故人の借金を調べる方法5つ!借金が判明したときの対処法とは

故人の借金を調べる方法5つ!借金が判明したときの対処法とは
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 7

相続財産は不動産や預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も相続します。
知らないうちに故人の借金を相続してしまった、なんてことがないように、自分が相続人になったときには故人が借金をしていなかったか調べなければなりません。

故人が遺した借金を調べる方法には複数あり、借金の相手や種類によっても変わります。
なお調査の結果、故人が借金をしていた場合は相続放棄や限定承認も検討しましょう。

本記事では、故人が遺した借金を調べる方法や借金が遺されていたときの注意点を解説します。
相続財産調査を始めとする相続後に行う手続きは、下記の記事でまとめています。

【保存版】相続手続きでやるべきことまとめ!必要書類や期限も紹介

1章 故人の借金を調べる方法5つ

相続財産には借金も含まれるので、自分が相続人になったときには借金を含む相続財産の調査が必要です。
生前、故人が借金をしていたかどうかやどこからいくら借りていたのかを下記の方法で調べましょう。

  1. 信用情報機関に情報開示請求を行う
  2. 故人の自宅や郵便物を調べる
  3. 故人の通帳でお金の流れを確認する
  4. 知人や親族に尋ねてみる
  5. 不動産の登記簿謄本を確認する

それぞれ詳しく解説していきます。

1-1 信用情報機関に情報開示請求を行う

消費者金融やカードローンによる借金、クレジットカードの未払い分に関しては、信用情報機関に情報開示請求を行えば調べられます。
信用情報機関とは、個人が借りているローンやクレジットカードの利用履歴を登録、管理している機関です。

相続人であれば、信用情報機関への情報開示請求を行い、個人が借金をしていたかどうか残債がいくらかどうか確認できます。
日本に信用情報機関は3つあり、それぞれ請求方法は下記の通りです。

信用情報機関請求方法
JICC
  • インターネット
  • 郵送
CIC
  • インターネット
  • 郵送
  • 窓口
KSC
  • インターネット
  • 郵送

信用情報機関にて情報開示請求を行う際には、本人確認書類や故人と相続人の関係を証明する書類などが必要です。
また、請求時には手数料が数百円~1,000円程度かかるので、事前に確認しておきましょう。

1-2 故人の自宅や郵便物を調べる

信用情報機関への情報開示請求で判明する借金は、信用情報機関に加盟している借入先から借りた借金のみです。

  • 信用情報機関に加盟していない会社からの借金
  • 税金の滞納
  • 公共料金の滞納
  • 連帯保証債務
  • 個人からの借入

上記に関しては、信用情報機関にて情報が登録されていません。
上記の借金や滞納に関しても明らかにするために、故人の自宅や郵便物を確認し、下記の書類などが見つからないか調べましょう。

  • 契約書類(借用書や金銭消費貸借契約書、クレジットカードの利用約款など)
  • 振込証
  • 自宅に届いている督促状や催告書、内容証明郵便
  • 裁判所から届いた書類
  • 借金の督促に関する留守電

上記が見つかった場合、故人が借金をしていた可能性が高いです。
郵便物の差出人を確認し、借金について問い合わせをしてみましょう。

1-3 故人の通帳でお金の流れを確認する

故人の自宅や郵便物だけでなく、通帳も確認してお金の流れを確認しましょう。

  • 消費者金融への振込がある
  • 毎月一定金額が引き落とされている

上記のケースは、亡くなる前に借金の返済をしていた可能性があるからです。

1-4 知人や親族に尋ねてみる

故人が借金していたかどうか知っていそうな知人や親族がいれば、尋ねてみるのも良いでしょう。
ただし、尋ねるときには「自分は〇万円貸していた」などと主張され、騙されないように注意が必要です。

また、知人や親族から故人が借金をしていた場合に返済を要求されてもその場で応じるのはやめましょう。
故人の借金を返してしまう、返す意思を示すと相続放棄ができなくなる恐れがあるからです。

故人がしていた借金の返済を求められたときには、債務の調査中であることのみを伝えましょう。

相続放棄を検討中の方必見!事例を交えて単純承認を詳しく解説します

1-5 不動産の登記簿謄本を確認する

故人が不動産を所有していた場合には登記簿謄本を確認し、不動産に抵当権がついていないか確認しましょう。
不動産の登記簿謄本には甲区と乙区があり、乙区には抵当権や根抵当権、質権など不動産が担保になっているかの情報が書かれています。

故人が所有していた不動産に抵当権などが設定されていた場合には、抵当権者に連絡し債務状況を確認しましょう。
ただし、他の方法で借金を調べるときと同様に、借金の返済や返済を約することは避けましょう。

不動産の登記簿謄本の取得方法は、下記の通りです。

取得できる人誰でも取得できる
取得先
  • 不動産の住所地を管轄する法務局(窓口請求の場合)
  • 全国各地の法務局(管轄法務局が登記情報交換サービスを実施している場合)
取得費用1通につき600円
取得方法
  • 管轄法務局の窓口請求
  • 郵送請求
  • 交換サービスを利用した請求
  • オンライン請求
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2章 故人が借金を遺していたときの対処法

本記事の1章で解説した方法を試したら、故人が遺した借金が見つかった場合は相続放棄もしくは限定承認を検討しましょう。
相続放棄や限定承認の特徴は、それぞれ下記の通りです。

単純承認プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する制度
相続放棄プラスの財産もマイナスの財産も一切相続できなくなる制度
限定承認プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を清算する制度

具体的には、不動産や預貯金などのプラスの財産と借金などのマイナスの財産のどちらが多いかによって相続放棄や限定承認を検討しましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。

