贈与税の支払い時期は贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までです。
贈与税の申告期限と納付期限は同じなので、申告書を提出した後は忘れずに贈与税を納めましょう。
贈与税の支払い方法には複数ありますが、税額が高額な場合は現金を持ち歩かなくてすむダイレクト納付やインターネットバンキングによる納付もご検討ください。
また、贈与税を現金一括納付するのが難しい場合、延納制度を利用すれば最長5年の分割払いを行えます。一方、相続税と異なり贈与税では物納制度は認められません。
本記事では、贈与税の支払い時期や納付方法、納税時の注意点を解説します。
贈与税の計算方法については、下記の記事で詳しく解説していますので、ご参考にしてください。
目次
1章 贈与税の支払い時期は翌年2月1日から3月15日まで
贈与税は贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日に申告および納税をする必要があります。
その年のはじめに贈与を受けた場合、贈与税の申告、納税時期まで期間が空いてしまうので忘れないように注意が必要です。
また、相続税の申告、納税期限は「相続発生から10ヶ月以内」と贈与税と異なるので混合しないようにしましょう。
贈与税は金融機関や税務署の窓口納付、コンビニでの納付、オンライン納付など複数の方法を選択できます。
2章 贈与税の納付方法
贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告書を提出し、納税しなければなりません。
贈与税の納付方法は下記の5つの方法から選べます。
納付方法 | おすすめな人の特徴 |
納付書を使用 | 銀行口座から直接納付できるので現金を持ち歩かなくてすむ (金融機関で支払う場合) |
e-taxによるダイレクト納付 | e-taxで贈与税を申告した人 贈与税の申告、納税を行う頻度が高い人 |
インターネットバンキング納付 | e-taxの利用開始手続きが完了している人 |
クレジットカード納付 | e-taxの利用開始手続きをしたくない人 現金で贈与税を払いたくない人 |
コンビニ納付 | 金融機関や税務署が遠い人 早朝や夕方、夜に贈与税を支払いたい人 |
それぞれの納付方法について詳しく解説していきます。
2-1 納付書を使って納める
贈与税の納付書に必要事項を記入すれば、下記の税務署や金融機関で贈与税を納付できます。
- お住いの地域を管轄する税務署
- 銀行
- 郵便局
なお、贈与税の納付書が手元にない場合は税務署や金融機関で入手可能です。
納付書を使用して贈与税を納める場合は、下記の情報を漏れなく記載する必要があります。
- 年度
- 税目番号(贈与税は051)
- 税務署名(記載済みの場合が多い)
- 納期等の区分(「自」の欄に贈与があった年を記入、申告区分は「4」に〇)
- 本税・合計額(申告書に記載した納付額を記入。金額の前に「¥」を記載する)
納付書を使用して税務署で贈与税を納める場合、現金で納付しなければなりません。
そのため、贈与税が高額な場合は現金を持ち歩くリスクがあり、あまりおすすめできる納付方法ではありません。
2-2 e-taxによるダイレクト納付をする
贈与税の申告書をe-taxで提出した場合、ダイレクト納付で贈与税を支払えます。
ダイレクト納付では、受贈者の預金口座から即日もしくは指定した期日に贈与税額が引き落としされます。
口座引き落としなので贈与税の払い忘れを防げますが、ダイレクト納付を行う際にはe-tax-の利用開始手続きや届出書の提出が必要です。
そのため、1回限りの贈与税申告および納税でダイレクト納付を行うのは他の納付方法に比べて手間がかかるといえるでしょう。
2-3 インターネットバンキングで納める
インターネットバンキングやペイジーに対応している預金口座をお持ちの人は、贈与税をインターネットバンキングで電子納付可能です。
また、インターネットバンキングで贈与税を納める場合も、事前にe-taxの利用開始手続きをすませる必要があります。
2-4 クレジットカードで納める
e-taxの利用開始手続きをすませていない人や手続きする予定がない人は、クレジットカードで贈与税を納めるのもおすすめです。
ただし、クレジットカードで贈与税を納める際には下記の点にご注意ください。
- 納税にクレジットカードを利用してポイントが付与されるかはカード会社の規約によって異なる
