後見人に資格は不要|後見人になれる条件と選任方法とは?

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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 4

後見人とは、認知症などによって判断能力が不十分な人(被後見人)の代わりに財産の管理や手続きなどを行うことで生活をサポートしてくれる人です。

財産の管理だけでなく、施設入所や介護サービスの手続きも代理で行うこととなるため、できれば、子供や孫など身近にいる人が後見人になりたいと思う方も多いのではないでしょうか。

そこで気になるのは「後見人になるには資格は必要なのか?」ということですよね。

結論から述べますと、後見人になるために資格は必要ありません。一部の人を除き、誰でもなることができます。

しかし、後見人は裁判所が選任するため、なりたいからといって必ずなれるわけではありません。

この記事では後見人になれる人・なれない人についてや、後見人の選任方法などについて解説します。

後見人についてより詳しく知りたい方はこちらを御覧ください。

成年後見人とは?必要になる6つのケースと知っておくべき5つの注意点

1章 後見人に資格は必要ないがなれない人はいる

冒頭でもお話したとおり、後見人になるために資格は必要ありませんが、後見人になれない人はいます。

後見人になれないのは以下のような人です。

  • 未成年
  • 過去に後見人を含む法定代理人を解任されたことがある人
  • 破産者
  • 被後見人に訴訟を起こした人とその配偶者
  • 親族
  • 行方不明者
  • その他不正な行為を行うなど後見人に適さない経歴がある人
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2章 後見人の選任方法

ただし、後見人を選ぶのはあくまで家庭裁判所です。そのため、前章で紹介した項目に当てはまらなくても、立候補した人が後見人に必ずなれるというわけではないので注意が必要です。

では、後見人はどのようにして選ばれるのでしょうか。

後述いたしますが、後見人には「法定後見人」「任意後見人」の2種類があります。ここではそれぞれの選任方法について解説します。

2-1 後見人には2種類ある

後見人には以下の2種類があります。

  • 法定後見人
    →家庭裁判所の判断のもと、選任された後見人
  • 任意後見人
    →被後見人が自ら指名し、選任された後見人

法定後見人の場合、後見人の選任は家庭裁判所が行います。そのため、被後見人や後見人を申し立てした人、立候補した人の意思とは関係なく選任されます。

一方で、任意後見人は、被後見人となる人が「健康なうち」に、自ら後見人と契約します。任意後見契約は公証役場で公正証書にしなければいけません。

なお、任意後見人についても前章で紹介した「後見人になれない人」の項目に当てはまっている場合は、任意後見契約があっても後見人になることはできないので留意しておきましょう。

任意後見人についてより詳しく知りたいかたはこちらを御覧ください。

任意後見人とは?行う仕事から手続の流れまで徹底解説【イラスト付】

2-2 法定後見人の選任は家庭裁判所が行う

法定後見人の選任は家庭裁判所が行うと説明しましたが、実際にはどのように選任されるのでしょうか。

法定後見人の選任までの流れは以下の通りです。

手続き 概要
STEP① 法定後見人選任の申立て 家庭裁判所へ申立書を提出しすることで申し立てが受理されます。
STEP② 調査官との面談・審理 家庭裁判所が後見人の選任が必要かどうかを審理します。また、被後見人となりうる人の現在の状況や具体的な事情について、申立人と調査官が面談し調査も行います。
STEP③ 審判 後見人が必要と判断されたら、誰が後見人となるかを家庭裁判所が判断します。
STEP④ 後見登記

後見人が確定したら、後見登記が行われ、登記が済んだらその内容が記された「登記事項証明書」を取得できるようになります。

「登記事項証明書」は後見人であることを証明するための書類となります。

後見人になるための手続きや流れについてより詳しく知りたい方はこちらを御覧ください。

後見人になるには?後見人になる方法と知っておくべき4つの注意点

3章 第三者が後見人に選任される可能性がある

多くの場合では、後見人は子どもや孫などの親族が選任されます。しかし、親族間で揉め事があったり、問題が見受けられたりした場合は、第三者が選任される可能性もあります。

もちろん、第三者と言っても全くの素人が無作為に選ばれるわけではありません。弁護士や司法書士などの専門家が選任されることとなるので安心してください。

ただし、このような専門家が選任された場合、報酬が発生するため注意が必要です。また、親族であっても、報酬付与の申立てをすることで報酬を受け取ることができます。

3-1 後見人の報酬相場

後見人の報酬は、被後見人の資産から支払います

具体的な報酬額は「法定後見人」と「任意後見人」で異なります。

3-1-1 法定後見人

法定後見人への報酬は、後見人から「報酬付与の申立」をすることで、家庭裁判所が判断し決定されます。

法定後見人の場合、家庭裁判所が以下のような報酬の算定基準を提示しています。なお、こちらの基準はあくまで「基準」であり、この通りとなるとは限りません。実際の報酬は、被後見人の経済状況や地域の物価など総合的に判断し、決定されます

成年後見人 報酬、後見人の報酬相場

基本報酬・・・日常的な預貯金の出納など通常の後見業務に対する報酬
付加報酬・・・不動産の売却や遺産分割など特別な後見業務に対する報酬

3-1-2 任意後見人

任意後見人の場合、報酬金額は「任意後見契約」を結ぶ際に定めます。報酬を設けるかどうかは当事者間の自由となります。そのため、報酬額についても当事者間が合意していれば自由に設定することができます。

ただし、「自宅と預金、計1000万円管理で月額30万円」など、任意後見人として行う仕事と報酬があまりに乖離している場合は税務署や他の相続人に否認される可能性もあるため注意が必要です。

また、任意後見人の場合、必ず任意後見監督人の選任が必要であり、それに対する報酬も発生します。任意後見監督人は、家庭裁判所の判断で司法書士や弁護士などの専門家が選任され、報酬金額についても家庭裁判所が決定します。

任意後見人の場合は月額で報酬を支払うことが一般的です。月額報酬の相場は以下のとおりです。

任意後見人となる人 月額相場
家族・親族 月額0〜5万円
司法書士や弁護士などの専門家 月額3〜10万円
任意後見監督人 月額1〜3万円

後見人の報酬についてより詳しく知りたい方はこちらを御覧ください。

成年後見人の報酬はいくら?相場から請求方法まで司法書士が簡単解説

3-2 後見人の申立は取り下げられないので注意

後見人の申立ては、一度受理されると取り下げることができません。申立人自身が自分が後見人になるつもりで申し立てをしたけれど、実際には他の専門家が選任されたからといって、「やっぱりやめた」とすることは不可能なのです。

専門家が選任された場合は報酬がかかりますし、財産管理も後見人が行うことになります。後見人を申し立てる場合は、専門家が選任されることも想定しておきましょう。


まとめ

後見人になるために資格は必要ありません。

しかし、条件によってなれない人もいますし、法定後見人の場合はなりたいと思った人が必ずなれるわけではありません。

なお、任意後見人の場合は、被後見人となる人が指名した人が後見人となることができます。

親族以外の人が後見人となる場合は、司法書士や弁護士が選任されることとなり、専門家が後見人になると、報酬もかかるので注意が必要です。後見人選任の申立ては一度受理されると取り下げることはできないので、慎重に検討しましょう。

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よくあるご質問

成年後見人になるのは資格が必要ですか?

成年後見人になるのに特別な資格は必要ありません。
ただし、法定後見人は家庭裁判所が選任するため、希望の人物が後見人になるとは限りません。

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