記に当てはまるケースは、弁護士に相続に関する相談をするのがおすすめです。
- 相続人間で紛争になっているケース
- 遺言書の無効を訴えたいケース
弁護士は代理人として行動できるので、相続人間で意見が食い違い紛争になった際にかわりに交渉してもらえます。
一方で、まだトラブルが発生しておらず「もしかしたら相続トラブルに発展するかもしれない」といった段階では、弁護士ではなく司法書士への相談がおすすめです。
弁護士が代理人になることで、他の相続人が身構えてしまう恐れもありますし、他の相続人も弁護士を代理人として立ててくる可能性もあるからです。
それに対して、司法書士であれば中立な立場で相続の相談をお受けできるため、円満解決を目指せます。
1-5 銀行への相続相談
信託銀行なども、相続に関する相談や手続き代行を受け付けています。
ただし、銀行に相続手続きを依頼したとしても、実際に手続きを行うのはこれまで紹介した専門家です。
銀行はあくまでも相続相談の窓口として機能するだけであり、外注費用が別途かかるので相談費用が高額になりがちです。
1-5-1 銀行に相談できること
相続相談を受け付けている銀行であれば、ほぼすべての相続手続きに対応してもらえます。
ただし、実際に手続きを行うのは信託銀行ではなく専門家であり、信託銀行から各専門家に外注されます。
1-5-2 銀行への相談がおすすめな人
銀行に相続相談をするのがおすすめな人は、遺産の金額が大きく今後も信託銀行と付き合う予定がある人です。
銀行の相続相談は専門家の外注費用がかかるので、高額になってしまいます。
今後も銀行と良いお付き合いを続けようと考えている人以外は、銀行に相続の相談をするメリットは薄いといえるでしょう。
1-6 市役所への相続相談
自治体は「税理士による税務相談」や「複数の専門家による相続相談会」などを開催しています。
こういった相談会は無料で参加できますし、直接専門家と話せる機会なので相続に関する悩みを解決しやすいです。
ただし、相談会の予約は埋まりやすく自分が希望するタイミングで、専門家に相談できない可能性もあります。
また、相談会では一般的なアドバイスにとどまり、具体的な手続き方法やアドバイスは教えてもらえない場合も多いです。
1-6-1 市役所に相談できること
市役所が開催している無料相談会では、専門家に対して相続に関する一般的な疑問を質問できます。
「どの専門家に相談して良いかわからない」「家族が亡くなって何から始めればよいかわからない」と悩んでいる人は、一度相談してみても良いかもしれません。
1-6-2 市役所への相談がおすすめな人
市役所への相談がおすすめな人は、相続に関する疑問をざっくりとでも解決したい人です。
無料相談会では専門家に気軽に相談できますし、今後どの専門家にどんな相続手続きを依頼すれば良いのかも教えてもらえます。
一方で無料相談会の場では、専門家に相続手続きを依頼できませんし、作成書類の添削などもしてもらえません。
具体的なアドバイスを受けたい人や相続の状況に合った提案を受けたい人は、これまで紹介した専門家に直接相談するのが良いでしょう。
1-7 税務署への相続相談
税務署でも、相続税についての相談について対応しています。
電話で個別相談も可能ですし、実際に税務署で職員と面談をして質問も可能です。
税務署への相談は無料ですし、一般的な内容に留まらず、個別の事情についてアドバイスももらえます。
一方で、税務署での相談は相続税の節税対策については対応してもらえませんので「節税対策を教えてほしい」「相続税申告を任せたい」といった場合には税理士に依頼しなければなりません。
1-7-1 税務署に相談できること
税務署への相続税についての相談が可能です。
一般的なルールの説明に留まらず、個々の事情に対して具体的なアドバイスを受けられます。
1-7-2 税務署への相談がおすすめな人
税務署では無料で相続税について相談できる一方で、相続税の節税対策についての相談には対応してもらえません。
