準確定申告が不要なケースとは?還付金を受け取れるケースも紹介

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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 5
 この記事を読んでわかること

  • 準確定申告が不要なケース・必要なケース
  • 準確定申告の手続き方法・必要書類

準確定申告とは、亡くなった人の代わりに相続人が所得税などの確定申告をすることです。
準確定申告はすべての相続で必要になるわけではなく、亡くなった人が自営業者だった場合などに行う必要があります。

そのため、亡くなった人が給与所得者や年金受給者で受給額が400万円以下の場合は準確定申告を行う必要がありません。
本記事では、準確定申告が不要なケースおよび必要なケースを解説していきます。

家族や親族が亡くなると準確定申告以外にも様々な手続きが必要です。
家族や親族が亡くなったときの手続きの流れは、下記の記事でも解説しているので、あわせてお読みください。

【保存版】相続手続きでやるべきことまとめ!必要書類や期限も紹介

1章 準確定申告が不要なケース

準確定申告は常に行わなければならないわけではありません。
亡くなった人が確定申告を行う必要がない場合は、準確定申告も不要です。

準確定申告が不要なケースは、主に下記の通りです。

  • 亡くなった人が給与所得者である
  • 亡くなった人が年金受給者であり受給額が400万円以下である
  • 相続人が相続放棄した

それぞれ詳しく解説していきます。

1-1 亡くなった人が給与所得者である

亡くなった人が給与所得者だった場合、準確定申告を行う必要はありません。
給与所得者とは、正社員や派遣社員、パート、アルバイトなどが該当します。

給与所得者は給与を受け取る際に源泉徴収されているので、準確定申告は必要ありません。

ただし、給与所得者でも2か所以上の会社で働き、かつ副業の所得が20万円を超えていた場合は準確定申告が必要です。
他にも、給与が2,000万円を超える場合も、年末調整は行われないので、相続人が準確定申告しなければなりません。

1-2 亡くなった人が年金受給者であり受給額が400万円以下である

亡くなった人が年金受給者であり、受給額が400万円以下の場合も、遺族が準確定申告を行う必要はありません。
年金も給与と同様に、一定額を超えると源泉徴収が行われる仕組みだからです。

しかし、年金受給額が年間400万円以下でも、パートやアルバイトなどの収入が年間20万円を超える場合は準確定申告が必要となります。
また、年金受給額400万円以下というのは、国民年金や厚生年金などの公的年金だけでなく個別に加入している個人年金も含まれる点にご注意ください。

1-3 相続人が相続放棄した

相続人が相続放棄した場合も、準確定申告を行う必要はありません
相続放棄をすると、相続人としての権利や義務をすべて手放すとされているからです。

亡くなった人が自営業者で借金を遺していた場合やそもそも資産がほとんどない場合は、相続放棄してしまっても良いでしょう。
相続放棄をする際には、自分が相続人であると知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所で申立て手続きをしなければならないのでご注意ください。

相続放棄とは?検討すべきケース3つや手続きの流れ・注意点まとめ
【注意】準確定申告をしてしまうと相続放棄が認められない恐れがある

準確定申告をした相続人は、相続放棄することが認められなくなる恐れがあるのでご注意ください。
準確定申告は相続人が行うものであり、準確定申告をする=相続人であると認めたと判断される可能性があるからです。

相続放棄が認められなくなると、亡くなった人の借金を受け継がなければならないなど大きなデメリットが生じる場合もあります。
確実に相続放棄を行うためにも、相続放棄をしたい場合は準確定申告含む相続手続きを一切行わないようにしましょう。

相続放棄に詳しい司法書士や弁護士に相談すれば、準確定申告や財産の取り扱いについてもアドバイスをしてくれます。

相続放棄が認められない4つの事例|失敗とトラブルを防ぐポイントは?
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2章 準確定申告が必要なケース

亡くなった人が自営業者だった場合や生前、不動産などの資産を売却し利益が出ていた場合は、相続人が準確定申告をしなければなりません。
準確定申告を行わなければならないケースは、主に下記の通りです。

  • 自営業者や個人事業主だった
  • 2ヶ所以上から給与を受けていた
  • 給与所得と退職所得以外の所得が合計20万円以上あった
  • 給与の年間収入が2,000万円以上だった
  • 給料の年末調整を行っていなかった
  • 公的年金などによる収入が400万円を超えていた
  • 公的年金などによる雑所得が20万円を超えていた
  • 土地建物や株式の譲渡所得があった
  • 不動産所得があった
  • 貸付金の利子収入や家賃などの不動産収入を受け取っていた
  • 生命保険などの満期金や一時金を受け取っていた

準確定申告すべきか判断がつかない場合は、相続に詳しい税理士に相談することをおすすめします。

準確定申告と確定申告の違いは?手続き期限と申告書の書き方を解説!

