骨を埋めるつもりで購入した持ち家でも、何らかの理由で空き家になってしまうことは少なくありません。
「どうせ購入したものだしそのままにしていても問題ないのでは?」と思うかもしれませんが、空き家問題は年々増加し社会問題にもなっています。
空き家をそのまま放っておくと、近隣トラブルや倒壊の危険などの問題を引き起こす可能性があるため、ぜひとも有効活用を考えましょう。
この記事では、空き家問題の原因と有効活用する方法を解説いたします。
目次
1章 空き家問題は年々増加傾向
高齢者社会が進んだこともあり、空き家問題は年々増加傾向にあります。
総務省の調査によると、現代では全住宅の7戸に1戸が空き家という状況になっており、2033年頃には全住宅の3戸に1戸が空き家になる予測が立てられています。
空き家であっても売却や賃貸しようと募集していれば良いですが、ただ長期間放置されているだけの空き家は犯罪の温床になったり、放火されやすいなど社会問題になっています。
本来なら誰かしら住むはずの家が空き家になってしまい、そのまま放置され続けているといった問題が増えているようです。
1-1 空き家問題の原因
では、なぜ空き家ができてしまうのでしょうか?空き家問題の原因は主に3つあります。
- 住む人が高齢になり転居又はお亡くなりになった
- 所有者が空き家のままにしている
- 固定資産税や解体費用がかかるので放置している
特に多いケースとしては、元々住んでいた人が高齢になり老人ホームに転居したり長らく病院生活を強いられているケースです。やむを得ず家を空けてしまい、そのまま継ぐ人がいなく放置されていることは少なくありません。
また、老後の住まいとして別のマンションなどに住み替えたり、親の家を継いで相続したものの自分の持ち家があるのでそのままにしておくという人も珍しくありません。
他にも、家を解体すると解体費用がかかったり、土地の固定資産税がかかることでかえってお金がかかってもったいないため、空き家のまま放置するという場合が多いようです。
2章 空き家を所有・相続することで発生する4つの問題
「自分の所有物だし、別に空き家にしていても問題ないのでは?」と思うかもしれませんが、空き家をそのまま所有したり相続することで発生する問題もあります。
主な4つの問題としては、以下のような可能性が考えられます。
- 犯罪に巻き込まれるリスクが上がる
- 景観の乱れや害獣による近隣住民への被害
- 建物の老朽化による倒壊の危険
- 「特定空き家」に認定され処分の対象になる
2-1 犯罪に巻き込まれるリスクが上がる
ずっと空き家にし続けていることで、犯罪に巻き込まれるリスクが高くなることが考えられます。
泥棒などの窃盗犯は、まず初めに何回か下見に来て侵入できそうか決めます。生活感の残ったままの空き家があると分かれば、侵入リスクの少ない家だと見なされ犯行に及ぶ可能性が高くなります。
また、空き家ということで逃走している犯罪者が侵入して、潜伏場所として利用していたケースも実際起こっています。
また、住民の監視が利かないため、不法投棄や放火などの対象となる可能性も、居住中の家と比べて高くなってしまいます。
空き家はこういった犯罪を犯しやすい環境が整っているため、犯罪に巻き込まれる可能性が高くなります。
2-2 景観の乱れや害獣による近隣住民への被害
空き家にしていると、当然家の手入れをする人がいないため庭の雑草や木がどんどん生い茂ってしまいます。ツタや雑草が成長してしまい壁に絡まっている空き家を目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
他にも、空き家だと知りモラルのない人が、空き缶やタバコの吸い殻などのポイ捨て場にする可能性もあります。
こういった景観の乱れにより近隣住民が不快な思いをしてしまいます。
また、ネズミやハクビシンなどの害獣が住処にしたり、スズメバチが巣を作ってしまう場合もありトラブルにもなりかねません。空き家を放置していると近隣住民へ被害が及んでしまうかもしれません。
2-3 建物の老朽化による倒壊の危険
最後は、建物の老朽化による倒壊や建材が剥がれる危険性があることです。