したがって、相続税を節税したい人や相続税申告を依頼したい人は、税務署ではなく最初から税理士に相談することも検討しましょう。
税務署への相談がおすすめな人の特徴は、下記の通りです。
- 無料で相続税について相談したい人
- 相続税の申告は自分でしたい人
- 相続税申告のルールについてのみ確認したい人
1-8 法テラスへの相続相談
法テラスは、国によって設立された法的トラブル解決のための案内所です。
相続についての相談も可能であり、無料で3回まで専門家に相談できますし、司法書士や弁護士への依頼費用の立替えも行ってもらえます。
一方で、法テラスを利用するには資産、収入要件をクリアしなければなりません。
そのため、そもそも法テラスを利用できない可能性もあると理解しておきましょう。
1-8-1 法テラスに相談できること
法テラスでは法律に関する様々なトラブルに対応してもらえます。
相続について法テラスに相談できることは、主に下記の通りです。
- 遺産分割
- 遺言書作成
- 相続トラブル
- 相続放棄・限定承認
1-8-2 法テラスへの相談がおすすめな人
法テラスは利用にあたり、収入や資産要件を設定しているため、そもそも経済状況によっては法テラスを利用したくても利用することができません。
そのため、まずは法テラスの利用要件を満たしているか確認しておきましょう。
法テラスへの相談がおすすめな人の特徴は、主に下記の通りです。
- 収入が少なく専門家への依頼費用を用意できない人
- 専門家の報酬を分割払いしたい人
2章 相続の相談先を選ぶ際のポイント
1章で解説したように、相続について相談できる専門家は司法書士や弁護士、税理士、行政書士です。
また、銀行や市役所でも相続に関する相談を受け付けています。
各専門家は得意分野や対応業務範囲が異なるので、自分に合った専門家に相談しましょう。
自分が依頼したい手続きや相続の状況に合った専門家を選ぶためのポイントを2つ紹介していきます。
2-1 相続全体をコーディネートできる専門家を選ぶ
他の専門家とのネットワークを持っていて、専門外に関してもある程度知識を持っている専門家に相続の相談をすると、スムーズに手続きを進められます。
ネットワークを持っていて相続に精通した専門家が相談者の相続全体をコーディネートしてくれるからです。
実際に、専門家がネットワークや自分の専門外の知識を活用し、相談者の相続に関する悩みを解決した事例を紹介します。
【現状】
- Aさんは現在74歳
- もしAさんが亡くなったら遺産額は約4億円(内訳は不動産3億円、現預金3,000万円、自分の経営する会社の株式が7,000万円)
- Aさん死亡時の相続人は妻B・長男C・次男D(障がい有り)の3人
Aさんが生前に遺していた希望は、下記の通りです。
【Aさんの希望】
- 相続税をできるだけ抑えて子ども達に資産を残してあげたい
- 自分と妻Bが亡くなってからも障がいのある次男Dが困らないようにしたい
- 自分の経営する会社を長男Cに継がせたい
実際の相続に関する相談では、事例のように希望する内容が複数あり、一人の専門家だけでは解決できない場合が多いです。
紹介した事例では、相続をコーディネートできるプロが以下のように提案しました。
提案内容 | 対応する専門家 |
---|---|
Aさん死亡時の相続税の計算(概算) | 税理士 |
相続税の納税資金確保のための不動産売却 | 司法書士・不動産会社 |
資産管理会社の設立 | 司法書士 |
土地の評価を下げる為の建物所有者の変更 | 司法書士 |
土地を分筆(1つの土地を2つに分ける)して土地の評価を下げる | 土地家屋調査士 |
相続税の際に生命保険の控除を使う為、生命保険の加入 | 生命保険会社 |
長男Cに経営権を譲るための株式の家族信託 | 司法書士 |
障がいを持つ次男Dが両親の死後も生活に困らないように家族信託契約 | 司法書士 |
代表取締役変更の役員変更登記 | 司法書士 |
遺言書の作成 | 司法書士 |
相続全般に幅広い知識を持ち他の専門家と連携を取って、全体をコーディネートできる事務所を選択すれば、複数の専門家を探す手間も省けます。