3章 準確定申告は不要だが申告すれば還付金を受け取れるケース

準確定申告が不要なケースでも、申告することで所得税の還付金を受けられるケースもあります。
亡くなった人が年末調整を受けて居なかった場合や10万円以上の医療費を払っていた場合は、準確定申告を行うことも検討しましょう。

準確定申告をすれば、還付金を受け取れるケースは、主に下記の通りです。

  • 亡くなった人が勤務先で年末調整を受けていなかった
  • 亡くなった人の医療費が高額だった
  • 配偶者控除や扶養控除・寄付金控除などを適用できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1 亡くなった人が勤務先で年末調整を受けていなかった

亡くなった人が給与所得者であり、勤務先で年末調整を行っていなかった場合は、準確定申告によって還付金を受け取れる可能性があります。
年末調整とは11~12月に行われることが多く、源泉徴収によって払いすぎていた所得税を精算する手続きです。

年末調整が行われる前に亡くなってしまった人は、所得税を納めすぎている可能性があるので、準確定申告を行い還付金を受け取れるか確認してみましょう。

3-2 亡くなった人の医療費が高額だった

亡くなった人が支払った医療費が10万円を超えている場合、医療費控除を受けられ準確定申告により還付金を受け取れる可能性があります。
年の途中に亡くなった人であっても、その年の1月1日から死亡日までに支払った医療費が10万円を超えていれば医療費控除を行えます。

なお、医療費控除を申告する際に領収書などを提出する必要はありませんが、5年間の保存義務があるので大切に保管しておきましょう。
他には、死亡日より後に支払った医療費については亡くなった人の医療費控除ではなく、故人と生計を一にしていた人の医療費控除の対象になる点にも注意が必要です。

亡くなった人の医療費控除は誰がする?医療費を払った時期別に解説

3-3 配偶者控除や扶養控除・寄付金控除などを適用できる

亡くなった人が配偶者控除や扶養控除、寄付金控除などを適用できる場合は、準確定申告をして還付金を受け取りましょう。
例えば、配偶者控除は給与所得103万円以下の配偶者いる場合、13~48万円が控除される制度です。

所得控除は様々な種類があり、どの控除を適用できるか相続人が判断することが難しい場合もあるでしょう。
その場合は、準確定申告に詳しい税理士に相談して、還付金を受けられるか確認してみるのがおすすめです。


4章 準確定申告の手続き方法・必要書類

準確定申告は亡くなった人の住所地を管轄する税務署に、申告書や添付書類を提出して行います。
準確定申告の手続き方法および必要書類は、下記の通りです。

手続きする人
  • 相続人
  • 包括受遺者
提出先故人の住所地の所轄税務署
提出方法
  • 税務署に持参する
  • 税務署に郵送する
  • 電子申告(e-Tax)をする
必要書類
  • 準確定申告書第1表、第2表、付表
  • 源泉徴収票 など

5章 準確定申告を行うときの注意点

準確定申告の期限は「相続開始から4ヶ月以内」と他の相続手続きより期限が短い点にご注意ください。
準確定申告を行う際の注意点は、下記の通りです。

  • 準確定申告は相続開始から4ヶ月以内が期限である
  • 準確定申告が必要なのに行っていないとペナルティが発生する
  • 故人の死亡後に支払った医療費や保険料は控除の適用対象外である
  • 相続人が受け取った還付金は相続財産になる

それぞれ詳しく解説していきます。

5-1 準確定申告は相続開始から4ヶ月以内が期限である

準確定申告は「相続開始から4ヶ月以内」と期限が短く設定されているので、ご注意ください。
相続税は「相続開始から10ヶ月以内」ですので、混同してしまうと準確定申告の期限に間に合わない恐れがあります。

準確定申告を行うには、亡くなった人の所得に関する情報を集めなければなりません。
葬儀やそのほかの手続きでバタバタしていると、あっという間に準確定申告の期限が来てしまうのでご注意ください。

亡くなった人が自営業や不動産経営をしており、準確定申告をしなければならないことが明らかな場合は、相続に詳しい税理士に依頼するのも良いでしょう。

相続手続きの期限まとめ!期限を守れなかった場合のデメリットとは?

5-2 準確定申告が必要なのに行っていないとペナルティが発生する

準確定申告を行わなければならないにもかかわらず、期限内申告を行わないでいると下記のペナルティが発生しています。

無申告加算税準確定申告が必要にもかかわらず、申告しないでいると発生するペナルティ
延滞税準確定申告の納付期限までに納税しなかった場合に発生するペナルティ

先ほど解説したように、準確定申告の期限は4ヶ月と短いので、忘れずに申告しましょう。

準確定申告しないとどうなる?発生するペナルティと申告方法

5-3 故人の死亡後に支払った医療費や保険料は控除の適用対象外である

相続発生後に支払った故人の医療費や生命保険料は、準確定申告の控除対象外となるのでご注意ください。
医療費控除および生命保険料控除は、その年の1月1日から本人が死亡した日までに払った金額が対象となるからです。

なお、故人の死亡後に、故人と生計を一にしていた人か故人の医療費を払った場合は、その人が医療費控除として故人の医療費を申告可能です。

5-4 相続人が受け取った還付金は相続財産になる

準確定申告を行い相続人が還付金を受け取った場合、還付金は相続財産として扱われます。
還付金は相続人に対して払われるものではなく、故人に対して払われるものとして扱われるからです。

したがって、相続税申告時には受け取った還付金も漏れなく申告しましょう。

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まとめ

準確定申告はすべての相続で必要なわけではなく、亡くなった人が給与所得者や一定額以下の年金受給者の場合は、準確定申告が不要です。
ただし、準確定申告が不要なケースでも申告することで還付金を受け取れる場合があります。

準確定申告は相続開始から4ヶ月以内に行う必要があり、非常に慌ただしいです。
そのため、ミスなく申告したい場合や準確定申告が必要か知りたい場合は、相続に詳しい税理士に相談するのが良いでしょう。

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