家を建てた時代によってはまだ耐震が十分でない場合もあり、更に建物がどんどん老朽化していることで大きな地震や台風、洪水などで倒壊してしまうリスクがあります。
誰も住んでいない空き家はどんどん傷んでしまうため、もし災害があった場合は崩れてしまうかもしれません。もし誰かに大きな怪我をさせてしまった場合は所有者の責任になってしまいます。
大事にならない前に空き家を所有している場合は、使い道を見直す必要があります。
空き家を所有するときのコストとリスクについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、併せてご確認ください。
2-4 「特定空き家」に認定され処分の対象になる
特に問題が起きてないからと言って、空き家をずっと放置していると「特定空き家」に認定され、処分の対象になるので注意が必要です。
特定空き家に認定されると、住宅として使われている土地に対する固定資産税の軽減措置から除外されるため固定資産税が高額になるデメリットがあります。中には特定空き家に指定されたことで固定資産税が6倍になったケースも。
思いがけない税金を払わないためにも、空き家を放置し続けるのは避けましょう。
3章 空き家を有効活用する5つの方法
空き家問題を解決するには、空き家を売却して手放す、活用するなどの方法が有効です。
空き家問題の対策は、主に下記の5つです。
- 空き家を売却する
- リフォームをして賃貸する
- 取り壊して駐車場収入を得る
- 空き家管理サービスを利用する
- 空き家バンクを利用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①空き家を売却する
1つ目は空き家を売却することです。一番簡単かつ売却代金も手に入れられるため、今後誰も住む予定がない場合は売却するのも良いでしょう。
ただし、築数十年も経っている持ち家の場合、そこまでのお金にならない場合もよくあります。「空き家を所有し続けるよりは多少でもお金になる方が良い」という場合は売却するのも手です。
他の使い道よりも今後の手間がないので、早く空き家問題を解決したい場合にもおすすめです。
②リフォームをして賃貸する
学校やオフィス街が近い立地や主要駅から近い立地の場合は、リフォーム後に賃貸やルームシェアとして貸し出して家賃収入を得るのも方法の1つです。
特に、人気のエリアでは住みたい人が多いためすぐに入居者が見つかる可能性もあります。
ただし、リフォーム費用などそれなりの初期投資が必要なので、もし予算に余裕がある場合は検討しましょう。
③取り壊して駐車場収入を得る
リフォームではなく、家を取り壊して駐車場収入にする方法です。特に、都内など駐車場が少ない住宅街に駐車場を建てるなど需要が見込める場合では月極の収入を得ることができます。
土地の広さによっては、生活していけるくらいの収入を見込める可能性もあります。
ただし、住宅用の土地ではなく資産用の土地になるため、土地の固定資産税・都市計画税が高くなる場合もあります。駐車場収入はあるが、かえって税金で損をしてしまったということがないように、取り壊す前に月いくらくらいになるのか確認しておきましょう。
④空き家管理サービスを利用する
空き家を売却したり取り壊しは考えていないけれど、忙しかったり所有者が高齢化になり手入れができないという場合は空き家管理サービスを利用しましょう。
空き家管理サービスとは、月々一定の額で建物の点検をしてくれたり敷地内のゴミや庭の手入れをしてくれるサービスのことです。
具体的に空き家管理サービスを利用することで、
- 郵便ポストのチラシの回収による空き巣防止
- 定期的な通水や換気で悪臭防止
- 庭の草むしりや草木の確認で近所トラブル防止
など住んでいる状態のままキープすることができます。
庭のゴミ回収など簡易的なものであれば、月数百円で簡単な月の巡回をしてくれる管理サービスもあるので、所有者の予算や都合と相談して利用してみるのも良いでしょう。
⑤空き家バンクを利用する
最後は、自治体が主体となって運営している空き家バンクを利用する方法です。