相談する専門家を探す際には、公式ホームページ等で他の専門家と連携できる体制になっているのかを確認しておきましょう。
2-2 業者が紹介する専門家は業者よりの提案をしがちなので注意する
アパート・マンション業者や銀行等から紹介された税理士や司法書士等の専門家は、業者よりの提案をしがちですので注意をしましょう。
顧客の紹介をしてもらっている関係上、どうしても下請け的になってしまい、業者や銀行が喜ぶ提案をしがちになってしまうのです。
例えば、相続税が増税されたことにより、相続税対策と称して様々なセミナーや営業行為をアパート・マンション建設業者や銀行などが行っています。
セミナー後は、業者と提携(下請け)している税理士などが提案書の作成や営業への同行を行うので、紹介をしてくれる業者に喜んでもらえる提案をしがちです。
具体的には、必要ないアパート建設を提案の中に入れる、最終的には融資につながる様な提案を作るケースもあります。
もちろん、提携しているすべての専門家がそうだとは限りませんが、ビジネスの世界では仕事を紹介する方が立場が強いというのは想像できます。
本当にあなたの為の提案をしてくれる専門家を見つける為にも、自分で司法書士や税理士を探してより良い提案をしてもらいましょう。
3章 専門家に相続について無料相談をする流れ
司法書士や弁護士事務所などでは、初回相談を無料としているところも多いです。
初回相談無料の事務所を利用すれば、相続手続きの流れや手続きを進める際の問題点や注意点も把握できます。
本章では、相続の無料相談を受ける流れを詳しく解説していきます。
3-1 お問合せをする
まずは、士業事務所のHPなどからお問合せをしてみましょう。
多くの士業事務所では、電話だけでなくメールでのお問い合わせにも対応しているので、時間や場所を選ばずに問い合わせ可能です。
グリーン司法書士法人では「0120-002-110」もしくはこちらからお問合せをお受けしています。
3-2 相談日時を予約する
お問合せ後は、日程調整をして初回相談の予約をしましょう。
予約の際に必要な書類について確認しておくと、当日スムーズに相談できるはずです。
3-3 無料相談を受ける
当日を迎えたら、専門家に相続についての疑問や不安を相談しましょう。
専門家は相続についての一般的なルールや個々の事情にあったアドバイスをしてくれるはずです。
なお、グリーン司法書士法人では、初回相談は時間無制限としています。
ご相談者様の疑問やお悩みに徹底的に寄り添いますので、お気軽にお問い合わせください。
3-4 2回目以降の相談や依頼を検討する
初回相談が完了したら2回目以降の相談予約を入れるか、相談をした事務所に相続手続きを依頼するか検討しましょう。
多くの事務所では初回相談無料を実施しているので、複数の事務所に相談し比較検討してみるのもおすすめです。
まとめ
相続について相談できる専門家は複数いますが、それぞれ得意分野や対応できる業務範囲が異なります。
相談したい内容や相続の状況に合わせて、司法書士や弁護士、税理士、行政書士などを上手く活用しましょう。
また、相談する専門家を選ぶ際には、以下の点にも考慮が必要です。
- 相続に関する業務を専門にしているか
- 自分の専門分野だけでなく、相続全般をコーディネートできるか
- 下請関係やしがらみのない司法書士や弁護士、税理士、行政書士かどうか
相続に関する事は判断をひとつ間違えると大きな損害を受ける恐れもあります。
プロを上手に活用して、ミスのない相続手続きを行いましょう。
グリーン司法書士法人では、相続手続きに関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですのでまずはお気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
相続の専門家は誰?
相続について相談できる専門家や窓口は、主に下記の通りです。
・司法書士
・弁護士
・税理士
・行政書士
・銀行
・窓口