- 1,000万円もしくはクレジットカードの決済可能額までしか贈与税を納税できない
- 納税額に応じて手数料がかかる
- 分割払いを選択すると別途手数料がかかる
贈与税をクレジットカードで払うと決済手数料がかかってしまいます。
ポイントを貯めるためにクレジットカード払いを選ぶ人は、手数料と付与されるポイントのどちらが得か計算してみるのがおすすめです。
2-5 コンビニで納付する
専用のQRコードを作成すれば、近所のコンビニで贈与税を納税できます。
コンビニ払いの流れは下記の通りです。
- 国税庁のHPからQRlコードを作成する
- コンビニにQRコードを持参し端末に読み込ませバーコードを出力する
- バーコードをレジで見せて贈与税を納める
手数料はかかりませんし、コンビニは金融機関と異なり営業時間も長いので仕事が終わった後など自由なタイミングで支払えます。
ただし、コンビニで贈与税を納める際には下記のデメリットがあるのでご注意ください。
- 支払い方法は現金のみ
- 納められる贈与税額の上限は30万円
3章 贈与税を支払うときの注意点
贈与税は現金一括納付が原則なので、税額が高額になったときは納税資金を早めに準備しておきましょう。
贈与税は延納を利用すれば分割納付できますが、利子がかかります。
また、贈与税は相続税と異なり物納は認められません。
贈与税を納めるときには、下記の3点に注意しましょう。
- 延納は可能だが利子がかかる
- 贈与税では物納は認められない
- 払い過ぎた贈与税は更正の請求を行える
それぞれ詳しく解説していきます。
3-1 延納は可能だが利子がかかる
贈与税が高額な場合、延納制度を利用すれば最長5年間の分割納付を行えます。
贈与税の延納が認められる要件は、下記の通りです。
- 納付税額が10万円を超えている
- 現金一括納付が困難な理由がある
- 担保を提供する
現金一括納付が困難な理由とは、受贈者が保有している預貯金から生活費を引いた金額が贈与税額より大きい場合を指します。
そのため、贈与税の延納を申請する場合は納付期限までに税務署に必要書類を提出し延納制度の申立てをしなければなりません。
また、延納制度の利用が認められた場合、贈与税に利子がかかる点にも注意が必要です。
3-2 贈与税では物納は認められない
相続税では不動産や株式などで税金を納める物納が認められる一方で、贈与税の納付では物納は認められません。
そのため、現金一括納付もしくは延納制度を利用するしかないのでご注意ください。
3-3 払い過ぎた贈与税は更正の請求を行える
贈与税を期限内に納付したものの贈与財産の評価を間違えた、計算ミスをしたなどの理由で払い過ぎていた場合には更正の請求を行えます。
更正の請求とは、税金を払い過ぎた場合に正しい申告書を提出し直すことです。
更正の請求が認められれば、贈与税のうち払い過ぎた分は還付金として受け取れます。
なお、更正の請求を行えるのは贈与税の申告期限から6年以内です。
例として、2023年4月1日に贈与を受けた場合、贈与税の申告期限および更正の請求の期限を見てみましょう。
贈与を受けた日 | 2023年4月1日 |
贈与税の申告・納付期限 | 2024年2月1日~3月15日 |
更正の請求期限 | 2030年3月15日まで |
更正の請求を税務署に認めてもらうには、専門的な知識や経験が必要になる場合もあります。
自分で行うのは難しいので、生前贈与に強い税理士に相談するのをおすすめします。
まとめ
贈与税の支払い時期は贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日です。
年間110万円を超える贈与を受けた場合、忘れずに贈与税の申告および納税をしましょう。
なお、贈与税には複数の方法があり、それぞれメリットやデメリットがあります。
贈与税額が高額で納税用の現金を持ち歩くのが不安な場合は、ダイレクト納付やインターネットバンキングの利用も良いでしょう。
生前贈与では贈与税の申告や納税だけでなく、贈与財産の名義変更手続きや将来の相続トラブルを防止する対策などすべきことがたくさんあります。
贈与税の申告は税理士、贈与契約書の作成や名義変更手続きは司法書士など各専門家の対応領域は異なるため、複数の専門家で協力しながら贈与を進めるのが理想的です。
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