空き家バンクとは、空き家の利用を希望する人に空き家を紹介する制度のことです。所有している空き家を登録しておくことにより、賃貸や土地の購入をしたいという人が出てきたら譲ることが可能です。
売却とは異なり、すぐに売ることは難しいですが欲しい人の手元に渡るため、思い入れのある家を有効活用してほしいという場合におすすめの方法です。
空き家バンクは国土交通省のサイトページなどで空き家情報のリンクを確認することができるので、利用を検討している方はぜひ参考にしてみましょう。
4章 空き家問題を回避するために対策しておくべきこと
空き家問題を回避するためには、空き家になる前にいくつかあらかじめ対策をしておくのがおすすめです。
いざ空き家ができてしまった時に困らないためにも、ぜひ今のうちから家族と話し合っておきましょう。
具体的には以下の4点を検討するのが良いでしょう。
- 不動産の名義を調べておく
- 誰が家を相続するのかを決めておく
- 転居が決まった時点で売却する
- 空き家になった時の使い道を考えておく
4-1 不動産の名義を調べておく
今後、住む人がいなくなる可能性がある場合、不動産の名義を調べておくようにしましょう。
所有者不明のまま空き家になると相続するにせよ売却するにせよ、いざという時に誰に権限があるのか分からない状態になってしまいます。
名義を調べた頃には所有者が亡くなっていたり、判断能力がなくて困ったケースも珍しくありません。空き家になる前に現時点で誰が不動産の名義になっているのかを調べておきましょう。
4-2 誰が家を相続するのかを決めておく
もし親や祖父母が所有者で持ち家に住むのが難しくなった場合、誰が家を相続するのかを決めておくようにしましょう。相続先が決まっていないまま持ち家に住む人が不在になると空き家問題へと繋がる可能性が高くなります。
また、持ち家を名義変更して相続をする場合、相続登記は必須になるのでこちらも忘れずに行いましょう。所有者が判明しない土地を増やさないために法律により、2024年~義務化されることが決定しており、相続発生から3年以内に相続登記の申請を行わなければ罰則があるので注意しましょう。
相続登記については以下の記事で詳しく解説しているので確認してみましょう。
4-3 転居が決まった時点で売却する
もし誰も相続しないことが決まっているのであれば、現状の持ち家の所有者の転居が決まった時点で売却するのも1つの手です。
特に所有者が高齢者の場合、判断能力があるうちに速やかに現金化しておくことで、介護費用や医療費の捻出がスムーズになることもメリットと言えるでしょう。
所有者の判断能力があるうちに売却しないと、売却できないため早めに手続きを行うのをおすすめします。
4-4 空き家になった時の使い道を考えておく
もっと前の段階で、持ち家が空き家になった時の使い道を家族で話し合って考えておくのもおすすめです。
もし今後空き家になることが分かっていたら、家族信託を使う方法もあります。家族信託とは、所有者が元気なうちに信頼できる子どもや親族と契約をし、所有者に代わって財産を管理できるようにする契約のことです。
家族信託することで、不動産を売却したり人に貸したり修繕などを子どもの判断のみで行うことができます。
一回契約すると、所有者が認知症や病気などで判断能力が低下してしまっても有効なので、いざという時に子どもや親族が手続きできるように権限を渡すのも方法の1つです。
5章 空き家の相続問題はグリーン司法書士にお任せを!
年々増加する空き家問題。せっかくの思い出が詰まった持ち家を放置しないためにも、有効活用したり財産として残しておくようにしましょう。そのまま放置しておくと、様々なリスクと固定資産税の変更などで思わぬ損をしてしまう可能性があります。
もし空き家になりそうであれば今のうちから、次世代に相続したり売却を考えるのも手です。
空き家になる予定の家や、既に空き家になってしまった家を相続する場合は、将来的な処分方法も含めて事前対策をとっておくことが対策です。
ぜひ、不動産、相続、登記の専門家集団であるグリーン司法書士にぜひお気軽にご相談ください。