借金を相続しないですむ2つの方法を司法書士が簡単解説

2-1 債務よりプラスの財産が多いケース

調査の結果、借金などの債務よりプラスの財産が多かったケースでは、単純承認ですべての財産を相続したとしても相続財産から借金を支払えます。
そのため、相続放棄や限定承認をせず、財産をすべて相続してしまっても良いでしょう。

2-2 債務よりプラスの財産が少ないケース

故人の借金を調べた結果、明らかにプラスの財産よりも借金が多かった場合には、相続放棄を検討しましょう。
財産を受け継いでしまうと、自分の財産から故人が遺した借金も支払わなければならなくなるからです。

相続放棄をする際には、家庭裁判所に申し立てをしなければなりません。
申し立て方法の概要と必要書類は、下記の通りです。

手続きする人
  • 相続放棄したい相続人
  • 法定代理人
手続き先故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
手続き費用
  • 収入印紙:800円分
  • 連絡用の郵便切手代:1,000円程度
必要書類
  • 相続放棄申述所
  • 故人の住民票除票もしくは戸籍附票
  • 相続放棄する相続人の戸籍謄本
  • 収入印紙
  • 切手
  • 故人と相続人の関係性を証明する書類

など

相続放棄の手続きに必要な書類と準備方法をチェックリストで解説

2-3 債務とプラスの財産のどちらが多いかわからないケース

故人の借金を調べたものの借金があることはわかったが金額がわからなかった場合やプラスの財産と債務のどちらが多いかわからないときには、限定承認を検討しても良いでしょう。
限定承認とは、相続したプラスの財産の範囲内で故人が遺した借金を返済する制度です。

限定承認は相続人が所有する財産から故人の借金を支払わなくてすむメリットがあります。
一方で、限定承認を行う際には下記の点に注意しなければなりません。

  • 相続人全員で手続きをしなければならない
  • みなし譲渡所得税という税金が発生する場合がある

限定承認も相続放棄同様に、家庭裁判所での申し立てが必要です。

手続きする人相続人全員が共同して行う
手続き先故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
手続き費用収入印紙:800円
連絡用の郵便切手代:1,000円程度
必要書類
  • 家事審判申立書(裁判所窓口またはHPからダウンロード)
  • 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 故人の住民票除票または戸籍附票
  • 相続人の戸籍謄本

など

限定承認はこれを読めば分かる!選択すべき3つのパターンとメリット

3章 故人の借金を調べるときの注意点

故人の借金を調べるときには、相続放棄に期限があることを理解し速やかに調査を行わなければなりません。
また、どんなに故人の借金を調査したとしても限界があり、すべての借金の存在を明らかにすることは難しいケースもあります。

故人の借金を調べるときの注意点を詳しく解説します。

3-1 相続放棄には期限がある

相続放棄の期限のスタート地点

相続放棄は「自分が相続人であると知ってから3ヶ月以内」と期限が決められています。
期限を過ぎてしまうと、相続放棄の申し立てができなくなる恐れがあるのでご注意ください。

本記事で紹介したように、相続放棄を検討する際には故人の借金の有無や金額を調べる必要がありますし、相続放棄申し立て時には様々な必要書類の収集が必要です。
相続放棄の期限に遅れないようにするために、相続発生後は速やかに故人の借金の調査や相続放棄の準備を進めましょう。

相続放棄の期限に間に合いそうにない場合には、家庭裁判所に申し立てれば期限の伸長を行えます。
相続放棄の期限の伸長手続きの概要および必要書類は、下記の通りです。

手続きする人
  • 相続放棄の期限を延長してほしい相続人
  • 法定代理人
手続き先故人の最後の住所地の管轄の家庭裁判所
手続き費用
  • 収入印紙800円分
  • 連絡用の郵便切手代
必要書類
  • 申立書
  • 故人の住民票除票又は戸籍附票
  • 伸長を求める相続人の戸籍謄本
  • 故人と相続人の関係を証明する書類

など

【相続放棄の期限は3ヶ月】期限の延長方法と期限過ぎた場合の対処法

3-2 連帯保証債務は債務調査をしても発見しにくい

相続財産は故人が遺した借金だけでなく、連帯保証債務も含まれます。
ただし、連帯保証債務に関しては本記事の1章で紹介した借金の調査を行っても発見しにくいのが現状です。

故人が中小企業の経営者だった場合など、連帯保証債務を負っていそうなケースでは、自宅や経営する会社の事業所などで契約書類を確認しましょう。
故人が経営していた法人が借入を行っていたのであれば、借入先の金融機関に連帯保証人について尋ねてみるのもおすすめです。


まとめ

相続財産には借金も含まれるので、家族が亡くなった際には故人の借金の有無や金額を調べましょう。
故人の借金を調べる方法には、信用情報機関での情報開示請求や故人の自宅や郵便物を調べるなどがあります。

故人の借金を調べた結果、借金を遺していた場合にはそのまま相続するのか、限定承認もしくは相続放棄をするのかを決めなければなりません。
相続放棄や限定承認は、自分が相続人になってから3ヶ月以内に行う必要があるのでご注意ください。

期限内までに相続放棄が間に合うか不安な場合や借金の調査が難しいと感じるときには、相続放棄に詳しい司法書士や弁護士への相談がおすすめです。

グリーン司法書士法人では、相続放棄に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

亡くなった人に借金があったか調べる方法は?

故人の借金を調べる方法は、主に下記の5つです。

・信用情報機関に情報開示請求を行う
・故人の自宅や郵便物を調べる
・故人の通帳でお金の流れを確認する
・知人や親族に尋ねてみる
・不動産の登記簿謄本を確認する

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